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現役人事が教える:会社で高評価を得るための5つの視点|「たったそれだけ」で明日から周囲を突き放す(後編)

(2024年4月27日更新)さて、前回の記事の続きです。良い評価を取っていくためのコツにはまだまだあると申しましたが、どのようなポイントがあるのでしょうか。

まだまだありますから、どんどん見ていきましょう。

罠:目標が上司とすりあわさっていなければ赤信号。そして、期初に握っていても目標や期待値はズレてくる。


皆さんは、期初に上司と相談して目標設定をしていますか。

私も、良い評価を得られない時には、まったくと言っていいほどできていませんでした。会社としてもそういう「うやむや」のカルチャーだったということもありますが、「私は今期、これにメインで取り組みます、この状態まで実現したいです」ということを自主的にでも上司に対して伝えられなかったことも大きく要因として作用しています。なので、私は自分が何をもって評価されているのか、されていないのかが納得できなかったのです。

もし、こうしたすり合わせができていないならば、できるだけ期が始まるタイミングか、そう遅くないタイミングで必ずすり合わせるようにしてください。目標と期待値が上司とすりあわさっていないと、納得感のある評価など成立するはずがないのです。

「うちの会社にはそんなカルチャーは無い」という人もいるかもしれませんが、自分で考えて、上司のところに持っていくようにしましょう。持っていったところで、会社員人生が終わることはありません。むしろ、これが、最終的にはあなたの身を守ることにもなりますし、すり合わっていない以上、高い評価や、すくなくとも納得感のある評価は得られないでしょう。何をもって、A評価なのか、D評価なのか、評価を受けてもわからなくなるからです。

もちろん、期初の目標設定面談できちんと握って文字に書いたところで、上司が思っている期待値と自分が思っている期待値がどうしてもすり合わないところは残ります。お互いに相手のアタマの中を覗けるわけではないのです。したがって、上司と自分の間には細かいニュアンスの点で、「ズレ」が必ずあるという前提を持っていて丁度いいくらいなのです。

さらにいえば、期中を通じて、ビジネス、組織の状況は刻々と変化していきます。コロナウイルス蔓延、リーマンショックといった世界レベルの激震は頻繁になくとも、今まで担当していた商品が品質不良で回収、チームメイトが辞めてしまった、などなど、様々な要因で、自分がやっている仕事のミッション、優先度、組織からの期待値は、握った当初から、月日が経つに連れてどうしてもずれていくものなのです。

ゆえに、日頃から、小さな、そして、こまめなコミュニケーションを上司と取って、「自分は、こんな優先順位で、こんな仕事を、こんな進め方をいま現在しているが、上司としての反応はどうだろうか?」というところを、こまめに定期点検するイメージで確認することが必要になります。

それによってズレを最小化できるだけでなく、上司の期待を超える作戦も立てることだってできます。

自分としてはここまでやったのだから高い評価をもらえるはず。そして、点検の意味で、それを上司に報告してみる。そうすると、上司は自分が思っていたほどには喜んでくれない。 反応が良くない・・・といったこともあるでしょう。

そういったところをキャッチして、「上司は今の状況では満足をしていないな」というところをきっちりと汲み取るわけです。そうすると、「自分はここまでの進捗で80点あると思っていたけれど、おそらく上司の、あの表情では50点か60点くらいだな」という感じで、自分の位置を見直して、さらに磨きをかけていくといったことが可能になります。

こういったことを日頃からやっておけば、半年や年に1回の評価面談の時に、「自分としてはかなりできたと思っていたけれども、上司からはあんまり評価してもらえなかった」といったことを減らすことができるのです。

罠:期中に、追加で来た仕事をするのは、ハイリスク・ハイリターン


また、評価に関してありがちな、別の注意すべき点は、「自分の主たるミッションをやっている中で、突然トラブルが発生した。その対応にも追われていたから、主ミッションは達成できなかった。とはいえ、それは不可抗力。評価されてしかるべきだ」という思い込みです。

当然、時間や労力を割いてそういった追加のことをやっているのですから、働いてる身としては当然評価をしてもらいたいと思っていますし、評価されるべきです。

しかしながら、残念ながら、マネージメントや上司の立場は、そういった突発的なことや追加のことに追われていたために、本来の課されていたミッションが達成できないということはなかなか汲み取ってくれません。汲み取ってくれたらラッキーくらいに考えておきましょう。

