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愛のなる方へ|27 -7ORDER- 感想

2月11日 12時 銀河劇場
脚本:丸尾丸一郎・河西裕介
演出:丸尾丸一郎

※上演中の作品ですので、ネタバレにご注意ください。

7ORDERプロジェクトというものがあるんですね。
噂には聞いていたんですがよくわかっておらず…(いまだにわかっていない)
ただ、なんか名前を知っている子が多く出ているなってのと丸尾さん演出しばらく見ていないなってことで行ってきました。

今回は7ORDERの中の1人の話ということで他の6人もそれぞれ独立した話があるのかな?前にやっていたのが最初の話ですかね7人揃っていたやつ。こないだまでACTでやっていたのはなんだ…??
ってくらいよくわかってなくてすみません。ただ長妻さんはデカダンで、今回主演の真田さんはPSYCHO-PASSでみてるよ。

日本とは明言されていないどこかの国。
そこでは遺伝子によって国民のランクが決めらる法律「AZ法」が施行され、Zランクと烙印を押されたユウマをはじめとする7ORDERのメンバーはZ地区で暮らしていた。
最下層のZランクの面々には娯楽は一切禁止されている。そう音楽も。
たまり場の倉庫には本来Z地区にあってはいけないバンドセットが残されていた。7ORDERの7人はバンドを組みAZ法に反逆することを誓う。

これは7ORDERのメンバーでありながら、バンド活動に乗り気ではなかったユウマが過去と自分を見つめ、ゆく先を見つける物語。

生涯孤独のユウマには27年前に自分を産むために命を落とした母親と、自分を捨てて死んだロックスターの父親がいる。
だからこそユウマは他の7ORDERのみんなと足並み揃えて、バンド活動をやることを渋っていた。自分を捨てたクソ親父と同じになんてなりたくなかった。そんな時に、10年前に施行されたAZ法でランクGという高い階級になった友人、ヤマトと再会する。
ヤマトはユウマに探し物を依頼する。
それはかつて父が所属していたバンド「メメントモリ」のたった一枚のCDだった。

CDを探す中ゲンキの紹介でユウマはLOVE MUSICというレコード店を訪れる。
そこで出会ったのは音楽を守る「スコアクラブ」の4人だった。
スコアクラブの4人と「メメントモリ」のCDを探すユウマは、手がかりとして父の遺品の日記を読み始める。手がかりを探すユウマとスコアクラブの前に現れたのはメメントモリのボーカル、ショウだった。

ショウから聞かされたメメントモリの話、父の話。そしてたった1枚の残されたCD。聞いたものの思考を変えてしまうとして悪魔のCDと言われているそれは、エンペラーレコードがもっていると噂されている。
真偽を確かめるため、ユウマはスコアクラブの4人とエンペラーレコード主催の遺伝子ランク関係ない非公認のオーディションに参加する。

オーディションを終えたユウマの前に、エンペラーレコード社長が姿を現す。
それは、自分を産んだ際に死んだと言われていた母の姿だった。母から聞く父の最期。
ユウマは父の思いをTVにのせて発信することを決意する。

だが、母から渡されたCDを聞いて、父の思いを知ろうとするがCDの中身がすれ違っていた。
ユウマはCDの捜索依頼を出したヤマトの元へ訪れる。変わってしまったかつての親友。ユウマに音楽を教えたヤマトの変貌にショックを受けながらもユウマはヤマトを「友人」と言い切った。

ヤマトから渡された本物のメメントモリのCD。
これをTVの生放送で披露する。音楽は愛だ。愛が心を動かすんだ。愛の力で生きてけるんだ。そう、高らかに声を上げて歌う。

という感じの話です。
わたしが話の筋を書くとなんかポエミーになってしまってダメですね。笑

まず、設定が面白いですね。
こういう階級社会になるディストピアものからの反逆劇ストーリーは面白くてワクワクします。
最初の世界観の説明は映像だったんですが、その時に7ORDER結成だ!ってやってたんですが、それが7ORDERのメンバーでいいのかな?
シルエットと声だけだったのでちょっとわからずですが…。(最初出演者のみんなだと思ってました)
あの映像の「よくわかんないけど、こういうのは7人ってのが相場だろ!」ってセリフにわかる〜って頷いてしまった。7人の侍もセーラームーンも7人だもんな。7人て大事な数字だよね。

