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鶯宿梅

梅と鶯は、初春を表す組み合わせです。
梅が咲き始めると鶯も鳴き始めると言われ、初釜の茶杓銘に鶯の鳴き声を表す「初音」が使われたりします。
また、梅の枝の茶碗を使った時に、「初音が聞こえてきそうですね」などと席中での会話が喜ばれます。

梅の逸話で素敵なものがあります。
『大鏡』より「鶯宿梅(おうしゅくばい)」です。
平安時代中期村上天皇の頃、清涼殿の梅の木が枯れてしまい、帝はたいそうお嘆きになりました。そこで、紀貫之の娘の家の庭によい梅の木があるということで、その梅の木を清涼殿に植え替えをすることになりました。
紀貫之の娘の家から届いた梅の木には、和歌がくくりつけられていました。
「勅(ちょく)なればいともかしこしうぐひすの宿はと問はばいかが答えむ」
(天皇からの命令ですからとても畏れ多いことですが、私の家に来たうぐいすが「私の宿は?」と聞いてきたらどのように答えましょうか)という意味です。
この和歌に村上天皇は深く感じて、梅の木を紀貫之の娘の家に戻したという逸話です。この逸話のことを「鶯宿梅(おうしゅくばい)」と言います。


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