企画は街中で練習できるよ【子どもをクリエイターのまま育てる練習ドリル01】

昨日アシスタントに話した、企画の練習をするためのアドバイス。

まずは企画力を身につけてね。最初に企画の原理を知ること。企画は知っている物の、見たことがない姿だよ。例えば鳩の子ども。鳩は知っているけど、鳩の子どもは見たことがないから、「鳩の子どもがカワイイ!」という記事も一つの企画なんだよ。

漫才だって、まずフリで常識を言って、オチでその常識を裏切る。街中のポスターでもなんでも、よく観察すればこの原理が裏にあるんだよ。

原理を知ったら、次は原理を利用したパターンを見つけること。例えばスエヒロさんは時代をずらしたパターンを使っている。歴史上のことを現代風に表現しているパターンだけど、これも原理は同じで、土方は誰でも知っているけど、こんな土方は見たことがない、ということ。

よく間違えるのは、パターンを原理だと思ってしまうこと。そうなってしまえばそのパターンしか使えなくなってしまう。だから企画の練習は原理とパターンの分解からはじまる。

料理人だって美味い料理を食べたときには、これはどういった素材が使われているのか舌の上で分解して考える。電車の吊り広告でも、街中のクリエイティブには原理とパターンが使われているから、そのパターンを見つける習慣をつけていけばいいよ。

原理を知っていれば分解は楽だよ。まず原理があって、それを応用したパターンでクリエイティブができてるわけだから、原理を差し引いて考えれば、パターンだけが浮き彫りになる。

さっきの土方でいえば「時代ずらし」だけど、パターンを見つけたらそんな風に名前をつけて、整理していくと自分でも使えるようになる。そのまま使ったらパクリでダメだけど、パターンは絵の具のようなものだから、誰でも複数のパターンを自分なりに混ぜて自分の色を作っているだけなんだよ。

料理人だって使える素材はそんなに変わっているわけじゃない。組み合わせを変えているだけだよね。

パターンを使えばワンパターンになる、なんてのはむしろ逆で、パターンを知らないとかえってワンパターンになるんだよ。たとえば人間がもっとバカなら、戦争はずっと互いに石を投げ合っているワンパターンかもしれない。

原理の上にパターンを積み重ねることで、公式の積み上げで数学が発展していくみたいに、もっと新しい表現が出来るようになっていくんだよ。だからパターンの観察と練習を繰り返すこと。

そういうふうに見ていくと、英語の5文型のように、英語が実は5パターンの構成だけで作られているように、クリエイティブで使われているパターンはそんなに多くないことに気づいてくるよ。

そのパターンの流行り廃りがあるから、どのパターンがこれから伸びていくのかもついでに観察すればいいよ。

原理を知り、街中のクリエイティブを観察してパターンを抽出し、自分も使えるように訓練していく。企画力はそうやって地味に練習していくんだよ。


元々はアシスタントが出した企画が企画じゃなかったので話した内容でした。なぜ原理が「企画は知っている物の、見たことがない姿」と言い切れるかは、ちょっとややこしい話になるので興味がある方だけで。

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