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Shopifyエコシステムと注目のアプリ15選

Eコマースプラットフォームとして、D2Cの盛り上がりと共に日本でも急速に利用が広がるShopify。その特徴はなんと言ってもShopifyアプリを使って簡単にカスタマイズできる拡張性の高さにあります。アメリカではShopifyアプリの開発でユニコーンとなった企業も数多く存在し、そのエコシステムは世界中で注目されています。

一方で、アプリの多くは日本語対応しておらず日本人にとっては導入ハードルが高い面もあります。そこで今回はShopifyエコシステムと利用事業者におすすめのツールを用途にあわせてご紹介していきます。

Eコマース市場に現れた黒船・Shopify

現在日本でECサイトを始めようとする場合、大きく分けて以下の5つの方法が挙げられます。

① ECモール:Amazon、楽天、ZOZOTOWNなど
② ショッピングカートASP
:BASE、STORES、Shopifyなど
③ECパッケージ
:ebisumart、ecbeingなど
④オープンソース
:EC CUBEなど
⑤フルスクラッチ
:自社開発、もしくはGMOコンサルティングなど

さらに②のショッピングカートASPは「ネットショップ作成」と「ASP・カートシステム」の2つに分けることができ、Shopifyは後者に入ります。

この5つの手法は下にいくほどカスタマイズ性が高く、企業や業界の特徴にあわせて機能を変更することができます。しかし同時に構築や運用のコストも高いため、まずはモールの出店からはじめてBASEやSTORESで自社のネットショップを作成し、規模拡大にあわせてカートシステムやECパッケージへの移行、もしくはフルスクラッチの検討が行われてきました。

こうした日本のEコマース市場でめざましい成長を遂げているのがShopifyです。2020年には日本国内での流通総額が前年比323%増、新規出店数も前年比228%増と時流に乗って急成長し、世界的に見ても日本は2020年において最も成長した市場となりました

Shopifyは月額数十ドルから利用できるため個人商店も導入しやすいサービスですが、く大手企業もカバーできるShopify Plusというエンタープライズプランまで幅広いターゲットに対応しているため、将来の成長を見据えてShopifyを導入する事業者も増えているようです。

日本におけるShopify導入企業の例としてはMr. CheesecakeCOHINAMIKI HOUSE土屋鞄製造所土屋鞄のランドセルゴーゴーカレーオリオンビールサンリオKINTOBlue Bottle JapanAllbirds JapanCDG by Comme des GarçonsTOGAなどが挙げられます。

また、Shopifyを語るうえで欠かせないのが独自のアプリストアの存在。Shopify社内ではなく外部ベンダーが開発したアプリからも選べるので、無数の選択肢の中から自分たちにあったツールを見つけることができます。この自由度の高さがShopifyの魅力であり、アプリを使いこなすことがShopifyを導入する肝といっても過言ではありません。

Shopifyのおすすめアプリ

とはいえ、膨大な数あるアプリの中から自分たちにあうものを探すのは至難の業。さらに日本語対応していないアプリも多く、ツールの説明をひとつひとつ英語で読んで理解するには時間がかかりすぎてしまいます。

そこで日本でも導入実績が多く利便性の高いおすすめのアプリを、用途にあわせてご紹介します。
なお、「無料」と記載しているアプリも顧客数や使用回数によって課金が必要になるケースもあります。その場合でもsほとんどは7〜14日間の無料トライアル期間が設けられているため、無料期間を利用して自分のショップにマッチするかを検証してみるのもよいかもしれません。

1. Webページの制作や分析

・Shogun Landing Page Builder(有料※ トライアル期間あり)
商品ページやLP、ブログなどのページをドラッグ&ドロップの簡単な操作で作成できるアプリ。管理画面は日本語対応しておらず英語のみ。

