2023年統一地方選.明石市民の会の全国政党化を応援したい件と第210回国会で話題になった女子差別撤廃条約選択議定書批准を立民と日本共産党が推進してる件。


2023年統一地方選.明石市民の会の全国政党化を応援したい件と第210回国会で話題になった女子差別撤廃条約選択議定書批准を立民と日本共産党が推進してる件。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000120320201028002.htm


https://drive.google.com/file/d/1t7S7r1VsdOoN-qWX2JgMxUgnohdV2mKG/view?usp=share_link


第2号 令和2年10月28日(水曜日)

会議録本文へ令和二年十月二十八日(水曜日)



    ―――――――――――――



 議事日程 第二号



  令和二年十月二十八日



    午後一時開議



 第一 立皇嗣の礼に当たり賀詞奉呈の件



    …………………………………



  一 国務大臣の演説に対する質疑



    ―――――――――――――



本日の会議に付した案件



 日程第一 立皇嗣の礼に当たり賀詞奉呈の件



 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件



 裁判官訴追委員辞職の件



 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙



 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙



 国務大臣の演説に対する質疑







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    午後一時二分開議



議長(大島理森君) これより会議を開きます。



     ――――◇―――――



 日程第一 立皇嗣の礼に当たり賀詞奉呈の件



議長(大島理森君) 皇嗣殿下には、来る十一月八日に立皇嗣の礼を行わせられます。



 私どもの心からお喜び申し上げるところであります。



 つきましては、本院は、慶祝の意を表するため、特に院議をもって、天皇陛下並びに皇嗣殿下に対し、賀詞を奉呈いたしたいと存じます。



 賀詞は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。



    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。



 賀詞を朗読いたします。



    〔総員起立〕



    天皇陛下に奉呈する賀詞



 天皇陛下には 今日の佳日にあたり 皇嗣殿下の立皇嗣の礼を挙げさせられ 皇嗣となられたことを公に宣明されますことは まことに慶賀に堪えないところであります



 ここに衆議院は 国民を代表して 謹んで慶祝の意を表します



    …………………………………



    皇嗣殿下に奉呈する賀詞



 皇嗣殿下には 今日の佳日にあたり 立皇嗣の礼を挙げさせられますことは まことに慶賀に堪えないところであります



 ここに衆議院は 国民を代表して 謹んで慶祝の意を表します



 ただいま議決されました賀詞の奉呈方は議長において取り計らいます。



     ――――◇―――――



 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件



 裁判官訴追委員辞職の件



議長(大島理森君) お諮りいたします。



 裁判官弾劾裁判所裁判員金田勝年君から裁判員を、また、裁判官訴追委員越智隆雄君から訴追委員を、辞職いたしたいとの申出があります。右申出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。



    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。



     ――――◇―――――



 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙



 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙



議長(大島理森君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員及び裁判官訴追委員の選挙を行うのでありますが、この際、あわせて、裁判官訴追委員の予備員の選挙を行います。



武部新君 裁判官弾劾裁判所裁判員並びに裁判官訴追委員及び同予備員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名され、裁判官訴追委員の予備員の職務を行う順序については、議長において定められることを望みます。



議長(大島理森君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。



    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。



 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に山本幸三君を指名いたします。



 次に、裁判官訴追委員に



      松島みどり君    三ッ矢憲生君



   及び 鈴木 淳司君



を指名いたします。



 また、裁判官訴追委員の予備員に藤原崇君を指名いたします。



 なお、その職務を行う順序は第一順位といたします。



     ――――◇―――――



 国務大臣の演説に対する質疑



議長(大島理森君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。枝野幸男君。



    〔枝野幸男君登壇〕



枝野幸男君 議院運営委員会の合意に基づき、発言時、マスクを外していいという御了解が出ましたので、外させて、発言をさせていただきます。(拍手)



 政治に私たちは見えていますか。



 緊急事態宣言のもと、オンラインヒアリングで投げかけられた言葉です。親からの支援を受けずに自力で頑張っていた大学生、新型コロナウイルス感染症の影響で、収入源だった派遣の仕事を失い、あすの暮らしも人生の展望も見えなくなってしまった、そんな若者からの問いかけでした。



 これは、この学生だけの問題ではありません。コロナによる雇用や経済への影響はますます深刻化しており、今は何とか持ちこたえている方も、年末年始にかけて、耐え切れなくなる方が大きくふえると心配されます。



 政治に国民一人一人の現実は見えているのか、政治は本当に見ようとしているのか、この問いかけは、この議場にいる全ての国会議員が真摯に受けとめるべきものであります。



 この国会は、文字どおり、コロナ禍から国民の命と暮らしを守る国会にしなければなりません。特に深刻なのは、この夏以降、女性や若者を中心に、みずから命を絶つ方がふえつつあることです。



 あなただけがしんどいんじゃない、そう言われるのが一番しんどかった。食べるものにも困ったシングルマザーの言葉が報道されました。



 決して特殊なケースではありません。支援団体の調査では、児童扶養手当を受け取っている一人親家庭の六割で収入が減少し、一割は収入自体が途絶えています。一日の食事は一回だけ、残っているお金は数千円、そんな声が多数届いているそうです。



 これまでは何とか自活できていた方々の生活が、ぎりぎりまで追い込まれ、限界を超えています。その上、自助努力を迫る自己責任論が強まる中、追い込まれても公的な支援を受けることに強い抵抗感を抱き、頼ることをためらう風潮が広がっています。



 今ほど政治の力が必要とされるときはありません。政治にこうした現実が見えているのかが問われています。殊さら自助を口にする総理に、声を上げようにも上げられない、こうした実態が見えているのでしょうか。



 受けとめ切れていない暮らしの実態にしっかりと目を向け、政治に反映させなければならない。国民生活には一刻の余裕もない。そのために、より多くの力を結集しなければならない。九月十五日、私たちはそんな思いから新しい立憲民主党を結成しました。



 結党から一カ月余り。全国各地を訪れ、現場を見て、現場の声をお聞きしました。私は、受けとめてきた何人ものあなたの声と現実を踏まえ、私たちが目指す社会像を示しながら、立憲民主党を代表して質問をいたします。



 先日合同葬が行われた中曽根元総理は、国鉄や電電公社などの民営化を進めました。それから三十年余り。ある時期までの私自身を含め、政治は、競争と効率、そして民営化を掲げ、小さな政府を追い続けてきました。しかし、コロナの影響を受け、こうした新自由主義的な社会のあり方が、今も、そしてこれからも、本当に正しいのかが突きつけられています。



 目先の効率性を追い求める余り、海外生産に依存し切っていたマスクの不足が、大きな混乱をもたらしました。保健所は三十年間で四五%も減り、感染が疑われても電話がつながらず、幾ら旗を振っても検査はふえませんでした。ベッド数の削減などが進められてきた結果、感染の広がりで医療現場は逼迫し、医療従事者は疲れ果て、国民にも大きな不安を与えました。



 そんな中で問われているのは、これからの日本をどうするのか、その大局的なビジョンです。立憲民主党は、一人一人の命と暮らしを守るために、目先の効率性だけにとらわれず、人を幸せにする経済を目指します。新自由主義にかわる新しい選択肢として、政治が責任を持って支え合いの役割を果たす共生社会の実現を目指します。



 競争や効率を否定するのではありません。しかし、それは、命と暮らしを守ること、そして人を幸せにするためのものであることが前提のはずです。



 中曽根行革が進められた昭和の時代から三十年余り。社会は劇的に変化しました。人口減少、高齢化、ひとり暮らし世帯の増加、地域の疲弊。高齢者やシングルマザーなど、自分の努力だけ、自助だけでは生きていくことが難しい皆さん、身近な助け合い、共助が困難な地域や人々、これまでとは比べ物にならないくらいふえています。



 どんな人にも、自分の力だけではどうにもならない困難や危機に直面することがあります。今、コロナ禍によって、多くの皆さんがその深刻な困難と危機に直面しています。



 だから、私は、日本全体で、つまり、政治と行政の力で、お互いさまに支え合う仕組みをつくります。思いも寄らない病気やけが、失業などに直面をしても生活が成り立つ。年老いても安心して生活できる。家庭を持ちたい、子供を産み育てたいと願う方が、その望みを心配することなくかなえることができる。そして、何よりも命を守る。そのために、政治と行政による支え合いの仕組みを充実させます。



 第一に急ぐのは、命と暮らしを守る上で欠かせない基礎的なサービス、ベーシックサービスを全ての皆さんに保障することです。



 医療や介護、子育て支援や教育。必要なサービスを必要に応じて提供することは、政治の最大の役割です。それなのに、競争や目先の効率性ばかりを追い求め続けてきた結果、こうしたサービスは、質、量ともに大きく不足しています。その上、コロナ禍で危機的な状況に追いやられました。



 良質なサービスを十分に提供するため、質の高い人材の確保を進めます。コロナ禍で不足が明らかになった保健所や、長く人手不足が指摘されてきた児童相談所や労働基準監督署などについても、国民の命と暮らしを守るため、大胆に増員増強します。



 国の予算配分を変えて、こうした仕事に携わる皆さんの賃金を底上げし、待遇を改善しましょう。少なくとも、希望する人が安心して子供を産み育てることができるだけの賃金を確保し、原則として正規雇用にするべきです。



 また、これらのサービスは、目先の効率性という観点から、一〇〇%近い稼働率であることが求められ、ぎりぎりの運営をしてきました。これでは、今回のようないざというときに、命や暮らしを守ることができません。稼働率にゆとりを持たせた、ゆとりある運営へと転換します。



 二つ目に、公共事業などのハード面や、従来型の開発という視点を軸としてきた地域政策を、暮らしに重点を置いたものへと変えていきます。



 これまでのやり方では、一極集中はとまりませんでした。多くの地域で疲弊と衰退が更に深刻になり、この国から本当に地方がなくなりかねません。



 生まれ育った地域で一生を終えたいと望む人、自然豊かな地域で暮らしたいという人、誰もが全国どこでも安心して暮らせる環境をつくることこそ最優先です。ITなどが発達した今、情報や買物などでは都市と地域の差が縮小しています。問われているのは、この点でも、教育や医療などのベーシックサービスであり、働く場の確保です。



 ベーシックサービスの充実によって、全国どこでも安心できる暮らしを可能にするとともに、新たな仕事の場を生み出します。医療や介護などは、高齢化が進む地域にこそ多くのニーズがあります。このニーズに応え、危機にも対応できるゆとりある体制をつくることで、地域での雇用をつくり、地域でお金が回る社会へと変えていきます。



 こうした地域づくりのためには、縦割りの代表である分野ごとの補助金ではなく、自治体が使い道を自由に決められる一括交付金が欠かせません。私たちは、縦割り打破の一丁目一番地として、一括交付金の実現に取り組みます。



 地域の基幹産業である農業でも、輸出をふやすなどとして、効率と競争が重視されてきました。私は、むしろ、家族で経営し、地域に密着した、暮らしとしての農業を支えていくこと、これを中心に置くべきだと考えます。



 中山間地を始め多くの地域では、国際競争を求められても限界があります。しかし、不利な地域でも営まれてきた農業は、豊かな自然環境を守り、きれいな水や空気をつくり、そして、災害を防ぐ機能を果たしてきました。何よりも、食料自給の下支えとなっています。



 先月二十二日、佐賀県小城市江里山地区の棚田を見てきました。先人たちがつくり、守ってきた棚田は、地域の財産であり、文化的価値があると言っても言い過ぎではありません。地域の皆さんも、誇りを持っていると話してくれました。



 国際競争に挑む農家だけでなく、このような、暮らしや地域と一体となっている農家を支え、地域社会と自然環境を守ります。戸別所得補償制度を復活させ、家族とともに、そして地域とともに、代々引き継いできた営みを今後も安心して続けられるよう下支えします。



 多面的な機能を果たし、地域の暮らしを守るという意味では、酪農、畜産や林業、漁業も同様です。それぞれの特性に合わせた所得安定のための政策を実現します。



 地域に大きな可能性のある分野が、自然エネルギーです。小水力、風力、地熱、小型バイオマスなど。地域にこそ大きな潜在力があります。



 去る十日、鳥取県米子市で、エネルギーの地産地消に取り組む企業から話を聞きました。鳥取では、年間約一千億円の電気代を県外に払っており、これを地域に還元していくことの重要性を熱く語られました。創業五年で地域シェアが一〇%を超え、電気代が地域で循環することに加えて、温室効果ガスの削減や雇用創出などで地域に貢献しています。



 自然エネルギーへの需要は、地球規模でますます大きくなります。日本には、あらゆる種類の自然エネルギーについて経験と技術があり、蓄電や断熱、そしてシステムの構築や管理という点でも高い水準にあります。



 私は、これからの日本経済の牽引役として、世界に貢献していく分野として、何よりも、地域の潜在力を生かす柱として、自然エネルギー立国を推進します。



 バブル崩壊から三十年近く。経済の成長を妨げてきた主な要因は、国内消費の低迷です。この間、輸出の成長率は実質で四・一%であったのに対し、消費の伸びは一・〇%にとどまります。



 消費が広がらないのは、一つには将来の不安が大きいために財布のひもがかたく締められていること、そして、格差と貧困の拡大で、消費したくてもお金がなくて使えない人をふやしてしまったことが原因です。



 支え合いによって将来の不安を小さくし、格差を縮小して貧困を減らすことは、消費を拡大させる本質的で最も重要な経済対策であります。



 OECD、経済協力開発機構は、既に二〇一四年、所得格差が拡大すると経済成長は低下するとの調査結果を発表しています。この調査結果に対する総理の見解を伺います。



 いざというときにも支えがあるという安心感。それが、新たな挑戦への意欲を生み出します。失敗したら自己責任というのでは、チャレンジする意欲もそがれがちです。支え合う共生社会は、新しい価値の創造を育むための基盤ともなります。



 こうしたビジョンのもと、国民の命と暮らしを守るため、今、急がなければならないのは、医療機関への支援です。政府は、九月十五日、予備費の閣議決定で、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関などに絞って支援などを決めました。しかし、医療機関全体が厳しい経営状況にあることを踏まえた支援は、盛り込まれていません。



 病院は、これまでも利益率が低く、厳しい運営を強いられてきました。多くの医療機関で経営は逼迫しており、全ての医療機関に対する経営支援を速やかに実施すべきです。総理の見解を伺います。



 命と暮らしを支えるのに欠かせない、介護や障害福祉、保育や放課後児童クラブなどの現場も、厳しい状況です。



 長時間の重労働にもかかわらず低賃金。不安定な非正規雇用が多く、人手不足が慢性化しています。濃厚接触が避けられず、感染防止に強い緊張を強いられ、現場は更に疲弊しています。もう仕事をやめたいという声をさまざまな場面で伺ってきました。



 待遇改善を急ぎ、賃金を大幅に底上げするべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。



 中でも、保育士については、私たちは既に、賃金を月額五万円引き上げる法案を提出しています。総理、これに御協力いただき、成立させませんか。



 待機児童は、ことし四月時点で一万二千四百三十九人に上っています。本年度末までに待機児童を解消するという目標は諦めたのですか。総理の答弁を求めます。



 介護分野での八月の有効求人倍率は三・八六倍、全職業の一・〇四倍を大きく上回っています。ことし九月までの介護事業所の倒産件数は九十四件、過去最多を更新しました。



 私たちは、介護従事者の賃金を月額一万円引き上げる法案を提出しています。安定的な運営や人手不足解消のため、来年度の介護報酬改定でどんな対策を講じるのか、総理の方針を伺います。



 冒頭で紹介した方を始め、多くの学生にとって生活はなお厳しい状況にあります。遠隔で、授業の満足度が大きく下がっているにもかかわらず、授業料は変わらず高額のまま。休学するにも費用がかさみ、退学を考えている若者がふえています。



 四月からの修学支援新制度の対象からは、授業料減免の対象だった中間層の一部が外されており、自立する学生を対象とした学生支援緊急給付金も、このままでは追加が必要です。



 こうした皆さんを漏れなく支援するため、学費減額に踏み込み、授業料を半額にすべきと考えます。総理、いかがでしょうか。



 コロナの影響で、来年春の新卒採用が大きな影響を受けています。



 厚生労働大臣は、卒業後三年以内は新卒扱いという指針の徹底を要請すると言っていますが、この指針はこの十年来必ずしも守られておらず、要請するだけで効果があるとは思えません。



 政府を挙げた、より実効性のある対応が必要です。総理の認識を伺います。



 子供たちは、なれない新しい生活様式のもと、一斉休校による授業のおくれを取り戻すことに追われています。楽しみにしていた行事の中止などもあって、疲れ切った子供たちがふえており、一人一人に対応したきめ細かい教育がこれまで以上に必要です。



 学校現場や教職員も、本来業務ではない消毒などの感染防止対策に追われ、また、多様な教育環境への対応などで負担が増加しています。



 教室の密を避けるためにも、また、教職員の負担を減らし、多様化する子供たち一人一人に寄り添った教育を可能にするためにも、必要な法改正を行い、少人数学級と教職員の増員を計画的かつ強力に進めるべきと考えます。総理の見解をお聞かせください。



 今月三日、金沢市で、夜間中学に関係する皆さんの話を伺いました。戦後の混乱で学ぶ機会を失った方々にとどまらず、外国籍の子供や貧困による影響、いじめや不登校など、社会の変化に伴い、夜間中学を必要とする状況は強まっています。コロナ禍で、必要性が高まる可能性もあります。



 教育を受ける権利を保障する最後のとりでが夜間中学です。政府として、都道府県などを通じた夜間中学への支援を強めるべきですが、総理、いかがでしょうか。



 雇用調整助成金の特例措置は、野党の要求も踏まえ、十二月末まで延長となりました。



 しかし、解雇、雇いどめになった人は、十月十六日現在、見込みも含めて六万六千五百九十三人。就業者数と雇用者数は、四月から八月まで五カ月連続で前年同月と比べ減少しています。このままでは、年明けに解雇が続出し、多くの方が収入を失って路頭に迷いかねません。



 特例措置は、縮小することなく、少なくとも今年度末まで延長すべきです。総理の決断と答弁を求めます。



 感染症対応の休業支援金・給付金は、五千四百億円ほどの予算額に対し、二百九十億円程度しか支給されていません。事業主の協力などが条件になっていること、学生に多いシフト制のアルバイトなどで、実質的には休業なのに受給できていないケースが多いこと、支援の対象から大企業が外れていることなどが原因です。



 改善の方向と報じられていますが、具体的にどう改善するのか、厚生労働大臣にお聞きします。



 経済を立ち直らせるには、感染拡大防止策を進めながら、消費を回復させることが必要です。GoToキャンペーンのような、分野ごとに、それこそ打破すべき縦割りの需要喚起策では、効果も限定的で限界があります。



 戦後最大の危機に対処するには、広く影響を与える思い切った政策が必要です。年収一千万円以下の方々への所得税の時限的な免除、その効果の及ばない困窮者の皆さんへの現金給付、そして消費税の時限的な減免に踏み切るなど、聖域を設けることなく、あらゆる政策をハイブリッドに組み合わせて実行することを提案します。総理の見解を伺います。



 私は、こうした大胆な政策を速やかに実現するのであるならば、野党の立場からも、その政治責任を共有する覚悟です。総理、政府と与野党での真摯な協議の場を設けませんか。答弁を求めます。



 中小企業の多くが、コロナ禍によってますます苦しんでいます。



 国内企業の九九・七%を占め、全従業員の約七割が働く中小企業は、地域社会を支える上で欠かせない存在です。必要なのは、総理の言う統合再編ではなく、地域政策や雇用政策と一体となった支援策の充実です。総理の認識を伺います。



 学術会議法七条二項は、「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」と明記しており、推薦された方を任命しないことは、条文上、明らかに違法です。一九八三年の、中曽根総理による、政府が行うのは形式的任命にすぎないという国会答弁とも矛盾します。



 総理は、提出された百五人の名簿を見ていないと発言していますが、六人を任命しなかったのは総理御自身の判断ではないのですか。誰が、どんな資料や基準をもとに判断したのですか。任命しなかった理由は何なのですか。明確にお答えください。



 憲法六条一項は、「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。」と規定しています。基づいて任命するという法的な構造は全く同じです。



 学術会議の任命に、総理による実質判断の余地を認めたら、内閣総理大臣の任命についても、陛下による実質判断の余地が生じてしまいます。一刻も早く六名を任命して、違法状態を解消する以外、この問題の解決はあり得ません。総理に反論があればお答えください。



 九月十六日の初閣議で決定した基本方針には、東日本大震災からの復興と原発事故についての言及がなく、所信でも具体策は示されませんでした。この姿勢は大変残念です。



 立憲民主党は、震災の記憶と教訓を風化させることなく、復興への歩みを速め、一日も早い被災地の再生を実現するため、全力を尽くします。



 ALPS処理水については、今月中の決定こそ否定されましたが、海洋放出する方針との報道がなされ、関係者の不安は高まっています。



 国民に対する説明と国民的な議論は全く不十分で、現状での決定は拙速です。当面は地上保管を継続し、福島のみに負担を強いることのない処分方法など、具体的な代案の検討を進めるべきです。総理の見解を伺います。



 総理が二〇五〇年までの脱炭素社会実現を打ち出したことは歓迎します。しかし、そのために原子力発電への依存を強めることがあってはなりません。二〇五〇年の脱炭素社会において、発電における原子力の依存度をどのように見込んでいるのか、総理の認識を明確にお答えください。



 再生可能エネルギーの導入を進めるには、送電網をできるだけ安くかつ幅広く開放することが欠かせません。具体策を経済産業大臣にお尋ねします。



 一人十万円の特別定額給付金は、世帯主が受給権者とされ、混乱を招きました。



 結婚している世帯の九八%以上で、世帯主は男性です。DV被害者の一部などでは対応策がとられたものの、女性を中心に、十万円が手元に届かなかった方が少なくありません。



 家族のあり方が多様化している中で、時代おくれになった世帯単位の支援にこだわるのですか。さまざまな制度を世帯単位から個人単位へと転換すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。



 私は、初当選以来、選択的夫婦別姓の実現に取り組み、四回の筆頭提案者を含め、七回にわたって法案を提出し続けてきました。政府・与党の中に前向きの動きがあることを歓迎します。



 日本で最も強く大きな障壁となっている規制は、結婚するときに一方が必ず氏を変えなければならないという規制です。規制改革を言うのなら、この最大の規制からなくすべきであります。同姓を望む方には何の影響もなく、また、若干の事務経費以外一銭もかかりません。



 野党による議員提出法案が継続審議になっています。賛同いただければ、この国会でも実現することができます。総理と橋本国務大臣の決意をお伺いいたします。



 私も当事者であり、一月の代表質問でも取り上げた生殖補助医療について、前進の兆しが出てきたことを歓迎します。



 希望しながら子供を授からない原因にはさまざまなものがあります。新たな分断を生まないような配慮が必要であり、男性不妊や不育症などが助成や保険適用の対象になるのかを含め、総理の認識をお尋ねします。



 所信で、所得制限を撤廃と述べられましたが、保険なら当然のことですから、助成措置についてと受けとめてよろしいですね。この点も確認をいたします。



 女子差別撤廃条約の選択議定書について、二十年たっても百十四カ国が締結する国際的な枠組みにすら参加しないのでは、女性が輝くと言っても説得力がありません。



 批准に向けて急ぐべきであります。なぜためらっているのですか。総理にお尋ねいたします。



 立憲民主党は、健全な日米同盟を軸として、現実的な安全保障、外交政策を推進します。



 辺野古新基地問題では、沖縄の皆さんが繰り返し示してきた反対の民意に加え、軟弱地盤の影響でいつ完成するかも見通せず、建設費も膨らむ一方です。



 健全な日米同盟を維持発展させるためにも、埋立てを中止し、沖縄の民意を始めとした実情を米国に対し率直に説明して理解を求め、別の道を協議すべきです。総理の認識を伺います。



 日米地位協定は、日本の主権が事実上大幅に制約されており、特異なものです。



 健全な二国間関係であるなら、米国に対し、地位協定の改定を明確かつ粘り強く求めるのが当然です。総理の見解を伺います。



 私は、中学生のときに、父親の勤め先の倒産というのを経験しました。一年ほど、失業保険と母のパートで育ててもらいました。父はその後、小さな町工場を開き、ちょうどバブルに向かう流れの中で、私は大学まで進学することもできました。まだ国立大学なら圧倒的に学費が安い時代でした。支え合いの仕組みと時代の恩恵の上に、私は今、この議場に立っています。



 しかし、時代は変わりました。今の日本は、多くの皆さんが、時代の恩恵を受けるどころか、厳しい時代の変化に翻弄されています。



 総理の言う自助と共助と公助を順番に並べる考えは、端的に言って、昭和の成功体験にとらわれた時代おくれのものなのではないでしょうか。



 最後に、改めて総理にお尋ねします。



 日本をどんな未来へと導こうとしていますか。あなたは、どこを見て、誰の声を聞いて政治をしていますか。苦しんでいる国民の声は届いていますか。政治に私たちは見えていますかという声に、あなたはどうお応えになりますか。



 人口が大きくふえてきた時代から、高齢化の中で人口が急激に減っていく時代へ。社会そのものが大きく変わり、政治も変わらざるを得ません。きょう私が取り上げた問題は、経済や雇用環境の変化、価値観やライフスタイルの多様化などがもたらした、時代の最先端の課題ばかりです。そこにいるのは、新自由主義的な社会のもとで光の当たってこなかった皆さんです。そんなあなたのための政治を立憲民主党は取り戻します。



 誰もが安心できる支え合いの仕組みと、その仕組みを担う、機能する政府をつくり、命と暮らしを守ります。多様な個人と地域が互いに認め合い、それぞれにその力を最大限に発揮できる共生社会を実現します。立憲主義に基づく、透明で真っ当な政治を取り戻します。



 あなたのための政治へ、右でも左でもなく、前へ。それは、この国に暮らす一人一人を主役とする政治です。あなたのための政治に向けて、私たちとともに進みましょう。あなたの暮らしの現実を聞かせてください。私にはあなたの力が必要です。(拍手)



    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕



内閣総理大臣(菅義偉君) 枝野議員にお答えいたします。



 OECDの報告書についてお尋ねがありました。



 御指摘の報告書では、先進国の傾向として、所得格差が拡大すると経済成長は低下することや、その理由として、貧困層ほど教育への投資が落ちること等の主張がなされていると承知をしています。



 格差と経済成長の関係については、さまざまな議論があり、一概に申し上げられませんが、格差については、それが固定化されず、人々の許容の範囲を超えたものではないことが重要です。



 このため、菅内閣では、経済再生に取り組む中で、最低賃金の全国的な引上げ、一人親家庭への支援など子供の貧困対策、同一労働同一賃金など働き方改革に加え、就職氷河期世代を含む全ての方が働くことや社会参加することを促進できるよう、個々人の状況に応じた支援等に取り組み、格差が固定しないよう、さらに、許容し得ない格差が生じないよう、さまざまな施策を進めてまいります。



 医療機関に対する経営支援についてお尋ねがありました。



 医療機関においては、患者数の減少による収入の減少などが見られることから、これまで約三兆円の支援を実施してまいりました。



 御指摘の予備費については、新型コロナウイルス感染症患者を入院させた医療機関に対する支援を拡充したほか、それ以外の医療機関も含めた支援として、インフルエンザ流行期に備え、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関への補助や、新型コロナが疑われる患者を受け入れる救急、周産期、小児医療機関への支援などを行っています。



