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うたうように、じゃれるように。愉快なギタレレ

世の中には別れた恋人と復縁できるタイプとできないタイプがいるが、わたしはおそらく後者だ。ポジティブにもネガティブにも人間の根っこってそう変わらないと思っている。

それなのに先日、うっかりころっと復縁を果たす。それはほとんど触れたい奏でたいの衝動で相手はギターである。

はじめてのギターは真っ赤なエレキギターだった。きっかけはソラニン。漫画も映画も最高だったけど、なにせアジカンのソラニンだ。

たとえばゆるい幸せが  だらっと続いたとする 
きっと悪い種が芽を出して  もう さよならなんだ

の歌詞があまりに当時のぼやぼや生きてる自分と重なって、弾けるようになったらなにか飛び越えられるような、そんな気がしたのだった。

しかし、コードが全く押さえられず、指が痛いだの弦にとどかないなど言い訳をして早々に挫折。そのうちギターはオブジェと化しほこりをかぶり、ソラニンなんてこれっぽちも弾けないまま手放すことになる。完全に舐めきっていた。

あれからかれこれ7年がたち、もう一度ギターを弾きたくなったのは、はっぴーな友だちのむじゃきなギターのせい。

寂しくなったらジャンベを鳴らそ
ジャンベを叩けば僕らは友だち
(たしかこんな歌詞のオリジナルソングだったはず…)

あそぶようにうたって、じゃれるようにギターを弾く。そんな姿を目の前にしたら、シンプルな感情として、もう一度ギターをやりたくなってしまった。

そうしてわたしは、ギターとすんなりちゃっかりよりを戻すことになる。

迎え入れたのはウクレレみたいなミニギター。ギタレレというらしい。ちっちゃくてとってもかわいい。あたらしい相棒。

6弦でギターと同じコードなんだけど、フレットの間隔が普通のギターより狭く、ナイロン弦でやわらかいから押さえやすい。音はウクレレ寄りなんかな。のんびり柔らかい感じ。

もう絶対ギターなんてやらないと、かたくなに思っていたのに嘘みたい。音が鳴る、それだけでたっぷりうれしい。

仕事から帰って一息つきたいとき、お風呂をためながら、寝る前のちょっとした時間。本を読んだりテレビをみたり、お酒を飲んだり、それから犬をなでたり…そこにギタレレが加わる。生活がちょっとたのしくなる。

片手分のコードで足りる「Stand by me」、ハナレグミの「家族の風景」、ブルーハーツの「チェインギャング」は、お気に入りで毎日弾いているな、最近。

練習中なのは、東京事変の「落日」と松任谷由実の「やさしさにつ包まれたなら」。ゆっくり弾いてちっちゃくうたうのが気分。明日にはカポが届くので楽しみ。弾ける曲が広がるといいなー。

わたしは少々飽きっぽい性格なので、正直いつまで続くかわからないし、かといって今度こそ続けよう意気込むとそれがストレスとなり苦しくなることもよーく知っている。

だからそうだなー。「あったかくなったら、ギタレレを連れて散歩にいこう」これくらいの心持ちで仲良くできればいいなと思う。

そしてもしもまた手放すことになったとしても、そのときはきっとそういう流れなのだろうし、時がきたらまたあたらしくはじめたらいいよね。

それはきっと、人もおんなじだ。






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