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はかなく散るものたち|ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計編 感想

4月3日17時30分
日本青年館ホール

脚本・演出 西田大輔

※上演中の作品ですので、ネタバレにご注意ください。

やっと桜が咲きました。
直前に不安がありましたが、とにかく幕が開けてよかったの気持ちでいっぱいです。

相馬編のはなし

さて、薄ミュ。
何作か見てるんですけど、感想書くのは初めてですね。だいぶ前に沖田総司編のdvdを友人に貸してもらってみたのが最初だった気がします。
昨年の自粛時に配信で過去作見れたので、色々見ました。そして今回。

真改になってからの話は知らないので、追加キャラの相馬主計さんは初めましてですね。最後の新撰組局長ということしか知らないので、どうなるかな〜と思ってました。

今回は相馬にフォーチャーするというよりかは、かなり群像劇に寄ったつくりだなって感じました。

池田屋に攻め込むところから始まる今作ですが、相馬自体がいつから新撰組に所属していたのかは史実でも分からない点でしたね。
今作は土方さんの小姓としての千鶴ちゃんと、近藤さんの小姓見習いの相馬と野村。先輩後輩コンビでのルート新しいなって思いました。

薄ミュの相馬の描かれ方はただひたすらにまっすぐに己の理想を追い求める人でした。
「武士とはなんだ」「己の理想とすべきものはどこだ」「己の居場所はどこだ」ということにこだわりながら、新撰組であることとをそうであると定めた人ということですね。

序盤まで、千鶴ちゃんの性別含め来歴と、変若水・羅刹の存在を伏せられたま進んだので、ちーさまがなぜ千鶴ちゃんを狙うのかが若干分かりにくかったかな。
ただただ対等に先輩と後輩として、1人の人間として向き合うというのはいいなと思いました。
今までは、秘密握る少女とその秘密に関わってる人という構図だったのが、同じ理想を共にする誠の旗のもとで、切磋琢磨する1人の人間として千鶴と相馬が対峙するという始まり。
なんかすごくいい始まりだなと思いました。

あと千鶴ちゃんが先輩って呼ばれるの新鮮でいいなって思ってしまった。後方支援組としての幸村・相馬・野村の3人が幹部連中とはまた違う「新撰組」に対して誇りを持って互いに切磋琢磨しながら歩く感じが、今までより青春感があって良かったなと思います。

後半千鶴ちゃんと結ばれるまでがなかなか難しい2人ですが、土方さんのナイスアシストというかお節介おじさんというか…笑、互いに言葉で伝えないとわからないというのはかなり面白いなって思いました。
相馬自身はよく自分の理想を言葉にするので、自分の思いを口にするということには覚悟が伴ってくる感が前半でわかるんですよね。だからこそ「お慕いしています」の一言に込められた思いと覚悟がたくさん詰まって良いなと思いました。

物語としては新撰組「最後の局長」としてそれぞれの物語の終焉を見届ける立場なので、一幕ラストから二幕〜のみんなの死ぬための見せ場の連続を見つめ続けることが彼の使命で、彼と共に生きたいと願った千鶴ちゃんのある意味での使命なんだろうなと思って見てました。

今回ちーさま陣営は物語には多く関わらない感じでしたね。
代わりにいるのが三木の存在。相馬に対しての対峙役としての三木は「自分が信じた存在」である兄を失って、復讐に取り憑かれ、羅刹となり、自分の理想を見失ってしまうんですよね…。
最後に三木と対峙する相馬が互いにそれぞれの理想を持ってぶつかるのではなく、相手が目指すべき理想を失っていることを気づいた上で刃を収めたんだろうなって感じがしました。

最初から最後まで「己の目指した理想」を貫き通した相馬が素敵な物語でしたね。

演出のはなし

ここまで楽しく見といてなんですが、わたし演出の西田さんと結構相性悪いです笑
今まで何作か見ているんですけど、ほんとに合わないなって思ってたんですよ。でも薄ミュは平気だったのでおそらく脚本演出両方されていると合わないのかなって思ってました。
なので今回はいつもの脚本毛利さん・演出西田さんではなく、脚本演出ともに西田さんだったので、かなり不安だったのですが、華やかに演出されていて良かったなと思います。
相変わらず脚本がぶつきりかつ前提のお話をすっとばしているので、上演時間の割に話の密度は薄いんですが、前のシーンがぶつ切りすぎて話の理解を放棄するみたいにはならなかったので、許容範囲かなと…。

途中全員同じ量で見せ場を作りすぎてて弛れるなと思うとこもありましたが、相馬の目線から見ると群像劇っぽくなるだろうなって思うので、まぁ上手くハマったなという感じでした。