 まずは、これらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、今後とも、国民の皆さんに必要な地域医療が確保できるよう、必要な取組や支援を検討してまいります。



 介護職員や保育人材等の処遇改善、待機児童解消、介護報酬改定についてお尋ねがありました。



 急速に少子高齢化が進み、人生百年時代が到来しようとする中で、介護や保育などの人材確保を着実に行うことは大変重要な課題であると認識しています。



 このため、例えば、これまでも、介護職員や障害福祉人材の処遇について、累次の処遇改善に加え、昨年十月からは月額最大八万円のさらなる処遇改善を実施するとともに、保育士等については、平成二十五年度から昨年までに月額最大八万五千円の処遇改善を実施したところであります。新型コロナウイルス感染症の対策に必要な費用の助成を含め、引き続き、必要な支援を着実に実施してまいります。



 待機児童の問題については、子育て安心プランの最終年度である今年度も、待機児童を抱える地域の課題を丁寧に把握し、地域の特性に応じた支援を強化していくこととしており、待機児童の解消に全力で取り組んでいく方針に変わりはありません。



 その上で、女性の就業率の上昇を踏まえたさらなる受皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域のあらゆる子育て資源の活用を検討し、年末までに新たな計画を取りまとめてまいります。



 令和三年度介護報酬改定に向けては、介護職員の賃金等の状況も把握した上で、介護人材の確保、介護現場の革新等に向けた取組について、しっかりと検討してまいります。



 コロナ禍のもとでの若者の貧困と教育についてお尋ねがありました。



 大学生への支援については、新型コロナウイルスの感染拡大に当たり、その影響を受けて家計が急変した学生を高等教育の無償化の支援対象にするとともに、授業料減免を行う大学への支援や、経済的に厳しいアルバイト学生に対し学生支援緊急給付金の支給を行うなど、さまざまな支援を講じてきております。



 学生の就職活動については、これまでも、経済団体に対し、中長期的な視点に立った採用、卒業後三年以内の既卒者は新卒者扱いすることを要請してきたところですが、さらに、新卒応援ハローワークを設置し、担当者を決めて個別に支援するなど、きめ細かな就職支援を行ってまいります。



 小中学校等については、新型コロナウイルスに伴う学校再開等への支援として、教員や学習指導員、スクールサポートスタッフの増員を図るとともに、感染症対策に要する経費を支援してきております。また、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備など、新しい時代の学びの環境の整備については、関係者間で丁寧に検討いたします。



 夜間中学校については、外国人への日本語教育の充実など、引き続き、夜間中学校の新設や教育活動の充実のための支援を行ってまいりたいと考えています。



 雇用調整助成金の特別措置についてお尋ねがありました。



 新型コロナウイルス感染症により経済が大きな影響を受けた中にあって、従業員の雇用を守るべく実施している雇用調整助成金については、日額上限の一万五千円への引上げや助成率の最大十分の十への引上げなど、これまでに例のない特別措置を講じたところであり、八月にはその期限を本年十二月末まで延長したところです。



 この特別措置の取扱いについては、今後の雇用情勢などを踏まえ、適切に判断をしてまいりたいと考えています。



 経済を立ち直らせるための政策及び協議の場、中小企業政策についてお尋ねがありました。



 経済を回復させるため、これまで、最大二百万円の持続化給付金や、困窮者も含めて全ての方々への一人十万円の現金給付など、総額二百三十兆円を超える対策を、必要な方々に行き渡らせるべく実行しているところです。



 御指摘のありました所得税の免除については、所得税を負担していない低所得者の方には効果が及ばず、また、消費税については、社会保障制度のために必要な財源と考えております。



 中小企業については、雇用政策などとも連携しながら、経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化を含め、中小企業の足腰を強くするための政策を推進し、応援してまいります。



 いずれにせよ、政府として、与野党各党の皆さんと、この国会の場で、経済の回復に向けた方策を含め、真摯で建設的な議論を行ってまいりたいと思います。



 日本学術会議についてお尋ねがありました。



 過去の国会答弁は承知しておりますが、憲法第十五条第一項は、公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、日本学術会議の会員についても、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、内閣法制局の了解を経た政府としての一貫した考えであります。今回の任命は、任命権者たる内閣総理大臣が、その責任をしっかりと果たしていく中で、日本学術会議の推薦に基づいて任命を行ったものであります。(発言する者あり)



議長(大島理森君) 御静粛に。



内閣総理大臣(菅義偉君)(続) その上で、個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち、専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスのとれた活動を行い……(発言する者あり)



議長(大島理森君) 御静粛に。



内閣総理大臣(菅義偉君)(続) 国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべきということ、更に言えば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえて……(発言する者あり)



議長(大島理森君) 御静粛に。



内閣総理大臣(菅義偉君)(続) 多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断を行ったものであります。



 なお、憲法第六条一項について御指摘がありましたが、同じように法令において基づいて任命すると規定されていても、各法令によって、任命を行う者の権能及び責任が異なっており、条文の文言のみで比較することは妥当ではないと考えます。



 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いについてお尋ねがありました。



 経済産業省において、本年二月に科学的根拠に基づく報告書をまとめたところです。



 それ以降、自治体や農林水産業の団体などさまざまな方と意見交換を重ね、さらに、一般の方からも書面による意見募集を行うなどの取組により、ALPS処理水の安全性や風評への懸念など、広く国民の皆さんから貴重な意見をいただきつつ、議論を積み上げてきています。



 敷地が逼迫する中で、いつまでも方針を決めず先送りすることはできません。これまでの検討を踏まえ、更に政府内での検討を深め、今後、適切な時期に、政府として責任を持って処分方針を決めてまいります。



 脱炭素社会と原子力発電についてのお尋ねがありました。



 徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが政府の方針です。



 二〇五〇年カーボンニュートラルは簡単なことではなく、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要であり、再エネのみならず、原子力を含めてあらゆる選択肢を追求していきます。



 今後、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すエネルギー政策については、結論ありきではなく、梶山産業大臣が中心となって、集中的に議論をしてまいります。



 特別定額給付金についてお尋ねがありました。



 迅速かつ的確に家計への支援を行うという給付金の趣旨を踏まえ、市区町村の事務負担等を考慮し、世帯を単位として給付を行うこととしました。



 その際、家庭内暴力で住所を実態どおりに登録できていない方々については、申出を行うなど一定の手続を経て本人が給付金をお受け取りいただけることとしたところです。



 それぞれの制度における取扱いについては、制度の趣旨や実務面などを踏まえ定められるべきものと考えています。



 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。



 夫婦の氏の問題は、我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、国民の間にさまざまな意見があることから、引き続き、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、対応を検討してまいります。



 不妊治療等についてお尋ねがありました。



 子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、その切実な願いに応えるため、先日の所信表明では、保険適用されている治療で所得制限が課されているものがないことを踏まえ、所得制限を撤廃し、保険適用を早急に実現することを表明いたしました。



 今後、実態調査を行い、治療の有効性、安全性等について確認するなど、男性の不妊治療を含めて、早急な保険適用の実現に向けて検討を進めてまいります。



 また、保険適用までの間も、男性の不妊治療を含めて助成している現在の措置を大幅に拡大することとしており、所得制限や助成額などのさまざまな論点について、保険適用への移行も見据えつつ、しっかり検討してまいります。



 また、不育症については、有効性、安全性等が確立しているものは既に保険給付の対象としているところであり、引き続き、関係学会とも連携しながら、治療方法の研究等に取り組み、知見が確立したものへの保険適用を進めてまいります。



 女子差別撤廃条約選択議定書についてお尋ねがありました。



 同選択議定書に設けられている個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図る趣旨から、注目すべきものと考えています。



 その上で、女子差別撤廃委員会から出される見解などについて、我が国の司法制度や立法政策との関係でどのように対応するかなどの検討するべき論点があることから、各方面の意見なども踏まえ、早期締結について真剣に検討しているところです。



 普天間飛行場の辺野古移設及び日米地位協定についてお尋ねがありました。



 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。



 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です。米国には、閣僚間を含めさまざまなレベルにおいて、沖縄の情勢や代替施設の建設状況について説明しつつ、この方針について累次にわたり日米間で確認しているところです。



 この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。これからも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けてまいります。



 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。



 例えば、安倍政権のもとでは、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。



 また、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米軍人軍属の拘禁についても、日米合意に基づき、実際に、起訴前に日本側へ移転が行われてきています。



 さらに、昨年の七月には、施設・区域外における米軍機事故ガイドラインを改定し、日米の関係者による制限区域内への立入りが迅速かつ早期に行われることが明記されました。



 政府としては、今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。



 目指す未来像と政治姿勢についてお尋ねがありました。



 今回の演説では、デジタル化、グリーン社会の実現、地方の活性化、全ての方々が安心できる社会保障、日米同盟を基軸とした積極外交の展開など、政策の大きな方向性をお示ししました。



 その根本を貫く考え方が、自助、共助、公助、そして、きずなです。まずは自分でやってみる、そして、家族や地域で助け合う、その上で、政府がセーフティーネットでお守りをします。



 まずは、こうした国民から信頼される政府を目指すことが大事であり、そのためにも、行政の縦割り、既得権益、そして、あしき前例主義を打破し、国民のために働く内閣として改革を実現してまいります。



 また、私は常々、国民から見て当たり前のことを実現すべく取り組んでまいりました。今後も、現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのかをしっかり見きわめた上で、大胆に改革を実行してまいります。



 なお、残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)



    〔国務大臣田村憲久君登壇〕



国務大臣(田村憲久君) 枝野幸男議員にお答えいたします。



 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金についてお尋ねがありました。



 休業支援金・給付金の支給率が低いとの御指摘については、新型コロナウイルス感染症の影響による企業の休業に対しては、これまで、雇用調整助成金の特例により休業手当の支払いを支援することを基本として取り組んできました。これまでのところ、同助成金が積極的に活用されており、これにより雇用維持が図られている方も多くいらっしゃるものと考えております。



 一方で、休業支援金・給付金は、雇用調整助成金を活用した休業手当の支払いもままならない中小企業の労働者の方々を支援するために創設したものであり、対象となり得る方にしっかりと支援が行き届くよう取り組むことが重要と考えております。



 特に、シフト制や日々雇用の方々など、休業の前提となる労働契約の内容が不明確なケースでは、事業主の御協力がいただけず、申請、支給に至らない場合があるとの声もいただいております。



 これまでも、経済団体等を通じて休業支援金・給付金の申請への協力を要請してまいりましたが、本制度の対象となる休業の趣旨を十分に御理解いただけるよう、支給対象となり得るケースを明確化するとともに、丁寧な説明の上で、協力を要請してまいりたいと考えております。



 また、休業する労働者に対しましても周知が届いていないという声もいただいております。支援を必要とする中小企業の労働者の方々に休業支援金・給付金が行き届くよう、きめ細かに取り組んでまいります。



 なお、大企業については、その制度趣旨に鑑みると、休業支援金・給付金の対象とすることは困難でありますが、休業手当が支払われていない大企業労働者を把握した場合には、雇用調整助成金を活用した休業手当の支払いについて、しっかりと働きかけてまいります。(拍手)



    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕



国務大臣(梶山弘志君) 枝野議員からの御質問にお答えをいたします。



 送電網の開放に向けた具体策についてお尋ねがありました。



 今後、我が国の送電網について、レジリエンスを強化しつつ、再エネの大量導入に対応した次世代型のネットワークに転換していく必要があります。



 このため、全国各地の再エネの導入可能量も踏まえ、国が率先して全国大の送電網整備に関するマスタープランを策定し、事業者による整備を後押ししてまいります。



 一方で、新たな送電網整備には費用と時間がかかることから、既存の送電網をより低コストで再エネが利用しやすいようにルールも見直してまいります。



 具体的には、送電網の空き容量を超えて再エネが発電した場合に出力を一部抑えることを条件に、より多くの再エネを送電網に接続する仕組みを二〇二一年中に全国展開いたします。また、そもそも石炭火力などより再エネが優先的に送電網を利用できるよう、ルールの抜本的な見直しも検討しています。



 こうした政策を実施し、御指摘の再エネの導入に向けて最大限取り組んでまいります。(拍手)



    〔国務大臣橋本聖子君登壇〕



国務大臣(橋本聖子君) 選択的夫婦別氏制度の実現についてお尋ねがございました。



 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが不便であるとの意見が、第五次男女共同参画基本計画策定に当たって行った意見募集や、これから結婚して家庭を築く若い世代の人たちから多数寄せられております。



 この問題については、国民の間にさまざまな意見があるものと承知をしておりますが、我が国の深刻な少子高齢化を食いとめるためには、国民、とりわけ若い世代のこうした意見をしっかりと受けとめて、十分に配慮する必要があると考えております。



 現在、第五次男女共同参画基本計画の策定に向けた議論が進められているところでありますが、私としても、国民の皆様の声をしっかり反映できるよう、取りまとめに向けた議論を着実に進めていきたいと考えております。



 以上です。(拍手)



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議長(大島理森君) 野田聖子君。



    〔野田聖子君登壇〕



野田聖子君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、菅義偉内閣総理大臣の所信表明演説に対し質問をいたします。(拍手)



 冒頭、いまだ収束の兆しの見えない新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、感染された皆様や生活に影響を受けておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。



 今回、このコロナ禍の中、日夜、献身的な治療と医療体制を維持してくださっている医師、看護師など医療従事者の方々を始め、生活必需品を提供するスーパーやコンビニ、薬局など小売業に携わる皆さん、バスや電車など公共交通機関の職員、高齢者や子供がかかわる介護福祉士や保育士さん、住民生活を守る役所の職員、物流を担う配達員、トラック運転手など運送業の方々、そして生活廃棄物の処理などを行う清掃作業員の皆さんなど、多くの方々が、厳しい環境の中、感染拡大防止に努め、私たちの生命と暮らしを守るために働いてくださっています。



 また、外出自粛期間に国民が困難な日々を過ごす中、農業や漁業に従事される方を始め多くの生産者の方々が、厳しい状況下で私たちの生活を支えてくださいました。改めて、深い敬意と感謝を申し上げます。



 そして何より、長期間にわたってマスク着用を始めとする感染拡大防止に御協力いただいている国民の皆様に心から御礼申し上げます。



 さて、質問に先立ち、内閣総理大臣として七年八カ月にわたり国政を担われ、道半ばで総理の職を辞された安倍晋三前総理大臣に、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。



 安倍前総理は、憲政史上最長というその在任期間において、政権としての最重要課題であった東日本大震災からの復興支援を始め、経済ではアベノミクスによってデフレスパイラルという日本を長く覆っていた闇を脱却へと導き、国家安全保障会議の設置や平和安全法制の整備など、現在我が国を取り巻く安全保障環境に即した制度改革を数多くなし遂げられました。



 特筆すべきは外交です。米国のトランプ大統領、インドのモディ首相を始め多くの首脳とお互いに信頼できる関係を築き、我が国の国益とプレゼンスを飛躍的に高めることができました。かつて顔の見えない国と言われてきた我が国は、今や世界がその動向を気にかけ、信頼できる国と言われるまでになっています。



 他にも、東京オリンピック・パラリンピック招致、働き方改革など、その功績は枚挙にいとまがありません。



 とりわけ、私は、政権の重要課題の一つに女性活躍を位置づけ、女性の社会進出を後押しすべく数々の政策を実行されたことは高く評価されるべきだと思います。



 その安倍前総理を常にサポートしていたのが菅総理です。総理就任後、数多くの首脳と電話会談を行う一方、新型コロナウイルス感染症の対応で明らかとなった規制やデジタル化の問題など、国民が感じた弊害に対し、いち早くその解消の意向を示されるなど、菅総理の経験と行動力は内外に信頼と安心感を与えています。



 ぜひ、総理には、そのリーダーシップによって、引き続き、国民のための仕事をしていただくようお願いしたいと思います。私たち自民党も全力で支えてまいる所存でございます。



 それでは、菅義偉総理にお尋ねいたします。



 今なお続く新型コロナウイルス感染症によって、四月から六月期のGDPは、年率換算で二八・一%減という戦後最大の落ち込みを記録しました。先日発表された日銀短観では若干の改善が見られるものの、依然として、我が国の経済は厳しい状況にあります。



 政府は、これまで累次にわたる経済対策において、定額給付金や持続化給付金、雇用調整助成金や無利子無担保融資など強力な支援を行ってまいりましたが、菅内閣においても、引き続き、人々の雇用を守り、企業が事業を継続できるよう、さらなる対応をお願いしたいと思います。



 改めて、これまでの経済対策の対応状況と、雇用及び企業支援を含めた今後の経済立て直しの方策について、総理から国民にわかりやすい説明をお願いしたいと思います。



 とりわけ、大きな影響を受けている観光業や飲食業、文化芸術などイベント関係の業界への支援は重要です。既に、政府によるGoToキャンペーンの中で、観光支援策として行われているGoToトラベルでは、二千五百万人以上の宿泊利用実績があり、業界と経済への下支え効果があらわれています。今後始まる他の支援策とともに社会経済活動を着実に回復軌道に乗せ、感染防止との両立を図っていかなければなりません。



 一方、既に始まっているGoToキャンペーンの支援策においては、事業者や受益者に不都合が生じているものがあるとの声もあります。ぜひ、政府にはいま一度しっかりと現場の状況を確認いただき、改良すべき点はしっかり改良し、国民のため、経済のために、より効果的な支援策となるようお願いいたします。



 言うまでもなく、来年には東京オリンピック・パラリンピック大会も控えており、万全の感染拡大防止を図りつつ、インバウンドの環境整備も進めるという対策も講じていかなければなりません。特に、海外からの人の往来については、しっかりとした検査体制や基準のもと、日本国民も海外の方も安心できる体制や環境を整備することが往来拡大へとつながるものと考えます。



 政府として、今後、どのような経済振興を図っていくのか、また、そのための環境整備として、国民の不安を解消するためにPCR検査の拡大や、セーフティーネットの確立をどのように考えるのか、総理の答弁を求めます。



 菅内閣発足後、メディアでは仕事師内閣との評価がある一方、外交手腕は未知数との論評もありました。そのような中、総理は、先週早速、ベトナム、インドネシアの両国を訪問されました。



 今回、総理就任後初の訪問先として二カ国を選ばれた理由と、今後、自由で開かれたインド太平洋を実現する上で、アジア各国との連携についてどのようにお考えなのかを伺います。



 また、来週投票の行われるアメリカ大統領選を見据え、日米同盟の深化をどのように考えておられるのか、中国、韓国、ロシアなど、首脳間の意思疎通が極めて重要である一方、政治的に課題を抱えるこれらの国々とどのような関係を築いていくおつもりなのか、菅政権の外交方針についてお尋ねします。



 総理は、これまでも拉致問題担当大臣として北朝鮮問題にも当たってこられたわけですが、総理に就任された今、北朝鮮とどのように交渉を進めていくお考えか、また、拉致問題について、一日も早い拉致被害者の帰国実現に向け、どのような態度で臨まれるのか、総理のお考えを伺います。



 新型コロナウイルス感染症対策について伺います。



 今のところ、我が国では欧米諸国のような爆発的な感染は発生しておりませんが、今後、インフルエンザの流行も予想されますし、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行期にも入ります。現在は、新型コロナウイルス感染症対策による衛生意識の高まりによって、インフルエンザの患者数は異例の低水準が続いていると聞きます。特に、手洗いやマスク着用の徹底など、自分を守るという意識とともに、大切な人や周りの人に迷惑をかけないようにするという他者への思いやりがこの状況を維持しているのではないでしょうか。



 しかし、油断は禁物です。今後の備えとして、新型コロナウイルス感染症を始めインフルエンザなど複数の感染症が拡大した場合の対策も講じておかなければなりません。発熱等の症状を訴える方がふえ、検査や医療の需要が急増するおそれもあります。



 こうした事態が発生する前に、政府としてあらかじめどのような体制を構築し、国民が安心できるような対策を用意しているのか、田村厚生労働大臣から丁寧な説明を求めます。



 私も、常に医療的ケアを必要とする子を持つ親として、今回の新型コロナウイルス感染症に心から恐れを感じています。それは、親若しくは子が感染した場合の道筋がはっきり見えないことにあります。



 外出自粛期間中は、社会経済活動の制約によって、職を失い、家庭内での暴力など、弱い立場の人々や厳しい環境にある方々が一層困難な状況に見舞われました。また、経済的、精神的負担によって自死に至る方も増加しています。



 私たちは、一つ一つ地域の声や小さな声にしっかりと耳を傾け、政治が対応できることを現実的に行ってまいりたいと思います。



 急がれるのは、地域の医療体制を維持することとともに、ワクチンや治療薬の開発研究、国民への早期接種です。既に、新型コロナウイルス感染症の影響によって、地域の医療機関では安定的な経営が難しくなっているところがあります。また、ワクチンについても、できる限り早く、安全性と有効性を確認した上で、国民に接種できる体制を整備すべきと考えます。



 厚生労働大臣に、医療提供体制の維持、確保策と、ワクチンの現状と展望について伺います。



 今回の新型コロナウイルス感染症では、多くの病院で面会や立会いができなくなり、家族をみとることができない、出産に立ち会えない、入院している子供の付添いを制限され親も子も不安な日々が続いているなど、切実な声が多く聞かれます。その一方、WiFi環境が整備されている病院では、リモートで会話をした、タブレットで病室での姿を見ることができたと前向きな声も寄せられています。



 情報通信環境の整備促進は、今後の新しい生活様式を見据える上で重要なものと考えます。政府が現在取り組んでいるデジタル庁の設置、デジタル化推進においては、国民の不安や不満を改善し、国民生活のマイナスをプラスに転ずることが急務であると考えます。政府の積極的な対応を求めます。



 我が国最大の国難は、少子化による人口減少です。



 これまでの少子化対策はいまだ効果を見せず、昨年の出生率は一・三六で、四年連続低下する一方、人口の自然減は五十万人台を初めて超え、減少幅は過去最大となりました。さらに、先日厚生労働省が発表した、ことし五月から七月に各自治体が受理した妊娠届の件数は、前年同期比で一割減という大幅なマイナスを記録しており、来年出生する子供の数は大幅に減少することが予想されます。



 今回、総理のリーダーシップで進められている不妊治療への保険適用は、まさに歓迎すべき政策です。しかし、制度をつくればそれで終わりではありません。



 不妊治療は、国民の正しい理解と各方面での支援が大切です。経済的負担が大きく軽減されても、仕事との両立など、安心して治療を受けられる環境を整えることが重要です。特に、企業には、治療を受ける夫婦がちゅうちょせずに休暇を取得することができるよう、後押しをする制度を導入する必要があります。



 先進国では、経済の進展につれて少子化の傾向が見られます。しかし、近年、北欧や米国では少子化の流れがとまり、女性の労働力率と出生率の間に正の相関関係が見られます。これに対し、我が国では女性の労働力率も出生率も低いのが現状です。この違いを読み解くことが重要です。



 日本には有給の産休、育児休業制度もありますが、アメリカの連邦レベルでは有給の産前産後休暇や育児休暇制度はありません。それでもアメリカの方が日本よりも女性の社会進出が進んでいる理由はどこにあるのでしょうか。



 日本では、女性の方が出産や育児などライフイベントの影響を男性よりも直接受けやすい傾向にあります。制度があっても、出産後の女性の離職率は高いのが現実です。育児休業制度や時短勤務制度を利用するのが主に女性であれば、男性、女性の役割分業はますます固定化されます。その点、北欧諸国では、父親に一定の育児休暇を割り当てるなど、積極的な制度が導入されています。まずは、政府においても、各省庁の男性職員の育児休暇取得を奨励し、それがおのずと評価へとつながる環境や条件を整備すれば、社会へと波及するのではないでしょうか。



 総理の不妊治療への保険適用の決断は評価されるものです。同時に、統計では、我が国では、二十代から三十代の母親のもとで生まれる子供が全体の九割です。私は、政治の側が、人々が望めば、若くして夫婦になれるように、若くして子供が授かれるようにという環境をどう整備していくのか、国民全体を巻き込んだ制度改革、意識改革の議論が本質であると考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。



 ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが昨年十二月に発表した男女格差の指標であるジェンダーギャップ指数において、日本は、百五十三カ国中、過去最低の百二十一位に下がりました。



 特に、日本は、政治と経済、それぞれの分野で、百四十四位、百十五位と大きな男女の格差があります。これは、指導的地位に女性が占められる割合が圧倒的に少ないからです。ことしは、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%程度になるように期待するという二〇二〇・三〇の目標達成年でしたが、目標達成は困難な状況です。



 新型コロナウイルスの対応では、世界の女性リーダーに注目が集まりました。ドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統、その他、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、デンマーク等。私は、女性のリーダーだからコロナに適切に対応できたと単純化はしません。しかし、これらの国のほとんどが、国連が発表している世界幸福度ランキングの上位国です。これらの幸せな国は、つまり、国のリーダーにおいて、年齢も性別も関係なく、多様な個人が尊重されるダイバーシティーを重んじていると言えます。男女比から見ても、日本には指導的地位に女性が占める割合が依然として少なく、ゆえに意思決定をする立場に女性はいません。つまり、政策や会社の方針に女性の視点を当たり前に反映することは困難です。



 ここに一つの例があります。かつて、EU各国がクオータ制を導入する中、ドイツは一貫して導入反対の立場をとっていました。しかし、メルケル政権では、百を超える大手企業に対し、二〇一六年から、取締役会等の任免権限を持つ、その立場の女性比率を三〇%以上とすることを法律で義務づけ、他の大手三千五百社にも自主目標を課しました。ドイツでは、自然の変化に任せていては男女均等を実現するのに九十年かかるという試算があり、国家の成長のために、抜本的な意識の改革に取り組んだのです。



 女性活躍とは、国、社会が更に成長する余地そのものであります。国民にとって大きなメリットだと考えを変え、社会全体が変化に向けて一歩を踏み出すことが令和の改革ではないでしょうか。



 昨年、私たちの同志である宮川典子さんが四十歳の若さで亡くなりました。彼女は、自身が病魔に侵されていることを一切公表せず、二〇一八年、政治分野における男女共同参画推進法成立に最後まで力を尽くしてくださいました。



 残念ながら、今日、彼女の期待した成果にはまだ至っておりません。これから、政治分野における多様性の確保のため、私たちは、女性候補者の発掘に一層努力し、女性が政治にもっとかかわる取組を進め、支援していきます。



 行政府にあっても、法務省法制審議会は、一九九六年、選択的夫婦別姓制度導入を答申しました。内閣府男女共同参画推進本部は、二〇二〇・三〇を目標にしています。



 内部から組織を改革していく必要もあると考えますが、女性活躍に関する基本方針について、総理のお考えをお伺いします。



 来年三月、東日本大震災発災から十年を迎えます。被災地は、現在に至るまで、復興事業によって、災害に強く、強靱なまちづくりを軸とした復興が進んでいます。来年度からは、第二期復興・創生期間に入り、政府にはよりきめ細かい対応が求められます。



 一方、この十年もの間、我が国は絶えることなく自然災害の被害を受けています。近年では、平成二十九年九州北部豪雨、三十年西日本豪雨災害、昨年の東日本台風被害、そして、ことしもまた、七月豪雨災害によって、九州地方を中心に西日本や東海、中部地方など広範囲にわたる地域で土砂災害や河川の氾濫など大きな被害があり、新型コロナウイルス感染症によって困難のただ中にある人々が二重の苦しみを味わうことになりました。



