中心帰納との出会い(2)
1.成田伝合気道一元塾
確か2015年ぐらいのときの話なのですが、私はかねてより気になってた成田新十郎先生伝の合気道の体験にいくことにしました。
成田新十郎先生は前回の記事で紹介させてもらった動画の取りをしていた先生です。
ここで、軽く成田伝合気道の紹介をしますと
まず光輪洞合気道の創始者、平井稔先生の弟子である成田新十郎先生から伝わる合気道ということになります。
うん?植芝盛平先生じゃなくて・・・・?そうですね
詳しくはウィキペディアなどで調べてくださると有難いのですが、光輪洞合気道は平井稔先生が創始した植芝盛平先生が創始した合気道とは別系統の武術であり、「大日本武徳会で制定された総合武術である武徳会合気道」の流れを汲んでいるんだそうです。
ただここら辺、色々歴史的経緯がありまして、別系統ではあるけど無関係ではないんですよね。。。興味のある方は調べてみてください。
ともかく、平井先生の弟子の成田新十郎先生が独立されて起こされたのが合気道一元塾であり、2015年当時は、遠藤誠一先生が総師範をされてました。(成田新十郎先生は指導の立場から引退されてました。)
現在は、白石先生(無元塾)をはじめ、様々な方が成田伝合気道を教えています。
2.上手くやってもOKがでない難しい稽古
さて、ここから体験のレビューということになってくるのですが、手始めに与えられた課題は「天地投げ」でした。
これは最大手の合気会で教える「天地投げ」と形としては同一のものですが、成田伝合気道が重視する「入り身」の感覚をつかむのに非常にいい題材ということで、「天地投げ」を課題の一つとして採用してたそうです。
▽天地投げはこんな技
私も当時で10年くらいやってましたから、何気に色々なテクニックを知ってますから、まあ少し自慢になってしまうのですが、受けをしていた方には「うまい」とは言われました。
しかし、「入り身ではない」と言われました。
・・・・・・???
どういうこと?と思いましたが
ともかくわずかでも色気といいますか、「意図」や「作為」のあるものは、そこに「我のぶつかり」が生じ、相手との一体感が生じる
「入り身」ではないとのことです。
前回も言いましたが、このぶつかりは「相機」と言いまして、この状態はなんらかの競りによって、勝敗が付く状態です。
実は技も「競り」が生じる原因なのです。
なぜならば、技は対症療法的なものでして、相手の何等かの挙動や状態に「合わせて」、技を仕掛けます。これは追いかけっこでして、この追いかけっこに勝てれば技がかかりますが、ずっと逃げ切られるという展開だってあるわけです。私もうまいとは言われましたが、結局本気で抵抗されるとダメでした。
力でもない
速さでもない
技でもない
いきなり途方にくれるような課題なわけです。
3.陰と陽
ところで、成田伝合気道には人間のある種の状態や挙動を便宜上「陰」と「陽」に分けることがあります。
下におおよその表をまとめました。(これ以外にも様々な分け方があります)
この「陰」と「陽」がバランスよく発揮されますと所謂「和合」というものが生じます。
「身体の前側」に強い力を発揮したいなら、「身体の後ろ側」もバランスよく使うといった具合です。
ある「心」の状態に対し、最適な「身体」の状態がありますし、ある「動き」をしたいなら、最適な「思い方」があるのです。
さて、ここで二人の相対した人がいるとして、相手のある「動き」(陽)に対して、こちらも「動き」(陽)を前面に出して応えると、
これは「陽」と「陽」の衝突で、「和合」にならないわけです。
また更に、パーソナルスペース(陽)の内側に、うまくだまくらかして入ろうという思惑(陽)をもって踏み込もうとすると拒まれます。
なんかエヴァンゲリオンのATフィールドみたいですね(笑)
アニメなどよく知ってる人にしか伝わらない表現で申し訳ないですが、
「入り身」とはATフィールド(陽)を心の作用(陰)で中和して、パーソナルスペース内に入ることといえるかも知れません。
ひょっとしたら、塩田剛三先生がおっしゃてた
「合気道の最強の技は、自分を殺しに来た相手と友達になることさ」に通じる話なのかもしれません。
4.遠藤誠一先生
さて、「天地投げ」の課題で、あーでもない、こーでもない
やってますと、遠藤誠一先生がやってまいりました。
遠藤先生は以下の動画で、無刀取りをやっている先生です。
その遠藤先生が「天地投げをやってみろ」というので、やってみた。
遠藤先生の手はすごく粘り強くて、まあ全然通じませんでした(;^_^A
そこで、次は受取交代して遠藤先生の番ということで、私が先生の手を掴もうとした瞬間
ステーンと投げられました!
(速すぎてわからん...汗)
これが最初の感想
立ち上がると、のど元に先生の貫手が・・・
(え?いつ入られた?)と思ったら、また投げられ、
割と何度もコロンコロンやられて、その後
「何やっても先の先を取られます、凄すぎます。」と私が言ったところ、
遠藤先生は「いや、先の先でも、後の先でも、そんなのどっちでもいいんだよ」というと、また僕の間合いに入ってて・・・・
最早、具体的なことは何もわからんけど、とりあえず「何されてるか全くわからない」ところがすごいと思いました。
そして、遠藤先生は後々になってなんとなくわかる凄みのある言葉を残されたのです。
「いや、僕がすごいわけじゃないんだよ」と
・・・・・・・・・・・
私の最初のこの合気道に対する印象は
よくわからんでした。
中心帰納の体験(3)に続く・・・
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