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都会育ちが、田舎で暮らしている理由

私は幼少期~大学卒業まで、東京の品川で過ごした。いわゆる都会育ちなわけだが、今は山梨で生活の基盤を築いている。

都会にいると分からなかった、都会での暮らしやすさと暮らしにくさ。
田舎に来たからこそ気付いた、本当の豊かさや貧しさ
今回はこのあたりについて触れていきたい。

山梨に来た理由

もともと山梨に来たきっかけは、単純に会社の転勤だった。
社会人5年目に差し掛かるときに人事異動で山梨に来ることとなった。

上司に呼ばれ「山梨に異動」と内示が出たときは頭の中が真っ白になった。
正直言うと、行くのがめちゃくちゃ嫌だった。
一瞬退職するかとも悩んだが、住めば都という言葉を信じて、とりあえず行ってみるかという感じだった。

いざ来てみると、、
とにかく生活は車がないといちいち不便。
異動してきて2ヶ月ほどは頑張ってチャリで生活をしていたが、耐えかねて車を購入。
元々マイカーは欲しいと思っていたので、逆に買わざるを得ない環境で買う決心がついて良かった。

気候的にも、夏は必要以上に暑くて、冬は必要以上に寒い。
特に夜は盆地という特性上、夏は熱が逃げない、冬は山の冷気が降り注ぐ。
そして何より、夜が暗い。
当時マイカーを買うまでは仕事終わりに夜チャリを漕ぐだけでも結構怖かった。
街灯が東京に比べて極端に少ないのだ。
頼りになるのは車のヘッドライトのみ。

本当は2~3年でまた次のところに転勤するだろうと気軽に構えていたが、気付いたら山梨で7年という月日が流れていた。

甲府駅のシンボル
武田信玄像

山梨での生活

そんなこんなで、独身時代で山梨に来た私は今の妻(通称ちゃんよめ)と結婚して子どもたちも授かった。
子どもたちの生活基盤が山梨にできてしまい、変に愛着も湧いてしまっているため、離れるに離れられなくなってしまい現在に至る。

そんな山梨には良いところもたくさんある。
一番の魅力は、人と自然がいいバランスで共存しているところだ。
少し車を走らせれば、ショッピングモールから山の登山口まで行けてしまう。
都会にいては大自然の山や川の中でのびのび遊ぶには最低1、2時間はかける必要があるが、こちとら15分もあれば山や川で遊べるところについてしまう。
海がないのが難点ではあるが、その分台風などの被害が少ないというメリットもある。
山梨に来ていなければ、こんなに気軽にキャンプや登山に行くこともなかっただろう。
人と自然が共存するにはとても良い環境だ。

高さ日本第2位の北岳から見える
南アルプスの美しい稜線

もう一つの大きな魅力は、ご近所さんやお付き合いのある人からの「お裾分け文化」だ。
フルーツがほぼタダで手に入るというのは、山梨に来て最も驚いたことと言っても過言ではない。
さくらんぼ、もも、ぶどうなど、知り合いの知り合いには必ずと言って良いほど農家さんがいる。
さすがフルーツ王国山梨。シャインマスカットですら格安どころかタダで手に入ってしまう。
贈答品にならないような、少しキズがついてしまったり虫喰いがあったりするものの、十分に食べられるが売り物にならないというものを、ご近所さんや知り合いにとにかく配るのだ。
知り合いの農家さんからもらって、更に余ったものをお裾分けとして別の知り合いなどに配ることが多い。
都会では考えられなかったこのお裾分け文化に感動した。
副産物として、フルーツや野菜の旬に詳しくなった。都会で暮らしてスーパーで買い物をしていてはあまり気付けなかったことだ。

先日いただいたプラム(すもも)とトマト。
これが日常茶飯事。しかも超美味い!

都会と田舎、豊かさと貧しさ

都会から田舎にきて感じたのは

都会=物理的に豊かだけど心は貧しい
田舎=物理的に貧しいけど心は豊か

ということかもしれない。

当然ながら該当しない人もいるのは分かっている。
都会でも心が豊かな人は大勢いる。
田舎でも物理的に豊かな人は大勢いる。

ただこのような式が成り立ってしまうような環境になりやすいのではないかと思う。

今の日本社会は都会に人口が集中し、田舎は過疎化が進む一方だ。
東京に住めば仕事はいくらでもあるし、働こうと思えばいくらでも働ける。環境はこれ以上ないぐらい整っている。
交通インフラも整っており何をするにも便利だ。
しかし都会での暮らしにはお金が掛かり過ぎる。

都会で生活するために仕事をして稼ぐのが、果たして幸せなのか。
都会で職場と家の往復を繰り返すのが果たして豊かなのか。
そもそも都会でなければできない仕事なのか。
そもそもその仕事自体、自分の望んでいる働き方なのだろうか。

私はどんなに地位財を得ても、真の意味で豊かにはなれないと思っている。
当然ながら夢や願望を叶えるためにお金は必要だし、あればあっただけ理想には近付きやすいだろう。
しかしお金がいくらあっても、心の豊かさが一緒にないと虚しいだけではないだろうか。
逆にお金がなくても心が豊かなら、それは幸せと呼べるのではないだろうか。

心の豊かさとは、「人との対話」だと私は思っている。
人間関係が心の豊かさを決めるバロメーターであり、逆にストレスの9割は人間関係からくるものだ。
良好な人間関係を築くことが何より大事であり、その手段は「対話」によってでしか成り立つことはないのではなかろうか。
その関係性の最たるものが自分にとっては家族である。
ただ家族だけでなく、友人・知人、コミュニティや地域との繋がりも、同じように大事にしたい。

地域のラジオ体操に参加する我が家

まとめ

人は1人で豊かになるのは難しい。というか私は無理だと思う。
孤独は心を乏しくする。
自分本位で生きるのは、どこかのタイミングで苦しい、虚しいと感じる瞬間がくると思う。

例えば地震や台風などの自然災害が起こってしまった時。
本当に怖いのは自然災害の爪痕以上に、それにより孤立してしまうことだと思っている。
万が一のことが起こってしまった時、都会では近所の人同士でちゃんと助け合えるだろうか。
田舎の方が助け合いの文化が残っている分、孤立する可能性は少ないのではないだろうか。

都会から田舎に暮らしを移して、改めてこんなことを感じている。

都会での暮らしに疲れているとか、良い人間関係が築けていないと感じている人がいれば、一度思い切って田舎に拠点を移してみてはいかがだろうか。
デュアルライフという選択肢を持ってみても面白いかもしれない。
もし田舎地域に実家があれば、休み中に帰省して地元の良さを改めて感じて、考えてみると良いかもしれない。

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