 そのような中、全国の都道府県、市区町村は、新型コロナウイルス感染症の対応に追われ、本来予定していた災害対策の施策に着手できない状況に陥っているところが多くあります。



 本来、自然災害において人命救助や復旧復興の司令塔となるべきそれぞれの自治体の庁舎の多くが老朽化し、それ自体が命の危険をはらむなど、一刻も早い建てかえが必要です。特に、デジタル化を推進する政府において、自治体間の情報管理や、行政情報、文書の電子化などバックアップ体制を整備することは、リスクを回避する上でも有効です。



 頻発、激甚化する自然災害に備えるため、国民の命を守る観点から、政府に主導的な対応をお願いしたいと思いますが、小此木防災担当大臣のお考えを伺います。



 防災、減災を考えるときに、私は、地元、長良川の河口堰を思い返さずにはいられません。暴れ川として知られ、幾度となく大洪水と決壊によって多くの人命を奪ってきた長良川に、一九六〇年代に、河口堰をつくるという話が持ち上がります。当時は、効果がない、自然を破壊するなど大変な批判にさらされました。しかし、一九九五年の本格運用以降、今日まで、河口堰と数度のしゅんせつによって、一度も洪水による被害もなく、流域に安心と安全を提供しているのです。



 菅総理も、官房長官時代に、水力発電や農業用ダムなど各省庁が所管し洪水対策に使えなかったダムを、縦割り打破によって、全て活用できるようにされました。国民の命と暮らしを守るため、時に政治は強いリーダーシップを発揮しなければなりません。



 自然災害は、都市生活を営む人々にも猛威を振るいます。昨年十月、東日本台風では、川崎市で内水排除の不備により浸水被害が生じ、高層マンションの機能が停止したことは、多くの人々に驚きと衝撃を与えました。もし東京で大規模な内水被害が生じれば、行政、経済機能がストップするなど甚大な被害が生じる可能性もあります。



 大都市の内水対策に対する下水道などインフラの強化について、赤羽国土交通大臣の見解をお願いいたします。



 既に、政府では、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策によって、特に緊急に実施すべき対策については対応がとられているところでありますが、現在の状況を見れば、これまで以上に一層の対策が必要であることは明らかです。



 例えば、重い障害や医療的ケアの必要な方、女性を始めとする多様な声を取り入れた避難所対策も必要です。専用のトイレや更衣室、授乳室の設置などの整備を求める声は多く、混乱した避難所では性被害につながる話も聞かれます。



 一つの例として、福岡県朝倉市では、平時は観光に使用しているキャンピングカーを、非常時は市が災害対応に活用する対策を講じていると聞きます。



 政府においても、各自治体との連携の上、柔軟な発想を持って対策を講じていただきたいと思います。



 今後、政府として、中長期的な観点から、どのように防災・減災、国土強靱化に取り組んでいくおつもりか、総理のお考えを伺います。



 国民投票法改正案が衆議院に提出され、既に二年半が経過しました。この間、この法案の審議は、憲法審査会で残念ながら行われることなく、継続審議のままとなっています。そもそも、国民投票法改正案は、既に公職選挙法で改正がなされている投票環境の利便性向上を導入する内容であり、速やかな成立が望まれます。



 我が党は、憲法改正について、四項目の条文イメージをお示ししているところです。ぜひ、今国会では、憲法審査会において、国民投票法改正案の早期の成立や、憲法問題と憲法改正に向けた自由闊達かつ丁寧な議論が行われることを期待しますが、総理の見解を伺いたいと思います。



 新型コロナウイルスにより、多くの人々が傷つきました。その日本を力強く復活できるのは、子供たちの明るさです。



 人口減少という国難の中、生まれてきてくれた大切な命を、この国はしっかり守り切れているとは言えません。これからを担う子供たちが希望を持って生きていくことのできる日本を残せるかどうかは、菅政権に課せられた最大の使命です。



 昨年発表された厚労省の調査では、二〇一七年の日本の十歳から十四歳の子供たちの死因の一位が自殺です。また、十五歳から二十四歳の自殺率は先進国でワーストワンです。さらに、虐待によっても多くの子供たちの命が奪われています。この事態は極めて深刻であり、あってはならないことなのです。



 政府が懸命に少子化対策に取り組む一方で、幼い命や若い命が失われていく。なぜ政治に女性の声を反映させることが重要かと思う理由はここにあります。



 現状では、出産と同時に、育児の主な担い手は母親となります。手探りの育児の中で、突然突きつけられる仕事と育児の両立の困難さ、支えのない育児環境などは、当事者でなければ理解しがたい過酷なものです。



 これまでの日本社会では、子供は産んだ母親や育てている親たちの責任で育てるものと言われてきました。しかし、これからは、産んでくれた母親や育てている親たちに社会がありがとうと言って、家族とともに社会で育てるという意識を持つことが必要ではないでしょうか。



 総理は、目指す社会像を、自助、共助、公助、そして、きずなであるとおっしゃっています。自助とだけ聞くと、突き放されたような思いを持つ人もいるかもしれません。しかし、共助と公助で助け合い、家族と社会がきずなを持てばこそ、私たちは大切な命を守ることができるのではないでしょうか。



 総理は、御自身のこれまでの経験から、強くそのことを知っておられると思います。総理の思いを伺います。



 私は、かねてより、自民党の保守政治家として、国家の三本柱は領土、統治機構、国民であると学んでまいりました。ただ、これまでの政治において、国民という柱への思いが少なかったのではないかと思っています。今回、菅総理は、力強く、国民本位、国民目線とおっしゃいました。同じ思いを持つ議員として、これからも国民のために全力で働いてまいることをお誓いし、私の質問といたします。



 御清聴ありがとうございました。(拍手)



    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕



内閣総理大臣(菅義偉君) 野田聖子議員にお答えをいたします。



 これまでの経済対策の対応状況と今後の経済立て直しの方策についてお尋ねがありました。



 新型コロナウイルスの影響により経済が戦後最大の落ち込みを記録する中で、事業規模二百三十兆円を超える対策を講じてまいりました。



 持ち直しの動きが見られるものの、依然厳しい経済状況の中で、引き続き、雇用を守り、事業が継続できるように、最大二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。また、今後も、ちゅうちょなく、必要な対策を講じてまいります。



 さらに、ポストコロナの課題であるデジタル化、グリーン社会の実現などについて、規制改革を進め、必要な投資を行い、再び力強い経済成長を取り戻します。



 今後の経済振興と新型コロナウイルス対策についてお尋ねがありました。



 新型コロナウイルスについては、爆発的な感染は絶対防ぎ、国民の命と健康を守り抜き、その上で、感染対策と社会経済活動との両立を図り、経済を回復させていくことが基本であります。



 まずは、冬のインフルエンザ流行期に備え、一日平均二十万件程度の検査需要に対応できるようにするとともに、医療機関の安定的な経営を確保するための支援を進め、必要な医療体制を確保します。



 また、GoToトラベルについては、延べ二千五百万人以上の方々が宿泊し、感染が判明したのは数十人です。引き続き、感染対策をしっかり講じた上で、GoToキャンペーンの各事業を適切に運用して、ダメージを受けた観光、飲食、イベントなどを支援し、経済の回復につなげてまいります。



 さらに、経済再生のために不可欠な国際的な人の往来についても、国内外の感染状況等を踏まえながら、感染再拡大の防止と両立する形で、段階的に再開をしてまいります。



 外交方針についてお尋ねがありました。



 インド太平洋地域の中心に位置するASEANは、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組のかなめであります。



 このような考えから、今般、本年のASEAN議長国であるベトナムと、ASEAN地域内の最大の人口、GDP、面積を誇るインドネシアを訪問し、インド太平洋国家である日本として、地域の平和と繁栄に引き続き貢献していくとの意思を明確に発信しました。ASEANを始め、考え方を共有する国々と協力し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的かつ着実に推進していきます。



 日米同盟は、我が国外交、安全保障の基軸です。米国の大統領選挙の結果いかんにかかわらず、北朝鮮などの地域情勢への対応を始め、幅広い分野で日米関係を一層深化させてまいります。



 中国との安定した関係は、両国のみならず、地域及び国際社会のために極めて重要です。主張すべきはしっかりと主張し、共通の諸課題について連携をしていきます。



 韓国は極めて重要な隣国であり、健全な日韓関係に戻すべく、我が国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めてまいります。



 日ロ関係を重視していく姿勢に変わりありません。平和条約締結問題を含む幅広い分野で日ロ関係全体を発展させていく考えです。



 各国との信頼、協力関係を更に発展させ、積極外交を展開していく決意です。



 北朝鮮についてお尋ねがありました。



 我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す考えに変わりはありません。



 拉致問題は、菅内閣の最重要課題です。拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。引き続き、米国などとも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいります。



 総理就任後、トランプ大統領との電話会談を始めとする各国首脳との会談においても、拉致問題の早期解決に向けた支持を働きかけ、引き続き緊密に連携していくことなどを確認してきています。



 私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う考えです。あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいります。



 女性活躍と少子化対策についてお尋ねがありました。



 女性活躍、少子化対策を進めるためには、誰もが、仕事と子育ての二者択一を迫られることなく、能力を発揮できる環境の整備が不可欠だと思います。



 中でも、男性が子育てに主体的に参加するための環境整備が重要です。今年度から、男性国家公務員には一カ月以上の育休取得を求めておりますが、この促進を図るため、直属の上司等の取組を人事評価に反映させることとしています。こうした国家公務員に対する取組も踏まえ、民間企業でも男性が育児休業を取得しやすくする制度の導入を検討します。また、不妊治療についても、保険適用の実現による経済的負担の軽減に加えて、治療を受けやすい職場環境も整備してまいります。



 こうした改革を強力に進めることを通じて、社会全体での意識を高め、男女ともに、希望に応じて、仕事と子育てを両立し、活躍できる社会の実現を目指してまいります。



 女性活躍に関する基本的な方針についてもお尋ねがありました。



 女性の活躍は、国民一人一人の幸福を高めるとともに、我が国の経済社会の持続的発展を確保するために極めて重要であります。



 このため、第四次男女共同参画基本計画に基づき、女性の指導的地位への参画拡大に取り組んでおり、国家公務員については、各役職段階に占める女性の割合が過去最高となるなど、女性の登用が着実に進んでおります。



 引き続き、女性活躍の旗を高く掲げ、強力に取組を進めるため、第五次男女共同参画基本計画を年末までに策定し、令和の時代にふさわしい男女共同参画社会を構築してまいります。



 防災・減災、国土強靱化への取組についてお尋ねがありました。



 御指摘の避難所対策については、避難所の運営に関する取組指針等を自治体に周知し、障害のある方への配慮や、女性の避難所運営への参画、男女別のトイレや更衣室、授乳室の確保などの取組を進めてきています。引き続き、避難所における良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。



 こうした避難所対策も含め、防災・減災、国土強靱化の取組については、骨太の方針二〇二〇において、今後も必要十分な予算を確保し、オール・ジャパンで対策を進めることとしており、省庁、自治体や官民の垣根を越え、引き続き、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。



 憲法改正についてお尋ねがありました。



 憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。



 その上で、お尋ねでありますのであえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により主権者である国民の皆様が決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆さんの理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えています。



 まずは、憲法審査会において、国民投票法改正も含め、与野党の枠を超えて建設的な議論を行っていただきたいと思います。



 子供の大切な命を守ることについてお尋ねがありました。



 私が目指す社会は、自助、共助、公助、そして、きずなです。まずは自分でやってみる、そういう国民の皆さんの創意工夫を大事にしつつ、家族や地域で互いに助け合う、そして、最後は国が守ってくれる、セーフティーネットがしっかりとある、そのような社会を目指します。



 子育てについても同じです。親がみずからの子育てに責任を持つことは当然ですが、決して一人にしない、家族や地域、社会全体で子育てを支え、子供の大切な命を守っていく、そのような取組を進めていきたいと考えています。



 このため、男性の育児休業の促進なども含めた、仕事と育児の両立ができる職場環境の整備や、地域社会で子育て家庭が社会的に孤立しないようにするための支援拠点等の整備、児童虐待のような不幸な事案が起こらないよう、予防の段階からその対策を強化することなど、今後とも、あらゆる手段を尽くして、我が国の未来を担う子供たちの命を守ることに総力を挙げてまいります。



 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)



    〔国務大臣田村憲久君登壇〕



国務大臣(田村憲久君) 野田聖子議員にお答えいたします。



 新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねがありました。



 これから秋冬にかけて、新型コロナウイルスに加え、季節性インフルエンザを始めとする複数の感染症が拡大し、発熱等の症状を訴える方が大幅にふえて、検査や医療の需要が急増することが見込まれます。こうした中で、検査体制、医療提供体制をしっかりと確保し、発熱等の症状がある方が確実に受診していただけるような体制を構築する必要があります。



 厚生労働省としては、できるだけ多くの医療機関において発熱患者等に対する診療、検査の体制を整備していただけるよう、九月に閣議決定した予備費において、インフルエンザ流行期に備えた医療提供体制を確保するため、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関への補助等を行うとともに、自己採取も可能であり、その場合には簡易な感染防護で医療従事者が扱うことができる鼻腔検体の活用を認める等の取組を行っているところであります。



 現在、各都道府県において、医療機関と協議をしつつ、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関の指定を含め、地域の実情に応じた体制整備を進めていただいており、国としても、都道府県の状況を伺い、必要に応じ技術的な助言を行うなど、支援に努めてまいります。



 次に、医療提供体制の維持、確保策とワクチンの現状と展望についてのお尋ねがありました。



 医療機関等への支援については、これまで、第一次、第二次補正予算によって約一兆八千億円を措置するとともに、予備費において約一兆二千億円を措置し、医療機関へのさらなる支援を行うこととしたところであります。



 具体的には、緊急包括支援交付金を増額し、十月以降の病床や宿泊療養施設を確保していくとともに、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関の診療報酬、病床確保料の引上げを行うことといたしております。



 また、インフルエンザ流行期に備えた医療提供体制を確保するため、先ほども申し上げましたが、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関への補助、また、新型コロナ疑い患者を受け入れる救急、周産期、小児医療機関への支援等を行うことといたしております。



 今後とも、国民の皆様に必要な地域医療が確保できるよう、引き続き取り組んでまいります。



 また、ワクチンについては、国内外で開発が行われており、臨床試験等が進められているところであります。ワクチンの確保については、各メーカーとの交渉を進め、来年前半までに全ての国民の皆様に提供できる数量の確保を目指しております。



 また、本臨時国会に予防接種法の改正案を提出しており、円滑に接種を実施できる体制の準備についても進めてまいります。(拍手)



    〔国務大臣小此木八郎君登壇〕



国務大臣(小此木八郎君) 野田聖子議員より、地方自治体の庁舎の建てかえや行政情報のバックアップ体制の整備について御質問をいただきました。



 災害発生時、地方自治体は人命救助や復旧復興等の重要な役割を果たすこととなっており、その際に、十分な機能を発揮できるよう、事前の備えを行うことは重要です。



 そうした中で、自治体の庁舎については、災害対応の拠点となることから、消防庁において、自治体に対し、耐震化や建てかえを要請するとともに、地方財政措置を講じることにより、自治体を支援しているところであります。



 また、災害から行政情報や文書等を守ることは重要であり、これまでも、自治体の業務継続計画策定の手引を作成し、重要な行政データのバックアップの確保等について、消防庁と連携しながら、自治体に働きかけたところでございます。



 加えて、令和三年度予算においては、デジタル技術を活用した取組として、自治体が共同利用可能なシステム上で被災者支援に必要な住民情報のバックアップを確保し、庁舎を被災した場合でも、それをもとに被災者支援を行うことができる、基盤的なシステムを構築するための予算を要求しているところであります。



 今後とも、関係省庁とも連携しながら、自治体の災害対応能力のさらなる向上を積極的に支援してまいります。(拍手)



    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕



国務大臣(赤羽一嘉君) 野田聖子議員より、大都市の内水対策等についてお尋ねがございました。



 まず、答弁に入ります前に、野田議員より、冒頭、厳しいコロナ禍の中、エッセンシャルワーカーとして使命と責任を果たされている公共交通や運送業等に携わる方々に温かいお言葉を頂戴いたしましたことに、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。



 さて、近年、我が国は、気候変動の影響により、自然災害が激甚化、頻発化し、被害も深刻化する中、国民の皆様の命と暮らしを守るために抜本的な防災・減災対策が強く求められております。



 特に、大雨、豪雨災害に対する治水対策として、上流、下流、本川、支川など流域全体を俯瞰し、国、地方公共団体、地域の企業、住民の方々など、関係者が協働して、上流ではダム、遊水地などで雨水を貯留し、下流から河道掘削、堤防強化を計画的に進める流域治水を推進していくことが重要です。



 議員御指摘のとおり、東京などの大都市では、内水氾濫リスクも高く、事実、大規模な内水氾濫による地下空間への雨水の流入等により、交通、電気設備等が被災し、都市機能に重大な支障が生じた事例も見られました。



 このため、下水道管理者による、市街地に降った雨を河川等に円滑に排水するための雨水幹線や雨水ポンプ場などの整備を計画的かつ着実に行いつつ、民間企業による、ビルの地下を活用してなどの雨水貯留施設の整備等を進めることにより、流域の関係者が連携しつつ、都市の治水機能を高めていくことが必要です。



 さらに、下水管の総延長約四十八万キロメートルのうち、二十年後には、その約三分の一に当たる約十六万キロメートルが標準的な耐用年数とされる布設後五十年を経過するなど、加速度的にインフラの老朽化が進む中、その維持管理、更新を計画的に進めていくことも喫緊の課題となっております。



 このような取組を推進するために、国土交通省としては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策後も、必要十分な予算の確保に努め、中長期的視点に立って、計画的に防災・減災対策を強力に推進してまいりたいと考えております。



 以上です。(拍手)



    〔議長退席、副議長着席〕



    ―――――――――――――



副議長(赤松広隆君) 泉健太君。



    〔泉健太君登壇〕



泉健太君 議運の合意に基づきまして、マスクを外させていただきます。



 立憲民主党の泉健太です。私は、立憲民主党・社民・無所属を代表し、先ほどの枝野代表に続き、質問いたします。(拍手)



 私たち立憲民主党は、国民のため、日本の未来のために誕生をいたしました。



 政治に私たちは見えていますか、その声に応え、新しい立憲民主党は、右でも左でもなく、前へ進む国民政党として、全国の皆様とつながり、今の政権が、行政が、制度が国民のためになっているのかを監視し、よりよい姿を提示してまいります。



 総理、ここまでのコロナ対策では、学校一斉休校や布マスク配布など、官邸内での独断が失敗につながっています。官邸内だけで決めるより、各省庁、そして与党、野党が集う国会での議論を踏まえる方が国益にかないます。



 総理、ぜひ、国会重視、そして、これから始まる予算委員会などでの丁寧な答弁姿勢をお約束ください。まず、その認識について答弁を求めます。



 さて、立憲民主党として、まず、今回の感染症で亡くなられた方々に心から哀悼の誠をささげます。また、全国でこの感染症と闘っておられる皆様に深く感謝と敬意を表します。



 私たち立憲民主党は、野党各党とともに、政府に、このコロナ対策に党派を超えて取り組むべく、政府・与野党連絡協議会の設置を呼びかけ、その設置を実現いたしました。



 これまで、約二十回の協議会を通じ、一律十万円の特別定額給付金をいち早く提案し、また、家賃支援給付金の上限六百万への引上げ、アルバイト収入が激減した大学生への支援金の創設、事業主から休業手当が支払われない方々のための休業支援金・給付金の創設などを実現したものです。



 こうして野党の提案で実現されたものも多くありますが、いまだ感染はおさまらず、従来の生活や事業活動が維持できず、苦しみの中にある多くの皆様がおられます。立憲民主党は、こうした方々への支援を強化すべきと考えます。



 まず、農水省の農家向けコロナ補助金、次期作支援交付金について要望いたします。



 農水省は、当初、二百四十一億円の予算を確保。全国の農協を通じ、農家にこの補助金の活用を促しました。コロナ禍で大変な中、多くの農家が光明を見出し、全国の農協も申請手続を支援したのですが、何と、当初予算を大きく上回る約一千九百億円分の申請が来たとわかると、農水省は突如、給付条件を変更したのです。



 これには全国の農家から怒りの声が上がっています。私も先日、四国を視察した際、JA関係者から、厳しい経営環境の中で、交付金を見込んで申請した、農水省は大丈夫だと言っていたとの怒りの声を伺いました。



 総理にはこうした声が届いていますか。答弁は求めませんが、立憲民主党として、ぜひ農水省の対応改善を求めます。



 次は、雇用です。私からは、新型コロナウイルス感染症対応休業支援給付金の問題を指摘します。



 先日、京都の二人の大学生から窮状を聞きました。コロナ前まで連日ホテルの宴会スタッフのアルバイトをしてきたのに、コロナで一気に宴会がなくなり、半年以上収入が途絶えたのです。そこで、国にできた休業支援金・給付金の制度を使って、申請書類を整えたのですが、何と事業主の協力がもらえず給付が受けられないというのです。



 ホテルの配膳やバスガイド、あるいは飲食店の店員など、このような環境に置かれている人は全国に数多くおられるのではないでしょうか。



 総理、この大学生は自助努力をしていないでしょうか。でも、公助の制度を使えず困っています。



 総理は、所信表明で、まず、自分がやってみる、そして、家族、地域で互いに助け合う、その上で、政府がセーフティーネットでお守りすると言いましたが、今回の事象は家族や地域で何とかなるものではありません。公助である制度を改善すべき案件ではないでしょうか。お答えください。



 ぜひ、労働局の判断で給付できるよう、制度改正を求めます。立憲民主党は動きます。この休業支援金・給付金の制度的欠陥を改めるべく、議員立法を提出いたします。ぜひ審議しようではありませんか。御答弁をお願いいたします。



 さらに、大企業で働く労働者が休業支援金・給付金の対象から外れています。企業規模の大小は、そこで働く労働者には何の関係もありません。全ての労働者を対象にすべきです。総理の見解を伺います。



 コロナの最前線で働く方々は、今、精神的余裕も時間的余裕もなく働いています。総理が所信表明で、心からの感謝の意を表しますと述べたにとどまり、具体的な支援を提示されなかったのは極めて残念です。



 立憲民主党は、最前線の医療、介護、福祉、保育、教育などに従事する方々で希望する方々への公費による月二回のPCR検査の実施を提案いたします。



 この職種の皆様の中には、周辺や職場への影響を心配して、各種GoToキャンペーンの利用も控えている方も大勢おられます。せめて安心して家族や友人と行動できるように、これらエッセンシャルワーカーに対する公費検査を実施すべきです。総理の見解をお聞かせください。



 また、社会経済活動の再開には、民間の自費検査を促進することが必要です。事業主の方からも、従業員に受けさせたいけれど費用負担が高くてという声が届いております。民間検査費用の一層の低廉化を進め、民間検査をふやすべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。



 総理、GoToトラベルで交通事業者はもう大丈夫と思ってはいませんか。通勤や移動の手控えで、JRや私鉄、バス、タクシー、海運、航空会社などの公共交通は大打撃を受けています。GoToトラベル後も、飛行機や新幹線などはいまだ前年比四割程度の回復です。



 車内での感染防止対策やマナー対策が講じられていればクラスターは防止できる。ぜひ、公共交通が安全であることを周知いただきたいと思います。そして、公共交通事業者の資金繰り支援策が必要です。総理の見解をお答えください。



 続いて、各種GoToキャンペーンの問題点です。立憲民主党には全国の皆様から声が届いています。その中から二つ、改善を提案します。



 一つは、業界によっての格差です。



 全国には、ブライダル、エステ、マッサージ、スポーツクラブなど、依然として客足が戻っていない業種があります。業界ごとに懸命の努力をしていますが、何らかのGoToキャンペーンが行われている業界と比べると、回復度には大きな差が生じています。まさに縦割りの需要喚起策だからです。



 ぜひ、改めて全業種の落ち込み度合いを緊急に調査して、落ち込みの大きい業界に対しては、クーポン利用の拡大など追加支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。



 二つ目は、GoToイートです。



 オンラインで予約が入るのはうれしい。でも、オンライン事業者に、一人当たりランチ百円、ディナーで二百円などの送客手数料を支払わなければなりません。町の食堂にとって、一人当たり百円、二百円の利益を得るのは大変なことなんです。送客手数料の軽減などの見直しを求めます。ぜひお答えください。



 菅総理は、コロナ禍以前に、財政投融資を活用し、全国に海外富裕層向けの高級ホテルを五十棟建設したいと意気込みました。このコロナ禍で、この計画は現実的なのでしょうか。今もこの構想に変わりはないのか、お答えください。



 また、カジノについても、外国人観光客が激減し、長期にわたりその回復は難しいはずです。もうカジノ構想は撤回すべきと考えますが、総理の見解をお願いします。



 学校のコロナ対策も大変です。少人数学級を推進すべきです。また、コロナ対策で以前に給付された学校支援金も既に底をついている。追加配分を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。



 そして、我々立憲民主党は、新型インフルエンザ特措法の改正を提案いたします。



 内容は、都道府県知事の判断による基礎自治体ごとの緊急事態宣言を可能とし、国と自治体、保健所間の情報共有を法定化し、クラスターや大規模イベントの際の休業要請、また、それに応じる場合の支援給付金の支給を可能とするなどの案を考えています。



 政府は特措法改正案を出す予定はありますか。総理の御見解をお願いいたします。



 自殺者の増加も深刻です。七―九月の自殺者、特に女性の自殺がふえております。このような中、電話相談がつながりにくいという状態が続いております。相談体制の拡充が絶対に必要です。ぜひ総理に取り組んでいただきたい。その見解を伺いたいと思います。



 総理は、政府の男女共同参画推進本部長でもありますので、女性に関する問題をもう一つ指摘せねばなりません。



 自民党内の部会で、自民党所属議員が、女性は幾らでもうそをつけますからと発言したことが世間の大きな反発を呼びました。この発言は、非公式の場だったとか、文脈とかの問題ではありません。根本的な認識としてとんでもない発言だったからこそ、多くの抗議の声が上がりました。たった数日で十三万六千人もの署名が集まったとのことです。



 例えば、性暴力、性犯罪、DVに遭った方々は、過去、被害を訴えても、証拠が乏しいと言われたり、痴話げんかやうそだと曲解されたりして、迅速な対応をしてもらえなかったなど、絶望のふちに立たされた経験を持っています。そのような方々にとって、自民党所属議員による、女性は幾らでもうそをつけますからという発言は、強い衝撃と脱力感、徒労感、無力感に襲われる言葉となったのです。総理、このことを理解されていますか。



 フラワーデモを始め性暴力を防ぐ活動をしている団体が自民党本部にこの十三万六千人分の署名を持参したところ、署名を受け取ってもらえなかったと伺いました。総理、自民党はどうなっているのでしょうか。自民党総裁として、党に、署名を受け取り、対応を講じるよう指示すべきではないでしょうか。お答えください。



 また、性暴力に関しては、同意なき性交にもかかわらず、抗拒不能、暴行、脅迫などの要件を満たしていないという理由で無罪判決が相次いだことが問題となっています。諸外国では、同意なき性交を全て刑事罰の対象とする国もふえています。今のままでは無罪が見込まれるからと、日本では訴訟を諦めるケースもあります。



