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「やさしいライオン」で分かる感動の正体とアンパンマン

感動は、束縛していた思い込みから自由になる時に起こっている。物語によって無意識の思い込みが変化したとき、人は感動している。意識の思い込みをずらすと笑いになり、より深い無意識の思い込みがずれれば感動となる。

最近、漫画制作に関わる機会がふえ、これまでは企画(あらすじ)と編集をやっていたが、最近は原作(脚本)自体を書く機会も増えてきた。漫画では今までやってきたお笑い記事よりも感動が求められる。

だからどうしたら感動するのか色々調べていたのだけど、アンパンマンで有名になる前の「やなせたかし」さんが作った絵本「やさしいライオン」にヒントがあった。

この絵本は、やさしいライオンが「ライオンは凶暴だ」と思い込んでいる人々に追い詰められていく話だがとても感動する。

「ライオンは凶暴だ」という思い込みは、本能として根強いが、例えば子供のころ育ててくれた人間をいつまでも覚えていて、久しぶりに会うと夢中でかけよってきてハグするライオンもいる。

このような話をみると、「ライオンは凶暴だ」という思い込みが揺らぎ、自由度が広がる。例えばライオンには絶対に近づかないと思ってる人と、やさしいライオンもいると思ってる人の行動範囲は違うだろう。

つまり思い込みの多さと行動範囲は反比例しており、思い込みが減るほど、行動範囲は広がっていく、つまり自由になっていく。物語をみんな好きなのは、お金が「鋳造された自由」というのと同じように、物語は記述された自由だからだ。

だから思い込みを特定すれば自ずと物語は出来上がる。例えば「やさしいライオン」は「凶暴なライオン」という思い込みの逆説だ。「凶暴なライオン」という思い込みを見つめた時に、物語はもう生まれていたのだ。

そしておそらく感動は、自由になるための報酬だ。もっと自由になりたいという願いを励ますために、この方向に進んで良いと示すカラダのサインが涙ではないか。

「やさしいライオン」のあとに作ったアンパンマンも「ヒーローはカッコいい」という思い込みの逆説だ。こちらは余談なので興味がある方だけに。

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やさしいライオン

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