私自身も、良い評価がなかなか取れなかった時期に、社内で若手が担当させられている雑務の中で起こった突発対応にかなり時間が取られてしまい、本業のミッションがなかなかできないことがありました。自分では「突発対応だろうとなんだろうと、会社に貢献している!」というマインドでしたが、全く評価の考慮に入れてもらえませんでした。上司からすれば、私が手を取られていた仕事は必要な仕事だったけれど、「価値の低い仕事」だったからです。まさに、前の記事に述べた主語が自分にしか向いていなかったのです。

良い評価を取れるパターンでベストなのは、追加や突発対応も発生したが、それを無事に乗り切り、本来課されていたミッションもきっちり達成できたパターンです。これが一番上司としては助かるわけです。

ところが、突発対応に追われていて、そちらは鎮火できたが、本来のミッションは達成できなかったということでは、考慮してくれるマネージャーもいれば、そうでないマネージャーも発生してしまうでしょう。

そして、こういう類のケースは、多々発生します。周りの人も同じような状況がいるでしょう。あなたも同じ状況では差別化にはなりません。マネジメントとしては、限られた予算でメンバー達に差別化した評価をつけなければならない。上司やマネージメントの立場からすれば、あなただからこそ、高い給与や高いボーナスを出したいというところに繋がっていかないわけです。

差別化をするには、本来のミッションももちろん達成しながら、同時に突発対応などもこなしていき、チームにとって大きな助けになっていく。これこそが高い評価を得るポイントになります。その状況を打開するために、上司を巻き込み、上司のアドバイスを使い倒すわけです。

もちろん、突発対応や追加で発生した大きな仕事などは、そもそもの自身のキャパをオーバーする可能性だってあります。体やメンタルを壊してしまっては元も子もありません。そうであれば、そのタイミングで上司ときっちりと再度の握りをすることです。

追加や突発対応が発生した。自分はそれに追われている。本来のミッション達成に影響が出ている。上司も「それを知ってくれているだろう、汲み取ってくれるだろう」 これが最も危険な淡い期待です。

そういう意味では、期中に、追加で来た仕事をするのは、ある意味で、ハイリスク・ハイリターンなのです。

罠:自分の上司が評価してくれているから大丈夫。これでは少し心もとない。


評価に関するありがちな、別の危険な思い込みは、「自分の上司にさえ評価されておけば良い」というものです。

もちろん、日々の仕事の中で直接的にやり取りをするのは、それを評価する直接の上長になるでしょう。

しかしながら、現実的には、評価の実際においては、部門や部署全体で評価される人たちのリストが並べられ、誰が一番良い貢献をしていて高い評価を受けるべきなのか?誰の貢献がイマイチで下の評価をつけるべきなのか?を部門のトップやシニアマネージャーたちがリストを見て決めます

そうすると、直接の上長だけでは部下の評価を守りきれない場合があるのです。 というのも、「私のチームにいるこの部下は、日頃この仕事でよく頑張っている」といった主張をあらゆるマネージャーがしてくるのです。

そこで差別化を図るにはどうすればいいか。

最も効果的なのには、上司の上司に、認知をしてもらうことです。

また、自分の直接の上長ではないけれども、斜め上のマネージャー(自分の上司と同列だが、他チームのマネージャー)などにも良い印象を持ってもらう、仕事ぶりを見てもらうといったところも差別化のポイントになります。

もちろん、彼らに媚を売るとかそういうことではありません。部門を超えた仕事、他のチームからの相談事、ちょっとしたお手伝いの依頼など、本業以外の仕事が降ってきたときに、快くサポートしてあげられるかどうか。これこそがこうした援護射撃にもつながってくるのです。

また、こういった観点で見られるということを意識して仕事をすると、毎回毎回のボーナス評価だけではなく、そこから派生する昇進やいわゆる出世にも大きく繋がっていきますので、「自分の上司にさえ、コミュニケーションを取って評価をされておけばよい」というところから、ぜひ抜け出して、さらに何ができるのかというところをぜひ考えてみましょう。  

このように、自分の直接の上長以外のマネージャーからも認めてもらう、良い仕事ぶりを覚えていてもらうと、いろんな角度からの援護射撃が評価を決める会議で出やすくなるのです。

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さて、今回のシリーズ記事では、「なんで自分は評価されないんだ!」というありがちなマインドを変えていただき、より自分の日々の貢献や活躍を認めてもらい、良い評価につなげていくためのポイントを申し上げました。

これらのポイントは、ある意味で「組織人として良い仕事をするためのコツ」でしかない基本の話のかもしれません。しかしながら、現実には、自分は頑張っているのだけど、評価されていない、という人はたくさんいます。「組織の7割は課長になれない」なんていう言葉もあるくらいなのです。

この記事を読んでくださった皆さんの日々の頑張りがぜひ報われますように!

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