 立憲民主党は、刑法のこの要件の見直しを提案いたします。総理はこの点いかがお考えでしょうか。



 次に、デジタル政策について指摘します。



 政府が昨年までにマイナンバー、マイナンバーシステム、マイナポータルに投じてきた公費の総額をお答えください。そして、九月からスタートしたマイナポイントキャンペーンの総事業費をお答えください。



 この巨額の税金を使ってカード取得を促しているキャンペーンにもかかわらず、九月の行政手続のマイナポータルへのログイン数はたった二十三万件。つまり、全国民の〇・二%しかありません。こういうことでよろしいか、お答えください。



 総理は、役所に行かずともあらゆる手続ができる、こうした社会を実現すると演説されました。ならば、デジタルに詳しい一部の人しかログインできないような仕組みではなく、国民誰もが使えるようにせねばなりません。



 現在、パソコンでの行政手続には、基本、カードリーダーライターが必要です。カードリーダーライターを普及させねば、個々人は行政手続ができません。ETC車載器の助成金のような普及策が必要かと考えますが、いかがでしょうか。



 また、コロナ追跡アプリのCOCOAのインストールも伸び悩んでいますが、マイナポータルのアプリも、そのインストールにこだわれば、国民の利用は進まないと思います。民間アプリとのAPI接続を緩和すべきと考えますが、いかがでしょうか。



 立憲民主党は、デジタル政策についても、国民の利便性を第一にこれからも提案を続けてまいります。



 次に、日本学術会議の問題です。



 過ちては改むるにはばかることなかれ。立憲民主党は、学術会議が推薦した六名の学者の任命拒否の撤回を求めます。総理、拒否理由は何ですか。出身大学のバランスなのですか。六人個別の事情ですか。立憲民主党は、学術の自治、自律を守りたいと思います。そして、任命拒否の撤回を求めますが、いかがでしょうか。



 さらに、安倍政権時に官房長官であった菅総理には、真相を究明し、政治を前に進める責任があります。森友問題、加計問題、桜を見る会問題など、行政の私物化について、公文書の改ざんなどの真相究明が終わっていません。



 端的に伺います。菅総理が前例打破を言うならば、まず、これら問題の再調査機関を設置すべきではないでしょうか。総理の決意をお聞かせください。



 さて、アベノミクス下でも日本は低成長続きです。一人当たり名目GDPは、一九九五年時点で米国、ドイツ、シンガポール、香港より高かったが、今は全てに抜かれ、台湾や韓国にも迫られています。東証一部上場企業の時価総額はことし四月にGAFAMに抜かれ、その差は広がっています。第二次安倍政権発足時に百九十兆円だった日本企業の現預金は、二〇一八年で二百四十兆。しかし、アベノミクスでは、その資金が次なる投資に回ることもなく、日本は情報産業市場で乗りおくれました。



 だからこそ、今、次世代を積極活用し、次なる世代の市場獲得に向けた巻き返しを図るべきです。立憲民主党は、人を大切にする経済、人への投資から日本経済を活性化させたいと思います。



 まず、枝野代表が先ほど述べた消費税減税、所得税減税、そして給付のハイブリッドで国民生活を下支えするとともに、働くことの選択肢とセーフティーネットを充実させるべきです。



 転勤などがなく安定的に地域で暮らせる雇用の場を創出する一方、個人の可能性がより発揮される転職や学び直しを可能にするべきです。例えば、同じ職場で十年働けば、希望者は長期休暇の権利を取得し、一定の所得を維持しながら、資格や学位の取得など、次の選択に向けた準備ができるサバティカル休暇を導入するのです。



 政府は、生活のセーフティーネットとともに、学び直しや職業能力開発の機会を積極的に提供していくべきです。



 立憲民主党は、こうした労働移動への手厚い支援を通じて、人を大切にした雇用政策を提案いたします。この提案について、総理のお答えをお願いいたします。



 そんな中、総理が新設した成長戦略会議にデービッド・アトキンソン氏が選ばれました。彼は、著書で、日本の生産性悪化の一番の原因は中小企業、これら生産性の低い企業は退出しなければならないという趣旨のことを述べています。総理はアトキンソン氏とはたびたび面会されておられますが、総理の中小企業政策に対する考え方もこのアトキンソン氏と同じなのか、お答えください。



 続いて、防衛問題です。



 まず、イージス・アショア。



 これは、本来、防衛大綱にも中期防にもなかった大型防衛装備品で、まさに安倍政権の爆買いの一つでありました。その意味で、河野前大臣による配備撤回の判断は正しかったと思います。



 そもそも、なぜイージス・アショアが必要なのか、納得のいく説明がなされたことはありません。だから、運用も海自か陸自かで混乱をし、配備撤回後は、何と、洋上設置、民間船に搭載、護衛艦風にするなど、代替案がどれもつけ焼き刃的でずさんな案になっております。しかも、採用を決めたレーダーのSPY7は、現在開発中、実績もなく、購入経費も不明です。



 地上型でも六千億円以上と試算されていたこのイージス・アショア。洋上配備ではその額を上回りますか、下回りますか、お答えください。導入断念も聞こえてきますが、違約金とこれまで払った金額の合計は幾らだと見積もっているのか、お答えください。



 そして、敵基地攻撃能力についてです。



 総理、敵基地攻撃を我が国の現実のミサイル防衛に組み込むべきと考えておられますか。自衛隊単独で敵基地攻撃が可能だとお考えですか。仮に米国と分担するとしたら、自衛隊はどの部分の役割を担うと想定されていますか。



 敵基地攻撃もイージス・アショアも、限られた防衛予算をかなり圧迫する要因となりかねません。現在、護衛艦で乗務する海上自衛隊員の確保も大変困難な状況であります。大規模防衛装備品は、自衛官の処遇改善や、整備、訓練の経費を必ず圧迫いたします。総理でおられる間にどれほど敵基地攻撃能力に防衛予算を割くつもりなのか、総理の御見解をお示しください。



 福島原発のALPS処理水については、枝野代表も質問いたしました。総理、年内にも海洋放出を決定するのでしょうか。今後、どのような手順を想定しているのか、お答えください。



 最後に、総理、デジタル化を進めることは確かに必要です。



 しかし、その推進に躍起になるばかりに、近年は、キャッシュレス決済を利用した場合のポイント制度に国費約七千七百億円、マイナポイント制度に約二千五百億円、GoToトラベルに一兆三千億円と、ネットで情報収集ができる人、パソコンやスマホを操作できる人が優先的に利用できる税金還元策、要は、使える人しか使えない税金還元策が相次いでおります。



 ネットを使えず、こうした還元策の恩恵を受けられない高齢者を中心とした方々のこと、そして、ネットを使えても、生活費や時間に余裕がなく、これらの制度を利用できない国民も大勢いることを忘れてはなりません。政治の役割、公助の役割は、まさにここにあるのではないでしょうか。



 こうした税金還元制度を全ての国民が使えるようにするための生活環境、通信環境、教育環境を構築すること、それこそが政治の役割であります。今の政府にはそれが足りていないのではないでしょうか。



 総理は、たたき上げの総理とおっしゃいます。私もたたき上げの一人でありますが、たたき上げであることを誇るのではなく、たたき上げだからこそ、自助の大変さ、共助すら困難な現代の孤立、孤独社会の難しさ、公助にたどり着くことの難しさを理解していただきたいのです。



 菅総理は、まず、自分がやってみる、そして、家族、地域で互いに支え合う、その上で、政府がセーフティーネットでお守りをすると述べました。それは、まず自助と共助がなければ公助はないという姿勢ではありませんか。



 私たち立憲民主党は、枝野代表を先頭に、多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会を目指しています。これからの時代は、国民の自助と共助を信頼し、それを支える公助を充実させることこそ必要なのです。だからこそ、立憲民主党が皆様の期待に応えます。



 私たち立憲民主党は、国民の皆様に寄り添い、国民とともに新しい政府をつくることを皆様にお誓いをして、質問を終わらせていただきます。(拍手)



    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕



内閣総理大臣(菅義偉君) 泉健太議員にお答えをいたします。



 国会での答弁姿勢についてお尋ねがありました。



 まず、新型コロナウイルスについては、爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜き、その上で、感染対策と社会経済活動との両立を図り、経済を回復させていきます。



 この国会では、新型コロナウイルスワクチン接種のための法案などの提出を予定しており、法案の趣旨を丁寧に御説明するとともに、政策を前に進めるべく、建設的な議論を行っていきたいと思っております。



 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金についてお尋ねがありました。



 政府としては、これまで、企業の雇用維持の取組に対して、雇用調整助成金の特例措置を講じ、休業手当の支払いを支援することを基本として対応してまいりました。御指摘の支援金は、こうした雇用調整助成金の活用もままならない中小企業の労働者を早期に支援するために創設したものであり、支援が必要な対象者にしっかりと行き届くように取り組むことが重要だと思っています。



 その支給に当たっては、不正受給を防止する観点から事業主に休業の事実を確認する必要がありますが、事業主の御協力がいただけず、申請、支給に至らないケースがあると聞いています。



 こうした場合については、労働局で労働者からの直接の申請を一旦受け付けた上で、事業主に対して調査を行うという運用にしているところであり、こうした運用や制度の対象者について、わかりやすく周知徹底を図ってまいります。



 また、大企業については、本制度の創設趣旨に鑑みれば対象となることは困難であると考えておりますが、雇用調整助成金を活用して、休業手当をお支払いいただくようしっかり働きかけてまいります。



 なお、法案の審議については、国会がお決めになることと考えます。



 新型コロナウイルス感染症に係る検査についてお尋ねがありました。



 感染リスクと背中合わせの過酷な環境の中で働いている、医療機関や介護、障害福祉サービス事業所で働く方々に対しては、令和二年度第二次補正予算により、慰労金として最大二十万円の給付を行っているところであります。



 こうした方々に対する検査については、感染者が多数発生している地域等において、病状がない方も含め、医療機関や高齢者施設等に勤務する方や入院、入所者を対象に、一斉、定期的な検査を実施することを各自治体にお願いしているところです。政府としては、引き続き、新しい検査技術も積極的に活用しながら、こうした検査の需要に適切に対応するべく体制整備を行ってまいります。



 また、御指摘の民間検査費用については、価格や検査内容について情報開示を進め、利用者が選択しやすい環境づくりに努めてまいります。



 公共交通支援についてお尋ねがありました。



 鉄道、飛行機等の公共交通の運営に当たっては、車内、機内などの換気を始めとする感染防止策の徹底を図るとともに、利用者にもマスクの着用や会話は控え目にすることなどを呼びかけています。



 こうした取組によって、安心して公共交通を御利用いただける環境が確保されると考えており、引き続き、事業者と利用者に対し、必要な対策を周知してまいります。



 また、公共交通事業者の資金繰り支援については、これまで雇用調整助成金や持続化給付金、日本政策投資銀行の危機的対応融資の活用などの支援を行っており、今後も必要な事業者にこうした措置が行き渡るよう取り組んでまいります。さらに、地域の公共交通について、第二次補正予算について感染拡大防止対策の実施を支援していきます。



 GoToキャンペーンについてお尋ねがありました。



 依然厳しい経済状況の中で、引き続き、さまざまな業種で雇用を守り、事業が継続できるように、最大で二百万円の持続化給付金、最大四千万円の無利子無担保融資などの措置が行き渡るようにしてまいります。



 さらに、GoToキャンペーンにより、旅行、飲食、演劇やコンサート、商店街でのイベントを応援し、経済の回復につなげてまいります。GoToイートでは、手数料を徴収しない予約サイトもあり、こうした予約サイトも含めて健全な競争ができるよう、政府としても、飲食店へ情報提供を行ってまいります。



 今後とも、新型コロナウイルスが経済に与える影響を始め、内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく、必要な対策を講じてまいります。



 世界レベルの宿泊施設とIRについてお尋ねがありました。



 我が国は、観光客が長期滞在できる世界レベルの宿泊施設が不足しており、今後、インバウンドが戻ってきたときに備えてこうした施設を整備することは、地域経済に大きな波及効果があるものと考えます。



 このため、各地に世界レベルの宿泊施設を五十カ所程度整備することを目指しているところです。



 また、いわゆるカジノは、既に世界の約百三十カ国・地域で行われており、さらに、日本型IRについては、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設とする予定であり、我が国が観光先進国となる上で重要な取組であると考えています。今後とも、IR整備法などに基づき、必要な手続を進めてまいります。



 学校の新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねがありました。



 政府としては、令和二年度補正予算において、各学校が必要とする消毒液、体温計、サーモグラフィーなどの購入支援等に約四百三十億円を措置しており、各学校のニーズを踏まえ、執行を進めているところです。



 今後とも、必要に応じ支援を進めてまいります。



 特措法改正についてお尋ねがありました。



 新型コロナウイルス感染症については、これまでも、感染の拡大を抑え、国民の命を守るため、現行制度のもと、さまざまな工夫を凝らしながら、政府を挙げて取組を進めてまいりました。六月からの感染拡大についても、七月末以降、減少に転じ、現在、横ばいから微増傾向と評価されております。



 その上で、特措法については、将来に備え、よりよい仕組みとなるよう検討していくことは必要でありますが、有識者の間でも、罰則を含めて規制強化をすべきという意見や、私権制限に慎重な意見等があり、先日の分科会でもこうしたさまざまな意見が出されたと承知しています。



 このため、今般の新型コロナウイルス感染症に対して御指摘いただいているさまざまな法的論点については、全体の法体系との整合性も図るとともに、幅広い意見を聞きながら検討を進めていくことが必要と考えます。



 さらに、今後の感染拡大に備え、これまでの経験や科学的知見も踏まえ、クラスター発生時における大規模、集中的な検査実施による感染の封じ込め、感染拡大時の保健所支援の広域調整、季節性インフルエンザの流行も見据えた検査、医療提供体制の整備などについて、地方自治体とも密接に連携しつつ、国が主導して、万全の整備、対応を講じてまいります。



 自殺対策についてお尋ねがありました。



 自殺予防の電話相談については、現在、多くの方々からの相談が寄せられていると承知しています。



 自殺相談の相談員は高度な知識や経験が必要であり、短期間で大幅な体制の拡充は厳しいと聞いておりますが、政府としては、令和二年度補正予算を活用して、自治体における休日、夜間を含めた相談時間の延長や、民間団体におけるSNSを活用した相談への支援を通じ、自殺防止に向けた相談体制の強化を図っているところです。



 引き続き、地方自治体や民間団体にさらなる拡充を働きかけ、必要な支援を行ってまいります。



 性犯罪、性暴力対策に関連し、自民党議員の発言、性犯罪の要件の見直しについてお尋ねがありました。



 性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つける重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。DVや性犯罪、性暴力の被害者が声を上げることをちゅうちょするようなことがないよう、政府を挙げて、引き続きしっかり取り組んでいきます。



 御指摘の署名については、国会議員の出処進退はみずから判断するものであると考えており、その取扱いについて、党の判断を尊重します。他方で、政治家は、その発言に責任を持ち、有権者から信頼を得られるよう、みずから襟を正すべきだと思います。今回、政調会長からの注意を受け、謝罪をしているものと承知しています。



 また、平成二十九年に成立した刑法の一部を改正する法律の附則については、施行後三年を目途として施策のあり方の検討が求められています。現在、法務省において検討を行っているところであり、御指摘の点を含め、性犯罪の実態を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えます。



 マイナンバー制度等についてお尋ねがありました。



 マイナンバー制度の関連費用の総額は、マイナンバー法が成立して、平成二十五年度から令和元年度までの累計で約四千五百億円となっており、マイナポイント事業は、昨年度補正予算及び今年度当初予算の合計で約二千五百億円です。



 マイナポータルは、マイナンバーカードを利用して自宅やスマホから役所にオンラインでさまざまな申請ができるものであり、今年度は九月までの間に、四千二百万件を超えるトップページへのアクセスがあり、四百万件を超えるログインがあったところであります。



 行政のデジタル化に関する普及策と手法についてお尋ねがありました。



 まず、マイナンバーカードの読み取り環境の整備について、さまざまな御指摘を踏まえ対応を行っていきますが、昨年十月に新たにiPhoneが対応するなど、読み取りに対応したスマートフォンの機種の拡大を図ってきたところです。



 また、マイナポータルの利便性については、さまざまな御意見をいただいているところであり、そのような御意見も踏まえつつ、より国民に利用していただけるよう、引き続き利便性を高め、その魅力を向上させてまいります。



 日本学術会議についてお尋ねがありました。



 個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えは差し控えますが、任命を行う際には、総合的、俯瞰的な活動、すなわち、専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として、国民に理解される存在であるべきこと、更に申し上げれば、例えば、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事だということを念頭に、私が任命権者として判断を行ったものであり、今回の任命について変更するということは考えておりません。



 森友学園問題等の再調査についてお尋ねがありました。



 森友学園問題に係る決裁文書の改ざんについては、財務省において、捜査当局の協力も得て、事実を徹底的に調査し、調査報告を取りまとめており、さらに、検察の捜査も行われ、結論が出ているものと承知しております。



 加計学園問題については、安倍前総理大臣が、国家戦略特区のプロセスにおいては、法令にのっとり、一貫してオープンなプロセスで進められていますと答弁されているものと承知しています。



 桜を見る会については、招待者数の増加などについての御批判も踏まえ、来年以降、少なくとも私の任期中は開催しないこととしました。関連する公文書に関しては、公文書管理法などに基づいて既に対応しており、昨年から国会で御説明をしているとおりであります。



 いずれにせよ、大事なことは、今後、行政において、こうしたことを二度と起こさないことだと思います。公文書管理の適正化を始め、引き続き、行政の透明性、公正性を確保してまいります。



 学び直しなどの雇用政策についてお尋ねがありました。



 人生百年時代に対応し、何歳になっても学び直し、誰もがその能力を存分に発揮できる社会を実現することは大変重要であると考えています。



 政府においては、在職中の方について、企業におけるキャリア相談や、同一の企業で一定期間勤続されている方が教育訓練のための長期休暇を取得できる制度の導入促進、労働者本人の学び直しを支援する教育訓練給付制度の拡充などに取り組んでおります。



 こうした支援を通じて、学び直しの機会を確保し、労働者が主体的にキャリアを形成できる環境の整備に取り組んでまいります。



 中小企業に対する考え方についてお尋ねがありました。



 アトキンソン氏に限らず、さまざまな方から話を伺い、政策の参考にしているところであり、お一人の意見をそのまま採用しているわけではありません。



 私としては、ポストコロナを見据え、中小企業の経営基盤を強化することで、中小企業から中堅企業へ成長し、海外で競争できるような企業をふやしていくことが重要だと考えます。



 そのため、中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化など、中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築し、応援をしてまいります。



 イージス・アショア及び敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。



 イージス・アショアの代替案については、その構成品を移動式の洋上プラットフォームに搭載する方向で検討しているところであり、現時点において、その必要経費についてお答えすることは困難です。



 また、イージス・アショアの契約解除に向けた調整は行っていないため、違約金についてお答えすることは困難ですが、支払った金額は約二百七十六億円です。その上で、イージス・アショアの代替案は、厳しい財政事情や自衛隊を取り巻く諸情勢をしっかりと踏まえて検討してまいります。



 さらに、先月公表の総理談話で述べた問題意識のもと、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針について検討しているところです。



 したがって、この新しい方針に関して、我が国のミサイル防衛や米国との具体的な関係、防衛予算といった御指摘の諸点について、現時点でお答えすることは困難です。



 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いについてお尋ねがありました。



 経済産業省において、本年二月に科学的根拠に基づく報告書をまとめたところです。



 それ以降、自治体や農林水産業団体などさまざまな方と意見交換を重ね、さらに、一般の方からも書面による意見募集を行う取組により、ALPS処理水の安全性や風評への懸案など、広く国民の皆様から貴重な意見をいただきつつ、議論を積み上げてきています。



 敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めず先送りすることはできないと考えています。これまでの検討を踏まえ、更に政府内での検討を深め、今後、適切な時期に、政府として責任を持って処分方針を決め、風評被害対策にもしっかり取り組んでまいります。(拍手)



     ――――◇―――――



武部新君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。



副議長(赤松広隆君) 武部新君の動議に御異議はございませんか。



    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。



 本日は、これにて散会いたします。



    午後三時四十五分散会



     ――――◇―――――



 出席国務大臣



       内閣総理大臣  菅  義偉君



       財務大臣  麻生 太郎君



       総務大臣  武田 良太君



       法務大臣  上川 陽子君



       外務大臣  茂木 敏充君



       文部科学大臣  萩生田光一君



       厚生労働大臣  田村 憲久君



       農林水産大臣  野上浩太郎君



       経済産業大臣  梶山 弘志君



       国土交通大臣  赤羽 一嘉君



       環境大臣  小泉進次郎君



       防衛大臣  岸  信夫君



       国務大臣  井上 信治君



       国務大臣  小此木八郎君



       国務大臣  加藤 勝信君



       国務大臣  河野 太郎君



       国務大臣  坂本 哲志君



       国務大臣  西村 康稔君



       国務大臣  橋本 聖子君



       国務大臣  平井 卓也君



       国務大臣  平沢 勝栄君



 出席内閣官房副長官



       内閣官房副長官  坂井  学君



 出席政府特別補佐人



       内閣法制局長官  近藤 正春君

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000120320201028002.htm
衆議院トップページ >立法情報 >会議録 >本会議 >第203回国会 本会議 第2号(令和2年10月28日(水曜日))



明日への視角

女性差別撤廃の選択議定書批准アクション

浅倉むつ子【早稲田大学名誉教授】

 今年(2019年)は、国連が女性差別撤廃条約を制定してから40周年。記念すべき年だ。そして、日本が条約を批准してから34年もの年月が経った。果たして、この条約は、日本社会でどれほど活かされているのだろうか?
 条約を批准した国は、4年ごとに女性差別撤廃委員会(CEDAW)に報告書を提出し、CEDAWは各国政府との「対話」を積み重ねる。2016年の日本の審査の模様は、本誌234号にも紹介した。審査後にCEDAWは総括所見を公表して勧告を出すが、その勧告に拘束力はない。あくまでも「建設的対話」にすぎないからである。
 結局、勧告を受けて立法府が法改正をしないなら、差別を受けた被害者は裁判で争う以外ない。ところが日本の裁判所は、女性差別撤廃条約を裁判上の根拠規定と解していない。条約に「自動執行性」が認められないかぎり、それは法律と異なって司法審査の根拠にならない、という考えからだ。性差別をめぐる多くの裁判で、原告側は条約違反を主張してきたが、裁判所はこれらを簡単に退けてきた。これでは、条約が国内で活きているとはいえない。
 条約を活かすためにできることの一つは、条約に伴う「選択議定書」を批准させることだ。女性差別撤廃条約から20年がたった1999年、国連は、選択議定書を制定した。これを批准すれば、その国の個人は、権利侵害の事実を、CEDAWへ直接に通報できる。これが「個人通報制度」である。もし日本にこの仕組みがあれば、裁判所もむげに条約を無視するわけにはゆかない。最高裁でも救済されなかった個人がCEDAWに訴えることができるからである。
 しかし日本政府は、あくまでも選択議定書の批准に否定的だ。外務省は、CEDAWからの批准要請には「検討する」と回答しながら、長年、説明すら怠っている。すでに世界の112か国は選択議定書を批准したにもかかわらず、日本は、この点では明らかに人権後進国である。
 本年3月、日本国内で、選択議定書の批准を求める「女性差別撤廃条約実現アクション」がスタートした。多くの女性NGOがこれに参加して、国会への請願署名に取り組んでいる(https://www.facebook.com/opcedawjapan/)。女性差別撤廃条約を日本で活かすために、このアクションを何とか成功させたいものである。

(生活経済政策2019年6月号掲載)

http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/shikaku/201906.html
明日への視角

女性差別撤廃の選択議定書批准アクション

浅倉むつ子【早稲田大学名誉教授】


https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-11-01/2022110105_01_0.html




国民の身を切って年金削減、高プロ賛成、戦争推進のカジノ賭博推進する闇金側の維新が全国政党化は阻止したい。



このページは、政治や選挙に関連するニュースを集めたコーナーです。話題のニュースを一連の流れで確認することができるようになっています。順次、更新していきますので「政治山」の情報データベースとしてご利用ください。今回のテーマは、「日本維新の会 解党」です。

2012年の衆院選を機に、大阪維新の会の代表・橋下徹氏と、元都知事で太陽の党党首の石原慎太郎氏がタッグを組んだ「日本維新の会」。しかしながら、個性的なコンダクター(指揮者)2人の下で奏でた野党再編のメロディーは、合流当初からの不協和音が収まることなく、1年半で分党の道を進みます。

またも再編の荒海へ

新党「次世代の党」。 【石原慎太郎公式サイト「宣戦布告.net」】

「次世代の党」
50年、100年先の話じゃなく、現実貧富の格差は非常に生じてきたし、それから若い諸君が結婚できない。自分の人生というものの選択を非常にせばめられている。
こういった人たちをいかに救済いていくか。若い人たちに、将来に人生に期待を持てるかという形に直していくかということは、私たち共通の大きな責任だと思います。

次世代、維新が新党設立 【神戸新聞】(2014 年)

日本維新の会の解党に伴い、平沼赳夫元経済産業相らは1日、新党「次世代の党」を正式に旗揚げした。橋下徹大阪市長らも党名を引き継いだ暫定的な新党「日本維新の会」を発足させた。両党とも同日、総務相に設立届を提出した。

平沼氏を党首に選出=次世代の党 【時事通信】(2014年7月31日)

次世代の党は31日、衆院議員会館で両院議員総会を開き、平沼赳夫元経済産業相を党首に選出した。

「次世代の党」、党首に平沼氏選出 【日本経済新聞】(2014年7月31日)

日本維新の会の石原慎太郎共同代表を支持するグループは31日の両院議員総会で、8月1日に結成する「次世代の党」の党首に平沼赳夫元経済産業相を無投票で選出した。平沼氏は幹事長に山田宏氏を指名した。

日本維新の会が正式に解党 【NHKニュース】(2014年7月31日)

日本維新の会は、橋下共同代表のグループと石原共同代表のグループが発足させる次世代の党に分党するため、31日、政党を解散するための届け出を行い、結成から1年10か月で正式に解党しました。

橋下氏、新党名に「維新継承を」…結い反発必至 【読売新聞】(2014年7月25日)

日本維新の会の橋下共同代表は24日、維新の会分党後に結いの党と結成する新党名について、「(維新の会で)国政選挙をもう2回やっている。前回衆院選の時には1200万人が書いてくださっている。そこはよく考えないといけない」と述べ、浸透している「日本維新の会」を継承すべきだとの考えを示した。

次世代の党、8月1日設立 綱領に「新しい憲法」 【朝日新聞】(2014年7月24日)

分裂した日本維新の会の石原慎太郎氏や平沼赳夫氏らが立ち上げる「次世代の党」は24日、新党準備会を国会内で開き、新党の綱領や規約、基本政策を決めた。綱領には、石原氏がこだわる自主憲法の制定について「国民の手による新しい憲法の制定」と記した。新党は8月1日に設立する。

次世代の党、8月1日設立 9月16日に結党大会 【日本経済新聞】(2014年7月10日)

日本維新の会の石原慎太郎共同代表を支持する所属国会議員は10日、都内で前日に続き研修会を開き、新党「次世代の党」を8月1日に設立することを確認した。月内に「自主憲法制定」を明記した綱領や規約を固め、9月16日に都内で結党大会を開く。

