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読書メモ【それをお金で買いますか】20230626

マイケル・サンデルさんの著作。

ファストパスや施設のネーミングライツ、またはCO2排出権まで様々なものが市場で売買されている現代に対して、その物事の意味や道徳までを市場は織り込んで動けているのか?どこかに歪みがあるのではないか?と問いかけている本。

作中にある事例のピックアップをすると、イスラエルの保育園では、子供のお迎え時間に親が迎えにこれず遅刻となった場合に罰金を課したところ、その罰金を課す前よりもお迎え時間に遅刻をする親が増えてしまったそうです。

これは罰金といういわば「遅延料金」の発生により、従来親が抱いていた「決められた時間に遅れるのは悪いことだ」という一般的な公共心が、あくまで正常なプロセスとしてみなせ、棄損、または腐食されてしまうために起こる事象とのこと。

私は物事がうまくいかない時には、そもそも仕組み自体をうまく作れていないことが多いのではないか?一部の人の親切心に依存してしまってはいないか?と見ることが多くありました。
しかし、この著作を読むことで、全てを仕組み任せにして人の公共心や善い心がけの介在する余地をなくしてしまうことで、むしろ人の公共心や善き心がけは磨かれず、弱まっていってしまう危険性があるという側面も物事にはあるのだと、少しだけ物事のとらえ方を広くすることができたように感じています。

いや、アメリカってそんなものまで売ってるの⁈と事例を流し読みするだけでも話のネタになりそうでオススメです。


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