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レジ袋有料化は全く効果がなかったが、変革の流れは止めてはならない

新型コロナの流行に際し、半強制テレワークがきっかけとなって、多くの企業で在宅勤務のルールが急速に整備された。 オンラインミーティングが一般的になるなど、世の中の仕事環境がある意味強制的にアップデートされたといえる。

「たくさん働いています。頑張ってます」
と、その誠実さや忠誠心を評価されてきた伝統的な日本企業文化に、ついにテレワークが浸透する地盤ができた。

「トライでやってみて、意外にうまくいった」
という実績はものすごく大事である。
今後、同じようなプロジェクトを進めようとしたときに、

「前もうまくいった」
という実績を持って周りを納得させることができるからだ。
きっとこれはワクチンが浸透してコロナが収束した後も継続される「働き方のニュースタンダード」になるように思う。

コロナ禍におけるコストコントロールの成果

僕の会社で一番うまくいったのが間違いなくペーパーレスだろう。
紙がデジタルになったことで、作成した資料の検索が簡便になったり、オフィスにいなくても資料を確認できるなど作業効率が上がり「見えないコスト」の削減に成功した。

「見える」印刷コストの方は、印刷数の削減よりもカラーをモノクロ印刷に変える方が効果が大きい。

「カラー印刷:12.2円/枚 モノクロ印刷:3.4円/枚」

ノートパソコンの黒のフレーム部分にこの注意喚起をテプラで貼るなどの取組が始まった。たしかに漠然としたアナウンスから、こうやって定量的なコスト削減額を常に目にすれば「社内資料の全てはモノクロにしよう」
といった意識付けにはなるし、オッサンが何も意識せずにGoogleマップをカラーで印刷することに罪悪感をもつようになるだろう。

真剣にコストコントロールに取り組んでみると今までいかに無駄が眠っていたかが分かってきた。

しかし当然こういった取組にはデメリットもある。
管理職がバカだと見えるコストを削ることだけに着目し、その結果減らす必要のないコストを削減して新たな弊害を生むのだ。

例えば、エアコンの温度を夏は高め、冬は低めに設定するのは電気代節約案としてよくある手法で、我が社でも「夏は28℃設定、冬は18℃設定」とリモコン付近に貼り紙している。
しかしこの設定だと夏は全く涼しくないし、冬は全く暖かくない。結果的に暑いわ、寒いわ、でモチベーションも業務効率も下がるといった弊害が起こっている。

そういえば、以前ペーパーレス化と通信費節約を進めるため、FAXをPCで送受信する手法も考案されていた。
これも、慣れてきてうまく回ればコスト削減効果が「若干」上がるが、PCにそれほど習熟していない社員が重要なFAXを見逃してしまったり、PCに疎いおっさんが、他の社員の手を煩わせて業務に非効率が生じたりという弊害が起こってすぐにやめた。

結局のところ、大義名分のように取り組む小さなコストコントロールが大きな損を生んでしまって失敗に終わってしまうことはよくあるのだ。

そう、環境問題のように。

マイ箸は既に失敗に終わっている

今年の3月9日の小泉環境大臣の記者会見にて下記の発言があった。
「例えばコンビニで使い捨てプラスチックのスプーンやフォークが配られるということもなくなっていく。」

2022年4月以降、コンビニなどで提供されるプラスチック製のスプーンやフォークの有料化が検討されている。
一体これはどれだけの効果があって、どれだけの弊害があるのだろう。

思えば僕が入社して間もない2005年~2008年頃、「エコ」がブームになっていた。その中で覚えている人も多いだろうが日本全体で「割り箸を使わずにマイ箸を持参しよう」という取り組みが推進された。
僕の直属上司の30代女性課長がまさにこのブームに乗っていて、「マイ箸」をどんな場にも常に持参し「木材の環境保全」を僕ら若手によく説法していた。「できることからやろうよ」「やらない善よりやる偽善」と。
休憩中にタバコはガンガン吸っている姿をみると思想が完全に矛盾していたので、まさに「エセエコ信者」であった。

当時は僕も入社したてで余裕がなく、課長に目をつけられないように存在感を消していたので、彼女のエコ意識について冷静に考えることはできなかった。しかしブーム終焉が近づくにつれて「あれ?このマイ箸って本当にエコになってるの?」という風潮がマスメディアや環境保護懐疑派が出版する本でチラホラ目にするようになった。

割箸は、森林の維持に不可欠な間引の際に発生する間伐材からできていると分かり、「一種の捨てるはずだった木材で作ってるのだから逆に資源の有効活用だ」、「割り箸にしようとしまいと燃やすことには変わりないのでCO2削減にもならない」という論調が強くなった。

そしてマイ箸は、毎回洗うから水も合成洗剤も使ってるよね?マイ箸使う方が環境汚染じゃね?という見方が一気に強まり、次第に懐疑論派に押される形でブームは掻き消されるように去っていった。

レジ袋有料化は効果があったのだろうか

日本フランチャイズチェーン協会によると、2020年7月から有料化後にコンビニでレジ袋を辞退する人の割合は28.3%から74.6%に増加したとのこと。

たしかに僕も1袋3円も取られるなら勿体ないので、マイバックを持参している。しかしこれがエコの取組として成功したかと言われればそのような声は今のところ皆無である。

まずエコの観点からみた時に、そもそもレジ袋は日本で発生する年900万トンの廃プラのうちたったの2%にすぎず「本当にプラごみ削減効果なんてあるの?」と疑う声がある中で始まった施策である。

通常レジ袋は、家でごみ袋にしたり、食料品の保存袋として多くの家庭では「複数回」使って廃棄する。エコバッグを作って、定期的に洗って、最後は捨てるとなると、複数回使うレジ袋の方がトータルで見れば環境負荷は低いよね、とまで言われるようになってきた。

また店舗のオペレーションの負担は大幅に増加した。毎回、袋の確認をしなければならないし、万引きに目を光らせる必要もある。
パッと見でレジを通したか通してないかなんてわからないから声掛けも難しい。つまり万引する奴らにとっては現状は天国みたいな制度となってい

色々問題はあるが、しかしやってみることを恐れてはならない

「環境に良い」「コスト削減」と言うと僕たちは聞こえがよくてすぐに飛びついてしまう傾向がある。しかし、一定期間経過後にどれだけの効果があって、どれだけ弊害があるかは定量的に検証する必要がある。

一方で、やる前から慎重になりすぎて事前の検証にあまりにも時間をかけすぎてしまうようではスピード改革はできない。結果的にやってみて無駄だったことは後になってわかるだろうし、やってみて初めてわかる発見もあるかもしれない。だから失敗しても今は新しいことをやってみる方が大事かもしれない。

あれだけ「変われなかった日本企業」が「変わり始めるきっかけ」を掴んだ。僕は今回の新型コロナのピンチは、働く人にとってはある意味チャンスになるような気がしてならない。

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