「維新」継承に異論も=結い 【時事通信】(2014年7月9日)

結いの党は9日、日本維新の会の橋下徹氏のグループとの合流をめぐり、党所属の地方議員約30人から意見を聴取した。橋下系が「維新」の党名を継承したいとしていることについて、出席者からは「知名度が高く、残してもいい」との容認論の一方、「抵抗がある」「選挙で票が集まりにくくなる」などと反対論も相次いだ。

橋下維新、結いと衆院で統一会派 野党第2会派に 【朝日新聞】(2014年7月9日)

分裂した日本維新の会の橋下徹共同代表が率いるグループと結いの党は9日、統一会派「日本維新の会・結いの党」の結成を衆院に届け出た。

民主・みんな、次期衆院選で協力協議…連携深化 【読売新聞】(2014年7月1日)

民主党の大畠幹事長とみんなの党の水野幹事長は30日、国会内で会談し、次期衆院選に向け、選挙協力に向けた協議を始めることで一致した。

みんな:石原グループとの合流「多分ない」と明言 【毎日新聞】(2014年6月30日)

民主党の大畠章宏、みんなの党の水野賢一両幹事長が30日、国会内で会談した。みんな幹部は、解党し分党する日本維新の会の石原慎太郎共同代表グループとの合流について「多分ない」と明言した。

新党名は「次世代の党」=石原グループ8月に旗揚げ 【時事通信】(2014年6月26日)

日本維新の会を分党して新党を結成する石原慎太郎氏のグループは26日、新たな党名を「次世代の党」に決めたと発表した。

維新の分党決定で地方議員「どちらにつけば…」 【読売新聞】(2014年6月23日)

日本維新の会の国会議員がいるのは27都道府県。
このうち議員の行き先が「橋下新党」「石原新党」などに分裂するのは10都府県に上る。国会議員と地方議員らで意見の異なるところもあり、来春の統一地方選を控え、各府県の総支部では混乱が広がっている。

1年半で破局

維新が分党を正式決定 8月に橋下、石原新党結成へ 【日本経済新聞】(2014年6月22日)

日本維新の会は22日、大阪市内で臨時党大会を開き、解党して橋下徹、石原慎太郎両共同代表の2つのグループに分党すると正式に決めた。橋下氏を支持する所属議員37人は江田憲司代表率いる結いの党の14人との合流に向けた準備に入る。石原グループに参加する23人は26日にも新しい党名を決定する。ともに8月中の新党結成をめざす。

日本維新の会、解党を正式決定 臨時党大会で 【産経新聞】(2014年6月22日)

日本維新の会は22日、大阪市内で臨時党大会を開き、橋下徹、石原慎太郎両共同代表が中心となる2つのグループに「分党」するため、解党することを正式に決めた。

維新の会分裂で橋下徹は「真の政治家」になれるのか? 【田原総一朗 公式ブログ】(2014年6月13日)

石原慎太郎さんが、橋下徹さんと袂を分かつこととなった。日本維新の会が結いの党と統一会派を組むことになったためだ。自主憲法制定を提唱する石原さんにとって、自主憲法を認めない結いの党は、受け入れることができないのだ。

橋下氏、こだわった野党再編 会談20分、最後は握手 【朝日新聞】(2014年5月29日)

野党再編へ踏み出すか、党の分裂を避けるか――日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が選んだのは、結いの党との合併を進めることを優先した結果、二人三脚で歩んできた石原慎太郎共同代表と別れることだった。

【全文】石原慎太郎氏「維新の会」分党会見 「橋下徹氏と目的は同じだが、登る道が違う」 【ログミー】(2014年5月29日)

5月29日、維新の会からの分党について石原慎太郎・共同代表が記者会見を行い、橋下徹・共同代表が進める結いの党との合流は、集団自衛権についての見解の相違から絶対に認められないこと、そして両者の間に生じた亀裂の経緯について説明しました。

橋下氏「大阪で勝手に」…新党へ石原氏押し切る 【読売新聞】(2014年4月27日)

日本維新の会は26日の執行役員会で、結いの党との政策協議が調えば、今年夏までに合流し、新党結成を目指す方針を決めた。
両党が合流すると、衆院では野党第1党となる。橋下共同代表が来春の統一地方選をにらんで合流を強く主張、慎重だった石原共同代表らを押し切った。

合流を重ねた石原新党、衆院選直前に日本維新の会と

維新の会と太陽の党が合流、代表に石原氏 【日テレNEWS24】(2012年11月18日)

衆議院の解散から1日がたった17日、石原慎太郎前東京都知事らの太陽の党が、日本維新の会に合流することが決まった。石原氏は代表に、維新の会代表の大阪市・橋下徹市長は代表代行に就任する。

橋下氏、石原氏個人とは連携 「たちあがれ」に難色 【日本経済新聞】(2012年10月31日)

日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は31日、新党を結成する石原慎太郎氏について「石原さん個人とは一緒にやりたい。考え方もそんなに隔たりはない」と連携に期待感を表明した。新党の母体になるたちあがれ日本との連携は「カラーが合わない」と難色を示した。

たちあがれ日本、30日に解党と「石原新党」合流決定へ 【産経新聞】(2012年10月25日)

たちあがれ日本は25日、石原慎太郎東京都知事が新党結成の意向を固めたことを受けて、30日に国会内で開く拡大支部長会議でたちあがれの解党と「石原新党」への合流を機関決定する方針を決めた。

日本維新の会結党宣言 橋下氏「全国で大戦」 【スポニチ】(2012年9月12日)

大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は12日、大阪市で開いた政治資金パーティーで、新党「日本維新の会」結成を正式に宣言した。「国政政党をつくることにした。本部は大阪市に置く」と表明した。

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ニュースまとめ一覧
「石原氏、都知事辞任・国政へ」まとめ(2012/11/2)

https://seijiyama.jp/article/news/summary/nws20140731-006.html

「日本維新の会 解党」ニュースまとめ(2014/7/31 政治山)



自民党が民進党や共産党の反対を振り切り、TPP承認案を採決したことについて、安倍晋三首相は「強行採決」と認めていない。国会では「我が党は立党以来、強行採決をしようと考えたことはない」とまで強弁した。この際、採決の正当性を主張する論拠に使われたのが、日本維新の会だった。

「野党である日本維新の会は出席し、賛成した」

維新は2014年衆院選後の首相指名選挙で「安倍晋三」に投票していない。閣僚ポストも渡されていないし、法案提出前に審査する「与党の特権」も与えられていない。

確かに「野党」だ。民進、共産に次ぐ野党第3党だ。

けれども、秋から冬にかけての臨時国会での立ち振る舞いはどうみても「与党」だった。

はじまりは第2次補正予算案。続いてトランプ米政権誕生で死に体となるTPP承認案。そして年金カット法案と呼ばれる年金制度改革法案。維新は与野党が激突する議案に次々と賛成した。維新の同調がなければ自民党もここまで「強行採決」を重ねることはできなかったろう。

極め付けは首相自らが旗を振るカジノ解禁法案だ。自民党は維新とタッグを組み、ついに連立相手の公明党抜きの形で初めて強行採決に踏み切った。公明党は賛否をまとめられず、自主投票に。自公政権における公明党の「歯止め機能」が喪失したことを印象づける場面だった。

自民党は夏の参院選で、土井たか子氏のマドンナブームに敗れた1989年参院選以来27年ぶりに衆参両院で単独過半数を獲得。議席の上では公明党との連立は不可欠でなくなった。

そこへ維新がこれまで以上にすり寄ってきた。安倍首相が「与党」公明党と「野党」維新を天秤にかけ、そのつど好きな方をえり好みできる政治情勢が出現したのである。

求める「見返り」カジノだけ

維新代表の松井一郎大阪府知事は、カジノを中核とする総合型リゾート施設(IR)と万博の大阪誘致を目指し、安倍首相や菅義偉官房長官と会談を重ねてきた。カジノ解禁法案の強行採決後は「万博とのセットで大阪に圧倒的なにぎわいをつくりたい」と歓迎した。「カジノと万博」の大阪誘致が安倍政権に協力する見返りなのだ。クリスマス・イブの12月24日にも橋下徹氏とともに安倍・菅両氏と会談し、憲法改正への道筋についても話し合う見通しだ。

安倍政権が維新から得るものは、維新に比べて遥かに大きい。

与党の公明党が法案に難色を示せば、「維新は賛成」と牽制できる。野党の民進党や共産党には「すべての野党が反対ではない」と強気に向き合える。

いざ選挙となれば、野党に流れる政権批判票の一部を維新が吸収してくれた。維新は夏の参院選の大阪(改選数4)で2議席、兵庫(同3)で1議席を取る一方、民主党(当時)と共産党はともに1議席も得られなかった。松井知事は大阪での二人擁立について「共産党と民主党に大阪での議席を与えたくない」と公言。「最大の敵」は自民党ではなく、民進党や共産党なのは明らかだ。

しかも維新は日常的に激しい民進批判を繰り広げてきた。維新議員が国会で民進議員を「アホ」と罵倒したのは象徴的だ。民進党が「与党のくせに野党のふりをしている変な政党」(枝野幸男氏)と反発するのも無理はない。

閣僚ポストも、法案の事前協議も求めず、協力だけしてくれる。安倍首相にとってはまさに「安上がりな相方」なのだ。

安倍は早「次の相方」養育中

橋下氏が石原慎太郎氏と手を組み、維新を国政進出させた12年衆院選。維新は「自民でも民主でもない第三極」を掲げて躍進した。安倍1強時代に入ると自民党に接近し、民主党に取って代わって野党第1党の座を得る戦略に軸足を移した。

自由党、保守党、みんなの党……。与野党が1議席を争う小選挙区制が96年に導入された後、政権批判票の大半は野党第1党に流れ、全国組織を持つ公明党と共産党を除き、第三極の政党は次々に消滅した。唯一の例外は民主党だ。96年結党後、野党第1党の新進党がほどなく内紛で解党。路頭に迷った新進議員を大量に吸収して野党第1党に昇格したからこそ、生き残った。

まずは民進党を倒し、二大政党の一角に躍り出る。第三極としてその戦略は決して間違っていない。野党第1党でさえあれば、政権批判票をそこそこは取れる。与党が失敗したら、政権が転がり込む。小選挙区制とはそういうものなのだ。

だが、橋下氏という個性派リーダーが政界を去り、維新の勢いは陰った。大阪にとどまらず全国で躍進するリアリズムはもはやない。安倍政権との距離をめぐり分裂した後は自民党へのすり寄りに拍車がかかり、かつて維新との連携を探った民進党の前原誠司氏からも「自民の補完勢力」と突き放された。「自民でも民主でもない第三極」は、「自民党による野党分断のカード」に変わり果てたのだ。

安倍政権はそんな維新をとことん使い切るつもりだ。特に安倍首相の悲願である憲法改正に協力的なのは旨みが大きい。発議に必要な「3分の2」に維新はしっかりカウントされている。

とはいえ、維新の利用価値があるのは現有議席を保持できる衆院解散まで、当面解散がなければ18年春~夏に見込まれる憲法改正の発議までだ。国会での野党分断には役立っても、次の衆院選ではこれまでほど野党共闘を崩す効果は期待できない。

18年末までに行われる衆院選で民進、共産、自由、社民4党が候補を一本化したら、自公両党は日経新聞試算では60選挙区、読売新聞試算では59選挙区で逆転され、維新を足しても3分の2を大きく下回る見通しだと報じられた。維新に代わる「第三極」が現れてくれたら……。

そこへ浮上したのが、小池百合子東京都知事の新党構想だった。東京五輪や築地市場移転で改革姿勢を打ち出す小池氏への不満は、自民党都連を中心に根強い。それでも安倍首相は小池新党の芽を摘むまい。いや、水面下で支援するだろう。「都合の良い相方」を養育していくことこそ、最も安上がりな政権維持策であることを、維新を通じて肌身で知ったのである。

https://facta.co.jp/article/201701038.html
首相「第2の愛人」と化す維新

これほど都合の良い相方はいない。野党なのに何でも賛成してくれるからだ。

2017年1月号 POLITICS









m TAKANO

@mt3678mt

産経新聞と統一教会。まことにお似合いのカップルではないか。外国カルトを応援する新聞が、保守とか愛国とか言うなよ。

引用ツイート



ぽちたま



#統一教会へ解散命令出せ

@Mo20ZupFZz3Gjtd

·

4月4日

産経新聞……合同結婚式を応援してたんだ





産経新聞が載せた「合同結婚式」応援広告 #週刊文春 https://bunshun.jp/denshiban/articles/b3935


午後11:49 · 2023年4月5日

https://twitter.com/mt3678mt/status/1643626925028438018



【独自解説】憧れの合同結婚式で結ばれた相手は、日本人妻目的の信仰心のない男だった― 借金、DV…“統一教会”元信者が韓国で味わった絶望感2023/4/3読売


【独自解説】憧れの合同結婚式で結ばれた相手は、日本人妻目的の信仰心のない男だった― 借金、DV…“統一教会”元信者が韓国で味わった絶望感2023/4/3読売


【独自解説】憧れの合同結婚式で結ばれた相手は、日本人妻目的の信仰心のない男だった― 借金、DV…“統一教会”元信者が韓国で味わった絶望感2023/4/3読売



統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識2023/4/21集英社


統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識2023/4/21集英社


統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識2023/4/21集英社

『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』より



集英社オンライン

統一教会とは何なのか? なぜ日本で蔓延しているのか。そして、自民党と繋がっていることが、どれだけ危険なことなのか。 【画像】統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識

Q1なぜ統一教会は、日本で流行しましたか。

統一教会はカルトです。反社会的で、病原性が高い。カルトだから、伝染力が高くて、広まってしまった。そして、その正体がわからなくて、社会がワクチンを用意することができなかった。 ノーマルなキリスト教とカルトの区別がつかなかった。これが、統一教会が広まった理由だと思います。 キリスト教系のカルトに立ち向かうには、キリスト教の基礎知識が大事です。病気に立ち向かうのに、病理学が大事なのと同じです。カルトは、ウイルスの突起が変化して、危険なものになっているからです。 アメリカでは、人びとはキリスト教の基礎知識があります。そこで、ああ、あれはカルトだなとすぐわかります。 モルモン教は、出てきた当初は、カルトでした。ですから、ほかのキリスト教会とモメにモメた。モルモンの書とか、ジョゼフ・スミスが預言者だとか、言っていることがどう考えても突飛です。 それでもアメリカでモルモン教がある程度広がったのはなぜかと言えば、ふつうのキリスト教の教会に不満な人びとが一定の割合でいて、そういう人びとを仲間として迎えたからです。 モルモン教に加わって、初めて私は生きた心地がしました、という人びとが、ふつうの教会からやって来る。そういう人びとを集めて、拡大していく。 日本の場合、そもそもキリスト教があまり広まっていません。そこで、キリスト教に入るはずが、キリスト教系新宗教に入ってしまうという場合があります。統一教会の、キリスト教の部分に魅力を感じるのですね。

(統一教会の教祖の母国)韓国ではどうか

韓国にはキリスト教が広まっています。ふつうのキリスト教の教会もたくさんあるし、キリスト教系新宗教も多い。統一教会は、文鮮明(ムンソンミヨン)が再臨のメシアだとする、典型的なプッツン系です。 これが韓国で始まってそれなりに流行ったのは、つぎのような事情が考えられます。まず、キリスト教が韓国で根付いたのは、どうしてか。 韓国はもともと父系社会です。父と子の関係を大事にし、自分がどの父系集団に属するか確認して安心する。これが伝統でした。 ところがこうした儒教の文化がだんだん下火になって、都市化が進むと、心に穴があいたような気持ちになります。どこかに偉い父親がいないだろうか。 キリスト教には天の父がいて、その子のイエス・キリストもいる。父系社会の韓国に、キリスト教はわかりやすいんです。 キリスト教会がたくさんあるから、統一教会が奇妙なことはすぐわかる。だから本家の韓国では、統一教会はいろいろ叩かれた。 さて日本社会では、母親が重要です。父親の存在感があまりない。だから高天ヶ原の中心も女神なのです。キリスト教の出番があまりありません。それなのに、統一教会のようなカルトがなぜ入って来るのか。 まず、統一教会がカルトだと、気がつきません。キリスト教の基礎知識が足りないからですね。防波堤になるはずの、キリスト教の力が弱い。そして最後に、統一教会が政治と結びついたからです。
Q2統一教会のようなカルトが政治と関わるのは、どこが問題なのですか。

政教分離の原則から言って、問題です。 それになお問題なのは、統一教会にはっきりとした政治目的があって、それが危険で、しかも隠されていることです。 だから、民主主義にとって、とても有害です。カルトと政治の危険な関係宗教団体は、資金を集めます。生産活動をしないで、寄附を集める。その集め方が度を越していて、相手を騙している場合、詐欺に近い。 ほんとの詐欺なら、少なくともリーダーには、詐欺をしているという自覚があります。カルトの場合、大部分のメンバーには詐欺だという自覚がないかもしれない。むしろ、いいことをしていると思っているかもしれない。 それで歯止めがないから、詐欺よりもっと悪質だとも言えるのです。 そうやって集めたお金を政治家に渡します。自由に使ってください。選挙のときにも手伝います。秘書とか、事務所の電話番とか、ふだんのお手伝いもします。それはつまり、病原性の強いウイルスが蔓延するのを、見て見ぬふりをしてください、ということです。 統一教会には、その先の計画もあります。政権政党に喰い込み、政治家を教育し、信者の議員、シンパの議員を増やして、政治的影響力を強めよう。そうやって日本の政治を左右し、地上に神の王国を実現しよう。それが、統一教会の信仰の内容なのです。 議員のなかには何人か、うかうかと「政策協定」にサインしたひとがいました。危険このうえない。 政治家がそういう手口にひっかかってしまうのはなぜなのか。まず、宗教についての基礎知識がなさすぎます。そして、民主主義についての理解がなさすぎます。 民主主義の基本は、アメリカン・デモクラシーです。アメリカン・デモクラシーの基本は、宗教と政治の関係にあります。「政教分離」ですね。 政教分離は、名前だけならみんな知っています。でもなかみがわかっていません。

Q3では政教分離とは、どういうことなのですか。

民主主義ができた当時、いちばん大事なのは「政教分離」(政治と教会の分離)でした。この考え方を、おおもとにさかのぼって考えてみましょう。 アメリカは、ピューリタン(清教徒)の国、ということになっています。たしかにピューリタンが、メイフラワー号に乗ってやって来て、1620年にプリマスに上陸し、植民地を築いた。 ピューリタンの信仰にもとづいて教会を建て、社会を運営しました。マサチュセッツのほかの植民地も、ピューリタンが築きました。でもそれは、ものごとの一面です。 ヴァージニア植民地は、イングランド国教会でした。メリーランドはカトリックでした。ペンシルヴァニアはクエーカーでした。植民地ごと、州ごとに、人びとの信仰は違ったのです。そして誰もが、自分の教会の信仰を守りたいと思っていました。命をかけても。 さて、こんなバラバラな信仰を背景にした州がいくつも集まって、ユナイテッド・ステイツとして団結し、イングランドから独立しようと戦うことになりました。 司令官(大統領)にジョージ・ワシントンを担いだ。そして独立を勝ち取り、アメリカ合衆国を樹立します。その憲法に、世界で初めての民主主義国家の原則が、さまざまに書き込まれました。 そしてその修正第一条が、「政教分離」(separaation of state and church)の原則です。 それは、「公定教会」(established church)をつくらないことにしましょう、という意味です。これがわからない。「公定教会」とは何でしょう。 公定教会とは、政府が税金を特定の教会に注ぎ込むことです。そういうことはなしにする、が政教分離のなかみです。 日本人は、政教分離と聞くと、そうか、宗教はどうでもいいから、政治と分離しておくのだな、と思うかもしれません。 その逆です。 宗教は、大事で大事で、人びとの生活の中心です。みんな、自分の教会を大事にしたい。安心して自分の教会に行くため、政府はよその教会と結びつかないと決めておく、なのです。 この結果、教会はみんな、税金を使わないで、信徒の献金で維持されることになります。税金は全員が払うものでしょう。その税金を特定の教会に注ぎ込むと、それ以外の教会との不平等が生まれます。すると信仰の自由が脅かされます。 信仰の自由を守るために、政府はどの教会も平等に扱ってください。どの教会の信仰を選び取るかは、市民一人ひとりが自分で決めます。これが、合衆国憲法に書かれた政府と教会の分離、すなわち政教分離の原則です。 これは、アメリカ合衆国憲法で初めて確立しました。 政教分離の原則は、信仰の自由と、表裏の関係にあるのです。
Q4日本では、政教分離と信教の自由について、正しく理解されていますか。

あんまりちゃんと理解されていませんね。国家神道の後遺症もあります。 明治政府は、国家神道は習俗のようなもので、宗教ではない。よって、すべての日本人に強制する、と決めました。仏教徒もクリスチャンも、国家神道に参加しなさい。 でも戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に、国家神道は宗教だから、国民に強制してはいけないと言われてしまいました(神道指令)。割り切れない問題が残りました。

日本国憲法にも政教分離と書いてあるが

日本国憲法は、アメリカ合衆国憲法に倣ったものなので、政教分離と信教の自由が原則として書いてあります。でも、そのロジックがよく理解されていません。 まず、義務教育でこれをきちんと教えていません。大学でも教えないし、テレビや新聞もきちんと説明していない。教科書に載っていても、なかみがわからなければ、教えられません。すると、どうなるか。 憲法の原則、すなわち民主主義の原則にもとづいて、統一教会をどう考えたらいいか、よくわかりません。日本会議を、靖国神社を、創価学会を、…どう考えたらいいか、よくわかりません。 素人考えばかりで、迷ってしまいます。 だから、政治家が特定の宗教団体の支援を受けたり、宗教団体が政治力を発揮したりすることが、民主主義にとってとっても危険なルール違反であることが、わからないのです。 これは、政教分離や信教の自由、つまり民主主義の基本ルールから、ずいぶん遠い状況だと思います。 *統一教会(世界基督教統一神霊協会)は、現在は、世界平和統一家庭連合と名前を変えています。新聞などは「旧統一教会」と表記しますが、本稿では歴史を尊重して、統一教会(Unification Church) と呼ぶことにします。 文/橋爪大三郎  写真/©shutterstock

統一教会が日本で広まったきっかけと、自民党とカルト宗教が癒着していることの本質的な問題点とは。知っておきたい政教分離の基礎知識2023/4/21集英社



では、今の日本は大日本帝国型の思考から脱却しているか。
答えは「いいえ」です。



自民党にとって大切なのは自らの権力維持であり、そのために利権を税金で作って取り巻きに分配し、そこから政治献金や選挙協力などの見返りを得ることが自民党の活動の中心です。人、国民を大切にするところから出発などしていません。



自民党は権威主義、男性優位の思想であり、権力を持つ高齢者男性の思想であり、弱者の思想ではありません。



戦争中心の政治にカネを使いたがり、次世代の子どもや社会福祉のためにはカネを使いたがりません。



自民党型思考も、大日本帝国型思考直系の思考であり、よく似ているといって差し支えありません。



現に、大日本帝国政府の構成員だった者たちの政治的、思想的、血統的な後継者が自民党です。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-8861.html
人をどこまでも粗末に扱う考え方、それが大日本帝国型思考。自民党型思考も大日本帝国型思考直系であり、よく似ている。 (メモ)2022/11/29
22:00




2021年10月28日(木)
維新「自民と一緒」告白
 安倍・菅政権の継続か、政権交代で新しい政治をつくるかが問われる総選挙で日本維新の会は“改革者”をアピールしていますが、実態は自公政治の悪政を後押しする最悪の補完勢力です。この間の維新役員の発言からもそれは明瞭です。

 松井一郎代表は「僕はもともと自民党の地方議員(大阪府議)。大きい方向性、政治理念、そこは自民党とあまり大きく差はない」(25日)と告白。馬場伸幸幹事長は「自民党が過半数割れして政権運営ができなくなれば、自民党と一緒に国のかじ取りに参画していくことはあり得る」(15日)と自民との連立に意欲を見せています。

 浅田均政調会長は、自民党が軍事費をGDP(国内総生産)1%枠にとどめる路線を破って2%への軍拡を主張しているのに対し、「(軍事費のGDP比)2%が天井だとは思っていない」(15日)と述べ、際限のない大軍拡をあおっています。

 憲法改定をめぐっても松井氏は「安倍総理(当時)が(憲法に)自衛隊を書き込む案を自民党の中でまとめてる。われわれはそれに賛成」(25日)と、安倍改憲推進の立場を明らかにしています。

 片山虎之助共同代表は13日の参院代表質問で「小泉政権以降、新自由主義的な政策が実行されたのか疑問だ。小泉政権で閣僚を務めたが、そう認識したことはほとんどない」と述べ、格差と貧困を拡大させたことに無反省です。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-28/2021102802_06_0.html
維新「自民と一緒」告白



参院選躍進で新しい政治の扉開く

 日本共産党府委員会が16日開いた「躍進のつどい」で、山下よしき副委員長(参院議員)が比例代表で7人全員当選の先頭に立つ決意を語り、たつみコータロー参院議員は激戦の大阪選挙区で必ず再選を勝ち取ると訴えました。その要旨を紹介します。

暮らし・憲法破壊と対決
共同の力で政治動かす党
山下よしき参院議員



 昨年5月3日、安倍総理は憲法9条を変えると宣言しました。私は昨年の代表質問で聞きました。

 「憲法9条は日本が起こした戦争への深い反省から生まれ、その後国民の中に広く定着し、日本社会のあり方を決める根幹となりました。軍事では自衛隊の海外派兵を制限する最大の歯止めとなり、自衛隊が海外で殺し殺されることのない状態をつくりました。経済では軍事費を抑制することにより、民生分野を中心とする経済成長を促し、国民生活を向上させる力となりました。学術文化では戦前のような軍事優先と決別し、科学と文化がわが国の平和的友好と人類の福祉増進のために貢献する基礎となりました。総理はこうした憲法9条の生い立ちと働きについて、どのような認識をお持ちですか」

 こう聞いたのですが、驚いたことに安倍総理からは一言の答えも返ってきませんでした。先日の代表質問では次のように聞きました。

 「南北首脳会談、米朝首脳会談で朝鮮半島の非核化と平和に向けた歴史的合意が交わされました。軍事ではなく対話による平和外交でこそ、事態の解決は進む。これがまさに憲法9条が指し示したことです。総理、北東アジアに生きる国として、この地域に平和体制をつくるための外交的イニシアチブを発揮することこそ、憲法9条を持つ国の政府がやるべきことではありませんか」

 この問いにも答えはありませんでした。9条が日本社会に果たしてきた役割、世界で輝く値打ちに一言も語ることができない人に、9条を変える資格はありません。「安倍9条改憲は許さない」の一点で、立場の違いを超えて力を合わせようではありませんか。

 その安倍政権を助け、安倍政権に助けられて大阪の暮らしと街を壊しているのが維新政治。「大阪都」構想は、129年の歴史を持ち、豊かな文化を発信してきた大阪市をつぶし、その権限と財源を府に吸い上げ、福祉を削って巨大開発やカジノにつぎ込むもの。だからこそ、3年の前の住民投票できっぱり否決されたのではないでしょうか。私は「都」構想に「待った」をかけてきた大阪の共同の力に、あらためて敬意と誇りを表明します。

