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◎都心で街歩き◎飯田橋駅付近を歩く

今年の夏は、とても暑い日が続きます。街歩き好きな人にとっては、炎天下では趣味の活動範囲が狭くなってしまうのが悩みの種ですが・・、短時間歩いては休み、を繰り返してたまに歩いたりしています。今回歩いた場所は、飯田橋駅から水道橋駅にかけて、です。とても面白いものを見てきました。

■まずは、今昔マップを見てみましょう。

飯田橋駅付近の今昔マップ。

JR中央線の飯田橋駅ができたのは、1928年です。1895年に新宿から飯田町まで開通しました。その際には「牛込」駅と「飯田町」駅が開業しました。その後両駅の駅間が近かったこともあり、1928年に電車線の複々線化工事が進んだ際に両駅が統合され、飯田橋駅が開業したという歴史を持ちます。

その後、カーブの途中にある駅として、定着していましたが、ホームからの転落などの危険性も高いことから、駅改良工事が行われ、2020年にホームの位置が約200m新宿寄りに移設されました。

では、そんな駅からまずご案内します。

■旧・牛込駅跡

まずは、飯田橋駅の新宿寄りから探索スタート。
このあたりは2020年にホームが新設された範囲です。
実はこのあたり、かつてあった「牛込駅」の位置に近いと言われています。
この付近の線路は、皇居の外堀を一部埋めた中を走ります。
牛込駅は、左に見える外濠の土手の上から、跨線橋でホームにアクセスしていたようです。
こちらは、「甲武鉄道市街線紀要」の中に記載のある、牛込駅の跨線橋。
(明治29年:国会図書館ライブラリにて公開)
こんな形で、旧江戸城の石垣が残る部分もあります。
こちらは、駅の外側の外堀の上です。
この2軒の建物があったところが、牛込駅跡だったらしいです。
JRの境界杭の内側に、この建物は建っています。
建物には、JRの財産を貸し出している標示も確認できました。

この建物があったところに、駅の本家があり、跨線橋でホームに降りる形だったようです。

外濠の土手の上から総武線を眺めたところ。
飯田橋~市ヶ谷の間は、一部濠らしい部分も残ります。

■飯田橋駅構内をもう少し眺める


牛込橋を下から見上げたところ。微妙に橋台の形よりも大きな桁が架かっています。
拡幅工事をした際に、イレギュラーな形で架け替えられたのでしょうか。
こちらは、牛込橋に直角に交わる橋と、行き止まりの水路。
何だかちょっと不思議な施設が色々ありそうな感じです。
今のホームの東京駅方端部に来ました。
ここからホームのようなものが続いているのが、2020年までの旧ホーム。

2020年までのホームは、ご覧の通りカーブの中の駅になるために、使用を停止して移設した経緯があります。旧ホームは、そのまま残された東口改札への通路としての機能を維持しています。

確かに、こうやって見ると急カーブですね。
東口改札へ降りる階段より先にも旧ホームが続きますが、
ここから先は立入禁止。ホーム端部だけ撤去された状態です。
旧ホームは、見事なレールを加工した鉄骨の上家です。
こんな標示を見つけました。古レールの刻印がポイントだとか。
どこかな?と探していましたが・・、
あ、こんな場所に!ここだけ塗装を変えて見せてくれています。
このレールの鉄骨、片側にレールで骨組みを作り、裏側にこんな形の鉄板を
リベットで縫って加工するやり方で施工しています。

飯田橋駅は、新旧ホームに、古いホームの古レール、新しいホームは旧・牛込駅と、見どころ満載ですね。

■駅の外も見どころいっぱい

新しい西口コンコースから、急カーブの線路を眺めます。
ひっきりなしに電車が通ります。
駅の外へ。あまり柱の目立たない、開放的な駅舎です。
西口の駅は、牛込橋に面している形です。
駅の上には、外堀を俯瞰できるコーナーが。
しかし、猛暑の真っ最中なので、すぐに退散(苦笑)
ここは、牛込見附。門があったような感じで石垣があります。
「牛込御門」跡の説明板。これが「千代田区」が設置しているのがポイント。

■ボーダーラインの聖地

では、飯田橋駅前のお濠の中に建つ、飯田橋セントラルプラザ・ラムラに行ってみましょう。ここにはなかなか面白いものがあります。

飯田橋駅の線路に沿って建つ、ラムラのビル。
ラムラに向かうところにある橋は、「みやこ橋」という名前です。
鳥の親柱が建ち、何だかちょっと不思議です。
ここだけ見ると、商業施設に行く歩道橋のような気がしますが、
どうやらこの橋はちゃんとした「道路橋」のような作りです。
みやこ橋の下を流れる水路。どうやら外堀をオーバーフローした水が
流れていく暗渠が整備されているようです。
牛込橋を横から眺めた図。ちょっと不思議な光景です。
ラムラの中にある、延命地蔵尊。
この地は飯田濠という外堀の一部を埋め立てた場所に当たります。
このビルの面白スポットは、こちら。
床に埋め込まれた銘板には・・、
しっかりと、「新宿区」と「千代田区」の境界が刻まれています。
この場所、なんと「区境ホール」という名前なのですね(笑)。
こちらは、飯田橋駅東口側の入口。
東口付近は、「千代田区」ですが・・、
歩道橋には、「新宿区」という表記が。

ここで、区境がわかりやすい地図、ということで、「マピオン」さんにご登場いただきましょう。

飯田橋駅付近の区境。外堀を境に北側が「新宿区」、南側が「千代田区」です。
セントラルプラザ付近は、ちょっと入り組んだ区境です。

飯田橋駅の東口は、外堀と神田川が合流するような地点ですが、実は区境としてはさらに、北東部に「文京区」が出現します。

こちら、飯田橋の脇にある、船河原橋。この真ん中あたりに、
「新宿区」「千代田区」「文京区」の3区の境界が集まる場所があります。
東口の駅前に架かる、古そうな架道橋。
とても古そうな橋です。「飯田橋通り架道橋」と呼びます。
1926 年完成。中央線が複々線化された時に完成した橋です。
架道橋とセントラルプラザ。飯田橋駅を象徴する絵姿の一つだと思います。

今回はここまで。次回はここから線路沿いに少し東京寄りに進み、旧・飯田町駅跡付近を紹介しますのでお楽しみに。

■終わりに

飯田橋駅は、元々牛込駅と飯田町駅と言う、今は無き駅を統合してできた駅。カーブの中の駅が最近移設され、新しい駅に生まれ変わりました。駅の外は、区境があったり、何だか面白いアイテムが沢山ある場所だと再認識しました。普段は地下鉄とJRを乗り換える場所、というイメージが強く、あまり散策していませんでしたが、とても面白い場所でした。

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