ドクターマーチンが好きで、イギリス郊外にある公式ディスカウントショップ（ドクターマーチンファクトリーショップ）まで一人で行った話です。※2018年

　中学生のときに夢中になった『オールアメリカンガール』という小説でドクターマーチンを知った。
主人公のサムは、絵を描くこととグウェン・ステファニーが好きなひねくれた女の子で、赤毛が嫌で黒に染めてしまうような子。めっっっちゃクール！と 14 歳の私は思った。

　そのサムが履いていたのがドクターマーチンで、その後『zipper』を愛読してから、私の中でドクターマーチンは確固たる地位を築いた。大人になったらたくさんのマーチンを集めるんだ、と。ファーストマーチンは大学生の頃に買ったものの、大人になってもそんなにぽんぽん買えるものではなかった。安くはない。

　ドクターマーチンの本場、イギリスに行けば少しは安く買えるかもと思い、たどり着いたのがドクターマーチンファクトリーショップだ。ロンドンより北部にある、革靴生産で有名なノーザンプトンに工場と公式のディスカウントショップがあるらしい。行って帰るだけで１日が潰れるが、一人旅だし誰にも気を遣う必要なし。行こうじゃないか。

　昼前にロンドンを出発、グーグルマップで経路を確認。

　まずはターミナル駅である St.Pancras 駅から有料の特急で 1 時間。

日本でいうと東京駅みたいな、一番のターミナル駅。かっこいい！

私レベルの英語力ではチケット買うのも一苦労でした。なんとか往復チケットをゲット。これは帰りのチケットです。

有料の特急列車（でも自由席）はこんな感じ。

電車の中で不安になって、乗ってる電車があってるかGoogle マップで確認した証拠が残ってました。うん、あってるね。

エクスプレスを降りたら、その田舎街の中心街のバスターミナルまで 1km の徒歩。

エクスプレスで下車したノーザンプトン駅。日本でいうと、新幹線専用駅みたいな感じかな。綺麗です。

ロンドンとは違う、ちょっと田舎町の雰囲気。移動手段が1kmの徒歩ってなんなんだし、と思う東京シティーガールの私です。

そこからバスって書いてあるけど、来たのは 10 人は乗れないようなマイクロバス。
え、バスってこれ？　運転手に話しかけてみるけど、訛りが強いし私は英語が下手でどうにもならない。だけど、運転手をはじめとして、街まで食料品を買いに来て帰ろうとしてバスに乗ってるおばあちゃん（90 歳くらい！）もわかってた。
日本人がこんなところまで一人で来てる。
「ドクターマーチンに行くんだろ？」。
そう！　流石の私もそれは聞き取れた。

　そして、本当の本当に田舎道をバスで 1 時間。何かあったら絶対に帰れないという不安の中、ついに着いたのだった。

バスってGoogle マップは言ったけど、実際はこれ。そしてこの景色の中を1時間！不安が募るシティーガールです。。。

しかし帰りのバス（今日の最終）まで 1 時間もないくらいで、片道 3 時間かけて来たけど、ショッピング時間は 40 分というところ！　異国のど田舎で、笑ってしまうような状況である。

ロンドンから3時間。バスを降りて徒歩3分。やっとそれっぽい看板を発見です！

お店の中はこんな感じ。サイズごとに雑然と並んでます。当たり前だけど、観光地じゃなくて、イギリス人が車で買い物に来るところで、駐車場には車がたくさん並んでました。

　時間がないのはむしろ味方となった。自分の靴と妹の靴をさっと選んで、たいして悩まずにえいやっと買う。スタッフのお姉さんはユニコーンカラーのヘアスタイルで、いかにもドクターマーチンが好きって感じだった。免税する？空港でやってね。って丁寧にお会計してくれた。

ヴィーガンレザーのマーチン。店員さんがサイズ調べるから声かけてねって言ってくれて、海外のディスカウントストアのわりには、結構フレンドリーでした。

割引率はバラバラで、シンプルなもの・通年商品は少ししか安くなってなかったりしたけど、こういうカラーや柄があるシーズン商品は半額かそれ以下くらい安かった！

　重たい靴 3 足を持ってバス停まで走って、また 3 時間かけてロンドンまで帰る。行きと同じバスの運転手さんが私の大荷物を見て、なぜか満足げ。

日本では滅多に手に入らないし、見つけても値段が高い、メイドインイングランドのマーチンも二足ゲット！（帰りのパッキング大変でした。）

　帰りの電車はサッカー観戦の人々で混雑。さすがイギリス。みんな応援チームのユニフォームとかマフラーを身につけてた。
思い出してみれば、私の人生で一人でした最大の冒険だし、誰かと一緒でも楽しかったかもなんて思う。まぁ、もう２度と行かないけどね。マーチンは東京のお店で買います。もし興味があったら行ってみてね。

ドクターマーチンファクトリーショップで購入した花柄のサイドゴアブーツは、老若男女に評判がいい。
私がドクターマーチンを知るきっかけとなった『恋するアメリカンガール』は、今見ても古くないポップな装丁で、内容も大人になって読んでも面白い。
3 ホールのマーチンはコムデギャルソンとのコラボ商品。歩きやすくて、かなり雑に扱ってしまっているけど、全くボロくならないタフな子。