 日本共産党は、憲法と暮らし破壊の安倍政権、維新政治と真正面から対決するとともに、共同の力で政治を動かす党。共同前進のために、誠実に粘り強く頑張る党です。この党が大阪、全国でも伸びてこそ、新しい政治への扉を開く力となります。

国民の手に政治取り戻す
〝大阪決戦〟必ず勝ち抜く
たつみコータロー参院議員



 最高権力者の友人なら、獣医学部の新設が52年ぶりに特例的に認められ、最高権力者の妻が肩入れした学園には、国有地がただ同然で売却される。最高権力者による国家の私物化をごまかすため、公僕であるはずの公務員が公文書を改ざんして虚偽答弁を繰り返す。自殺者が出ても一切誰も責任を取らない。豪雨災害のさなかに酒盛りをしても一切反省はありません。安倍首相一人のために民主主義と国の統治機構が今、壊されています。来年の参院選は民主主義を回復させ、政治を国民の手に取り戻す選挙ではないでしょうか。

 安倍首相が露骨に嫌がるのが、日本共産党の追及です。音源テープは出てくる、内部資料は次々出してくる。私は森友疑惑を昨年から37回も追及してきました。首相退陣まであと一歩まで追い詰めています。

 11月に5歳になった私の長女は、私の仕事をテレビなどで見て、「パパの仕事は、悪いことをした人を謝らせること」と思い、私が大阪に帰るたびに「パパ、悪いやつはもう謝った?」と聞きます。私が「まだだ」と言うと、長女は「もっときつく言わなあかん」と言います。長女や国民の皆さんの期待に応えるため、森友・加計疑惑を徹底追及して、安倍政権を退陣に追い込む決意です。

 私たち議員の仕事は悪政をストップし、国民の要求を取り上げ、先頭に立って国政を動かすことです。私は5年前に皆さんの力で参院に押し上げていただいて以降、計193回の国会質問を行いました。生活保護、労働者派遣法、戦争法、TPP(環太平洋連携協定)、コンビニオーナーの搾取、リニア問題、原発、ライドシェア、民泊、カジノ、市民病院や保育所の統廃合問題など、幅広い国民と府民の声を国会に届けて政治を動かしてきました。

 しかし、これらはまだまだ一部の声です。格差と貧困が安倍政権の下でより深刻になり、安倍政権は憲法を変えて「戦争する国」づくりを進めようとしています。まだまだ届けなければならない声があります。必ず来年7月の選挙を勝ち抜き、皆さんのさらなる声を国会に届けさせてください。

 安倍政権の暴走と維新の暴政に正面対決してきた大阪選挙区の議席は、悪政を進めたい勢力にとって、最大の障壁です。私は、憲政史上、最低最悪の安倍政権を退陣に追い込み、民主主義を取り戻すため、この“大阪決戦”に、どんなことがあっても、皆さんとともに勝ち抜く決意です。

命と暮らし守る自治体に
日本共産党「躍進のつどい」 候補者(統一地方選)が決意

 日本共産党大阪府委員会が開いた「躍進のつどい」(16日=府立体育会館)で来春の統一地方選(前半戦4月7日投票、後半戦4月21日投票)の予定候補者4氏が決意表明しました。

カジノより子どもの貧困対策を
石川たえ大阪府議



石川たえ府議

 学校給食を注文できず、水道の水を飲んで昼休みを過ごす育ち盛りの中学生がいます。500円の医療費窓口負担が払えず、子どもを病院に連れていけないと悲痛な思いを訴えるシングルマザーがいます。

 つらく悲しいそんな貧困の実態を見聞きするたび、大阪で子どもの貧困対策を抜本的に進めなければならないと決意しています。

 安倍政権の自己責任論を先取りする大阪府は、国民健康保険統一化で保険料が値上げし、障害者の薬代有料化も押し付けられました。維新政治は弱者の声を踏みにじり、府民の暮らしを切り捨ててきました。

 被災者支援より万博誘致を優先し、カジノ実現のため巨額の税金を投じる政治を、黙って見過ごすことはできません。

 カジノより子どもの貧困対策を進めるため、皆さんの声を代弁して悪政に立ち向かう日本共産党を、1人でも多く府議会に押し上げてください。府民の命を守る政治を実現するために、全力で頑張ることを誓います。

空白区で2議席を必ず取り戻す
石谷やすこ前堺市議



石谷やすこ前堺市議

 前回4年前の激戦で競り負け空白となった堺区で、必ず議席を奪還する決意です。

 堺区の定数は前回9から8へ削減され、今回は再び定数9に戻ることになりました。「今度こそ勝ってな」「応援してるで」と多くの市民の皆さんから温かい激励をいただきます。この声に必ず応え、必ず勝ち抜きたいと思います。

 これまで再び2議席に挑戦するか悩み、模索してきました。共倒れという痛恨の思いは、もう2度としたくないという気持ちがあるからです。真剣な議論を重ね、厳しさは百も承知の上で、私たちは2人の候補者を擁立する決断をしました。

 堺の党の仲間たちは必ず乗り越えるんだと固く心を決め、その重い決断に私の心はしびれました。

 責任は重大です。田中ひろみさんの後を引き継ぐもう1人の候補も、若く元気いっぱいの藤本ケン候補に決定しました。必ず堺区で2議席を取り戻すため、やるべきことをやり尽くし、なんとしても勝ち抜く決意です。ともに頑張りましょう。

都構想・カジノあかんの声届け
山中智子大阪市議



山中智子大阪市議

 決着済みの「大阪都」構想に大切な市民の税金と時間、エネルギーが奪われてきました。自治体であることを否定するかのような統廃合と民営化、教育壊しと市民いじめの嵐が吹き荒れ、人の尊厳を踏み付けるような言動が繰り返されています。

 私たち日本共産党大阪市議会議員団は、市民の皆さんの怒りや希望の声を真っ直ぐ届けるため、9人全員で力を合わせ、一歩も引かずに橋下、吉村両市長に立ち向かってきました。

 日本共産党しか反対しないカジノや巨大開発の問題で、質疑のたびに他会派議員から、「本当に共産党の言う通りだ」「カジノはあかんな」という声が寄せられます。「都構想」反対とともに「カジノあかん」の多数の思いを唯一代表する日本共産党市議団の責任の大きさを痛感しています。

 いま、大阪が大きな分かれ道に立っています。日本共産党市議団は、絶対にもっと大きくならなければなりません。厳しいたいたかいですが、死力を尽くして頑張ります。

市民の声を届けまともな行政に
田中裕子八尾市議



田中裕子八尾市議

 八尾市はいま、公立保育所と幼稚園を全部なくすという条例、民間の認定こども園の休園をやめてくださいという請願など、市民の怒りと切実な願いが激突する議会となっています。市民の怒りの声を行政に届け、まともな自治体としての役割を果すことを求めて、全力を尽くして頑張っています。

 参院選まであと7カ月、統一地方選挙まで4カ月となりました。

 最初の関門である府会議員選挙では維新、自民、公明の現職3人を打ち破って、小松ひさしさんの当選に全力を尽くす決意です。

 維新知事のお膝元でもある八尾市では、現在3議席の維新が8人の候補者を擁立し、まさに「異質の危険」を持つ維新政治を許すのかどうかが正面から問われる選挙となっています。

 怒りに立ち上がった市民の力と力を合わせ、一緒に連続選挙をたたかう決意です。

 みんなでギアチェンジをして安倍政権を倒し、維新政治を終わらせるために、全力を尽くして頑張ります。

(大阪民主新報、2018年11月25日号より)

https://www.jcp-osaka.jp/osaka_now/7285
躍進のうねりを大阪から
安倍政権と維新に審判下そう
迫る統一地方選・参院選 志位委員長が訴え



「俺らは菅派」
――維新の国会での安倍・ 菅政権の「補完」ぶり
日本共産党府委員会維新対策本部

 日本共産党大阪府員会の維新対策本部がまとめた「『俺らは菅派』――維新の国会での安倍・菅政権の『補完』ぶり」を紹介します。

 第2回中央委員会総会(2020年12月15日)で志位和夫委員長は、「維新が国会でやっていることは『自公の補完勢力』にとどまらず『悪い政治の突撃隊』という邪悪なものです」と指摘しました。
 「俺らは菅派」(維新幹部)と自ら言う日本維新の会の安倍・菅政権補完ぶりを、国会での言動で見ます。

1、 くらしと雇用、営業破壊を推進

 維新は「目指す国家像」を「自立する個人」「自立する地域」「自立する国家」(維新八策)としています。橋下徹元知事は「格差拡大はダメ、競争はダメ、このような甘い言葉こそ本当に危険」として3つの「自立」を強調していました。極端な新自由主義の推進です。
 2019年1月23日の衆院本会議で馬場伸幸幹事長、その維新八策を「ブラッシュアップ」して政府に求めていくと宣言しました。
 新自由主義は、すべてを市場の競争に任せ、企業に対する規制は少ないほど良いという主張と政策で、雇用をめぐる規制緩和=派遣労働をはじめとする非正規雇用の拡大や労働時間規制の緩和、そして、巨大企業の税負担、社会保障負担の軽減と一体に社会保障そのものを削減するものです。
 維新は、その実行を迫り、自公とともに悪法を成立させてきました。17年の総選挙以降の主なものを見ます。(※は日本共産党の主張)

雇用     

・働き方改革一括法(18年6月29日)

 過労死ラインの時間外労働を合法化し、過労死を促進する残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)を盛り込む。また、労働者保護法制が適用されない非雇用型就労も含めた多様な就業形態の普及を国の施策に加えるなど、無権利、低所得の労働者の増大につながるもの。
・生産性向上特別措置法(18年6月29日)
 フリーランスや請負などの「雇用によらない働き方」を推進し、労働者保護法制の枠外での不安定・無権利な働き方を蔓延させることなどを盛り込んでいる。
 これらにとどまらず維新は、「整理解雇の四要件は非常に厳しい…事実上不可能」「解雇の金銭解決ルールの明確化などを思い切って進めるべき」と委員会質疑や本会議の代表質問で繰り返し迫っています。
※日本共産党は、野党の国会共闘と、国民運動の連携した力で、「働き方改革」一括法から、裁量労働制の拡大を削除させました。今、「コロナ危機で最も深刻な打撃を受けているのは、非正規雇用労働者、フリーランスの人々、とりわけ女性と若者。人間らしい雇用のルールをつくります」と奮闘しています。

中小企業の廃業を促進    

・産業競争力強化法改正法(18年5月16日)

 産業の新陳代謝の活性化を掲げ、中小企業の廃業を促し、日本経済の根幹である中小企業の選別と淘汰を一気に狙うもの。
※コロナに乗じて中小企業を「淘汰」する暴政をやめさせ、中小企業を日本経済の根幹に位置づけ振興をはかるべきです。

大企業優遇税制

・所得税法等の一部改正法(20年3月27日)

 法人税率は23・2%なのに、大企業は各種優遇税制で実質負担割合は13%にすぎないのに、さらに優遇措置を講じるもの。
 安倍前政権は、「トリクルダウン」政策で、大企業の法人税率引き下げや大企業優遇税制の拡大を推進。維新は、「法人税率を35・5%から25%へとおよそ10%減税し、経済成長の基盤である国際競争力を強化」する2014年度予算修正案を提出するなど税率引き下げをけしかけ(14年3月20日)、大企業への優遇措置を広げる20年度の所得税法改正案に賛成しています。
※消費税を緊急に5%に減税し、コロナ禍で経営の苦しい中小企業に19年度・20年度分の納税免除し、空前の資産を増やしている富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革こそ必要です。

病床減らしを強権的に    

・医療法及び医師法の一部を改正する法律(18年7月18日)

 地域医療構想の達成のために、病床削減のより強固な権限を都道府県に与え、病床削減を強権的に進めるためのもの。また、医師確保もこうした病床削減計画に合わせることになり抜本的な医師不足の解消にはならないもの。
※地域医療構想による公立・公的病院の統廃合・病床削減を中止し、必要な医療体制の維持・拡充こそ必要です。

生活保護の権利性否定

・生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者支援法の一部を改正する法律(18年6月1日)

 当事者の同意を前提とすべき後発医薬品の使用を、生活保護利用者は後発医薬品を原則とするとし、生活保護の権利性を否定し、制度に対する偏見を強めるもの。
 これまで、維新は、社会保障費を削減するためとして、生活保護利用者に「就労の義務化」「医療費の負担」「後発医薬品使用の法制化、義務化」をすべきと、国会で繰り返し要求(13年3月14日、井上英孝議員、18年3月30日同など)、さらに「就労の義務化」も求めています。
※生活保護を、国民の命と人権を守る制度として改善・強化する、そのためにも、国民の分断を狙ったバッシングや受給者への人権侵害など国民の人権にかけられた攻撃を、社会的連帯の力で跳ね返すことが求められています。

カジノ実施法案

・特定複合観光施設区域整備法(19年7月20日)

 いわゆるカジノ実施法。刑法が禁じてきた民営賭博を米カジノ大手事業者の言うままに解禁するもの。
 維新は、「カジノは成長戦略の重要なかなめ、起爆剤」として推進。国会審議中に、自民と維新の衆院議員に米国のカジノ企業関係者がパーティ券購入の形で資金提供していたことが発覚し、大問題になる中、自公維で成立させました。
※コロナ禍で、多数の客を詰め込む「3密」のカジノはこれまで通り運営できる状況ではなくなり、賭博で異常な高収益を上げるというビジネスモデルは成立しなくなっています。
 夢洲でのカジノに唯一手を挙げている米カジノ資本のMGMリゾーツも負債3兆円を抱え、1万8千人(従業員の4分の1)を解雇。20年4月~6月の赤字は1240億円と、大阪に投資できる状況ではなくなっています。カジノ頼みの成長戦略の失敗は明らかで、キッパリ断念させることが求められています。

年金削減を繰り返し迫る   

 物価や賃金の伸びよりも年金給付の伸びを抑制して給付水準を自動削減する「マクロ経済スライド」。経済成長と雇用拡大が進んでも、基礎年金が30年間で3割も減り、しかも低年金の人ほど被害が大きくなることが明らかになっています。
 維新は「マクロ経済スライドという仕組みがあるにもかかわらず、平成16年の導入以来、実際の発動は、(19年)1月18日の厚労省が発表した今回の発動と合わせてやっと2回目となります」と批判。「マクロ経済スライドによる給付水準の調整の適切な実施が重要」と繰り返し迫っています(19年1月29日、室井邦彦参院議員など)。
※日本共産党は、「マクロ経済スライド」を廃止して、「減らない年金」にすることや、年金額が基礎年金満額(月6万5千円)以下の低収入の年金生活者に、一律月5千円・年間6万円を、現在の年金額に上乗せして給付することを提案しています。

75歳以上の窓口2割負担   

 菅政権は、75歳以上医療費の窓口2割負担を導入しようとしています。
 維新は、20年1月の参院本会議で片山虎之助共同代表は「2割負担とされることは一歩前進だと評価します。」と賛意を表明。さらに「所得でなく資産まで含めるよう提案」までしています。
※2割負担化はまだ決まっていません。国民的運動を広げ、通常国会への法案提出を断念させれば、負担増を止めることはできます。負担増で患者の受診控えをさらに広げる道ではなく、ケアに手厚い社会にすることこそ大事です。

国民健康保険料の大幅値上げ 

 18年から保険料抑制・値下げのための自治体の公費繰り入れを解消、値上げするための国保の都道府県化が実施されました。
 これは、維新がけしかけてきたもの。橋下徹府知事(当時)は「繰り入れをやめるべき」「繰り入れをやめれば保険料は上がる」(10年7月)と言っています。
 「都道府県化」実施後、維新府政は、24年度には国保料を現在より3~4割値上げせざるを得ないとした「推計」を示し、それまでに独自の補助金をなくし、府が定める府内一律の国保料に合わせるよう市町村に迫り、値上げさせています。

介護保険利用者負担増    

 18年8月に介護保険の利用料の3割負担が導入されました。維新は、改悪法の賛成討論で3割負担の対象者を一定以上の「所得」とされている点を「中途半端」と批判、「所得だけでなく資産にも応じた負担割合とすべき」と3割負担の対象範囲の拡大まで主張しています。(17年4月18日)

2、憲法改悪、戦争する国づくり推進

憲法審査会始動に執念    

 「憲法改正などは維新の会も党是」(松井一郎代表)と言い、党大会で「国会の憲法審査会の議論をリードし、国民投票を実現する」と掲げ、国会での改憲発議を繰り返し求めています。
 馬場幹事長は昨年1月、「今国会で国民投票法改正案を成立させること、並行して憲法改正原案に関する憲法審査会での議論を深めることに指導力を発揮すると約束できるか。改憲論議が停滞するならば、衆議院の解散・総選挙に踏み切って国民の信を問う覚悟はあるか」と安倍前首相に迫っています。
 参院憲法審査会に「開かれていないのは、憲法審査会会長の決断力、指導力の欠如」と言って、憲法審査会会長不信任動議を、20年6月17日と12月2日に提出することまでしています。
※日本共産党は、世論と野党の共同を広げ、自民党が執念を燃やした憲法審査会への改憲案の持ち込み、国民投票法(改定案)の採決を、8国会連続で阻止しています。

敵基地攻撃能力保有     

 菅政権は、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有に本格的に乗り出しています。
 森夏枝衆院議員は、安倍晋三前首相が15年9月14日の参院安保法制特別委員会で行った「策源地攻撃については、座して死を待つべきではないということにおいて、これは憲法解釈上もできる」との答弁を引いて、敵基地攻撃能力の保有を要求しています。
※日本共産党は、自民党が進める憲法9条改定に反対し、国民投票法改定案(自公維案)を廃案に追い込み、改憲発議を許しません。「攻撃的兵器を保有することは、自衛のための最小限度の範囲を超えることになるから、いかなる場合も許されない」としてきた憲法上の立場を蹂躙する敵基地攻撃能力の保有を許しません。

3、安倍前政権の「強硬色」薄めに貢献

 安倍前政権は、国会でまともな説明、議論をせず、国民の多数が反対する法案の強行採決を繰り返してきました。
 それと一体となって、強行採決をしているのが維新。メディアからも「安倍政権にとっては、ほとんどの野党が反発する法案でも、与党ではない維新が賛成すれば国会運営の『強硬色』を薄めることができる」(「朝日」20年4月19日付)と指摘されています。

「働き方改革」一括法で    

 「働き方改革」一括法では、衆院で虚偽データーのねつ造で法案の前提が崩れた下で、与党と維新だけで審議入りし、一連の疑惑にフタをしたまま、採決を強行しました。
 参院では、野党の実態調査の再実施に応じず、厚生労働委員長の不信任決議案を本会議に上程せず、たなざらし暴挙の下で採決を強行。自公維で成立させています。

カジノ実施法―審議拒否を繰り返し強行採決 

 カジノ実施法をめぐっては、衆院では審議拒否を繰り返した挙句、野党委員の審議継続を求める動議を無視し、内閣委員会での質疑をわずか18時間で打ち切り、自公維で可決しています。
 さらに通常国会(会期150日間)で成立させられないからと会期を延長しました。参院では議長の不信任決議案が本会議で与党などの反対で否決された後の内閣委員会で委員長が冒頭から質疑終局を宣言。野党が抗議する中、採決を強行して成立させています

4、菅政権でさらに強まる擁護と応援

 菅政権になってからは、「菅派」の本領を発揮し、政権擁護、応援ぶりはいっそう露骨です。

学術会議任命拒否問題    

 日本学術会議に対する違憲・違法の任命拒否の問題では、衆院での代表質問で「(維新の)馬場氏は、『(学術会議が)推薦した候補を形式的に任命していた『あしき前例』をこそ見直す必要がある』と首相を援護射撃した。さらに立憲民主党や共産党を念頭に、『一部野党の批判は筋違いだ』と牽制もした」(「産経」20年10月29日付)と報道されています。
 また、足立康史衆院議員は「権力たるものこれぐらいのことはすると思う。それが問題だと思うなら日本学術会議法の改正をするべきだ」などと公然と介入を擁護する発言しています。(20年11月14日インターネット番組「Choose Life Project」)

臨時国会閉会を強行     

 20年12月4日に、野党が急拡大する新型コロナウイルス感染症対応などのため、臨時国会の会期を12月28日まで延長するよう求める動議を大島理森衆院議長に提出しました。ところが、自民、公明、維新が否決し、閉会を強行しました。

「桜」前夜祭をめぐって    



「憲法こわすな」と開かれたおおさか総がかり集会。自公とその補完勢力である維新の暴走政治を許さない府民の共同のたたかいは、大阪でも広がっています=2017年11月3日、大阪市北区内

 「桜を見る会」問題で、安倍前首相本人が任意の事情聴取を受けたことが明らかになり、国会での証人喚問が求められる事態になりました。維新の片山共同代表は、「賛成ではない」と反対を表明しました。(20年12月22日)
 20年12月25日の衆参の議院運営委員会で安倍前首相への質疑が行われました。
 遠藤敬衆院議員は「私は信じたいと思う。本当に知らなかったんだろうなと」と発言。そして「政治資金規正法の欠陥の問題」と政治資金の問題にすり替えた上で、「政治資金規正法の大改革を安倍先生がリーダーシップをとってやってもらいたい」「安倍先生がこれの旗振り役をされて、実績を残すことが信頼回復への近道」と〝追及〟。
 東徹参院議員は、国会議員への文書通信交通滞在費の使途を公開して、透明化することを求め、安倍前首相が「有意義なご指摘をいただいた」と答弁するなど、疑惑解明などどこ吹く風のていたらくでした。

(大阪民主新報、2021年1月17日号より)

https://www.jcp-osaka.jp/osaka_now/16417
「俺らは菅派」
――維新の国会での安倍・ 菅政権の「補完」ぶり
日本共産党府委員会維新対策本部


https://drive.google.com/file/d/19NiXJCd4tHy6-AEhFDgec6G0YcCETULz/view?usp=sharing



四月一〇日に開かれた日本共産党第五回中央委員会総会で、志位和夫委員長は参院選の最大の争点である「戦争法廃止か、改憲か」にかかわって、こうのべました。
 「野党共闘の勝利、日本共産党の躍進で、自民党、公明党とその補完勢力──『おおさか維新』に厳しい審判を下し、安倍改憲の野望を打ち砕こうではありませんか」
 「おおさか維新の会」の根拠地である大阪で、参院選比例代表では大門みきしさんをはじめ八議席以上、八五〇万以上の得票に責任をもち、大阪選挙区・わたなべ結候補の勝利をなしとげる。いつ総選挙があろうが、「野党共闘の勝利、日本共産党の躍進」をかちとる──大阪の党に課せられる政治責任はきわめて大きいものがあります。

1、「自民、公明・補完勢力」対「五野党・市民・国民」のたたかい

(1)「補完勢力」を少数に追い込む──五野党合意のなかで

 二月一九日に結ばれた「五野党党首合意」は、「安保法制の廃止」「安倍内閣打倒」とともに、第三項目でこううたいました。
 「国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む」
 この「補完勢力」が「おおさか維新」であることは共通認識です。「生活の党」の小沢一郎代表も『世界』の志位委員長との対談でこうのべました。
 「(ダブル選挙になって)安倍政権が大勝すれば、参議院も三分の二をとる可能性があります。大阪(大阪維新の会)も一緒ですから。そうしたら、改憲だけでなく、何をやるか、もうわからない。ですから、どうしても私は、この選挙で野党共闘を実現して、自民党を減らさなければならない」
 ふりかえると、橋下徹氏らが二〇一〇年に地域政党として結成した「大阪維新の会」を率いて、最初に「国政進出」したのは二〇一二年総選挙でした。石原慎太郎氏らと手を組み「日本維新の会」をつくり、自民でも民主でもない「第三極」との幻想をふりまき五四議席を占めたのでした。
 それがいまや安倍政権「補完勢力」の姿をさらけだしているのは二つの背景があります。
 一つは、「維新」みずからのふるまいです。彼らは二〇一四年総選挙を前に石原氏と別れ、「結の党」の江田憲司氏らとくっつき、「維新の党」として四一議席を得ます。しかし、その後また分裂しました。
 この経過のなかで鮮明になったのは、安倍政権にたいする橋下氏、松井一郎氏らの立ち位置です。とくに大阪市の「住民投票」を目前にした昨年初頭、安倍首相が「憲法改定」のためには「維新の会」が頼りだと語ると、橋下氏は「憲法改正はすごいこと。なんでも協力する」「住民投票は(改憲の)国民投票の予行練習だ」とまでのべました。一時、「維新の党」で橋下氏と共同代表をつとめた江田氏は、こう証言します。
 「ときの政権と協力しなきゃダメ、全て実現できない、だから安倍官邸と手を結ぶ(と橋下氏らが主張した)。だから維新の党は分裂したんです!」(「産経」三月二九日付)
 いま一つは、大阪の「反維新」のたたかい、全国の「戦争法案反対」のたたかいで彼らが追いつめられたことです。
 おそらく橋下氏らの思惑は“維新の党・丸ごと安倍政権与党化”にあったでしょう。しかし、大阪では、昨年五月の大阪市「住民投票」で「大阪都ノー」がつきつけられ、橋下氏は「政界引退」を表明しました。全国では「戦争法案」廃案へ、空前の市民的たたかいがおこり、「維新の党」の松野頼久代表は五野党協議の場に何度も臨み、「戦争法案」に反対し、「内閣不信任案」に賛成しました。
 このなかで橋下氏らが率いる「大阪組」は、「住民投票」で使った五億円を「維新の党」の政党助成金でまかなおうと、大阪にある党本部で貯金通帳と判子を奪うなど見苦しい分裂劇を演じたあげく、一四人で「おおさか維新の会」へのコースをたどったのです。

