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花唐草文螺鈿経箱 

トーハクで開催中の「本阿弥光悦の大宇宙」展へ行きました
琳派の祖とされる光悦ですが、そこに焦点をあてた展示も研究も、他の琳派に比べると少ない。知らない部分が多い人なので、これは行かねば!と、早々に行きました
展示内容は、本阿弥光悦って、こんな人で、刀剣鑑定の家の人で、法華宗信仰が厚い人で、書も陶芸も凄いんだよ〜ということがよく分かります。が、琳派の祖と言われている、ぶっ飛んだ芸術総合プロデューサー的なことはあまりフューチャーされていないかな?という感じですが、私の見方が悪いだけかもです。

花唐草文螺鈿経箱

多くの展示の中で、非常に気になった
《花唐草文螺鈿経箱》
法華経を収めるための箱で、当時の朝鮮風の唐草と宝相華が螺鈿で装飾されています。

この箱に施された宝相華が、とても気になりました
宝相華とは、架空の花なのですが、牡丹や蓮などが変化したものだろうと考えられています。そこに古代ギリシアのアカンサス紋や、インドあたりのパルメット紋が変化した唐草もあらわされています
架空の華なので、定型はないのですが、花弁が多いというのが特徴です。
仏像や寺院内部の装飾に多く用いられており、その色彩は「紺丹緑紫」の繧繝彩色のとても鮮やかな姿がみられます。

《花唐草文螺鈿経箱》には蕾のものを含めて5種類の華がみられます。
中でも、気になったのは、7弁の真上から捉えた風車のような形状の華
7弁て、あまり見かけないのではないでしょうか。
自然の中にある花の多くは、桜や梅、桔梗などの5弁か、百合や鉄線などの6弁のもので、宝相華の元と考えられる牡丹や蓮は8以上の多弁で、7弁は見かけない。と思います。
造形的にも、7画は難しいからか、六角、八画は多いが、7画は?
展示に同じような風車形の宝相華が無いか探したところ、日蓮の書を軸にしたものの装飾に見られましたが、それは6弁でした

花唐草文螺鈿経箱 の他の花も、六弁です。(7弁なのか、6弁で花茎的なものなのか判断出来ないものもあるが)
それ故に、7弁がとても気になりました。

ということで、この7は、恐らく、敢えての7で、光悦にとって、7の意味するものは何だろうか?
そこで、箱にある法華と7で検索したところ
法華七喩 というのが出て来ました。
「法華七喩(ほっけしちゆ)とは、法華経に説かれる7つのたとえ話のこと。また法華七譬(しちひ)ともいう。(Wikipedia)」

成程!きっとこれだ。
ディープな法華宗であった光悦が法華七喩を知らないはずはないだろう
ということで、花唐草文螺鈿経箱の7弁の花は、そんなところにも凝りに凝ったもののようです


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