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「ごめんで済んだら警察いらない」に反論! 本当にそうでしょうか?

1、「ごめんで済んだら警察いらない」

 怒っている人が謝罪を受けた際に言いがちなセリフですね。


 本質的な部分としては、

「謝罪だけでは感情が収まらない!」

と言う意味だと思います。


 しかし、最近では

「犯罪者がいなくなったら警察の仕事がなくなる」

と言う考え方から、謝罪で済んだら本当に警察は不要だと、言葉のまま受け取る人も多いようです。


 そこでその考えがいかに短絡的で、警察がなくなるとどんなことが起こり得るのかを警察の業務内容から考えてみたいと思います。



2、親告罪と非親告罪

「ごめんで済んだら警察いらない」

と言うことは、

「何でも謝罪だけで、被害者が犯人を許していたら警察は不要」

と言うことだと思います。


 しかし、実はそうとも限りません。

 犯罪には

【被害者が被害届や告訴状を提出しないと警察も動けない事件】(親告罪)

【被害者が行動しなくても、警察が知るだけで動ける事件】(非親告罪)

の2種類があります。


 つまり、

「ごめんで済んだら警察いらない」

は前者の親告罪について言っているだけです。


 しかし、実際には警察は非親告罪も扱いますので、被害者が謝罪で犯人を許しても警察は必要になるわけですね。

 しかも、非親告罪は重罪ですので、むしろ社会的には非親告罪の方が重要かもしれません。


 そのため、

「ごめんで済んでも警察は必要」

です。



3、警察は行政組織

<警察は犯罪捜査しかしていない?>

「ごめんで済んだら警察いらない」

は法律云々と言うことではなく、

「非親告罪も含めて、全ての犯罪が謝罪で済む状況だったら必要ないと言う意味」

とも解釈できます。


 すると前項の解釈は確かに少しズレテしまいますね。

 しかし、そういう意味でも私は警察が不要な組織だとは思いません。

 何故か?

 この

「ごめんで済んだら警察いらない」

にはある前提があります。


 それは

【警察の仕事は事件捜査のみ】

と言うことです。


 果たして警察は犯罪捜査しかしていない組織なのでしょうか?

 もしそうなら刑事課だけで十分なはずです。



<警察は行政組織>

 警察は犯罪捜査しかしていないわけではありません。

 警察は事件捜査で司法(裁判)書類を作成しますので、司法階級と言うモノを持っています。


 いわゆる巡査、巡査部長、警部補のような階級は行政階級で、それとは別に司法階級も持っているんですね。

 それによって司法書類を作成できます。


 その部分から警察組織は司法組織だと勘違いしている人も多くいます。

 しかし、それは誤りで、警察は列記とした行政組織です。


 そのため、役所のような仕事も多くしています。

 だから犯罪がなくなったとしても警察は様々な手続きを扱う組織として必要なんですね。


 各課で扱っている主な行政手続きについても少し見て行きましょう!


 警察がなくなるとこれから紹介することが全て行えなくなります。

 犯罪がなくなったり、何でもごめんで済むとして、本当に警察はいらないのでしょうか?