この設定のキモになっているの存在が一人だけランクGの財木さん演じるヤマトですよね。
財木さん久々に見たなと思ってたら初めましてでした。あれだ、配信で刀ミュみたからですね。顔が綺麗だなって…。一人だけスーツいいですね(スーツ衣装が好きです)

ヤマトはある意味一番社会に潰された人間なんでしょうね。
中途半端に優秀な遺伝子を持っているから大好きな音楽を取り上げる立場になってしまった。彼がユウマに洋楽を、ロックを教えたように音楽の前には遺伝子も立場も関係なくただ、音を、思いを、楽しむただの一人でいたかった。けれど社会が許さない。
Zランクくらいの一番下まで落ちた人の方がこういう社会では息がしやすくなるんでしょうね。だって堕ちるところまで落ちたからあとは上がるだけ。でもヤマトは違う、彼は転落する余地が過分に残されていて、だからこそ孤独で苦しい。

ユウマとヤマトがメメントモリのCDをめぐる対立を繰り広げた際に、思い出を語るのが切ないですね。
こういうの弱いんですよ…。だいすきだからこその向き合い方なんでしょうね。
ヤマトはたまったもんじゃないですよ。陥れて自分のことを恨ませることで自分の地位や立場を確立させたいのに、ユウマは許しちゃんですもん。行為ではなく、音楽を憎むという選択をしたヤマトを。これは苦しいけどヤマトにとっては救いだろうなッと思って見てました。

そして27年前と現在を交差する演出。
主演の真田さんが父親であるカズマも演じていて大変だなって…。ただお着替えの時の音が怖いのでこう、もっとマイルドだと嬉しかった。ざりざり音怖いね。
真田さんに関しては無知なんですが作詞作曲ができる方(ギターが弾ける)なんですね。すごい。
たくさん歌っていて、ずっと出番が途切れなくて本当に大変だと思う。

あとメメントモリのシーンになると定本さんが一緒に歌うのいいですね。やっぱり真田さんの方が歌い慣れしてるので、ほかのスコアクラブとの歌うシーンもですが、軸に真田さんがいて聴きやすかった。

定本さんことふまたん。舞台で見たのは2年ぶりかもしれない。戦ブラ以来?
彼めちゃくちゃ面白いなって勝手に思っているんですが、ぜひパンフ読んでください。やっぱこの人面白いです。笑。
そんな定本ふまたんさんがこんなに感情を出して歌うのは初めて見ました。テニミュの時の印象は感情がない人だったので…。
というか、54歳役やるの無理がありません…?www

54歳のおっさんにはどう頑張っても見えなくて笑っちゃいました。見えないよ笑
私わりと、ショウが好きだなって思って見てたんですが、彼「メメントモリ」の意味をすごく素直に捉えて誰よりも、もしかしたらあの中でカズマよりも真剣にそれを体現していた人じゃないかなぁって思いました。

カズマの女を愛せない設定が急でびっくりしたんですが、そのあとにショウとキスしたし、ゲンキはユウマに告白するし。急に多様性感が出てきてびっくりしました(偏見とかじゃないです)物語にどこまで絡むのかわからない要素だったので…。
なくても成立しそうな感じかな。個人的には。
この女が特別やで!感はあんまり感じなかったんですよ。たぶんジャニスに歌ってって言った曲をショウと歌ってるからだなって思ってますが。特別感がここで薄れちゃったんですよね。ちょっとだけ残念です。
ショウとカズマは結局どういう関係だったんだろう…。ショウからしたらキスしてくる仲間?みたいな人が急に女に入れあげて子供作って…っていうのをそばで見てるんですよね。それでいいのか?!ってちょっとなるんだけど、彼らは恋愛ってわけじゃないのか?(なぜキスしたんだ?)という感じで見てました。後半にユウマの母(エンペラーレコード)からCDに横流し約束を交わしてるので、男女の修羅場ってことではないんですよね。きっと。
つい先日見た作品が男女の修羅場(同性と異性の間で揺れる)の話だったのでひきづられましたね。