・Google Analytics(無料)
サイトのユーザー像を分析し、マーケティングやコンテンツ、商品などのパフォーマンスを把握できる。

・Heap(無料)
行動データを通じて顧客の行動を理解するアプリ。GAよりも高度な分析を求める人向け。管理画面は日本語未対応。

・Lucky orange(無料)
ヒートマップでサイトを分析したり、お客様の行動をリアルタイム分析できるアプリ。管理画面は日本語未対応。

2. マーケティング

・Kleviyo(無料)
日本でもすでに導入しているショップも多いメールマーケティングのツール。豊富なデザインテンプレートでメルマガ作成が簡単にできるのはもちろん、顧客の購買履歴や属性にあわせてメールを送ることもでき、メールマーケティングが手軽にできる。管理画面は英語のみで日本語対応はしていないが、配信するメールは日本語で送ることができる。

・CRM PLUS on LINE(無料)
LINEアカウントで簡単に会員登録・ログインできるようにするアプリ。初回購入やキャンペーン商品購入など、特定の顧客にむけてLINEでメッセージを配信できる。管理画面も日本語に対応。

・Yotpo(無料)
商品やサイトについてのレビューを集めることができるほか、顧客によるSNS上での口コミ(UGC)をECサイト上に表示させることも可能。日本語にも対応している。

3. 定期購入/予約販売

・定期購買 by Huckleberry(無料)
手軽に定期購買機能を追加できるアプリ。日本語にも対応しており、他のサブスクアプリからの移行やCRM連携も可能。

・Recarge Subscription(無料)
クレジットカードの更新、請求の再試行、カード期限切れが近い顧客へのリマインドなどをメールで自動送信することで、定期購入にありがちな請求処理の失敗を防止する機能に優れたアプリ。メールマガジンアプリのKlaviyoとも連携可能だが、管理画面は日本語に対応していないため設定や管理は英語で行う必要がある。

・Pre Order Now(無料)
商品ごとに予約販売を設定でき、自動で「購入ボタン」を「予約販売ボタン」に変更できるアプリ。顧客への文言は日本語で表示できるが、管理画面の対応言語は英語のみ。

4. カスタマーサポート / チャット接客

・チャネルトーク(無料)
チャットでのお問い合わせや相談の機能を実装できるサービス。日本発のサービスで、6万社以上の導入実績あり。

・Zendesk(有料※ トライアル期間あり)
EC以外にも幅広い業界で使われている、メールやチャット、電話、SMSなどさまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理するヘルプデスクプラットフォーム。管理画面は英語のみ。

5. ロジスティクス

・Ship&co(有料※ トライアル期間あり)
送り状発行、追跡情報の同期などの出荷作業を一元管理できるアプリ。ヤマトのB2BシステムとのAPI連携が可能。管理画面も日本語で利用できる。

・LOGILESS(有料)
受注管理システム(OMS)と、倉庫管理システム(WMS)が一体となったシステムで、ミスなくスピーディな出荷をサポートする。日本語にも対応している。

・Shippinno(無料)
委託先の複数の物流倉庫への出荷依頼を自動化。Shopify以外にも楽天、Yahoo!、amazon等とも連携し、複数ストアの出荷を一元管理できる。管理画面も日本語対応可。

Shopifyアプリをつなぐ自動化ツール「Alloy」

このようにShopifyには様々なアプリがありますが、逆にいえばShopify本体にはメルマガや配送などの店舗運営において基本的な機能もついておらず、すべてアプリを導入して補完しなければなりません。
ただでさえアプリの導入数が多いうえ、分析やマーケティングオートメーションの際には複数のアプリ/ツールを同時に連携させなければならないケースもあります。その際に便利なのが、Eコマースのツール間を繋ぐ自動化サービス。日本ではZapierやTēPsの利用が多い分野ですが、アメリカではAlloyというサービスが成長しています。

Alloyは、ECインフラの連携・自動化をサポートするツール。Shopifyと複数のツールを別々に運営するのは大変ですが、それらの運営作業を一元管理して、細かいタスクの自動化を可能にしてくれます。しかもコーディングは不要で、タスクを樹形図のように繋げていけばトリガーとアクションの設定が可能になる仕組み。

例えば以下は、「Shopifyで商品代金が支払い完了した」というトリガーの後、「その注文の金額が100ドル以上の場合」という条件に合致すれば、「AttentiveというSMS送付ツールでディスカウントコードを送付する」という自動タスクの設定例です。

Alloy HPより

Alloyが登場する以前は、アメリカでも多くのブランドがZapierなどを活用していました。しかしZapierはECに特化しているわけではないため、D2CをはじめとするEC事業者のあいだではEC特化型のAlloyの人気が高まっています。

