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謎の着信があると思い出す。「この前、有名社長と一緒に写真撮ったんだよね〜」の‘’人脈おじさん‘’に凄みを感じた黒歴史

乃木坂が人気らしい。

さかのぼることコロナ前。
仕事を日々共にする我が社のグループ会社の同僚から、

‘’乃木坂のコンサートチケットがあるから一緒に行こうぜ!‘’

とのお誘いを受けた。

聞けば、
入手したチケットはアリーナ席。
さらに最前列のど真ん中というのだ。

乃木坂の人気も、
はたまたチケットのプレミアム感も、
モー娘。辻ちゃん加護ちゃん、でアイドル自分史が止まっていたボクにとっては、よくわからない代物しろものであったが、

当時から紅白にも出場するなど、
世間的に認知されていたアイドルだった。

つまるところ
凡人ぼんじんには入手不可能な超お宝チケット。

なぜこんなプレミアムチケットを
彼が入手できたのか。

なんと…
その同僚。

今でも乃木坂の人気トップ5に入り、センターも張ったことのあるエース格を
めいっ子にもつというのだ。

色んな人の
‘’有名人の知ってる自慢‘’
はよく聞くが、

これはそんじゃそこらの親戚自慢とは
キレ味がちがう。

同僚自身が男(本人)と女(妹)の双子であり、その妹の子が、この乃木坂エース格であるという、

まさにめちゃくちゃに近い間柄あいだがら

長く仕事を共にし、
何度も酒をかわし、
二人で夜な夜なキャンプにも行き、

同僚の中でも上位に入る仲でありながらも、
ボクはその事実をチケットの話が出るまで知らされてこなかった。

そう。

本当の意味でよく知っている人は、人脈アピールなどという無意味なことはしない。

日々仕事をしている社内の人間にすら情報を漏らさず、周囲は入手困難なチケットを見てようやく、

ああアイツにはこういう人脈もあったのかと思い知らされるのだ。

会社スマホに謎の着信があった。

非通知ではなく、しっかりと番号は通知されている。相手は不明。

あぁ、またか。

転職経験のないボクは、
かれこれ20年近く同じ番号を使っている。
今でも月に数回、未登録からの「謎の着信」があるが、

だいたいは相手の想像がつく。

過去に‘’異業種交流会‘’で名刺交換した人であろう。

いま思い返すと
ぶん殴ってやりたい黒歴史であるが、

入社して間もなくして、

「○○社の役員に、会ってきたんだよねー」

「テレビに出ている○○社長と知り合いでさぁ、この前、一緒に写真撮ったよ」

こんな感じで、
会ったとか喋ったとか写真撮ったとか、自分のもっている人脈自慢をする人が最初の上司であり、
社会人たるもの人脈が全てだ!

なんて執拗しつように言って、異業種交流会に行くように勧めてきた。

入社直後の上司を見た時を思い出してほしい。何とも言えない「凄み」を感じたのではないだろうか。

きっと発言一つに含蓄がんちくがあるんだ……

入社当初の上司に対する意味不明な過大評価はもう、言ってしまえば童貞だったときに
‘’学年で一番早く童貞を捨てた同級生‘’
を見て感じた「凄み」に
酷似しているのではないかとすら思う。

初体験をすませてしまうと、
“あ、なんだそんな感じだったのね“
と、かつて漠然ばくぜんと感じていた‘’セックス経験者‘’に対しての畏敬いけいの念みたいかものは

アッサりと消えさる。

上司の‘’凄み‘’だってそれと同じだ。
馴れてきたり、同じ年齢になってくると、
‘’あ、こいつこの程度だったのか‘’、
たいしたことがなかったことに気が付いたりもする。

しかし入社直後の‘’社会人童貞‘’そのものだったボクは、上司が「自分は誰と写真撮ったか」で、マウントし合っていることを察すると

学生時代に経験したことのない何やら新しい‘’争い‘’が職場にはあるらしいことを本能的に感じとり、

そしてごく自然に、
「とにかく一番スゴそうな人と仲良くなってこのよく分からない争いに勝ち、鬼のようにモテまくりてぇ」
と思った。

そしてボクはその
新たな戦場で一旗揚げるため、

勢い良く高価なオーダースーツを購入し、
自発的な行動という名目で、仕事が終わったあとに同業他社との勉強会や、保険会社や銀行・信金や商工会がもよおす異業種交流会といったものに足繁あししげく通い始め、

