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ポートフォリオやデモリールの役割

今回は専門学生や大学生がCG系の業界へ就職するときにほぼ100%必要になるポートフォリオ・デモリールと呼ばれる作品集について解説をして行きます。
今年はコロナウイルスの影響で少し就職活動も遅れ気味な印象ですが、まだ頑張っている!これから頑張るっていう人は参考になれば幸いです。

CG業界の就職にはコネ以外では作品集を提出して面接をすることが一般的です。そして一口にCG業界と言ってもCGを扱う業界は多岐に渡ります。

  ・ゲーム
  ・アニメ
  ・映画
  ・テレビ・CM・音楽・広告
  ・建築
  ・プロダクトデザインや工業製品
  ・研究開発や医療関係
  ・グラフィック

少し書き出しただけでもかなり多くの業界が出てきます。
まずは業界問わず基本となる作品集への考え方や役割を学んでいきましょう!


ポートフォリオやデモリールはなぜ作るか!?

学生に聞いてみたら、自分を評価してもらう為という回答を頂きました。
近いけど、実はすごく遠い回答だなと思っています。
では、何で作るのか!?

それは・・

あなたの魅力や能力をアピールする為に作ります

大雑把にまとめると同じような気もしますね?
でもこの違いを理解していないと後で説明するトラップに引っかかってしまう事になるので注意した方が良い部分です。


デモリールから読み取れるものを考える!

早速作例を二つ見て見いきましょう!

如何でしたでしょうか?
どちらもアニメーションのデモリールとなっています。
あなたはどんな印象を受けましたか??

この二本のデモリールを見たときに、どちらも上手だなで終わってしまうのでは無く、実はここからしっかりとデモリールの役割を学ぶことが出来るのです。

例えば2つのデモリールが同じ会社を受けたとしたら、明らかに反応が変わります。どちらが良い・どちらが悪いというものでもないですが、受ける会社に会社によって反応が変わってしまうのです。

上のデモリールはゲーム会社向きの表現をしています。
カメラワークやレンダリングをあまり入れていない、ゲーム内でのモーションスキルをアピールしており、その技術を読み取る事が出来ます。

一方、下のデモリールは映像系の会社向きの表現をしています。
しっかりと最終映像に合わせた細かな調整を行っており、写実的なモノからデフォルメ系まで様々な作品に対応できる幅広い技術を読み取る事が出来ます。

必然的に受ける会社に合わせてどんなデモリールを作った方が良いか考える必要がある事が理解出来るかと思います。

分かりやすいもので言うと、形を作るモデラーになりたいのに動きを表現したアニメーション作品ばかりはいっていても何のアピールにならないという事です。

この二つの比較をしただけでも、作者がどんな好みがありどんな技術を持っているのかを読み取る事が来ますね。
恐らく作者は理解してこのようなデモリールを作っているはずです。


作品集を作るうえでやってしまう良くある間違い・・

デモリールは自分の魅力や能力をアピールする道具です。
しかし多くの学生ある間違いをやってしまいがちです。。。
その間違いとは・・・

❶ 必要以上に自分を良く見せようとしてしまう
❷クラスメイトや他人と比較してしまい尻込みしてしまう
❸完成の基準がなくずっと見せる事が出来ない
❹自分だけで完結してしまい見辛い作品集になる

特にやってしまいがちなものをピックアップしました。
例年の学生の実に半数以上の学生がやっている問題です。

まずは冒頭に戻って作品集の役割を思い出しましょう!
「作品を評価してもらうもの!」
ではなく、
「あなたの魅力や技術をアピールする道具!」
という事です。

僕が似て非なる部分と感じているのは、
作品を評価してもらう意識を持ってしまうと、良く見せようとしてしまうし自分ではない出来る他人と比較してしまい、どんどん見せるハードルが高くなって見せられなくなってしまうのです。
これが学生が良く引っかかってしまうトラップです。

これを解消するためには、魅力や技術のアピールになればいいんでしょ!
位な軽い気持ちで作るのが良いと思います。

少し詳しく解説をしていきます。
まずはどんな人間もそうですが時間という限られた資産を持っています。
例えば専門学校の多くが2年という限られた時間の中で勝負をしています。
この2年という限られた時間を意識出来か出来ないかはとても重要で、評価をしてもらう意識でビビっていると平気で5年後の叶わない未来を夢見て3か月でやりますと見栄を張る事になります・・・
結果自己肯定感も下がりモチベーションも落ちてきて、どんどん就職と向き合う事が怖くなってしまうネガティブスパイラルに陥ってしまうのです。

大事なのは、
今と向き合う事です。
良くも悪くも、今出来ているものがあなたの成果であり魅力であり技術です。ネットで見つけたすごい技術やすごい人にはなれないのです。
そんな時は、過去の自分と比較してみましょう!
少しでも前に進んでいるのが実感出来たらOKです。
入学したての時の右も左もわからなかった自分が今はCGソフトを使って作品を作っているんです。良し悪しはあれ、立派な成長だと思います◎

採用担当者も沢山の学生の作品を見て学生の状況を良く理解しているので、悪い部分ではなく良い点を探そうとしています。(当然ですよね!)
あなたの作品が多少見劣りしていても、2年という限られた時間の中で頑張っているという部分が見られるものや工夫や個性的な点を評価してくれる会社は多いです。
誰もあなたの考えた完璧な新卒クリエイター像は期待していません!
20年選手のプロや学年トップと比べても頑張れるだけのメンタルと根性と行動力が無いのであれば、ダメージしか残りません。
気持ちを切り替えて今の自分をアピールする事に集中した方が良いという事を覚えて置くと少し気持ちを楽にして取り組めるかなと思います。

認識を変えてほしい大事な部分をまとめると

❶他人と比較せず過去の自分と比較して健全なメンタルで前に進む
❷必要以上に自分を良く見せようと焦る必要は無い
❸作品集に完成はない!(常に最新状態を保つと良い)
❹先生や先輩にアドバイスをもらい謙虚に改善していく

この辺りが普通に出来ている子は大きな苦労も無く就職が決まっていっています。とても大事だけど、自分で気づかないと中々教えてもらえない部分なのかもしれません・・・


次回はポートフォリオとデモリールの詳しいお作法について解説していきたいと思います。



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