見出し画像

突発欠勤は一番ダメなやつなのです。


と。

いう子が遅番で入ってきたと書いた。


一緒の時間に働くことがないから、笑い話のように上司の愚痴を聞いていたのだが、さすがに笑えない事態が発生した。


先週の土曜日。

時間は10時を回ったころだったかな。

厨房にある携帯が鳴って、上司が画面を見て、

「おいおい、なんだよこんな時間に。」

と言いながら事務所の方へと歩き去った。

まぁたなんかあったなぁ?と思いながらも、こっちは調理作業を淡々と進めていた。

ものの3分もしないうちに上司が帰ってきて、ため息つきながら言った。


「休みたいってよ。遅番の娘が。

生理痛がひどいんだって。」



でたよ。



いや、とうとうやったな。って感じ。

上司は、

「そう言われちゃったらさぁ、俺からはなんも言えねぇじゃん。」

とか言うんだよね。

けど、その場にいたバアサンもワタシも言いますよ。

「絶対ウソでしょ。男んとこでしょ?」


実は彼女。

すんごいバックボーン背負ってるのは周知の事実で。

この10年無職だったわけなんだけど、その間、どこでどうしてたのかっていうと、

「彼氏と暮らしてるんです。彼、60代なんですけど。」

とけっこうパンチのある私生活を最初からお披露目してくれてて。

まぁみんな大人なんで、大げさな反応をその場ではしなかったそうなんだけど、当然早番のワタシにもそのことは筒抜けで。


それからしばらくして、ある日の帰り。

やけに彼女の帰り支度が遅い時があったそうで。

トイレに10分こもって出てきた彼女が、ま~ず濃い~化粧をして、ワインかなんかが入ったような包みを抱えてたんだと。

どっか行くの?と尋ねたところ、

「これから池袋に行くんです。」

とおっしゃったそうで。

いや、こないだまで最寄りの駅にすら出歩かなかった子が、池袋って大丈夫なんかね?

と、上司が心配してやったそうなんだがね。


後日、そのことを遅番で彼女の指導をしてるパートのCさん(この人も78才!)が聞いたそうで。

「池袋まで何しに行ったの?」

と、世間話のつもりで聞いたところ、彼女の答えは、

「彼氏に会いに行ったんです🥰」

「あら。わざわざ池袋まで一緒にお出かけしたの?」

「いえ、それ別の彼なんですぅ🥰」




・・・・・・・・・・・別、もいるの?・・・・・・へぇ。




そういう人生もあるだろう。

だが普通、あんまあけっぴろげに話せる話じゃなかろうに。


まだ会って間もない職場の先輩にそんな話をぶちまけるとは、すごい度胸×すごい鈍感力〇なんだろうなぁ。


60代のおっさん彼氏よりも、当然池袋の年下彼氏に夢中の様子の彼女。
土日休みたいってのも、はっきり「彼氏の休みなんで。」と言ってのけてたらしい。いや、無理だから。

そして、そのすべての内容が早番であるワタシとバアサンにも筒抜けだったわけで、当然、

土曜日

彼氏と一緒

帰りたくな~い🥰

休んじゃお♪

という絵面が見えますよ。

えぇ。こっちはもうそんな時代も通り越してきた中年なんでね。



そんな時代もありますよ。若い頃はね。(ってもう彼女30代なんだけどね。)

あ~今日仕事したくねぇなぁ。休んじゃおうかなぁ~。

ってなったこと、ワタシだってありますよ。


けどねぇ。

今の職場では、それは無理なんだよ。

だって、二人しかいないんだから。



上司は半ば諦めて自分一人でやろうとも思ったみたいなんだけど、一応Cさんに連絡してみたら、なんとか出勤してくれるって。

けどあまりに気の毒で。

Cさん七十八よ?

そんな人に代理出勤頼んで、結果三連勤とか強いてどうすんの?って。

でもそれをお願いするか、上司が一人で二人分をやるしか方法がないわけで。


自分が上がる時間にCさんが出勤してこられたので、

「ほんと、大変ですよねぇ。」

と声をかけたら、さすがに温厚なCさんでも、

「当日休むはあり得ないわよねぇ。許さないからぁ。」

とは言ってました。それくらいな大罪なのよっ!!



そんなことがあり。

シフトを見たら昨日、ちょうど彼女と入れ替わりで会いそうだなぁと。


ぶっちゃけワタシもまだ新人と言っていい期間しかいないけどね。

どう考えても、彼女は事の重大性を理解してないだろう。

そして、上司は甘すぎる男子だし、当事者のCさんは彼女と出勤で被ることはない=文句も言えないわけで。

めんどくせぇけど、ここで悪者になるのはワタシしかいないか。

と思いまして、昨日、彼女に一応物言わせてもらいました。


「あのね。

当日欠勤って、こういう職場では一番やっちゃダメなことだとワタシは思ってんのね。

仕事が出来ないより、仕事でミスするより、一番ダメな奴なのよ。

あなたが休んだことで、誰かがその穴を埋めなきゃいけないの。

二人しか働いてない職場ってのは、仕事の責任を半分背負ってるってことなの。

それだけ大変な仕事なのね。

理由は聞かせてもらったけど、そういうことなら今後も体調次第であり得ることなんでしょ?

かわいそうだけど、この場所でそれを聞いてあげるのは無理なんだよね。
たくさん同僚がいる職場とは違うから。

だから一度、ちゃんと考えた方がいいと思うよ。」


言いながら、ちょっとだけかわいそうにも思います。

彼女が思ってたような、そんな甘い仕事じゃないんすよね。少人数で成り立つ職場って。

生半可では勤まらないのよ。ほんと。



ほとんど挨拶くらいしか交わしたことのないワタシから、思わぬ説教を受けてしまった彼女。一応殊勝な顔して返事はしていたけど、上司の話を聞いてるところから考えると、素直に受け取るかどうかは怪しいところだ。

上司も「もうこっちが音を上げそうだよぉ。」と言っていたので、そろそろどっちかが限界を迎えるころではあったしね。

もしワタシのせいで辞めると言われても、こっちは全然かまわないしね。

責任取ってお前も辞めろ!

とか言ってくれないかな?

そしたら超絶ラッキーなんだけどなぁ♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?