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今夜は月のせいにして

今週の空は忙しかった。

冷たい雪と雨から一転。次の日は春みたいな陽気で。かと思えばその次の日はまた冬の風が吹いて——。


ここのところ感情が平坦というか無で、なにに対しても気持ちが入らないでいた。わたしはなにに疲れているのだろう。

めずらしくお酒を飲みに行きたいとも思わなくて、これはちょっとまずい。

本を読む、映画を観る、音楽を聞く、散歩をする、花を買う、お香をたく、掃除をする、布団を干す、ネイルを変える。

自分の機嫌をとるカードはいくつか持っているがどれを投下しても効かず、わたしの心ときたらわたしの気も知らずしらんぷり。ずっとどんよりくもり空をきめこんでいる。

いっそのこと、風邪をひいたり熱がでたり明らかに体調が悪くなれば諦めがつくのに、と思う。仕事には行けるくらいのぐずぐずだから余計に厄介だった。

のびきった輪ゴムの気持ち。切れるなら切れてくれよ。

空はのんきでいいなー。ころころ表情を変えれてさ。

そういえば、梅雨のしとしと雨は長く続くけれど、嵐なんかは一気に大雨を降らせてぱっと去る。思いっきり泣いたりすれば気持ちもぱっと晴れるだろうか。

とりとめのないことを考えていたらすっかり夜更かしになってしまった今夜。外の空気を吸いに出ると満月に向かう上弦の月が空に。

そして月のせいにしてしまおうか、とひらめく。満ちていくエネルギーに気持ちがついていけなかったんだきっと。じゃなければこの感情に説明がつかない。だからわからないけどそう思うことに決めた。

今夜は月のせいにして。

満月になる頃にはちょっと元気になれていたらいいな。




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