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香川県にある下請け工場の「顔作り」を。

香川の住宅建材の下請けを営んでいる老舗木工場さんとの取り組み。


実はこの自社商品は思っている以上に難関でした。


出会いは2016年8月に、香川県よろず支援拠点が開催したセミナーで僕が講師で伺ったこと。最初はデザイナーやデザイン業に対してあまり良い印象をお持ちでなかったとお聞きしてまして(苦笑)僕らが現場に入りクリエイティブだけではなくコストや製造に至るまでコントロールする会社であることを過去の実績事例に共感頂き依頼していただくことになりました。

初めて伺った時に工場の大きさにビックリしました!

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大手ハウスメーカーの住宅建材の下請けをされている大きな設備が立ち並ぶ工場でした。必ず現場の隅々までチェックをさせていただくのですが初めて見る技術などもあり時間がかかりました。

こちらは住宅で取り付けられている家具類を製造されている会社。と言っても最後まで組み立てているわけではなく、最終仕上げは各地のマンションや住宅現場に入っている職人が仕上げますので、現場で組めるようそれぞれのパーツを製造されている工場でした。

これまで培ってきたリソースが活かせない・・!?

で、開発のための伴走計画が毎月の定例で始まりました。
事前にこの工場で、できることをぼんやりとイメージして
インテリア関連の商品企画になるのかなと会議を進めながら話していると、会議の冒頭で出てきた話はこの工場の普段のお仕事でもある住宅建材の下請け仕事に抵触する企画は全てNGに。

これは下請けのお仕事をされている現場ではよくあることなのですが、元請けの企業から守秘義務契約を結んで情報をもらって製造している現場ではたとえ見た目も違うデザインや展開先も違う企画だとしてもそのリソースを生かして開発することは仕事を切られるかもしれないという不安とリスクを抱えることになります。

とにかく、最初に家の中の物の企画は出来なくなりました・・・。
現場の技術を活かしたくても設備はそもそもパーツ設計の現場でもありこの現場で完成させる企画を進めることが難しいことも次第に見えてきました。何度か展示会をリサーチしてもらいながら1年後アイデアがまとまり、デザインも起こして、試作へと進むことになりました!


思っていた以上の難関が続き現場と・・・

大手のお仕事実績と技術もある現場でしたので、決まった仕様もそれほど難しいと思っていなかったですが、そんな簡単には行かなかった・・・。

試作途中に何度も何度も確認していくのですが使い勝手を考えると厳しい。現場の方も初めての構造にトライされていることもあり、お互い手探りの中作っては確認、作っては確認、ダメ出しが続きます。あれこれ試すも上手くいかずに現場の方々からは不穏な空気が漂って先の見えない暗闇のトンネルを走ってる感じでした。この企画で良いのか、デザインで良いか、現場にとって良いのか、
とても悩みました……ウチのスタッフも悩んでいる。

どうるすか、僕は‥‥

1年間の全てを白紙にする決断する

僕が決断したのは白紙に戻し、企画を全面的に大きく変更すること。その話をした時の皆さんの反応が怖かったですが、想像以上に流石に半年間かけた試作の山を見て皆さんの疲弊色は凄かった。がっかりしたような空気は弊社スタッフからも伝わりましたが、社内も社外も全員敵になったかと思いました(苦笑)

ただ、皆さんと話したのはコレまでの僕らの開発してきた商品でもボツになった企画もたくさんあること、初めて進めていく中で上手く進む事は少ない。どんな会社や職人でも自分たちの新たな商品開発には生みの苦しみと葛藤して諦めないで乗り越えた先に見える景色があるんで頑張りましょ!と。

そう言いつつも僕の中ではかなり不安にかられてました。どういう仕様の商品であれば問題なくできるだろうと。考えて思っていたことが想定外だったことが続きまくって工場の皆さんにとってどういう企画だったら良いのだろうかも改めて悩みました。

で、悩んだらもう一回現場に行こうと。

今まで設計してきた企画もデザインも真っ白に。ゼロから練り直すことに。事務所で悩んでいても解決しない。もう一回現場に行こう。担当スタッフ全員で香川県の現場に入りました。その時の会議の空気感は今思えばなかなかの重たさでしたが香川の職人さん達と色々と企画に関係ない地域のマルシェのことやあれこれ雑談。
その中で出てきたお話に工場の会議室の隅っこに転がっていた職人さん地が遊びで作ったカホンが話題に。有志で職人さんが地元のマルシェイベントで子供とのワークショップで使ったこと、その模様や制作意図を伺っていくうちに一気にアイデアを膨らんでお互いこの方向で行けるんじゃないかと盛り上がって、その日は足取り軽く香川から帰ったことを覚えてます(笑



ですが、また新たな問題が製法面で続きます(苦)

現場の方との苦悩は続きました。最後の山場は材料と技術と原価の設計。大きな機械が立ち並ぶこの現場は小さな工房と違ってスモールスタートする企画を形にする事は想像以上に大変でした。材料のサイズ、工法、工程、、さあいくらで販売しましょうと打ち合わせが始まりました。皆さん頭を抱えていらっしゃいました。下請け現場の自社商品の最大の難関といってもいい。


「自分たちの技術に値段をつける」ということ。

いつもは依頼主である元請けの会社が依頼仕事の内容と価格を決めてこられることが多い現場ではよくあります。自社商品は買ってくださる方はまだ見ぬ方々。そして直接お金を出して購入されます。お店で売ってもらうのか、百貨店催事で売るのか、問屋に売ってもらうのか、どうやって販売していくのかでも価格は変わります。工場の置かれている人材状況でも大きく影響していく価格の決定プロセス。この段階だけでも3ヶ月はやりとりしていたように思います。




そして販売方法も決まり、何とか納得できる光が見えました。


ま、僕のそんな裏話はどうでも良いのですが(笑)


この時期に少しでもおうちで楽しく過ごせるお庭ツール完成しましたので、ぜひよろしくお願いいたします!最後に、悩んだら現場に行けという自分自身の一家言を改めて再認識することもできました。

香川の工場の挑戦見てあげてください。よろしくお願いします。
(活動レポートコーナーに職人さんの開発の葛藤が書かれてますのでそちらもぜひ)




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