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きれいだね、なんていう花だろう

子供たちが小さかった頃、紫色のヒガンバナのような花が近所に咲いていました。

「きれいだね、なんていう花だろうね」
と何の気なしに子供達に話しかけたら
「あがぱんさす」
「え?」
「あがぱんさす」
「この花、アガパンサスっていうの?」
「うん」

驚きました。
この花の名前を教えてくれた時、息子は4歳か5歳くらいだったと思います。
しかも、2歳年下の娘まで、うん、とうなずいています。

チューリップでもタンポポでもなく、アガパンサス?
息子の口からぽつっと出てきた花の名前がすぐに受け入れられませんでした。
でも、成人した今に至るまで、息子は嘘を言わない子。
言い繕うこともせず、言いたくない時は何年でも、ただ黙ります(とても困る)。娘も自分の知らないことにうなずくような子ではありません。

ちょっと信じられない気持ちでしたが、子供たちのいうことなので、信じて、その名前を覚えました。

その後、保育園に子供達を迎えに行った時、その花が飾られていて、
「アガパンサス」
とマジックで大きく書かれた名札がついていました。
その場で先生に、子どもたちとも会話を伝えたら
「それはびっくりしたでしょうね。
お散歩の時によく見かけるので、子供たちに教えたんですよ。
ついでに、わかりやすいかと思って名札もつけてみたんです。」
とのこと。

そんな思い出のある花、アガパンサスが開花し始めました。

おまけの話

この花の和名はムラサキクンシラン(紫君子蘭)だと、根雨良光さんが教えてくださいました。四苦八苦して覚えたアガパンサスの名前より、こちらの方が、はるかに覚えやすかったです。

姿はクンシランに似ていますが、別属の植物なのだそうです。
アガパンサスはギリシア語のアガペ(愛)とアンサス(花)の2語からなり、「愛の花」という意味でした。

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