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【南大沢土木構造物めぐり】No.76 広い公園の隠れた役割~町田市・三ツ目山公園~

今回ご紹介するのは、町田市・小山ヶ丘地区にある、三ツ目山公園です。丘の上にあるマンション群や、その隣を走る多摩境通り、比較的新しい学校である、小山ヶ丘小学校の脇の一段低い場所に、気持ち良いくらいに開けた広場のような公園があります。これが三ツ目山公園です。
この公園、実はとても重要な役割を持った公園です。その隠れた役割について紹介したいと思います。

公園は、スリバチ状に低い場所に広場があります。球技もできてしまいそうな広さがある広場です。

すぐ隣に、小山ヶ丘小学校の校舎が見えます。このあたりのマンションに住んでいる小学生は、いつもこの公園で遊んでいるのでしょうね。

さて、隠れた役割について紹介していきたいと思います。こんな看板が建っています。

「お知らせ 大雨の時、ここまで水没します。雨が降っている時はここより上に避難してください 町田市」
「きけん! 水遊び! この広場は台風や大雨のあとたくさんの水がたまります。水があるときはとてもあぶないので 広場に入らないで! 町田市」

まさか、この状況で水遊びをする人はいないですが(笑)、大雨の時には水がたまる構造になっているようです。

階段の途中にある、「ここまで水がたまります」標識。

こちらの階段には、こんな標示がしてあります。もうおわかりでしょうが、この公園は、大雨が降った時に一時的に水を貯水する調整池の機能が備わっているのです。

調整池の説明看板です。
【三ツ目山公園雨水調整池 貯水量29,910m3、水深 8.15m
 流域面積 26.55ha】
なんと、この場所に最大約3万トンもの水を貯めることができるのですね。小さなダムみたいな施設であるといえるでしょう。

広場の西側に、何やらコンクリートの施設があるので、そちらが雨水調整池に関係ありそうです。行ってみることにします。

コンクリートの施設は、広場よりも一段低いところまで掘り込まれた、調整池のようです。少ししか雨が降らない場合は、このピットのような施設に水が溜まり、大雨時のようにたくさんの水が流入してきたときに限り、広場にまで水が浸入する構造のようです。

コンクリートの水槽の手前側に、開口の開いた小さなコンクリートの函体が見えます。これがダムでいうところの「余水吐」の役割を果たし、これ以上水が流入しても水を流入させない作りになっているようです。

これが公園兼、雨水調整池の全景。この角度から見ると、大雨が降ったらコンクリートの池に水が溜まり、溢れたら広場にも水が溜まるという仕組みが何となく理解できるのではないでしょうか。谷底を流れる境川は、あまり川幅の広い川ではありませんので、このようなダムの役割をする調整池の存在が非常に重要になるのではないかと思います。

【終わりに】
町田市・小山ヶ丘にある、三ツ目山公園。階段を下りたところにある広場は、こんな重要な役割を担っています。ある意味防災のための縁の下の力持ちであるといえるでしょう。このようなインフラがあってこそ、都市河川の要素が強くなっている、境川流域の洪水リスクを軽減できるのではないかと思います。

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