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あの頃わたしには、自己肯定感がなかった。



「俺のことは気にしなくていいから、好きにしていいよ」


突然だけど、恋人からこんな風に言われたら、
あなたはどう思うだろうか。

ただし、このセリフは「わたしに何か直したほうがいいところがあったら、言ってね」と伝えた際の、相手からの回答とする。



恋人からそんなことを言われたら。

今のわたしなら、
「わーい♡好きにしていいんだ♡」
などと言って、
相手の心の広さと、自分に与えられた「らしくある自由」に
わたしって愛されてるな〜と実感しているはずである。

ただし、3年前のわたしは、そうではなかった。

わたしが彼に返した返事は、こうだった。

「・・・なんか、冷たいね。突き放されてる感じがする。」




わたしの家は、父親の絶対王政だった。

一度 父の機嫌を損ねれば、気がすむまで怒鳴り散らされ、

彼にとっての正しさ、心地よさに反した場合、

「だからお前は」などと罵倒され、泣くまで詰められた。

わたしの中には、いつの間にか

「顔色を伺い、いうことを聞き、ご機嫌を取り、
相手の望む自分でなければ、男性からは愛されない」

という、強大なサバイバルスキルが爆誕していた。

(こどもにとって、親は世界のすべてであるため、
愛されることは生きていけることそのものを指していると思う。
だから皮肉って、サバイバルスキルと呼んでやる。)





話を戻そう。

先ほどの、わたしに自由を与えてくれていた恋人とは、
その後数ヶ月で、お互いの未熟さから
お別れをすることになる。

別れた後もなお、わたしは
この恋の「なにが間違っていたのか」がわからなかった。

・・・いや、正確には、「わたしがいい子にしてなかったから」お別れすることになってしまったんだと思っていた。

どうして我慢できなかったのか、いい子でいられなかったのか、笑顔でいられなかったのか・・・
別れる前、彼に対していろんな感情を爆発させてしまったことを
来る日も来る日も後悔していた。



転機は、ある日突然、啓示のように。

ある時、ふと頭の中に浮かんだこと。

「相手に尽くしたほうが、尽くした相手のことを、より好きになる」

もう、どこで見たのか記憶にもないくらい昔、
心理学の本か恋愛指南書か何かで読んだことが、
突然頭の中に降ってきた。


わたしはすでに、とっくに相手に尽くし、
別れを迎えた後だった。


「まさか・・・」と思いながら、Googleに問いかけると、
それは「認知的不協和理論」と言って、
きちんと心理学的裏付けのある理論だった。

わたしは絶望した。

わたしがダメになったのは、わたしが良い子だったからか。

もっと迷惑かけてよかったのか。



そのうちに、ひとつのブログに辿り着く。


そこには、もっとワガママでよかったこと、
我慢しなくてよかったこと、
良い子でいなくてもよかったこと、
女性は、女性であるだけで価値があるのだから
自ら消耗するような恋愛はしなくて良いのだ

何度も何度も訴えかけられていた。


読み込んでいくうちに、
わたしには、
「良い子にして相手に尽くさなければ、相手の望む人間にならなければ、
相手から愛される価値がない」と思い込んでいた自分に、
ついに、気がついてしまった。


自己肯定感が、低かった。


その時、冒頭の彼の言葉が
頭の中によみがえった。


「俺のことは気にしなくていいから、好きにしていいよ」


・・・・あれ、わたし、なんて言ったんだっけ。

わたし、なにを言って、彼からそう言われたんだっけ。

わたし、それに、なんて返事したんだっけ・・・・・。



冷たくなんかない。

突き放されてもいない。

それどころか、「らしくある自由」を認めて

好きにしていいとさえ言ってくれていた。

わたしは、大切にされていた。

わたしは、ちゃんと愛されていた。

そのことに気づいたのが、遅すぎた。




ずっと、わからなかった。

恋愛がうまくいく人と、いかない自分の違いは何だろうって、
ずっと、わからなかった。

こんなにオシャレして、身なりに気を使って、
人に優しくして、仕事も頑張って結果も出して、
結構小ぎれいにしているほうだと思うし、
いい子にしているのに、って。
なにが足りないんだろうって、ずっと思っていた。

男性から愛されないわたしは、
女性として、人として、価値がないんだと思っていた。


違った。



「自分自身には価値がないと思っていたこと」

これがすべての間違いだった。




2017年、1月。
ここから、わたしの人生が、
ゆっくりと少しずつ、変わり始めることになる。


これから少しずつ、
わたしは、わたしの人生を
自分自身の手で、幸せにしていくんだ。


(のんびりと続く)




***


当時の彼氏さんへ。

さんざん悪態ついたし、ケンカもしたけれど、
あなたに出会えたから、今のわたしがここにいます。
たくさんのことに気づかせてくれて、ありがとう。
逃げずに、やりあってくれて、ありがとう。
わたしが自分を幸せにすると誓えるようになったのは、
あなたのおかげです。


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