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誰でも簡単に!秩父で化石が採れる「ようばけ」

ゴールデンウィークが始まりました!
今日明日休みを取って、9連休にした方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみに予定などは決まっているでしょうか?

もしお暇なら、近場で化石を採掘しに行く、というのはいかがでしょう?

実は関東近郊に、とっておきの場所があるのです。

◆簡単に化石が見つかる「ようばけ」

その場所とはこちら。

秩父の駅からはだいぶ離れます

「ようばけ」とは、「陽(よう)」つまり太陽が、「はけ(秩父の言葉で崖の事)」に当たる場所、という意味で、秩父市小鹿野町から下吉田に向かって流れる赤平川の片岸にある大きな崖の事をそう呼んでいます。

秩父盆地層群秩父町層がみられ、多くの化石を産出する事から、国の天然記念物にも指定されています。

◆秩父は『日本地質学発祥の地』

秩父地域1市4町(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町)をエリア(約89,250ha)としたエリアは、「ジオパーク秩父」と呼ばれ、15番目の日本ジオパークとして、平成23年に認定を受け、その後平成27年の再認定、令和元年の条件付き再認定、令和4年の再認定を受け、現在に至っています。

ジオパークというのは、大地の遺産を保全し、教育に役立てたり、それらを楽しむ観光を推進するために、持続可能な開発を進める地域認定プログラムです。
2022年1月28日現在、国内で46か所が認定されています。

また、秩父地域は東京から比較的近い事もあり、明治時代から日本の近代地質学における数々の先駆的な研究が行われてきました。
「秩父古生層」や「三波川結晶片岩」などの命名・研究をはじめ、日本列島の模式となる研究が展開され、以後多くの地質学徒の育成に貢献してきたことから、『日本地質学発祥の地』と呼ばれています。
現在でも新しい研究が行われ、秩父帯や三波川帯など西南日本外帯の「付加体」(プレートの動きにより、大陸側に押し付けられた堆積物など)に関する新知見が得られるなど、『世界に発信する地質学的拠点』の一つとなっています。

◆何故、秩父からは化石が良く見つかるのか?

はるか昔、秩父盆地には海が広がっていました。
約1700万年前に生まれ、約1500万年前に消滅した「古秩父湾」です。
のちに秩父連山となる山々の前に広がる豊かな海では生命の営みが繰り広げられました。

そのため、秩父盆地には新第三系の秩父盆地層群(従前:彦久保層群、小鹿野町層群、秩父町層群、横瀬町層群)が分布しています。
これは先ほどの「古秩父湾」の海底に堆積したもので、地殻変動にともなう多様な堆積構造や、パレオパラドキシア、チチブクジラといった、大型の哺乳類、チチブサワラといった魚類、さらに貝類、甲殻類、サンゴ類、ウニ類,珪化木といった多彩な化石群集を良好に保存しています。

なので、素人でも採取できるくらい、化石が豊富にあるのです。

◆まずは西武秩父駅に到着

東京からも比較的近い場所にあるとはいえ、秩父は山奥です。
車があればいいのですが、今回は電車とバスを使って向かいます。

西武鉄道の特急ラビューに乗って、西武秩父駅へ。

池袋からは約最短で約77分

残念ながら、今日の秩父はあいにくの雨。

着いた時点では結構降っていました

雨が弱まるのを待ち、まずはバスに乗って、
「おがの化石館」を目指します。

小鹿野車庫行のバスは駅を出てすぐの①番のりばから出ています

◆バスに乗って「おがの化石館」へ

西武秩父駅のバス乗り場から「小鹿野車庫行」のバスに乗り、乗車時間およそ30分ほどで、最寄りの「泉田」というバス停につきます。

泉田バス停

そこからすぐのところに、Y字路があって、おがの化石館の看板があるので、それを目印に右折します。

Y字路を右折

そのまま道なりに進むと、T字路にまた看板がありますので、
そこをさらに右折してください。

看板が見えたら右折

そのまま道なりに進むと、また看板が見えますので、
そこを再度右折してください。

化石館よりとうふ屋の看板の方が目立ちます

すると、すぐに「おがの化石館」が見えてくるはずです。

こじんまりとした印象

向かいには駐車場もあるので、車で来られる方はそこに停めてください。

そこまで大きくないですが、恐らく満杯にはならないでしょう

今回は時間の都合上、化石館には寄らずに「ようばけ」に直接向かいます。

◆いざ、「ようばけ」へ!