そしてこの作品には欠かせないスコアクラブの皆さん。
それぞれ洋楽ロックバンドの憧れの人を真似した服着てるのいいですよね。オタクのことわかってんな…。
そんな中で急に梅津くんによる和◯アキコが始まって盛大に笑いました。「あの頃は〜」「ハッ」っていうの掛け合い楽しいよね。

個人的に「27」をすごいキーワードとしてる今作で「27歳」の主演真田くんの脇を固めて、物語のキーパーソンになるのが「27歳」の財木くん演じるヤマトと、「27歳」の梅津くん演じるカートなのがこだわり強くていいなと思います。
ただその分「俺たちもう27歳だぞ!こんなんでいいのか?!」ってセリフは結構きました…。
白状するとわたしも92年生まれの27歳なので…。ちょっと胸に刺さるセリフだったよね。好きなことして大人やってちゃいけない岐路に立ってきたよ…。

そんなことはさておき、カート率いるスコアクラブのみんなはこう4人が揃ってるのでわちゃわちゃしててよいですね。
ユウマが7OEDERだってわかった瞬間に仲間だと手のひら返す4人がちょろすぎて心配すぎる…笑
4人の歌もLOVEMUSICからかな?中田ヤスタカさんみ感じる曲で可愛いですね。
思ったよりダンスが多いし激しいしで大変だろうなって感じがしました。久しぶりに歌って踊る北川くんが見れて私はとても嬉しい。北川くん歌が上手くなってるのでたくさん場数踏んだんだなって思います。わりと好きな声ではあるのでたくさん歌ってほしい。

スコアクラブは物語の中での役割は大きくないんですが、ユウマを一人で行かせない「仲間」としての役割が強いですよね。
7ORDERとはちがう立場、目的で彼らも社会に反逆する。彼らの目的は音楽を守ること。
7ORDERはバンドで、音楽で社会に反撃しようとしているのでスコアクラブはすごく良い味方になるんだろうなと思いました。
最後、愛のなる方へ的な歌詞の曲を歌った時すごく素敵で、曲もいいんですが軸として歌う真田さんにスコアクラブの4人が華を添える。しかも結構がっつり踊るのと、演出で過去と今が交差するのでテンションが上がりました。こういう盛り上がるクライマックス楽しいですね。

最近注目の梅津さん。
真田さんが出てたPSYCHO-PASSのとなりでサンリオ男子にやってたね。行きたかった…。

わたし梅津さんのことすごい既視感があって、ずっと考えていたんですけど、演技の仕方が宝塚の男役のようだなと思いました。少しの誇張表現と身のこなしの美しさのポイントが通づるものがあるんじゃないかなって今日見て思いました。
この感覚わかる人いたら、もうしすし深掘りして私に教えてください…。上手く言葉にできなかった。
梅津さんわりと中二病だな(貶める意図はないです)って思っていて、だからこそ板の上でのギャップがすごい。板の上の振り切れ具合がすごい。ずっと見てられるなこの人って思いました。突くと色々出てきそうだな。アドリブ増し増しでやってほしい。笑

そんな梅津さんですが、本日カテコ挨拶でした。
いきなりカレーの話をし出したので横の財木さん(たぶん)が「えっ?!大丈夫?」っていったのが面白かったです。どうしてこんなに役と普段のギャップが激しいんだろう…。
言ってた内容はこんな感じ。

カレー食べたくなってきたよね。

結構物語の所々に「愛」というキーワードが出てきて、まっすぐに「愛」が大切で尊いと恥ずかしげもなく歌い上げて伝えてくる姿が、みんな素敵だなと思いました。そして、自分の音を紡ごうと一歩目を踏み出そうとする。背中を押してくれるような仲間と、音楽。
27歳っていうとロックでは死ぬことで伝説が生まれる年齢ですが、今作では生きることに覚悟をきめる、新しく27歳で「生まれ直す」ことで伝説を作っていこうとするのかなと思いました。
27歳の人生の岐路に立ってる人への応援のような物語でしたね。なんか、どうもありがとう。自分らしく生きます…!

これはユウマが父の過去と思いを通して自分の存在を肯定し、前に進む物語。
きっと7ORDERそれぞれが自身をみつめて、7人で歩き出した時に革命が起きるんでしょうね。
そこに愛があると嬉しい。

そんな物語でした!