(2)「おおさか維新」の党大会──「補完勢力」ぶりをみずからさらけだす

 三月二六日、「おおさか維新」は党大会を開きました。ここで彼らが果たしている三つの役割が明瞭になりました。
 第一は、「改憲与党」ぶりです。
 党大会では「憲法改正原案」がうちだされました。①高等教育までの教育無償化、②「道州制」などの「統治機構改革」、③「憲法裁判所」を憲法に明記するというものです。
 「教育無償化」が本気なら、憲法を変えずとも法律をつくり、予算をつければいいもので、裏を返せば、「改憲するまで無償化しない」となるものです。「道州制」は地方自治破壊の総仕上げとして狙うもの。「憲法裁判所」となると、いまの憲法は戦前の「軍法会議」などを念頭に、「特別裁判所は、これを設置することができない」としています。違憲立法審査権は、第八一条で最高裁判所がもつことが明記されています。最高裁判官の任命が政府によって歪められ、その機能が果たせていない現状をただすことこそ大きな課題です。
 あれこれ持ち出すものの、ともかく世論を「改憲」土俵に動員する狙いがみえみえです。
 安倍首相は今年に入ってからも、「自公だけでなく、改憲を考えている責任感の強い人たちと三分の二を構成していきたい」と再三発言しています。
 改憲案、公約づくりを担う「おおさか維新」の「戦略本部会議」には、橋下前代表も参加しています。橋下氏は、三月二一日に広島で講演し、「今度の参院選がワン・チャンス(唯一の機会)だと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、一〇年、二〇年と憲法改正の機会は遠のく」と語っています。
 第二は、「安倍政権補完」ぶりです。
 これまで沖縄辺野古新基地建設、TPPなど、安倍政権の主要政策を支持する態度を表明してきた「おおさか維新」ですが、党大会では「責任改革野党」なる立場をうちだしました。
 「責任改革野党」とは何か。松井一郎代表は党大会後のぶら下がり会見で、こうのべました。
 「要はなんでも反対の、そういう反対の勢力ではなくて、当面はやはり今は自民党が過半数を持っているわけですから、その自民党のやりすぎをね、止められる、そして自民党のやらないことをやらせられる、そういう勢力になりたい」
 その直後の三月二九日にとびだしたのが松井氏による「核武装論議必要」論──日本の核兵器保有の是非について「何も持たないのか、抑止力として持つのか、という議論をしなければならないのではないか」という発言でした。自民党政権の「反対勢力」にならず、「自民党のやらないことをやらせる」としてめざす方向とは、これでしょうか。
 党大会後の会見では、ある記者から、「与党過半数割れを目指すのと改憲勢力三分の二を取るのは矛盾すると思うが、どちらが優先か?」と質問がでました。松井氏の答えは「民主の中から改憲派がでてくる」というもので、どんな状況になろうが「安倍改憲与党」ぶりを発揮しようという姿勢は鮮明です。
 第三は、「野党共闘分断勢力」ぶりです。
 参院選の対決構図について、党大会では「日本の政治は、おおさか維新の会と自公勢力と共産党・民進党の勢力になる」などと訴えました。
 しかし、鮮明なのは「民進、共産」への敵視です。二月二四日の記者会見で、松井氏は大阪選挙区に複数候補を擁立する理由を問われ、こう答えました。
 「それ(複数立候補)は一番、共産党と民主党に大阪での議席を与えたくないんでね。
 全く考えが違うからね。まずは、共産党が議席をとるというのは日本の国のためにならないと思っていますので。
 民主党がとっても何もものごと決めることになりませんから。モノを決めることできないんでね。
 であれば我々が苦しくても民主党と共産党と、残り二議席を争うね。苦しくてもそれは日本のためにやるべきかと思っている」
 この面でも自公「補完政党」の面目躍如というところでしょう。
 「おおさか維新」は国会質問でも、攻撃の矛先をもっぱら野党に向け、わが党の学費問題でのプラスターへの難癖や民進党への「あほ」呼ばわりなどを展開。国会議員としての品性の欠如をさらけだしながら、野党攻撃、共闘分断の先兵の役割を果たしています。

(3)安倍政権と「おおさか維新」を追い詰め、大阪の前途をひらく

 「おおさか維新」は国政上の思惑は破たんに追い込まれ、大阪市の「住民投票」でも手痛い打撃を受けながらも、昨秋の知事・大阪市長ダブル選挙に勝利し、失った勢いをまたも取り戻したかのように見えます。しかし、その「勢い」は、安倍政権による助け舟と公明党のとりこみによるところが大きいものです。
 参院選での野党共闘の勝利と日本共産党躍進によって安倍政権打倒に追い込むなら、「おおさか維新」にとって最大の政治的後ろ盾をなくすことになります。そして比例代表選挙でも、大阪選挙区でも、わが党が自民、公明、維新に競り勝つ大奮闘をやりとげるなら、大阪の政治的力関係を激変させることになるでしょう。
 「おおさか維新」の全国進出を絶対に許さないためにも、これをやりぬかなければなりません。

2、「維新」は大阪で何をしてきたのか

 「おおさか維新」は「大阪での維新改革」を国政に広げるといいます。しかし、橋下氏が弄した詭弁・多弁のもとで、実際に大阪でやってきたことは何か。これから何をやろうとしているのか。その真実を見抜くことが大事です。

(1)「統治機構改革」(大阪都)の「政争」にあけくれて

 その第一は、「統治機構改革」(大阪都)をめぐる「政争」にあけくれたことです。
 橋下知事(当時)による「大阪都」構想の提唱は二〇一〇年一月。「府と市を統合すれば『大大阪』がよみがえる」「『二重行政』を解消すれば財政が浮く」「身近な『特別区』で住民サービスは向上する」などがうたい文句でした。
 しかし、その後の経過は混乱と対立の連続でした。
 ──「大阪都」の設計図は見せないままに「改革幻想」を広げた彼らは二〇一一年春のいっせい地方選挙と秋の知事・大阪市長ダブル選挙を制します。
 ──二〇一二年には「国会で『大阪都法』をつくらなければ、国政進出する」と民主・自民・公明などを脅かし、「大都市法」(大都市地域における特別区の設置に関する法律)を成立させます。
 ──「大阪都」構想の先取りとして「府市統合本部」が設置され、府・市の「施設統合・廃止・民営化」とくらし破壊が次々にすすめられます。
 ──橋下氏らは総選挙で公明党が立つ大阪の「自公協力区」には「維新」が候補を立てないことを引き換えに公明党をとりこみ、二〇一三年から大阪府市「法定協議会」を設置し、「大阪都」の設計図(協定書)づくりを始めます。
 ──しかし、法定協の論議は二〇一四年一月に破たんします。すると、橋下氏は「市長辞任・出直し市長選挙」の挙にでます。これは「独り相撲」になりましたが、「勝利」すると、「法定協議会」委員をさしかえてもいい民意を得たと強弁。野党委員をすべて「維新」委員にさしかえ、「協定書」を「議決」します。
 ──当時「維新」は造反者がでて過半数割れしており、府・大阪市議会とも「協定書」は否決されます。ところが今度は安倍政権の力を借りて公明党の態度をひっくり返し、「住民投票」にこぎつけました。
 こうして実施された二〇一五年五月の「大阪市住民投票」は文字通り「維新」VS「オール大阪」の一大決戦になりました。私たちは、「大阪都」構想とは①「大阪市」をつぶす、②くらしをこわす、③「一人の指揮官」でやりたい放題できる体制をつくるものだと、わかりやすく本質をつきました。
 橋下氏と「維新」は政党助成金五億円以上をつぎこんで、テレビコマーシャル、連日の一般紙折り込み、一〇〇万本の録音音声による電話など空前の「金権選挙」をくりひろげました。
 しかし、橋下氏が語れば語るほど「大阪都構想はよくわからない」との声が増えました。彼はとうとう「大阪都になったからといってすぐにくらし、経済がよくなるわけではない」といいだし、チラシでは「住民投票は大阪都のラスト・チャンス」などとあおりたてました。
 結果は七〇万五五八五票対六九万四八四四。大激戦でしたが、市民は「大阪都ノー」をつきつけ、橋下氏は「政界引退」を表明しました。
 ところが昨秋のダブル選前に、またもや彼らは手の平を返し、「大阪都」への「再挑戦」をうたいました。橋下氏は、「ラスト・チャンス」は「最後のチャンス」という意味ではないなどとペテンを弄し、彼らが「究極の民主主義」といったはずの「住民投票」結果を踏みつけ、まだ「政争」を続ける構えです。

(2)「維新政治」のもとで大阪のくらしと景気はどうなったか

 第二は、大阪府民・市民のくらしと景気を深刻化させたことです。
 橋下氏が知事になって八年、「大阪維新の会」結成から六年たちますが、大阪のくらしと景気の実態はどうでしょう。
 ──賃金低下は、大都市部でどこより深刻です。二〇一〇─二〇一四年度では、東京都は名目一〇〇・二、実質九六・四、愛知県は名目一〇一・八、実質九八・七などに対し、大阪府は名目九八・三、実質は九五・八と低下しています。
 ──消費税八%増税によって府民の家計消費が大きく低下しています。大阪市はここ三年連続マイナス。二〇一五年では全国平均月二八万七三七四円にたいし、二六万一八七円。買い物する力が奪われ、「商都大阪」が疲弊しています。
 ──「子どもの貧困」(子どものいる世帯の貧困)は一九九二年のワースト一一位から、二〇一二年には二一・八%(全国平均一三・八%)となり、沖縄についでワースト二位になっています(山形大学戸室健作准教授の調査)。
 松井代表は、「おおさか維新」党大会後の記者会見で、「地価があがった。大阪は六年で変わった」といいのけました。リアルな現実から目を背けたままです。
 「アベノミクス不況」「消費税増税不況」が大阪に襲いかかるもとで、「維新府政」「維新市政」がどんな政策をとってきたのかが問われます。
 彼らは府政では「私学無償化」、大阪市政では「中学校給食」などの「実績」をあげ、その「一点突破」で、「改革」ぶりを宣伝します。
 しかし、その全体像はどうか。府政では、橋下・松井両知事の八年間に、学校警備員補助の廃止、特別養護老人ホーム建設補助の削減、高齢者住宅改造補助の廃止、国民健康保険への補助金削減、千里と大阪赤十字病院の救命救急センターの単独補助廃止、障がい者福祉作業所などへの補助削減など、くらしをめぐる施策・予算が総額一五五一億円も切り捨てられました。
 大阪市政では、橋下市長の四年間で、住吉市民病院つぶし、敬老パス有料化、民間社会福祉施設職員給与改善補助金の廃止、赤バスの廃止と市バス路線の削減、国民健康保険料連続値上げ、市立幼稚園・保育所の民営化、新婚世帯への家賃補助の廃止、保育料の軽減措置の改悪など、高齢者から現役世代にいたるまで大事な予算が総額七〇九億円もカットされました。
 安倍政権の暴走・失政に追い打ちをかけ、府民のふところをいっそう冷え込ませた責任は重大です。

(3)教育・自治の破壊につきすすんで

 第三は、教育への政治介入と破壊、府・市職員支配と人権じゅうりんの数々です。
 二〇一一年ダブル選挙で勝利した彼らが、まずおこなったのは「大阪府市統合本部」を舞台に「教育基本条例」「職員基本条例」をつくりあげ、両議会でとおしたことでした。「教育基本条例」は「知事・市長が教育目標を決める」という立場にたったもの(その後「教育委員会と協議して基本計画案を作成」と修正)であり、「職員基本条例」は「職員は市民に命令する立場」「職員は市長の顔色を見て仕事せよ」(橋下氏)とする特異な立場を条例化したものです。職員には「相対評価」を持ち込み、その評価いかんでは「分限処分」がありうることを明記しています。
 両条例案がでた時、私たちはこれらを「維新独裁」の道具立てだと批判しましたが、それは杞憂に終わりませんでした。
 教育の分野では、橋下氏肝いりの府立高校「公募校長」が卒業式で、教職員が「君が代」を本当に声を出してうたっているかどうかの「口パク・チェック」をする、おぞましい光景があらわれました(この校長がのちに府の教育長を務めた中原徹氏でした。彼は教育委員会でのハラスメント問題で辞職を余儀なくされました)。
 子どもたちは「国際競争を担う人材」づくりへ、「学力テスト」結果の「学校別公表」によって競争づけにされ、府立高校は募集人員が連続して不足すると廃校が強行されています。府立高校入試は猫の目のようにくるくる変わり、「一五の春」の不安だけを増大させています。
 橋下氏は、市長としてICT化や「塾代補助」など「子ども・次世代予算を六倍にした」とうそぶきました。しかし、それは彼の思い付きプランだけをとりだしたもので、教育予算総額は増えていません。
 逆に深刻なのは、教職員への給与カットとしめつけによって、大阪への応募が激減し、現場の教員が不足し、一時的に担任がつかないなど、「教育に穴があいた」といわれる事態もつくっています。
 大阪市職員に対しては、「アンケート」という名の「思想調査」が実施されました。「政治家の演説を聞きに行ったことがあるか」「誰に誘われたか」などを、橋下市長名の「業務命令」として答えさせるもので、「正確に答えないと処分がある」と脅しをかけました。
 明瞭な憲法違反、言論・思想の自由と人権蹂躙の攻撃に対して、大阪市労組をはじめとする職員が敢然とたちあがり、この問題は府労委、中労委、大阪地裁から断罪され、ことしにはいって大阪高裁も断罪。ついに大阪市は上告を断念し、勝利が確定しました。四年越しに不屈のたたかいをすすめた労働者と市民の良識の歴史的勝利です。
 橋下氏は去りましたが、二条例は残っており、この分野での激しいたたかいがいまも続きます。

(4)特異な手法で「幻想」をあおる

 「おおさか維新」が大阪でやってきた特異な手法にもふれなければなりません。
[ウソとペテンを平然と持ち込む]
 橋下氏は、「二万%ない」といいながら、二〇〇八年知事選に出馬したのを皮切りに、大阪市の「住民投票」で「大阪都のラスト・チャンス」と言い放つなど、最後まで平然とウソとペテンを政治に持ち込んで恥じませんでした。
 二〇一一年のダブル選挙で、彼らは「大阪市廃止・分割」をこととする「大阪都」構想をかかげたのに、「法定ビラ」では「騙されないで下さい! 大阪維新の会は大阪市をバラバラにはしません」と大見出しをつけました。また大阪市営地下鉄・バスを無料で活用できる「敬老パス」は「維持します」「私鉄でも利用できるようにします」と書きながら、市長に就任すると「維持」どころか、「有料化」を強行しました。
[分断と対立をあおる]
 「敵」をつくっては、口汚くののしり、みずからを正当化する手法も常態化しました。
 公務員バッシングに始まって、学者、コメンテーター、野党議員、メディア。橋下氏を批判する者はすべて「既得権益者」とされ、市民によってたたきつぶすべき対象にされました。そして“敬老パス無料化なんて大阪市だけ。それが現役世代への投資をジャマしている〟などと市民に分断をもちこみ、対立をあおり続けました。
[「選挙」「民意」を「独裁」の道具に]
 「民主主義」を装いながら、「選挙」や「民意」を「独裁」の道具にする詭弁も多用されました。
 二〇一一年ダブル選挙直後から、橋下氏は「われわれが民意を得た。民意に従うのが民主主義」とうそぶき、“勝てば白紙委任も同然”といわんばかりの態度をとりました。それが議会の抵抗にあうと、「多数者に従うのが民主主義」「これこそ“決定できる民主主義”だ」「僕のやることに反対なら選挙で落とせばいい」と叫び、批判をすべて切り捨てました(府議会で造反が生まれ、過半数割れした時から、「決定できる民主主義」はいわなくなりました)。
[「身を切る改革」のペテン]
 「おおさか維新」は口をひらけば「身を切る改革」といいます。しかし、国民の税金である政党助成金にどっぷりつかっているのは彼らです。また松井知事は「退職金をゼロにした」といいますが、その分は給与に上乗せされ、総額では逆に増えています。この間、竹山修身堺市長が告発した堺の女性市議など、「おおさか維新」議員による「政務調査費」の不正使用も続出しています。
[メディア攻撃とツイッターを武器に]
 都合が悪くなるとメディアを徹底攻撃して批判をかわそうとするのも常とう手段です。
 「慰安婦暴言」問題では二〇一三年五月、「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と言い放った橋下氏にごうごうたる非難がでると、「あれはマスコミの大誤報」と言う。教職員への「君が代」強制問題などで記者が批判的質問をすると逆切れして、その場で記者をつるしあげる。「住民投票」で旗色が悪くなると、「大阪都を報道しない〇〇新聞は明日から購読をやめて」と街頭から叫ぶ──これらに屈し、彼の発言を垂れ流しつづけたメディアの側にも自己検証が求められます。
 彼が発言を広げるうえで最大限利用しているのがツイッターです。テレビ・新聞がつくりだす「橋下人気」のもとで、彼のフォロワーは一四〇万人を数えます。好きな時に好きなだけ一方通行で発信し、そのまま人の口にのぼせようと、これを強力な武器としてきました。

(5)松井府政、吉村市政とのたたかい

 昨秋のダブル選挙で松井知事が再選され、吉村洋文・新大阪市長が誕生しました。これまでと多少目先を変えながらも、「橋下政治」はそのままひきつがれ、強行されようとしています。
 第一に、「住民投票」で否決された「大阪都」構想をそのまま押し通すことはできず、今度は「副首都構想」を叫びだし、このなかで「大阪都」を議論するといい、府市で「副首都推進本部」「副首都推進局」を設置しました。しかし、堺屋太一氏、猪瀬直樹氏らをメンバーにした「推進本部」初会合ででたアイデアは「一〇万人の盆踊り大会」など驚き、あきれるものでした。
 彼らは公明党を引き込むために、この「副首都推進本部」のなかで、公明党がだした「総合区」案についても議論を交わすとしています。しかし、かたや「大阪市廃止」の「大阪都」構想と、「大阪市存続」のもとでの「総合区」の両論を論議するなどペテンはみえみえです。
 彼らの狙いは「副首都」の名でカジノ、リニアの大阪同時着工、無駄開発と多国籍企業を呼び込もうというものであり、これにくみするわけにはいきません。
 第二に、くらし・教育をめぐっては、吉村市長が「五歳児無償化」などをうちだし、橋下氏流に「一点突破」で耳目をひきつけながら、国民健康保険料の引き上げ、待機児解消に逆行する公立保育所の廃止など、さらに容赦ない姿勢をとっています。
 第三に、大阪府立大学と大阪市立大学、府の環境科学研究所と市の公衆衛生研究所などの「統合」、大阪市バス「民営化」の「基本方針」の議決など、何の根拠もない「二重行政」解消の名による施策・施設つぶしがすすめられています。「住吉市民病院」廃止問題では、地域住民、地元医師会がこぞって反対しているにもかかわらず、安倍政権・厚労省の力を借りて、「廃止」同意書をとりつけ、ゴリ押ししています。
 五月議会、秋の議会に向けては彼らにとって「本丸」というべき地下鉄「民営化」の強行も予想され、府民・市民共同をさらに強め、彼らの狙いを許さないたたかいが求められています。

3、安倍内閣打倒、野党共闘の勝利・日本共産党の躍進を大阪から

 大阪の日本共産党と民主的諸団体は、安倍暴走政治とのたたかいをすすめながら、「おおさか維新」の民主主義と地方自治破壊の暴走に対しても一歩もひかず、正面から挑んできました。
 そのなかで「反維新」の歴史的な共同を確立し、堺市長選挙や大阪市の「住民投票」では橋下氏と「維新」を打ち破り、勝利しました。昨秋のダブル選挙で敗れたとはいえ、この共同の輪は、「戦争法廃止」への市民的なたたかいのうねりとあいまって、新たな広がりを見せています。
 この力をいよいよ目前の参議院選挙、きたるべき総選挙にいかんなく発揮して、自民・公明にも、「おおさか維新」にも打ち勝つ決意です。

(1)3・18大演説会を跳躍台に

 三月一八日、日本共産党大阪府委員会が大阪市立中央体育館に志位和夫委員長を迎えて開いた演説会は、一万人がつどいました。メーンの志位委員長の演説、わたなべ結大阪選挙区候補の訴えのほか、ゲストスピーチに小林節・慶応大学名誉教授、平松邦夫・第一八代大阪市長。来賓に日本商工政治連盟大阪地区代表世話人の小池俊二氏、社民党府連代表の服部良一氏、元衆議院議員の辻恵氏、「民意の声」代表の浅野秀弥氏、落語家の笑福亭竹林師匠など、いずれも日本共産党の演説会に初めておいでのみなさんがそろいました。
 「大阪の地下が大きく動いているように感じました」「社民党の代表が来られたのを知って、野党共闘の姿を見た思いでした」「一九歳から共産党に入党してたたかった人生。党活動を続けてよかったと思える力強い演説会でした」「八月一五日に子どもが産まれる予定です。産まれてくる子どもに希望をもって生きてゆける日本をプレゼントしたいです!! がんばれ!! 共産党!!」
 寄せられた感想が語る通り、「野党共闘」への新たな舞台になり、日本共産党勝利への大きな決起の場になりました。

(2)「野党共闘」「府民共闘」をきりひらく

 勝利をきりひらくうえで、五野党合意にもとづく野党共闘、府民的共闘をきずくことは決定的です。大阪府委員会は、定数四の参院大阪選挙区では民進党とも競い合って勝利をかちとり、自民・公明・おおさか維新を少数に追い詰めるために総力をあげます。同時に、総選挙の小選挙区においては、すでに四月一三日に第一次公認候補を発表し、独自候補の擁立をすみやかにすすめつつ、ここでの野党共闘を実らせるために力をつくします。
 大阪で「反維新」の共同をすすめてきたことは全国的にも注目されました。
 全国革新懇三五周年記録集の座談会で、全国革新懇の乾友行事務室長は、「沖縄の経験、大阪の経験がなければ、今回の『戦争法阻止の国民連合政権』の提唱もなかったと言えると思います。また、大阪の経験が沖縄を励ました関係もあります。全国革新懇が沖縄連帯行動(二〇一五年二月)に行った際、沖縄の共産党県議は、大阪・堺の市長選挙(一三年)で、『維新政治』に反対して『オール堺』ができたことが沖縄県知事選挙でも本当に参考になったと語っていました」とのべています。
 そして、ダブル選挙の敗北を受けて、この「反維新」の共同を日常的にさらに強めようという流れが生まれ、加えてそのなかから「反安倍政権」「憲法擁護」の共同へと発展させようという流れが生まれていることは注目されます。「住民投票」で生まれた「民意の声」の浅野秀弥代表は「右派」を自認する方ですが「『維新』を助けた安倍政権は許せない」との思いを強めつつ、四月にあらたに各界の有力人士を集め、「民意の会」を再発足させています。平松邦夫・第一八代大阪市長も「反安倍政権」「何としても憲法を守らなければ」と結成された「関西市民連合」と一体の活動をすすめています。さらに共同した各界のみなさんの日本共産党を見る目が変わり、いま何でも話しあえる関係がきずかれています。
 「反維新」のたたかいと共同の歴史的体験をふまえて、新たな共闘をきりひらくために総力をあげます。

(3)政治は変えられる。大阪のゆきづまりを打開する展望を広げて

 大阪では自民党政権と長年の「オール与党」政治がゆきづまりを深刻にしてきました。それを「おおさか維新」が「右からの改革」で反動的に打開しようと企て、一定の「幻想」を広げています。このもとで、私たちが「こうすれば政治は変えられる」「ゆきづまりは打開できる」と、真に民主的な転換策を提起することは特別に大事になっています。
 大阪府委員会とわたなべ結参院大阪選挙区候補はことしにはいり、「わたなべ結の大阪若者提言」(一月八日)、「大阪女性提言」、「子どもの貧困を解決する緊急提言」(四月八日)、「『消費税一〇%増税の中止』を求める政府への要望書」(四月一八日)をだしました。ここで留意したのは、深刻な「貧困」の実態をうきぼりにすることにとどめず、すでにさまざまに展開されている若者や女性分野のとりくみに光をあて、具体的な緊急策、抜本策を提起し、ここにこそ解決の展望と力があり、ともに政治を変えようとよびかけることでした。
 「おおさか維新」が大阪のくらしと経済にかかわって、落ち込みの元凶を「二重行政」=大阪府庁と大阪市役所があるのが問題としているのは嗤うべきものであり、根本要因をそらす議論です。
 大阪のくらしと経済立て直しのカナメは内需の拡大──庶民のふところをあたため、購買力を高めてGDPの六割を占める家計消費を増やすことです。

[消費税一〇%は中止する]

 九七年の消費税八%大増税が「商都大阪」を直撃し、くらしも景気も冷え込ませました。
 大阪府委員会は四月四・五日に民間調査機関と提携してインターネットによる府内一〇〇〇人調査を実施しました。年収を聞くと半数以上が「三〇〇万円以下」とこたえ、「消費税一〇%を実施すべきか」との問いに、イエスは一五・六%にすぎず、八割以上が「延期」(三六・九%)「中止」(一八・五%)「五%への引き下げ」(二九%)を求めています。八%増税によるくらしへの深刻な影響もリアルで、「ただでさえ消費が滞っているのに、これ以上あげると前より余計冷え込む」(三一歳女性)、「税率を上げても税収が減るから意味がない」(四四歳男性)などの声が書き込まれています。
 最悪の庶民課税、消費税一〇%増税はきっぱり中止すべきです。

[大幅賃上げと人間らしい働き方を]

 消費税増税とともに、正規から非正規へのおきかえ、実質賃金の低下が、家計消費の低下の大きな要因であり、その打開が急務です。
 私たちとは立場が異なるりそな総研大阪本社主席研究員も「賃上げ」こそ需要拡大の決めてだとのべています。
 「内需主導の経済成長が成り立つための条件をとことん突き詰めれば、『所得(賃金)の継続的な増加』に行きあたる」「需要の増加に必要なのは、ほかでもない賃金の上昇である」「家計も、ない袖は振れないため、そもそも賃金が増えていなければ、需要は増やせない。つまり、『需要が増えるためには、賃金の増加が必要』で」ある(荒木秀之『関西から巻き返す日本経済』)。

[中小企業切り捨てから支援へ]

 大阪経済の「主役」、大阪の中小企業は、消費税増税分を六割の企業が「転嫁できない」とこたえ、「商品の値段が上げられないので仕入単価ばかり上がり、利益も少なくなっている。消費税は引き下げ、または廃止してほしい」「税金支払いのために働いている感じ」などの声をあげています。この点でも消費税一〇%増税をきっぱり中止するとともに、中小企業予算を抜本的に増やし、従業員の最低賃金引き上げのために社会保険料負担を国が支援するなど、中小企業発展へのカジを切り替えることが必要です。

 五中総が提起した、格差をただし、経済に民主主義を確立する「三つの改革」──①税金の集め方を変える、②税金の使い方を変える、③働き方を変える──を大阪でつらぬくことで、どれほどの展望が生まれるかを生き生きと示し、「政治は変えられる」「くらしも変えられる」ことを大いに語り広げたいと思います。

(4)大阪の党の真価を発揮する

 なぜ日本共産党の躍進か、その三つの値打ち──①安倍暴走・「維新」暴走と正面からたたかい、転換の展望示す党、②共同を何よりも大切にし、共同の力で政治を変える党、③安倍政権に代わる責任ある政権構想・「国民連合政府」を提唱する党──を、大阪でも語り広げ、その真価を全面的に発揮して勝利に挑みます。
 大阪の日本共産党が堺市長選挙、「住民投票」、ダブル選挙などで、他の点での違いを横に置き、「反維新」の一点で、自民・民主などとも「共同」する態度をつらぬいたことについて、「王道をいくもの」(小池俊二氏)などと党内外から反響と評価が寄せられました。
 「五野党党首合意」にたいしても、ある市の自民党元支部幹事長は、「これで安倍政権も大の字で寝れなくなった」と語り、泉州のある元市長からは「今回の合意には共産党が果たした役割が大きい」と声が寄せられています。
 「反維新」の共同をつうじて広がった日本共産党への信頼と共感をつうじて、わたなべ結・参院大阪選挙区候補への期待も広がり、元市長や元府議、弁護士会、「ママの会」、JA大阪幹部など新たな層からエールが贈られています。

 日本共産党の第一の躍進の時代、一九七〇年代は「七〇年代の遅くない時期に民主連合政府を」のスローガンに燃え、大阪では社共共闘で、さらにそれが壊されるもとでも、府民型統一戦線をきずき黒田革新府政を二期八年打ち立てました。
 いま新たな躍進の条件がかつてなく広がるもと、「大阪が変われば日本が変わる」のスローガンを高く、参院選ときたるべき総選挙で必ず自民、公明、「おおさか維新」を少数に追い込み、「国民連合政府」への大きな一歩を踏み出します。

(なかむら・まさお)

https://www.jcp-osaka.jp/seisaku/3161
自公政権の「補完勢力」=「おおさか維新」とのたたかい

中村正男(党大阪府委員会政策委員会責任者)



