鳩の優雅な一日
昨日、外で知人とのんびりお茶を飲み、楽しい気分で帰宅したら、不機嫌な顔の息子が待っていました。
いつも機嫌の良い彼なのに、一体どうしたの?と思い、聞いてみたら、今から下宿先の千葉に戻るとのこと。えっ?だって片道三時間かかるよ。今から帰ったら夜遅くなっちゃうじゃない。
下宿先のアパートの近くにTシャツが落ちていると、お世話になっている不動産屋さんから電話があったとのこと。場所から考えて、息子のものである可能性が高いから、確認して回収して欲しい、と言われたそうです。
「不動産屋さんは、息子の下宿から歩いて10分のところにあるじゃない。まず写真を撮ってきてもらって、あなたのものだったら、しばらく預かってもらえるように頼んでみようよ。」
と説得してみましたが、いやぁ、無理でしょ、と相方さん。
息子も、そんなことしてくれるくらいなら、とっくにやってくれるでしょ、とご機嫌の斜め具合は、どんどん角度を増していきます。
既に娘が、似たような提案したらしいのですが、男二人の諦めムードに太刀打ちできなかった様子。
電話なんて3分とかからないのだから、頼むだけ頼んでみようよと、私が受話器を取り上げたところで、息子はふらりと部屋を出ていってしまいました。どうやら自分で不動産屋さんに電話をかけている様子。
部屋に戻ってきた息子曰く、
「写真を撮って送って欲しいとお願いしたら、写真ありますよ、とすぐに送ってきたよ。あるなら最初から言って欲しいよねー。」
結局息子のものであることが判明。
不動産屋さんに預かってもらう線は難しく、やはり取りに帰るつもりの息子に、次の手を提案しました。
「下宿近くに誰か友達が住んでいないの?
取りに行ってもらえそうな子がいれば、その子に頼んだらどう?」
その瞬間、息子の顔がぱぁっと明るくなりました。
数名の友人にLINEを送ったところ、程なく既読がつきました。
「既読がついたー!取りに行ってくれるって。
ウォー!持つべきものは友達だ。」
「え?それらしきものがない?いや、あった?やったー」
「御礼は何がいいって聞いたら、そんなのいいって。カッケー!
鳩サブレー買って帰ろう。」
鳩サブレーは、まさに今日一緒にお茶を飲んできた知人が「世界一」と絶賛する、地元神奈川の銘菓です。世界一の鳩サブレーで、最大限の感謝を示そうと、大喜びの息子に、娘がちくっと釘を刺しました。
「私が行っても全然説得に応じなかったのにねー。
お母さんにも感謝しなよ。
お母さんが言ってくれなかったら、今頃千葉まで取りに行く羽目になっていたんだから」
「お母さん、ありがと、ありがと、ありがとー!
いやぁ、やはり持つべきものは友人だなぁ。」
私はどうやら息子から鳩サブレーをプレゼントしてもらえそうにないです。
ところで、昨日鳩サブレー好きの知人が、お茶を飲みながら力説していました。
「世界一のというのは、そのまま食べた時の話ですよ。
牛乳に浸して食べると銀河一ですから」
おおー!グローバルを越えて、鳩は宇宙に飛び出した!
ブラックコーヒーを片手に、鳩の美味しさを力説していた知人の姿を楽しく思い出した次第です。
鳩に始まり鳩で終わった優雅な1日でした。
おまけ
ここでも鳩が!さすが平和の使者。大活躍ですね。
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