ネオン


夜風に溶けた吐息に
あなたは気付いていた?
せわしない街に落ちた声に
あなたは気付いていた?

何も言わない代わりに
今だけ隣で笑っていて
とめどない人の行く先を
偽物の光が照らしていた

わかりたくもない味が
今だけ知りたくなったんだ
真っ白な泡が宙に
上っていくのを眺めていた

ネオンの夢に
消えていくこの一瞬が
せめて輝くのを一緒に見ていて
あなたと過ごす瞬間が光に変わった

歩幅はわざと小さかった
信号は青に染まっていた
わたしなんていなくても良かったの
ほんとうは似合わないこんな夜

高鳴る鼓動が響いて
世界はふたりのものになる
魔法にかけられた街で
きっとあなたしか見えてない

ネオンの夢に
消えないでここにいて
瞳の奥に触れたらいなくなりそう
わたしの声はどこまで響くだろうか

悲しいときは
わたしの隣で泣いて
零れた弱音は
夜に溶かせばいい
それでもあなたは
隠れてしまうのでしょうか

星のない空に目を閉じて願ってた
ビルの群れの中、離したくはなかった
魔法がとけて光がはじけたら
その先であなたが笑ってる

その先であなたに
笑っていて欲しい


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