曲の使い方がいつも合わないのですが、今回はミュージカルだから畳み掛ける感じに曲があっても気にならなかったですね。ただ真改ではいった最初の曲(タイトル忘れた)とかなくてほぼ新曲がいっぱいだったので、ちょっと残念かつ新曲いっぱいで楽しいといろんな気持ちになりました笑

そして殺陣での見せ場をこれでも買って作ってくれる西田さんですので、派手派手な演出を期待してたんですがここは予想通り、とっても派手で満足です。

最初のシーンと、星を語るシーンで使われる星球という舞台照明があるんですが、わたしあれ大好きなんですよ。
幻想的で美しくて好きです。小さい豆電球がたくさん複数のバトンでぶら下がってるやつ。なかなか使いどころが難しい装置なのであまり見かけないんですが、久々に見れて良かったです。ほんとに幻想的になるので乙女ゲー原作とか似合うかもですね。

そして今回はすごい楽しみにしてたのが「紙吹雪」なんですが、よかったですね!!
わたし紙吹雪の中の殺陣大好きなのでほんとに今回ずっと紙吹雪降ってて楽しかったです。しかも3種類あった笑
ピンクの桜のやつと、千鶴ちゃんの血を相馬が飲むシーンでの赤いやつと、細かい白い紙吹雪。
それも美しかったですね。殺陣をするたびにまうのが綺麗でした。

役者さんのはなし

全員は書けないので、簡単に気になった人とか列挙します。

相馬主計役/梅津瑞樹
本来なら初主演を今作、明治座でおこなう予定でしたね。
直前まで準備して中止、今回も直前で初日延期と色々ありましたが、とりあえず幕が上がってよかったねという感じです。梅津さんの仕事の仕方が2.5だけじゃなく一人芝居や劇団とか色々入り混じってて面白いなって思います。
座長として話すのにすごく慣れてないのでカテコの挨拶が混沌とするのですが笑、それでも板の上での演技では役をまっとうするのがいいなって思います。
初めてこんだけ歌ってるの聞いたんですが、何より声がいいので聞きやすかったです。声いいよね…。
実直な真っ直ぐとした青年役ってすごく似合う気がするので、よかったなと思いました。

雪村千鶴役/松崎莉沙
初舞台だそうですね。そんなことを感じさせない今作の千鶴ちゃん。
声が細い感じの方なんだけど、そのぶん繊細にハーモニーに彩りを与えていて綺麗だなと思いました。序盤めちゃくちゃいろんな人の後をついて走り回ってたのですごい大変だなって見てました笑。
やっぱり薄ミュの千鶴ちゃん役はどの方もいいですね…!

土方歳三役/久保田秀敏
最近いろんなとこでみますね。
相変わらず顔がいいです…!土方さんの髪型難しくないっていつも思うんですけど、顔がよかったですね。
なんか年々歌が上手くなってる気がするんですが、歌上手くなってますよね…?!
最後にちーさまと対峙する時、全力で泣かせにきてるなって感じの演出かつ、刀が折れても鞘で立ち向かっていくのが最後まで「誠の武士」を貫こうとする姿でカッコ良かったです。

山南敬助役/輝馬
ある意味薄ミュの山南さんで一番ハマってるキャストじゃないのかなって思います〜。
輝馬さん久々に見ましたね。ほんとに久々な気がする。
この人も悲しい人ではあるんですが、優しい人なので山南さんルートやらないかな。やるなら輝馬さんで見たいなって思いました。

山崎丞役/椎名鯛造
久々に鯛ちゃん見ました!ってことがまず嬉しいんですけど笑
相馬・野村(と雪村)と同じ後方支援方で馴染みがあるかつ、今回唯一1幕でちーさまに倒されちゃうポジションだったので物語としては、相馬を描くにはかなり必要な人でしたね。
鯛ちゃんの真っ直ぐ伸びる声がちーさまこと勝吾くんと合ってて気持ちがいいなと思いました。ここの盛り上がりよかったですね。

風間千景役/鈴木勝吾
1年の延期を経てまさかの鈴木さんが戻ってきてびっくりです。おかえりちーさま。
正直一番楽しみにしてました!ほんとに声がスコーンて飛んでくるので気持ちがいいです。
今回だんだら羽織が白黒になっていたので、ちょくちょくちーさまの白い羽織が埋もれてしまった感が否めないです。ただ、ちーさまが出てくる時って大体真ん中の階段を上から両手広げて歌いながら降りてくるので、すごく演歌の大御所感があって存在感がよかったですね。
相馬編ではそこまで物語のメインにはでないですが、圧倒的に歌がうまかったのでなんか満足しました笑

桜の季節にみる薄ミュはやっぱりいいですね。
また桜が咲き続けますように。