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うらまさり

桜蕊降る

以下の記事を拝読して始めて知った言葉です。
(日本語の美しさとクリエイターさんの感性が光る記事です。)

豊かな四季に恵まれているからでしょうか。
日本人の、自然と言葉に対する感性には瞠目させられます。

最近、平安時代に装束を重ねる色の組み合わせ(重ね色目)の本を眺めていて、こんなのまであるんだ!と思ったのが、「裏」に着目した色目です。

裏倍紅梅

重ね色目の表現には様々な「裏まさり」がある。花を裏から見たときの風情を表現したもの、特に梅の場合は、萼が美しい蘇芳色であるため、紅梅の花びらに勝るとも劣らぬ景色を賞美した重ねであろう。

八條忠基『有職の色彩図鑑』淡交社

上の説明に挙げられているのが、裏倍紅梅(うらまさりこうばい)です。
正面から見ても十分美しい紅梅の、後ろ姿に美しさを見出すあたり、なんとも日本人らしい気がします。

萼が花弁よりさらに濃い紅色をしています。

裏柳

柳の葉の裏表の濃淡を表した色目です。

風にそよぐと、葉の表裏の濃淡が目に入ります。

裏山吹

山吹の花を後ろからみた色を表しているそうで、表は黄、裏は紅、萌葱、青など諸説があります。
春から初夏にかけて咲く花らしく、若者向けの色目だったそうです。

若々しい色合いの裏山吹。


重ね色目は、中学校か高校で配布された国語便覧で知りました。
このページだけが好きで、ときどき眺めていました。


1年前に息子の受験の付き添いで京都に行った主人が、おみやげに買ってきてくれたのが、先程も引用した『有職の色彩図鑑』でした。

今月末に再度京都に行く息子と主人。
おみやげは嬉しいけれど、今年が最後であってくれと切に願っています。

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