日本共産党大阪府常任委員会は13日、アピール「『カジノ実施法案は廃案に』――大阪から大きな声を」を発表しました。同アピール全文と、アピールを力に同法案廃案への共同を呼び掛けた、同党府委員会の中村正男副委員長の寄稿文を紹介します。

「カジノ実施法案」廃案へ、日本共産党のアピールを力に、共同の力、草の根の力で自民、公明、維新を追い詰めよう

日本共産党大阪府委員会副委員長 中村正男

なぜよびかけをだしたか



中村正男氏

 日本共産党大阪府常任委員会は6月13日、「『カジノ実施法案は廃案に』――大阪から大きな声を」というアピールをだしました。

 安倍政権は国会会期を延長してでも、「カジノ実施法案」をゴリ押ししようとしています。この法案を廃案へという一点で広く共同をよびかけるとともに、国会論戦とともに、大阪の草の根からの活動で党が先頭にたち、この黒い野望を打ち砕こうと提起したものです。

 翌14日にはこれを手に辰巳孝太郎参議院議員らといっしょに大阪弁護士会を訪ね、大阪の野党各党にも「カジノ問題で共同を」とよびかけています。

 「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は「人の不幸を踏み台にするカジノはあかん!」と独自の機関紙を発行しています。「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」をはじめ市民団体も署名活動やシンポジウム、集会、パレードなどを展開しています。

「実施法案」の重大な中身を語り広げて



「大阪からカジノ実施法案反対の声を大きく広げよう」と開かれた日本共産党の国会報告会=9日、大阪市中央区内

 アピールは第2章で、「カジノ実施法案」のひどい内容をうきぼりにしています。「世界一の規制基準」が聞いてあきれる緩い基準、カジノ場面積の上限は法案から削除、カジノ業者が顧客に金を貸せるという前代未聞の条項、「マネーロンダリング」も「暴力団関与」もシャットアウトする保障がないこと、「カジノ管理委員会」にカジノ業者が加われる――などです。6月9日に開いた「緊急国会報告会」では専門家やギャンブル被害者を家族にもつ方の発言を含め、こうした問題が多角的に掘り下げられました。アピールでは、これらすべてがアメリカのカジノ大手資本の注文通りになっていることを指摘しました。

 一つだけ補足すると、私も昨年、韓国の江原(カンウォン)ランドを訪ね、「賭博中毒センター」の方々と懇談しました。ここでは周辺の4つの村の住民がカジノに吸い寄せられ、いっぺんに「賭博中毒」が増え、「カジノ難民」が現れたことから、いまは「月に1度」の入場規制がかかっています。現地の方々は「ソウルから200㎞の地でこうです。大阪のような大都市につくったらたいへんなことになる」と口をそろえて語りました。「カジノ実施法案」の「7日間に3日」など、ギャンブル依存症への歯止めを初めから外すようなものです。

 いまでも世論は「カジノ実施」に反対する声が6―7割に達します。安倍政権与党は「IR(統合リゾート施設)はカジノだけではない」とか、「カジノ面積は数%」などとごまかします。逆に言えば、大きな弱点が浮き彫りです。「IR」とは「カジノ」のことであり、今度の「実施法案」はアメリカのカジノ資本いいなりに国民の不幸を食い物にしようとするものだと語り広げるなら、法案を葬ることは可能です。

大阪の大きな役割

 「カジノ実施法案」を打ち破るうえで、大阪の役割は重要です。

 何よりも大阪の維新は府市IR推進局を設置し、「カジノ実施」「大阪誘致」へ躍起です。しかし、それは次の点で、彼らの本性をうきぼりにするものです。①「改憲」「森友隠し」とともに、「カジノ」で安倍政権・維新の一蓮托生ぶりをきわだたせています。②かつて橋下徹氏は「カジノは『大阪都』の試金石」と叫びました。大阪市を潰し、「一人の指揮官」になればやりたい放題できる。そのターゲットがカジノでした。③維新の「成長戦略」とは「カジノ」、つまり府民の不幸の上にしかなりたたないものです。

 まだ維新に幻想をもつ多くの方にも、今回の「カジノ」問題で示される彼らの本性を知らせ、維新にとって致命傷になるところまで追いつめましょう。

 また今回のカジノ実施法案を所管するIR担当大臣は公明党の石井氏です。その公明党にあって、最初にこの法案を了承したのは公明党内閣部会長である佐藤茂樹大阪府本部長です。佐藤氏は「カジノ推進法」の際に、大阪3区のわたなべ結さんが「公開討論」をよびかけましたが、ダンマリでした。今回も彼らは「なぜカジノ実施法案なのか」を大阪でも府民の前に正面から語れません。

 自民党を含め、「賭博推進政党」の公明、維新の国会議員、地方議員、候補者にも、「なぜ府民の不幸を生むカジノ実施法案に賛成するのか」を問おうではありませんか。

広く各層への申し入れ、対話、懇談を

 アピールでは、「広く野党各党、労働組合、女性団体、教育関係者、市民団体、中小企業、商店会、自治会、文化芸術団体、学者・弁護士、宗教者などによびかけ、懇談をすすめていきましょう」と訴えています。アピールの別刷りもそれにふさわしい規模で各地区委員会にも届けています。署名やビラも広く活用していきましょう。(なかむら・まさお)



「カジノ実施法案は廃案に」
――大阪から大きな声を

2018年6月13日 日本共産党大阪府常任委員会

(1)安倍政権は「カジノ実施法案」を今国会中に成立させようと衆院での審議をゴリ押しした上に、会期延長してでも参議院での強行を策しています。

 刑法が禁じる「民間賭博」をなぜ解禁するのか。世論調査でも「カジノ実施」に反対する声は6~7割を超えます。ところが、与党の自民党、IR担当相をだす公明党、そして「大阪誘致」を叫ぶ維新が手を組み、国会でまともな説明もないまま、審議も避け、「数の力」だけで押しとおそうとしています。

 日本共産党大阪府常任委員会は、「カジノ実施法案は廃案を」の一点で共同し、この大阪から、ともに声をあげることを広くよびかけます。

(2)日本共産党大阪府委員会は、「カジノ実施法案」の重大な中身を広く知らせ、たたかいをよびかけるため、6月9日には「緊急国会報告会」を開くなど、国会論戦と呼応した活動をすすめています。

 国会論戦をつうじて、「カジノ実施法案」の根本問題が、アメリカのカジノ資本の要求にこたえ、「賭博合法化」を策したものだということが浮き彫りです。

――「世界一の規制水準」どころか、「7日間で3日間は入場できる」「入場料は6000円」とするだけです。日本人がターゲットにされ、ギャンブル依存症は深刻に広がります。

――巨大カジノの設置をもくろむ米カジノ資本の要求通り、カジノ場面積の上限は、法案からは削除され、明記されませんでした。

――法案にはカジノ事業者が顧客に金を貸せるというとんでもない項目が明記されています。これは客が負け続けても、掛け金を用立てることで、どこまでも食い物にしようというものです。

――「マネー・ロンダリング」も、反社会的勢力の関与も、シャットアウトする保障はありません。

――カジノを規制する「管理委員会」にはカジノ業者が加わることも排除されないことも明らかになっています。

 こうした深刻な内容について国会では十分な審議がなされず、地方公聴会も開かれないなど、国民の声は反映されていません。「カジノで経済成長、観光振興」をうたうのに、政府からどれほど「成長」が見込まれるのか、その試算さえだされません。またギャンブル依存症の増大をはじめ、経済的、社会的に生み出される重大な「負の試算」もいっさい出されません。

 そもそも「カジノ実施法案」はこれまで刑法が禁じていた民間賭博を解禁しようという暴挙を企てるものであり、その条文は200条をこえるという介護保険法以来の膨大なものです。これを十分な審議なしに強行するなどあってはなりません。

(3)維新は、国会で安倍政権と一蓮托生で「カジノ実施法案」強行をもくろんでいます。大阪府・市でつくる「IR推進局」は「国会でようやくここまできた。カジノ実施法案が成立したら、大阪誘致のとりくみを加速させる」と公言しています。

 維新は「カジノ」と「万博」をセットに、巨額の税金を注ぎ、「大阪の成長の起爆剤にする」といいますが、カジノは人の不幸、府民の不幸を食い物にする以外に、何の財も、利益も生み出すことはありません。

 「観光戦略」ともいいますが、大阪を訪れる外国人の多くは「食」や歴史・文化に魅力を感じてのものであり、「カジノで集客」などは邪道です。

 維新の橋下前代表はかつて、「カジノが大阪都構想の試金石」と叫びました。みずからの戦略のために、人の不幸を踏み台にするカジノを解禁することも、大阪に誘致することも、私たちは断固反対します。

(4)大阪でも府民の多数は「カジノはノー!」としています。こうした府民世論に根差し、カジノ実施法案を廃案に追い込むため、世論と運動をいまこそ大きく広げましょう。

 「カジノ実施法案」の重大な内容を知らせ、語りあい、府内のすみずみから「カジノ実施法案はあかん」の声を広げましょう。

 広く野党各党、労働組合、女性団体、教育関係者、市民団体、中小企業、商店会、自治会、文化芸術団体、学者・弁護士、宗教者などによびかけ、懇談をすすめていきましょう。

 法案をすすめる自民党、公明党、維新の議員、支持者などへの働きかけをすすめましょう。

 「あかんカジノ大阪ネットワーク」「大阪市をよくする会」「明るい民主大阪府政をつくる会」など、多くの団体がすでに署名やプラスター、独自ビラの発行などをすすめています。

 各行政区、地域で、シンポジウム、集会・パレードも各地ですすめていきましょう。

 日本共産党はその先頭にたって奮闘する決意です。

(大阪民主新報、2018年6月24日号より)

明石市民の会さんの政策見るとよさげであり性的少数者に対応はGID患者や同性愛者など性的少数者にはありがたいですが女性スペースを守る会.NOセルフID女性の安全と人権を守る会さんらとも連携して女子トイレ増設を公約に追加するなどSexbasedRightsでの対応して権利の調整することを政策に加えてて頂けたら泉前明石市長の設立した明石市民の会さんの全国政党化ありなんじゃないかと思った件。
手話言語条例や無戸籍にも対応した公約、交通では水上バイク対策等非常に良い政策が集まってますね。
生理用ナプキンや月経カップは生活必需品、生理用品高いし無償配布助かります。生得的生物学的女性だけでなくMTFSRS手術済みGIDMTFも生理用品しますので。



https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/kouhou_ka/shise/koho/oshirase/documents/2022guide.pdf







12歳で初潮を迎え、50歳で閉経するまでに毎月5日間生理があると仮定した場合、月経のある人は一生涯で456回、2,280日間(およそ6年半)も月経を経験することになります。毎月の生理で使う生理用品代を1,000円だとすると、負担は一生涯で「45万円以上」にものぼります。これは生理用ショーツ、痛み止め、ピルなど月経に必要なその他のものを除いた額です。生涯45万円も負担する生理用品に、さらに日本では現在10%の税金がかけられています。生理のある人は、ない人に比べ、生涯で50万円近くも多くの負担を強いられているのです。

ただでさえ大きな負担であるにも関わらず、特にシングルペアレントで生活していくのが大変な人、お金のない学生、ホームレスの人などにとっては耐え難い負担になっています。現在軽減税率対象の定期購読新聞よりも生理用品の方が圧倒的に家計を圧迫しているはずです。私の周りでも、「頑張って稼いだアルバイト代が生理用品代に消えていくのが切ない」という声をよく聞きます。月経があるというだけで、毎月消費税が取られるのはおかしな話です。

現在、世界では生理用品にかけられる税、通称 tampon tax を撤廃する動きが広がっています。2004年にはケニアが、それに続いてカナダ、インド、オーストラリアなどが続々と生理用品を課税対象外にしています。これらの動きはたくさんの女性、そして女性以外の生理を経験する人の切実な声によって実現されています。私たちの声も社会を動かす力を持っているはずです!

生理用品は決して贅沢品ではありません。多くの人が社会で安心して学び、働き、生活し、自己実現するのに必要不可欠なものです。子宮を持って生まれただけでより多くの負担を強いられる社会は不平等です。

女性の生涯平均年収が男性の約70%である上に、生理用品の負担がのしかかっている現状では、女性は輝けません。月経の経済的負担を気にせず、生理中も快適に社会に出れることは、より多くの人が社会で活躍する上で必要不可欠です。真のジェンダー平等を達成する為にも、政府は生理用品への課税を、少なくとも軽減税率対象の8%に引き下げてください。

この活動はこれから子宮を持って産まれてくる全ての子どもたちの為です。食べたいものを我慢して生理用品を買っている人たちの為です。「生理用品が必要」と言い出せない人の為です。あなた、そしてあなたの身近な誰かの為の運動です。

月経の有無にかかわらず、全ての人が自分らしく活躍できる社会を実現する為に、今こそ#生理について一緒に声をあげましょう!ご賛同お願いします。

#みんなの生理 #軽減税率 #DontTaxMyUterus #EndPeriodPoverty

image taken from freeperiods.org, design by Alice Skinner.

https://www.change.org/p/%E7%94%9F%E7%90%86%E7%94%A8%E5%93%81%E3%82%92%E8%BB%BD%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E7%8E%87%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84-%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%90%86-%E7%94%9F%E7%90%86%E3%81%AE%E8%B2%A7%E5%9B%B0
生理用品を軽減税率対象にしてください!




【報道関係者各位】メディア向け囲み取材のご案内
2月1日(水)紀伊國屋新宿本店にて、出版記念サイン本お渡し会を行います。そのイベント前に30分間のメディア向け囲み取材を行います。メディアの方は、16時45分に紀伊國屋書店新宿本店9階イベントスペースまで直接お越しください。問い合わせはライツ社(078-915-1818)まで



社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ

泉 房穂(いずみ ふさほ)



発行:ライツ社

定価 :1,760円(本体1,600円+税10%)

判型:四六判並製

頁数:376ページ

発刊:2023年1月31日

ISBN:9784909044396

Amazonページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4909044396/



著者・プロフィール

1963年、明石市二見町生まれ。1982年 県立明石西高校を卒業。同年、東京大学文科二類入学。1987年 東京大学教育学部卒業。同年、NHKディレクター。1997年、弁護士。2003年、衆議院議員。2007年、社会福祉士。2011年、明石市長。「5つの無料化」に代表される子ども施策のほか、高齢者、障害者福祉などに力を入れて取り組み、市の人口、出生数、税収、基金、地域経済などの好循環を実現。人口は10年連続増を達成。 柔道3段、手話検定2級、明石タコ検定初代達人。



<出版社より>
版元は明石市の出版社ライツ社です。実際に明石で暮らすいち市民だからこそできる、当事者目線からの編集を行いました。

2011年、泉さん初めての明石市長選。
対立候補は、自民党と民主党が推薦、兵庫県知事も支援、医師会、商工会議所、商店街連合会、労働組合など業界団体のほとんどと、市議会の全会派が全面支援を表明していました。
つまり、政界や業界の組織票はすべて相手方に回っていました。
一方の泉さんは、無所属です。出馬会見で、記者から問われました。「相手陣営は盤石です。政党も業界団体も固めて、知事の支援も受けています。あなたに支持母体はありますか?」。
この質問に泉さんは、はっきりと答えました。
「支持母体は市民だけです。でも、それで十分だと思っています」と。記者やカメラマンは薄ら笑いを浮かべました。形式上、重ねて「勝算は?」と質問が続けられ、再度、泉さんははっきりと答えました。
「当然あります。勝てますし、必ず勝ちます。それが明石のまちと市民のためだからです」。
そう言って会見を終えたのが、今から12年前のことです。

市長選は一騎打ちの激戦となりました。
結果はわずか69票差。相手の得票数53993票に対し、54062票。1人ひとりの「1票」が積み重なり、政党や業界の壁を破り、市民とともに勝ち切りました。
69票という僅差は、たった35人が態度を変えるだけでひっくり返ります。人口30万人近くの都市で、たった1クラス分の差です。「泉さんは、わしが通してやったんや」と言い合う市民の声が市内のいたるところで聞かれました。
2011年4月24日、明石市民の1票がなければ、今日の明石市はありません。市政の転換も「5つの無料化」も「全国初の施策」も「10年連続の人口増」も実現していません。きっとこの本が書かれることもなかったでしょう。

おそらく全国でも、いまの明石市民ほど、自分の1票の持つ力を信じている市民はいないのではないでしょうか。
あの日私たちは、私たちの手で、私たちの未来を変えたのです。

本書に泉さんが綴ったのは、こうして明石市民が選んだ未来にどんなことが起こったのか。示してくれたのは「政治を変えることができたら、私たちの生活は変わる」という事実です。明石市民が感じている政治への希望を全国のみなさんにお届けできたらと思っています。そして、明石市の現実が全国どこのまちにとっても、あたりまえのことになればと願っています。ご期待ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000030266.html
明石市長・泉房穂が新刊『社会の変え方』を出版。日本の政治をあきらめていたすべての人へ

1月31日(火)全国書店・ネット書店にて発売開始

ライツ社

2023年1月30日 14時33分





https://jocr.jp/raditopi/2023/04/16/497642/
《2023統一地方選・後半戦》「子育て支援のまち、市民目線で」明石市長選告示 市政継続どう判断?新人3人の争い

任期満了に伴う4月23日投開票の兵庫県明石市長選をめぐって、暴言問題を理由に今期限りで引退を表明している泉房穂市長が25日、後継候補を公表した。


明石市長選出馬を表明する丸谷聡子氏(左)と泉房穂市長<2023年3月25日午後・明石市役所>

 市長の後継として擁立するのは、丸谷聡子明石市議(59)。無所属での立候補となるが、泉氏が2022年11月に立ち上げた政治団体(地域政党)「明石市民の会」の推薦を受ける。
 明石市長選にはこのほか、自民党を離党した明石市議の林健太氏(40)や、元兵庫県加西市長の中川暢三氏(67)が出馬を表明しており、この3人の選挙戦となるとみられる。4月16日に告示、同23日投開票の予定。



丸谷氏は明石市議2期目 3期目の出馬に向けた準備を進めていた

 丸谷氏は神戸市垂水区出身。同志社大大学院卒。明石市議2期目(2015年初当選)で、「無所属・市民派」を標榜し、主要政党の会派には属していない。前回・2019年の市議選では得票数第3位だった。
 これまでに公設民営のフリースクール「トロッコ」の設立や、生態系の保全などに取り組み、泉氏が力を入れてきた子育て支援策、地域経済活性化のための「市民全員サポート券」の発行に加え、タウンミーティングの毎月開催、環境教育の推進、ため池や里山の保全などを訴える。



 丸谷氏が正式に出馬要請を受けたのは21日。丸谷氏は3期目の市議選の準備を始めており、ポスターも刷り上がっていた。「まさか、私が」と驚き、かなり悩んだという。しかし、「世のため、人のために尽くすのは市長も市議も同じ」との思いで出馬を決めた。
 そのうえで「泉市長のような、突破力とスピード感を生かしたトップダウンではなく、ボトムアップで、対話を大事に、みんなの市長として子どもを核とした、世代を超えた福祉の街づくりを進めたい」と市民目線での市政運営路線を継承する意向を示した。



 会見に同席した泉氏は、告示まで20日あまりに迫った24日、3月議会閉会のタイミングで公表の決断をした。「周囲からは、もう一度市長選に出馬を、との声もあった。一方で、“もう(暴言などの)トラブルは起こさないで”との忠告もあった。暴言問題の責任を取って政治家を引退するスタンスは変えない。そして4月30日まで任期を全うする。院政を引く気はまったくない」と断言した。
 そして、丸谷氏への打診について、兵庫県が明石公園で進める樹木の伐採事業をめぐって、問題提起など本人が表面に出ずに裏方に徹しながら粛々と進める姿を見て「市長の後継として、きっとやってくれる」との思いが芽生えたという。



 泉氏は弁護士や旧民主党の衆院議員を経て、2011年の統一地方選で明石市長として初当選。手厚い子育て支援策などで人口増加を達成したが、市幹部に「火を付けて捕まってこい」などと暴言を浴びせたとして、2019年2月に辞職し、同3月の出直し市長選で8万票を獲得、当選した。
 泉氏は明石市長に就任以来、3期12年近くの間、市議会で自民、公明党会派との対立が続いていた。泉氏は2022年10月8日、市内の式典で同席した市議会議長と市議に「次の選挙で落としたる」などと発言した。この2人は自身への問責決議案を提出した会派に所属していた。泉氏は一連の責任を取るとして、同月12日、今期限りでの退任を表明した。
 その後立ち上げた「明石市民の会」から市長後継候補として丸谷氏のほか、同時に行われる市議選にも候補者5人、兵庫県議選に1人を擁立し、候補者が出そろった形となった。
 一部では泉氏が市長選に再出馬するのではないかとの予測もあったが、泉氏は24日の本会議で再出馬を改めて否定し「思い残すところはありません」と退任のあいさつをしていた。

https://jocr.jp/raditopi/2023/03/26/493272/?detail-page=1
明石市長選、引退表明の泉氏後継に女性市議・丸谷聡子氏擁立「ボトムアップで”市民目線”継承」



2023/03/26



統一地方選後半戦、全国的にも注目されているのが「子育てのまち・明石」として全国に「明石市」を知らしめた現職の泉房穂市長(以下、泉氏)退任後。明石市長選挙には3人の無所属候補が立候補しています。届け出順に元加西市長の中川暢三氏、自由民主党・公明党推薦の元明石市議会議員の林健太氏、同じく元明石市議会議員の丸谷聡子氏です。私は告示日の4月16日、3候補の第一声の現場にまず立ち会いました。

明石市長選の3陣営第一声 「分断」か「対話」か

「泉さんを軸にして市民の分断が起きている」

JR明石駅の南東の一角でマイクを握った中川氏は、自らの政策を話す前に「泉さん(現市長)を軸にして市民の分断が起きています」と力を込めました。その上で「『子ども支援』で人口が増えたといっても、泉さんの政策で増えたのではないです。出生率が上がったのでなく、外からの転入が増えただけです」と、泉市政への批判からスタートしました。



また、JR大久保駅で第一声となった林氏は「子ども支援はどこでもやっています。これからは教育が大切。道路も、水道も、公共施設がこれではだめです」と、子育て世代への施策が目立つ泉市政で足りないと思われているものを指摘しました。また、林氏は後日、「コピー市長、コピー議員」と今回、泉氏が後継指名した市長候補、擁立した市議会候補のすべてを一刀両断するような演説も行い、対決姿勢をより鮮明に打ち出していました。



明石市を走る国道2号線沿いにある、泉氏が立ち上げた地域政党「明石市民の会」事務所で第一声となった丸谷氏は、横に泉氏を置きながら「私は泉派ではありません」と宣言して、話し始めました。2期8年の市議会議員の時の市長はすべて泉氏。丸谷氏に先立って、丸谷氏の経歴などを話した泉氏も「議会で私に厳しいことも言ってこられた。しかし、苦労されてきた人。(立候補を)お願いした」と、自らの信奉者としての後継者指名でないことを出陣式で明言しました。そして、丸谷氏は「私は泉さんのようなトップダウンでなく、ボトムアップでやります」と対話路線を掲げ、「頑張ろう、はやらないです。まる(円)、でやります」と、両手を広げて頭の上で「まる」を作るポーズで、対決しない姿勢を丸谷氏は訴えました。



泉市長退任後の市政がポイント

今でこそ、「子育て施策」を中心に泉氏の手腕は全国に知れ渡っていますが、2011年に最初の当選を果たした当時はそうではありませんでした。当時、明石の観光資源のひとつにもなっていた「明石淡路フェリー(愛称・たこフェリー)が休止中。存続を訴える市民の声は小さくありませんでした。しかし、泉氏は2012年に財政上の援助が難しいとの判断で廃止を決断しています。

以前は、たこフェリー乗り場だった場所

それとほぼ同時期に計画されていた明石駅前の再開発で、広報誌を使って取った市民アンケートでの希望1位だった「図書館」と「子育て支援施設」を中心に据え、市役所機能も持たせたビルを見直し案として作成。公共サービスの窓口の一元化と子どもの遊び場、そして「本のまち」明石の図書館を実現させ2016年にオープンしています。



「こども総合支援条例」など、ソフト面での斬新な施策が注目されがちな明石市ですが、受け入れるハード面の整備も泉市長の時代に行っている、というのは、今回、明石の玄関口・JR明石駅での取材の合間に、まさにそこにある件の商業施設「パピオスあかし」に入ってみて実感しました。

まさに、本と子ども支援と行政がすべて一体としてそこにはあったのです。

「たこフェリー」廃止で街のシンボルの一つを失った明石ですが、市の中心地である明石駅前を「子育て」と「本」を核に再生させたことで見事に別のランドマークとなるシンボルを得ました。それも全国トップレベルの「子育てのまち」という評価とともに。それを現地で目の当たりにした私は、泉氏が市民から大きな信頼を得ている理由が分かる気がしたのも事実なのです。

市議選で、協力会派「16議席」を確保する意味

今回は、市長選とともに「市議選」も明石市では行われます。30人を選ぶのに43人が立候補する厳しい選挙ですが、ここでも注目は「明石市民の会」所属の候補者です。いずれも無所属で5人が立候補していますが、これは「今の政治を継続させる議員を増やしたい」という泉氏の狙いからのものです。選挙前の議会構成(3月20日現在)をみると、自民党と公明党系の会派議員が合わせて16人。今回の泉氏は「優生保護法等被害者支援条例」(2021年12月)の可決までの紆余曲折などで議会に対する不信が爆発しての暴言による退任。それだけに、この「16人」というちょうど議会の「半数超」を争う熾烈な選挙戦になっているのです。



明石市以外の関西では、「統一地方選」前半から「日本維新の会」「大阪維新の会」(以下「維新」)の旋風が吹き荒れました。明石市でも5人の市議候補を立てています。9日の県議選明石選挙区では、県内で当選した議員の中でトップ票数の3万2060票を集めた「明石市民の会」所属の橋本けいご氏などに次いで、橋本氏の約半分の票数ながら3位で1議席を確保しています。明石市議会では、維新系会派は、これまで泉氏に近い立場で活動してきましたが、今回は違うようです。公示日当日、私はある「維新」の候補に「(明石市民の会などと)対立でなく対話、柔らかい路線ではだめなのですか?」と聞いてみました。その答えは「このやり方(対決路線)でやると決めて、やっています。変えるつもりはありません」でした。

泉市長の狙い通り、従来の会派構成で「16議席」がこの選挙で確保できたとしても、この「維新」の動きは、選挙後に影響を及ぼしそうにみえます。また、無所属での有力候補とされている方の中にも「(当選すれば)是々非々で議会に臨む」を明言している方もおられます。

「明石のまちからはじめる」選挙になりえるか

泉氏は2011年の初当選の際、なんの後ろ盾もなく69票の薄氷を踏む差で市長に当選しています。しかし、それ以後、支持母体は「市民」と言い続けています。今回の明石市での市長選・市議選。泉氏が自身の施策に関していう「明石のまちからはじめる」あるいは「明石のまちから広げる」に、選挙もなっていくのか、ならないのか。結果はもうすぐ出ます。

https://go2senkyo.com/articles/2023/04/19/82489.html
兵庫県明石市のダブル選挙 統一地方選挙2023後半戦の注目選挙区で今、起きていることは?(オフィス・シュンキ)

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