Alloyは、Yコンビネーター2020年冬バッチに参加し、2021年2月にはベインキャピタルやAbstract Ventures、Color Capital、「Shippo」の創業者などから$4M調達を発表。今注目の米国スタートアップです。

CEREAL TALKでは創業者であるサラ・ドゥさんへのインタビューも行いました。

Shopifyの難点とエキスパートプログラム

Shopifyはアプリを導入することでカスタマイズが可能なことが利点の一つですが、アプリを使っても対応できない日本特有の商慣習もあるので注意が必要です。

たとえば配送時の日時指定や複数配送先の指定(贈答注文時など)、代引き注文、後払い・分割払いやボーナス払い、領収書の発行などは現状Shopifyでは対応ができません。

また、日本で人気のアプリでも日本語未対応のものが多いうえに細かなカスタマイズをするには多少は自分でコーディングしなければならないケースもあり、活用のハードルは依然として高いままです。

このような状況から、日本ではShopify自体や関連ツールの導入・連携の際はShopifyパートナーないしShopifyエキスパートの認証(後述)を持つ導入ベンダー、Webコンサルティング会社に依頼するケースが多いのが現状です。

Shopifyには「Shopify パートナープログラム」があり、Shopifyプラットフォームを使用してECサイト等を構築する、デザイナー、開発者、マーケター、およびアフィリエイトの多様なパートナー企業を包含したグループがあります。その中の種別として存在するのが、「Shopifyパートナー」と「Shopifyエキスパート」。

日本で代表的なShopifyエキスパート/Shopify Partnerとしては下記の5社が挙げられます。

・フラクタ
 
デザインとブランディング支援に強みを持ち、目的や期間にあわせた「月額コンサルティング」プランを用意。上位のShopify Partnerでもある。

・StoreHero
パーソナライズが行き届く設計と、ブランドの世界観が感じられる購買体験を実装することに強みをもつ。カスタムストアフロントの部門でShopify of the Year 2021受賞。

・コマースメディア
 
日本で3番目のShopify Expertsに認定され、Shopify Plusの構築も可能。Shopify以外のASPやEC-CUBEなどのオープンソースにも幅広く対応するECサイトの構築・運営に特化した制作会社。

・フラッグシップ
 
日本初のShopify Experts及び日本初のShopify Plus Partnersであり、国内Shopify市場のリーディングカンパニー。大企業向けのShopify Plusプランに特化した開発会社であり、開発実績最多。

・ウェブライフジャパン
 
もともとサーバー構築などインフラ関係に強みを持つ開発会社。元々EC-CUBEに精通していたことから、その知見を生かして様々なプラットフォームからの移行実績も多数。

Shopifyアプリの国内アライアンス「App Unity」

日本での上記のような状況を踏まえ、昨年、設立されたのが国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」。

これは、上記で紹介したShopifyアプリ「Omni Hub」を開発する株式会社フィードフォースと、「定期購買」を開発する株式会社ハックルベリーが業務提携を行い、株式会社リワイアも加えた3社で、「国内のShopifyでのサイト構築、運用をスムーズに行うためのサポートを行い、Shopifyのさらなる普及とShopifyを取り巻く環境の発展を目指す」ために立ち上げられたアライアンスです。

このアライアンスが提供するアプリはまだ9つ(2022年1月5日時点)と少ないものの、今後更に加わっていき、日本の商習慣に対応した利便性の高いShopifyアプリの増加に期待できそうです。

Shopifyエコシステムを有効活用するために

日本でも確実に成長し、その利便性から利用者を増やしているShopifyですが、効果的に活用するには新しいアプリの情報収集や英語・コーディングのスキルが求められる面もあります。Alloyのような自動化ツールを駆使して自分たちでカスタマイズ・自動化していくことができれば、パートナーに依頼するよりもはるかに低コストでECを運用することができ、その分商品やサービスに時間やお金をかけることができます。

CEREAL TALKでは、アメリカで人気を集めているShopifyアプリの情報もいち早くお届けしていきますので、ぜひニュースレターもチェックしてみてください。

(Photo: Shopify official page

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