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花の名前の物語

あれこれ調べて投稿する記事がちょっと続きましたので、今回は軽めの話題ということで、物語を感じる名前をもった植物を集めてみました。

ミヤコワスレ

小学校の時の担任の先生が好きな花でした。
一生懸命、名前を覚えて帰り、家に帰って母にそう報告したら、「庭に咲いているよ」と言われた思い出の花です。

鎌倉時代、承久の乱に敗れて佐渡に流された順徳天皇が、都を偲んで佐渡に咲いていた花を眺め、都への思いを忘れようと和歌を詠んだという伝説から名付けられたと言われます。

いかにして 契りおきけむ白菊を 都忘れと名づくるも憂し

ミヤコワスレは、ミヤマヨメナの園芸品種として江戸時代ごろから栽培されてきたそうですので、鎌倉時代に生きた順徳天皇が眺めた花はミヤコワスレではないはずですが、その逸話からつけられた名前なのでしょうか。浪漫のある名前です。

ワレモコウ

この花の名前の由来には諸説がありますが、地味だけれど、私も紅い花「吾亦紅」なんですよ、と主張している、というストーリーが、この花にぴったりな気がします。

庭に欲しくて、山梨に住む踊りの先生に、庭の花が終ったら種をいただけませんか?とお願いしたら、敷地を工事してワレモコウが生えていた場所に物置がたってしまったとのこと…。

ヒトリシズカ

源義経が愛した白拍子、静御前が舞う姿を重ねた名前と言われます。森林にひっそりと白い花を咲かせるところが、白拍子を思わせるのでしょうか。

静御前は義経や、誰かの前で舞っていたのではないかと思います。
でもこの花は、誰かのためにではなく、森の中で自分のために咲いている気がします。

フタリシズカ

能の演目、二人静に由来し、2本の花穂を静御前とその亡霊の舞い姿にたとえています。
新潟の実家からわけてもらい、我が家の庭でも大切に育てています。

私の母は、茶道、華道の師範を持っていて、茶道と華道の先生からそれぞれ「静」の文字が入った雅号をいただいています。
物静か、というわけではないのですが、穏やかで気配り上手で、二人の先生が静の漢字を使った気持ちがわかる気がします。

テイカカズラ

記事冒頭の写真の植物です。
テイカカズラという名前は、式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れることができず、ついに植物となって内親王の墓にからみついたという伝説がもとになっています。

定家が本当に内親王に恋をしたかは、定かではありませんが、定家の書を見ると、この伝説から感じる怖さのようなものを感じます。定家の直筆もテイカカズラも本物をみたことがないので、余計に怖さを感じるのかもしれません。

テイカカズラのジャスミンのような白い花、一度見てみたいです。

※補足:テイカカズラは繁殖力が旺盛で、一度生えると根絶が難しいそうです。栽培は試みないほうがよさそうです。


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