まさに名刺配りマシンと化したのだ。

「何かございましたら…」
「困ったことがあったら…」

初対面で素性すじょうも知らない中で、心にもないセリフをアホみたいに繰り返してとにかく名刺を配りまくった。
分かりやすい人脈ラベルを獲得するための、まさに奮闘の歴史だった。

細かいことを全て排除して正直に実態を言えば、仕事内容でも参加者でも何でなく、

ボクはただ虚栄心と性欲を理由に
異業種交流会に参加していたのである。

しかし、あれだけ低姿勢で名刺を配りまくってもまったく反応がなかった

性欲が満たされるどころか、
着信すらない。御礼のメールの返信すらない。

‘’まてよ、、、‘’
と、立ち止まって考えてみた。

そういえば、異業種交流会を勧めてきた
“人脈自慢の上司‘’に、
「そのお知り合いの社長に今度、ボクも会わせてください!」
と何度も言ってみたが、理由をつけて会わせてくれる動きは絶対にしてくれなかった。

何のことはない、異業種交流会のようなもので知り合っただけのその人脈は
「知ってるだけ」
の薄っぺらいものだったのだ。


ボクの経験では、
苦労して‘’名刺を配りまくって‘’作り上げた人脈が役に立ったことはない。ないのだ。もちろんゼロではない。少しはあった。

けれども、結果からみれば、時間と労力といったコストに見合うものほどのリターンは結局のところ得られなかった。

まず、異業種交流会に来ているのは、当時のボクと同世代か、少し年上くらいの人だった。

だいたい20代。

持っている悩みも一緒で
「人脈がないから欲しい」「成長したい」
などなど。

同じ気持ちを持っている人と出会えて話すのは、たしかにその場では共感しあえるし、楽しかった。でもそんなひよっこ同士が名刺交換して繋がったところで、

特に進展はない。

当たり前である。

仕事が充実している人は、
おそらくそんな「雑魚ざことの人脈形成」が目的の名刺交換会にやってこない。

ボクのような虚栄心と性欲に満ち溢れた若手のオトコでも参加できる場にきたところで、
ほぼ“仕事における人脈形成“には
無意味だから。


そもそも人脈ってなんだろうか。

ひとことでいえば、
win-winで困ったときに‘’相互に‘’助けたり助けられたりする人間関係のように思う。
イメージとしては日常的につながりのある仕事や学校、プライベートの人間関係よりかは

つながりが薄く、
広い範囲の人間関係。

だから
自分に価値があれば、拾ってもらえる。

そうでなければ、捨て置かれる。

同じ人脈と言っても、知ってるだけ、付き合いがあるだけにとどまるか、それともパートナーを組む関係に持ち込めるか。

極端すぎるという意見もあるかもしれないが、社会人の人脈たるものは、これくらいシビアな目で捉えてもよいかもしれない。

これが自らの人脈を常日頃誇りつつ、
肝心な時に全く生かせなかった悲しき「人脈おじさん」を多々見てきた
‘’ボクの持論‘’である。

と、まさに今、

「人脈自慢して、マウント争いをするなんてりだぜ」という、斜に構えてすこぶるカッコいい意見を口にしてみた。

もはや‘’人脈自慢なんて興味のない自分‘’は、
‘’何かと人脈自慢してマウントとる人‘’に比べて、すでにさとりを開いているんだぞ、

と、必死に、
そして巧妙にアピールしたのだ。

しかし振り返ると
冒頭…

いまや超有名な乃木坂のエース格をめいっ子にもつ同僚とボクは仲が良い。
彼とはキャンプをするまでの仲であるとたたみ掛けて仲のよさをアピールした。

ポカンとする読者をおいてけぼりにして。

思い出したが、それをタイピングしている時のボクの顔は思いっきりニヤけていた。

本当に人脈自慢なんて懲り懲りだ、
と思っているなら、こんなところでそれを言わなくたって良い。
そんなことに触れずに静かに淡々と
‘’人脈自慢って意味ないよね‘’
持論を展開すればよかったのだ。

それなのにこれだ。

新人のころだけじゃない。
おっさんになっても、
いまなお、
優位に立ちたい、自慢したい、
という強い思いがあるからこそ、
巧妙に人脈をアピールする手口を使ったのだ。満面な笑みで。

他者に対して優位に立つ為に新手のスタンスを持ち出しておいて、
いま特大ブーメランに気づいた
なんとも気の毒な‘’非モテ‘’おっさん。

散々、持論を展開してきたが、
最後に言わせてもらおう。

‘’あいつ‘’がな。
言うからな。

しゃあないな。
乃木坂の次のコンサートで、アリーナ最前列のど真ん中で歌い踊ってやるか。

え?

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