言い忘れましたが、木が生い茂る自然豊かな場所なので、
虫や蛇などはたくさんいます。苦手な人はご注意を。

「ようばけ」の注意看板

また、これも看板に記載がありますが、あくまで整備されていない自然の崖なので、落石などの恐れがあり、対岸にある「ようばけ」への立ち入りは禁止となっているようです。

さらに進んでいくと、「ようばけ」が見えてきました
すぐ近くに公衆便所があるのは助かります
道の途中に小さな古墳があります

さて、道なりに奥に進んでいくと、ついに川原への入り口が見えます。

鬱蒼とした森なので、だいぶ怖いですが

怖がらずにそのまま奥に進んでください。

ちらっと川岸が見えます。

ようやく、「ようばけ」の対岸に着くことができました。

対岸にある崖が、国の天然記念物「ようばけ」です

川にはイワナも泳いでいるので、釣りを楽しんでいる方もいました。

◆さっそく、採掘開始!!

先ほども書いたように、対岸の崖に近づくのは禁止となっています。
川はかなり浅いので、対岸まで歩いても行けますが、
地元の方に聞いても、「崖に近づくなら自己責任」と仰っていました。

また、化石の採掘と言っても、要は落ちている岩を割って、中にある化石を探すだけにしておいた方がいいでしょう。
決して崖に登って、直接岩を掘るようなことはしない方がいいです。
上から大きな岩が落ちてきたらひとたまりもありません。

ちなみに、化石を探すならどんな岩がいいかというと、

砂岩の大きな岩がゴロゴロ

こういった色をした砂岩(砂つぶが固まったもの)をまずは探してみてください。

ちなみに、砂岩は素手で割れてしまうこともあるくらい、
かなり脆いので注意してください。
中にある化石まで破損してしまう恐れがあります。

◆化石採掘に必要な道具とは?

化石採掘にはいくつか道具が必要です。

  1. 岩を割るハンマー

  2. 細かく削るためのタガネ

  3. 硬い岩をつかむ為の軍手

  4. 化石に日付や採集地を記入するマジックインキ

  5. 化石を持ち帰る際に包む新聞紙やビニール袋

  6. それらを持ち運ぶリュックなど

ハンマーと軍手、袋くらいは最低限持って行った方がいいでしょう。

僕はアマゾンでこちらを購入しました。

ハンマーやタガネで岩を割ると、破片が飛び散ります。
目を守るための防護ゴーグルやサングラス(採掘以外にも使えるので)などを用意しておいても良いかもしれません。

また、山に囲まれた場所なので、天候が気になるようなら雨具などは必ず用意しておいた方が良いです。
逆に晴れの日は炎天下になりやすいので、熱中症対策に飲み物や帽子などを用意しておくことをお勧めします。

◆2時間後・・・

約2時間ほど、採掘を行いましたが、
素人目にはどれが化石なのか判別するのは難しかったです。
らしきものは結構見つかりましたが、明らかに第三者が見て化石だとわかるものだけを持ち帰ることにしました。

恐らくカニの胴体とハサミのようです

初めてにしては上出来だと思います。
あまりムキになって化石採掘にするあまり、周囲の安全に気を配ることを忘れてはいけません。(対岸にいても落石が飛んでくる可能性もあるそうです)

また、子供連れも多く訪れるため、マナーとして大人が化石を独り占めするのは良くありません。
持って帰るにしても数個にとどめておく方が良いでしょう。


どうでしょうか?興味が湧きましたか?
予備知識がそれほどなくても、簡単に化石が採れる「ようばけ」に、
ぜひ足を運んでみてください。

※当記事は2023年4月末時点の情報です。
川原の状況などが変わっている可能性もあるので、ご注意ください。


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