4、警察が行っている行政手続き

<生活安全課>

  【青色回転灯装備許可】

 一般車両への回転灯設置は禁止されています。

 そこで防犯活動をする団体等の車両への回転灯設置許可等を行っています。

 この業務がなくなると防犯パトロール等の際に回転灯が使えません。



  【銃砲刀剣類の所持許可】

 日本では銃器は所持が禁止されています。

 しかし、害獣を駆除する猟師さんには必要な物です。

 他にもサバイバルゲーム等、趣味で空気銃等を持ちたい人にも必要な手続きになります。


 この業務がなくなったら、警察や自衛隊以外は銃類を所持出来なくなりますので、害獣被害は物凄く増えると思います。

 サバイバルゲームもきっとつまらないモノになり、廃れると思います。



  【火薬に関する許可】

 警察が扱っている火薬の許可は製造等ではなく、銃の弾丸の取り扱いと火薬の運搬に関する部分です。


 銃の弾丸部分は先の銃器に関する許可業務とほぼセットかと思います。

 火薬運搬に関する許可もあるため、これがなくなると火薬を運べなくなりますので、花火は製造所周辺でしか行えないと思います。


 しかし、製造所の近くで火気は厳禁ですから、実質的に日本から花火は無くなる思います。



  【風俗営業の許可】

 風俗営業を行うためには警察の許可が必要になります。

 風俗営業と聞くと性風俗をイメージする人が多いと思いますが、それは違います。

 一般的な風俗店とは、接待のある飲食店、照明の暗い飲食店、完全個室のある飲食店、パチンコ等の射幸心を煽るお店、ゲームセンター等です。


 性風俗は性風俗特殊営業と呼びます。

 ネットで性的な事を配信するモノもこの許可が必要です。


 他にもこの業務では、ナイトクラブ、午前0時を超える飲食店の営業も取り扱っています。


 そのため、警察がなくなると今上げた全てのお店やサービスが無くなります。



  【探偵業の許可】

 探偵業を行うための許可業務です。

 人から依頼を受けて色々と調べる仕事ですね。


 これはあまり一般的には身近じゃないと思いますが、不倫の証拠を集め、離婚の際の慰謝料請求の証拠にする等の活用方法がイメージしやすいですかね。


 なお警察と探偵は、アニメやドラマみたいな関わりは一切ありません。



  【警備業の許可】

 警備業も警察が許可を出しています。

 これがなくなると交通整理やイベントでの警備員、セコムやアルソック等のホームセキュリティも無くなります。



  【古物営業の許可】

 古物営業と言うと骨董品店をイメージするかもしれません。

 しかし、これは骨董品だけではなく中古品も含みます。

 そのためゲーム業界では多い中古屋さんや古着屋、リサイクルショップもなくなります。


 他にもメルカリや副業のセドリ等も状況によってはこの許可が必要です。

 そのため、これが無くなるとかなり規模が縮小することになると思います。



<刑事課>

  【犯罪経歴証明書】

 渡航する際に必要になる書類です。

 そのためこれが無くなると、この書類の申請が必要な海外には行けません。


 海外旅行が好きな人にはこれが一番痛手かもしれませんね。


 なお、この犯罪経歴証明書はこのケース以外では、本人からの依頼でも申請すらできません。

 そのため、就職の際に

「犯罪経歴証明書を貰って来い」

と会社から言われても不可能です。


 日本では捜査機関やこの目的以外で公的な証明書として犯罪歴を調べることは、合法的には不可能となっています。

 それは刑罰システムは更生を前提にしている仕組みなので、これを何でもかんでも発行してしまっては更生を阻害するためですね。



<交通課>

  【道路使用許可】

 道路工事、設置物工事、露店や屋台、祭、競技、デモ等をする際に必要な許可です。


 これがなくなると、工事出来なくなるので道路・水道・電気・電話等のインフラが全て崩壊します。


 他にも屋台街で有名な博多も淋しくなりますね。

 路上で行われるも無くなりますし、駅伝や国際マラソン等も路上では出来なくなります。



  【代行業許可】

 車の代行業を行うための許可です。

 これは単純にそのまま、代行がなくなります。



  【通行許可】

 本来は通行が禁止されている場所を通行できるようにしてもらう許可です。

 運搬関係もそうですが、一般人でも家がスクールゾーン内にある人等には必要な許可です。


 そのためこれがなくなると不動産業界に大打撃かと思います。

 規制内にある物件なんて売れなくなりますからね。



  【車関係】

 車庫証明や運転免許証の発行等、車を所持したり運転するための許可は警察が行っています。


 そのためこれが無くなると車は持てませんし、そもそも免許が持てなくなるので車は消滅します。

 自動運転で免許がもしも不要になったとしても、車の保管は必要ですので、どちらにしても車は無くなると思います。



5、最後に

 警察が行っている許可関係はこれでも全部ではありません。

 他にも落し物関係も警察がやっていますよね。

 全部挙げたら大変な量です。


「ごめんで済んだら警察いらない」

が本当だったら、警察が行っているこれらの行政としての業務も全部いらないと言う意味になってしまいます。


 がなくなり、リサイクル・中古市場もなくなり、インフラも整備されなくなります。


 インフラが崩壊したら国民生活も経済活動も成り立たなくなるので、国として消滅の危機になると思います。


 私はごめんで済んでも水道やガス、電気等のインフラは欲しいので警察がいらないとは思いません。


 法学的にも、

「警察機能は原始社会において初めに発生し得る機能」

とされています。


 それくらいに人と警察機能とは切っても切れない関係にあると言うことだと思います。


 最初に言ったように

「ごめんで済んだら警察いらない」

は謝罪だけでは感情が収まらないと言う意味だと思いますが、もしも本当に

「警察なんていらない。ゴミ!自衛隊や消防だけあれば十分」

と本気で思っている人がいたら、とても短絡的過ぎると思います。


 警察も犯罪しか扱っていないと思われているなら、軽く見られたモノですね。



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