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トーハク初詣で松をみる

長谷川等伯《松林図屏風》

毎年、年始に公開される長谷川等伯の《松林図屏風》や、今年の干支の龍をモチーフにした美術品を見に出かけました。

《松林図屏風》は、その紙質や使い方などから、別のものの下絵ではないか。とか、屏風に仕立てるために切られてしまっているとか、色々謎多き作品ですが、我々は、今の姿を見て感じることが大切なのだと思います

その湿潤な空気感
湿度120%ぐらいの湿気を感じる松林に、ただただ見入ってしまう。
受け取り方は人それぞれですが、私は、雨粒を感じないぐらいの霧雨の松林を感じます。決してザーザー降りの松林ではなく、霧雨です
風はなく、松葉が擦れ合う音は聞こえません。霧雨なので、雨音もないですが、もしかしたら川を流れる水音がサラサラと聞こえるかもしれません
そんな松林に、ひとり立って、何を思うのか?
わかりません。でも、毎年、この屏風の前に立って、違うことを思います。
その時の自分の状態によって変わるので、そんなふうに、自分を見つめる意味も込めて、トーハクでは毎年新年にこの絵を公開するのかもしれないです

近づいて松をみると
同じような濃さの松も、実に表情豊かな描き分けがされています
筆を上にササっと走らせたり
水気を多くした紙に描いたり、
筆をポンポンと置いただけだったり

枝の描写も、描き分けされていて、見飽きることが無い

この屏風全体の湿潤な空気感は、どこからくるのか
下がり気味の枝の様子からか。
余白からか
奥行きの濃淡からか

見れば見るほど、その魅力に引き込まれます


色々な松

等伯の屏風からひとまず離れて、他の展示も見てまわります
どの作品も見応えあって楽しい

等伯を見た後だと、他の松も、どうしても目に留まってしまいます。

若冲の松は、すごい
デザイン的にも凄いし、大胆な筆捌きも。そして、小さな松の実?がついている細かさも、見入ってしまいます。
部分だけ見たら、何だかよくわからないですが、大きな画面でみると、松以外の何にも見えない魅力も凄い。

漢画テイストの松も、とても好きです
複雑すぎる枝ぶりや、前に出てくるような3D感、そして、ウニのような葉の描き方が、大好きです

織物の松も良い
最近、ワイヤークラフトを始めたのですが、着物に施された松は、ワイヤーで作ったら、さぞ見栄えよくできるだろうな、、、と、針金細工心をくすぐられました

松といえば
三井記念美術館の円山応挙《雪松図屏風》も新年に公開されます
応挙の松も良いですね
塗り残しで表現される雪も凄いし、かなり手早く描いただろう松葉も圧倒的凄さ。
そして、裏かな見上げるような松の枝の描写も素晴らしくて、こちらも見入ってしまう松です
お正月は、松尽くしで、美術館巡り
なんていうのも楽しいです

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