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「面白そう」が「面白い」になり「面白かった」になるまで


※全体の目次↓

※配信版↓

(文章では結構はしょってるので、細かく知りたい人は配信版をどうぞー)


◎概要

読者が作品を手に取りファンになるまでの3ステップを解説

先にざぁっくり解説すると、以下の3ステップになります

無題 55

 ①入口:作品を手に取らせ(「面白そう!」=期待させる
 ②道 :読み続けさせ(「面白い!」=体感させる
 ③深部:最後に"価値"を与える(「面白かった!」=記憶させる

・読者は①入口から入ってくる
・読者を③深部まで導き、それが相手に刺さればファンになってくれる

とりあえずはこの「①手に取らせ」「②読み続けさせ」「③"価値"を与える」というざっくりした流れだけ理解してもらえればOKです。
より雑に言うと「①から読者を入れて③まで持ってきたら勝ち!」ってな感じ。

では次は、それぞれの個所について解説していきます。


①入口(アイコン)とは?

無題 55 4

・最初に読者が目にする場所
「面白そう!」と”期待”させるための場所
・興味を抱かせて手に取ってもらう工夫全般

・例:絵がいい、ジャンルが好き、キャッチコピーが面白い、いま売れてる…など
・読者は最初は興味ゼロの状態なので、まずは強く「面白そう!」と思わせて興味をひく必要がある
・入り口を広く&強く作ることができれば、より多くの人に手に取ってもらえる。

②道(アイディア)とは?

無題 55 1

・"入り口"から入ってきた読者を"深部"まで導くための場所
「面白い!」と”体感”させるための場所
・興味を維持させ、ストレスなく読ませ続ける工夫全般

大別すると読者に「分かる」と読ませるための工夫と、「面白い!」と興奮させるの工夫の二つがある

◎「分かる」の工夫
・ストレスを与えない視線誘導、意図が正しく伝わる演出/コマワリ、自然に飲み込める設定、

◎「面白い」の工夫
・興味を惹き続ける展開、欲求の配置(欲求ピラミッド)


<補足>
道(アイディア)はあくまで入り口と深部を繋ぐのが役割で、アイディア単体が先行してしまうと作品が迷走する可能性があるので注意。

例えば(ゲームの例で恐縮ですが)、スプラトゥーンの主人公がイカなのは「イカ人間って面白くない?」というアイディア単体ではなく、「イカにすることでゲーム性や設定など複数の問題を解決するから」という明確な理由がある。


③深部(コンテンツ)とは?

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・作品を読んだ結果、読者への価値が提示される場所
「面白かった!」と”記憶”させるための場所
「読んで良かった!また読みたい!」と思わせる価値全般

・抽象的なので例を挙げるのが難しいですが、テーマ、読者の主張、好き嫌い、人格、思想とかとか。(作者自身といっても差し障りないかも)
・「作者が一番やりたいこと」ではあるが、いきなり深部を提示しても基本誰も聞いてくれないので、きちんと「①入口:読者の興味を引く」「②道:深部まで丁寧に導く」という手順を踏む必要がある。
・「面白かった!」と”記憶”してもらうためには、読者の感情を強く揺さぶることが重要になってきたりする


そして、苦難の末に深部まで読者を導くことができるとどうなるかというと…


深部にたどり着いた読者はファンになってくれる(…かも!)

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ファンになると深部に”裏口”ができ、入口と道を無視して入ってきてくれる

具体的に言うと「一度ファンになった人は、作者がどんな新作を描いたとしても買ってくれる」という感じです。

スラムダンクを例にすると、以下の通り。

①入口:「バスケ好きだから」という理由で手に取る
②道 :作品を楽しんで読み続ける
③深部:最終話まで読み切り「井上先生サイコ―!!」となる
④新作『バカボンド』が発売。ファンはバスケ関係なくても買ってくれる


上記3要素は全部、超大切です。
①入口(アイコン)がなければ手に取ってもらえない
②道(アイディア)がしっかりしてないと最後まで読んでもらえない
③深部(コンテンツ)がなければ読者の心に刺さりません

名作と呼ばれる作品は、上記の3要素がキレイに入っていると思います。
もし自分の作ったものが「いまいちだなー」と感じられるなら、「①入口②道③深部」を見直してみるのも良いかもしれません。



余談:編集さんが”分かってくれない”理由

上記の3要素が全て大事ではあるのですが、立場や人によって重視するモノが変ることはあると思います。

例えば、ある『作家Aさん』。
漫画で表現したい事が強くあるその人は、③深部を強く重視し①入口と②道はどうでも良いと思っている。

例えば、ある『編集者Bさん』。
本を売るのが仕事だと割り切っているその人は、売り上げに関わる①入口②道を重視するが③深部はまったく気にしていません

たぶん上記の2人が打ち合わせをすると、互いに「コイツ分かってねー!」とミスマッチが発生すると思います。

なので個人的には、作者にしても編集者にしてもどれかに偏らず「①入口②道③深部」全てについて話せるようになっておくと、やりとりがスムーズになって良い作品が生まれやすくなるんじゃないかなぁ、と思ったりします。




という感じで、読者をファンへと導く『入り口→道→深部』は以上です。
次回は「じゃあ、読者を振り向かせたり惹きつけたりするにはどうしたらいいの?」という疑問に答える『欲求ピラミッド』を解説していこうと思います。


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