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名物アナウンサーだけではないー北朝鮮のテレビについて#36

こんにちは。

もうご存知の方もいると思いますが、私には2歳と4歳の子どもがいます。

2人ともEテレの”ピタゴラスイッチ”の大ファンです。

ピタゴラ装置がすばらしいのは今さら触れるまでもないとしても、多様なコーナーが短めのテンポで切り替わっていく感じが心地よく、耳に残ってつい口ずさんでしまうキャッチーな歌などもあり、大人が観てもおもしろいですよね。

旦那はEテレでいうと、0655という番組が好み(レタスの歌をよく歌っています)のようですが、対象年齢が少し高すぎるのか子どもたちの共感は得られず、番組を観始めるとブーイングが起こります😂

(YouTubeよりー3:10あたりからレタスの歌です)

夢中になってテレビにかじり付いている子どもたちを見ると、自分の子ども時代を思い返して懐かしい気持ちになります。

日本のテレビに比べればラインナップは少なく、クオリティも低めのですが、意外にも(?)北朝鮮の人々はテレビを楽しむ文化を持っているのです。

今回は北朝鮮で暮らしていた時代、私が観ていたテレビ番組について振り返ってみたいと思います。

日本で目にする北朝鮮のテレビ番組といえば、朝鮮中央テレビ。これは間違いないでしょう。その名前を聞いただけで、チマチョゴリを着た女性アナウンサーが朗々と原稿を読み上げる姿が浮かんでくる方がいらっしゃるかもしれません。

北朝鮮で全国ネットといえるチャンネルは「朝鮮中央テレビ」の一つのみです。当然、国営放送ですのでNHKのようなものだとご理解ください。

「記録映画」と呼ばれる金一家のドキュメンタリーが多く、大筋として“将軍様がどこどこの軍を視察した”、“将軍様が窮地に陥っている国民を救った”といった内容に終始します。
オチが変わらないのは日本でいう水戸黄門的かもしれません。
他のジャンルでも流れる映像はたいてい決まっていて、同じものが繰り返し放送されます。

将軍様のお膝元である平壌では上記に加えて、「教育文化テレビ」と「マンシュデテレビ」を視聴することができます。

「教育文化テレビ」と「マンシュデテレビ」では、ときどき外国の映画(旧ソ連や中国のものが多い)が放映されるので、これらは地方の人々の憧れの一つといえるでしょう。

私は大学への在籍時、4年ほど平壌に住んでましたが、その間はテレビを観る習慣がありませんでした。なので、実家で慣れ親しんでいた朝鮮中央テレビについて、もう少し詳しく書いていきます。

現在このチャンネルは、平日は15時〜22時。日曜日・祝日、毎月1日、11日、21日は9時~22時という時間帯で放映されているようです。

私が北朝鮮にいた頃は17時から放映開始でした。
まず北朝鮮の国旗が現れ、BGMとして国歌が流れます。それが終わると当日の番組表が表示され、簡単なニュースが流れます。
17時20分頃〜18時までは、アニメや童謡など子ども向けの番組です。何度も観て、セリフを一言一句レベルで暗唱できるアニメを熱心に観ます😆

その後は前述の記録映画が1〜2時間、20時頃からはニュースの時間で、金一家の功績を女性アナウンサーが高らかに読み上げます。
20時30分頃からドラマ(韓流ドラマなどもっての外)が放映され、22時の放送終了時は再び国旗と国歌で締めという感じです。

改めて振り返ってみると、北朝鮮の子ども向けアニメは数は少ないものの、意外と侮れないかもしれません。少なくとも記録映画よりは遥かにおもしろい…と思います。

有名なシリーズものとして
「少年大将」や「リスとハリネズミ」「賢いタヌキ」などがあります。

(YouTubeよりー今回、記事にするため調べてみたら、日本でも普通に見られることを知り、驚いています😅)

少年大将(一番人気)とリスとハリネズミは戦争をテーマにしたものです。北朝鮮の子どもたちは、小さい頃から戦争に対するアニメや映画と接して育ちます。

少年大将は高句麗を舞台とした時代劇で、父親が遺してくれた剣で腕を磨いたセメという少年が、大将として活躍する内容です。
ホビという悪人が登場し、アンパンマンでいうところのバイキンマンのように、いつも悪さをしてセメを困らせます。
ホビ(悪人)は毎回のお約束で悪いことをしてセメに追い詰められ殺されそうになりますが、ギリギリで命拾いします。ここが見どころで子どもたちに大人気です😆

リスとハリネズミは、悪い側のネズミとの戦いでいつも勝利します。勇敢な兵士を描いています。

最後に賢いタヌキですが、これはEテレで数多く放映されているような教育アニメです。
ピタゴラスイッチで”おきあがりこぼし”についてのコーナーを観て、この賢いタヌキを思い出したのが、今回の記事を書こうと思ったきっかでした。

楽天市場〈R&Mインテリアストア〉より転載

アニメでは”おきあがりこぼし”について、”賢い”タヌキが以下のような解説を展開していきます。

(例)
人形の体を横半分にして、下の方に錘を付けます。そうすると人形は横に倒しても起き上がります。次に、錘を上や左右に付けたらどうなるか…人形は起き上がることなく倒れてしまいます。
「重心は半球の中心より下に来るのがポイントである」ことを映像で説明します。

他に私が覚えている内容として、凍ったりんごを早く食べたい時はどうするかといったテーマを取り上げていた回もあります。
熱々のお湯の中に入れる、もしくは冷たい水の中に入れる、どちらでしょうか?考えてみてください。

(A:冷たい水に入れる)
お湯に入れると外側は早く溶けるものの芯は凍ったままらしいです。冷たい水に入れたタヌキは美味しくりんごを食べ、暑いお湯に入れたクマは歯が折れそうになってしまいました…という内容だったと記憶しています。

子どもたちは外で遊んでいても、電気が通ったと聞くと17時15分あたりにみんな家に帰ります。唯一の子ども番組とアニメを見るために。

子ども向け番組の放送時間になるとテレビからお決まりのテーマ曲が流れてきます。
停電が多いため、テレビが点くときは画面に釘付けになって夢中で観ていたことを懐かしく思い出しました。

アニメは、基本的に同じものが放映されますが、祝日だけは新作が流れます。(祝日は電気が通る可能性も高いです👍)
祝日が過ぎてしばらくは幼稚園や学校などでは「少年将軍」の話題で持ちきりになります。他に選択肢がないため、観ていない子はいませんから。

ここまでお読みいただいた方は、私が大学生のときにテレビを観る習慣を持たなかった理由を察してくださっていることと思います。

日本で生まれ育った両親を持ち、北朝鮮という国に対して少なからぬ懐疑心を抱いて育った私にとって、テレビを通して(国民への刷り込みという意図を持って)配信される番組たちは観るに堪えないものだったからです。

実は北朝鮮で二十数年ほど暮らしていたにもかかわらず、記録映画をまともに観たことは一度もありません。これはトップシークレットとして、みなさんの心の内にしまっておいてください😎

思いのほか長い記事になってしまいましたが、北朝鮮のテレビ事情が少しは伝わったでしょうか⁉︎

次回もよろしくお願いします🙇‍♀️

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