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バックカントリーの世界の扉を札束で叩く

1月の最後の週末にグランデコスノーリゾートで
スクール受講という形で人生初のスキーをしてからというもの
この冬は多くの時間とお金をスキーに費やした。

この年齢でスキー経験ゼロから始めたスキーの上達はとにかくのろのろスピード。
パラレルなんて一生できる気がしない、くせに
へっぴり腰で中級コースに突撃してみたり。
ゲレンデで楽しんでいるたくさんの方に
なんなんだあいつ、とご迷惑をかけたと思う、ごめんなさい。

スキーを全くやったことがないので
スキー場に関する知識もゼロ。
雪国の山に登れば麓にはスキー場があるのが常なので
どのあたりにスキー場があるかはおおよそ知っていたが各スキー場の特色などは全くわからん。掴めてない。
もともとが登山趣味からスキーに入っているので、
毎週末あちこち移動をすることには苦を感じない。
なのでせっかくだから各地の名だたるスキー場に足を運んで雰囲気を実体験で掴んでみることにした。

ざっと、
猪苗代スキー場、栂池高原、蔵王温泉、天元台高原、菅平高原、志賀高原、夏油高原、安比高原、赤倉観光リゾート、白馬岩岳、秋田八幡平。
とにかくあっちこっち。
(中越方面に行かなかったのは、めちゃくちゃ混んでいて滑るどころではない、と聞いたから。)

そしてわかった。
各スキー場のコース分けは目安でしかないのだな…
なるほど。全く当てにならない。
いちおう初心者〜初級者〜中級者〜上級者と各スキー場のコースにレベルがついているが、
グランデコで始めたのでそれをスタンダードにすると、
志賀高原など初級者コースにいるはずなのにコブだらけで幅が狭く、私からしたら崖みたいなコースを滑らされて死ぬかと思った。これは始めたばっかりの人が来てはならない場所だった。
天元台高原は一番上は超エキスパートにしか許されないのではと思うような死の壁があって、私はそのコースを一瞥してリフトに乗ったままそのままくるりと回転して乗って降りたし、初級者向けとされてるコースさえめちゃくちゃ怖かった。ただ、空いてるしめちゃくちゃ眺めがよくてゲレンデが広いのでまた練習に来たいとは思った。

白馬岩岳スキー場の山頂にあるシティベーカリーでランチ
ここから中級コースに滑り降りるのが今シーズンの目標
なんとか達成
カフェは混んでいた
赤倉観光ホテルのケーキ
ゲレンデの途中にあるのでついつい
蔵王温泉スキー場にあるカフェ三五郎
とても美味しかった
ゲレンデ飯にも詳しくなる

各スキー場ごとにIT化具合も違う。
総じて外国人が多く訪れ、それに対して地域も積極的に受け入れているところはIT化も進んでいてものすごく便利。
日本のパウダースノーは外国人にとってよほど素晴らしいものらしく、妙高あたりや安比など割と日本の中でもアクセス難の辺境の地だと思うが、
こんなとこまではるばるやって来るなんて本当に外国の人はバイタリティ溢れてるなと感心する。

この雪を求める黒船襲来によりいよいよデジタル化は避けて通れないものになっているのだろう。海外はキャッシュレスが日本よりはるかに進んでいるから、彼らにもっと来てもらいたい、と思ったら、わざわざ日本円を現金で用意しなければならないなんて不利でしかない。
おかげでオンラインで並ばずにチケットが買えるし、食事にしろなんにしろ現金が必要な場面は基本的になく、スマホさえあればよい。
スキーしながら現金を持ち歩きたくないので私はキャッシュレスの進んだスキー場が好み。黒船襲来は歓迎だ。

これだけ通いこんでいるとシーズンレンタルしているスキーセットは十分もとを取れたので、
今シーズン中に自分の山スキー道具でゲレンデ練習し、一度くらいは山に行ってみるかと
いよいよ山スキー道具の購入も検討に入った。
相場もわからないのでギア特集の雑誌をぼちぼち眺めてみたのだが。


日常生活ではこんな値段する靴履いたことない

....oh.....

目が何個あっても足りないほど次々と飛び出ていくようなお値段がずらりだ。
まずはとにかくブーツ、板、ビンディング。
いずれもだいたい10万円前後。
登高用に板に貼るシールも2〜3万。

ざっと見積もって30万円。
私の場合もともと雪山をやっているから、
アバランチキットであるビーコン、ゾンデ、ショベルは既に持っている。もしなければこの必携の三種の神器だけでも+10万くらい。

ははーん。
スキーって貴族の遊びか。
これはどえらいとこに手を出してしまっているぞと今更ながら実感する。

1日券が5000〜6000円、週末ごとにゲレンデに通ったから、リフト券だけで既に10万以上かかった。
加えてスキースクールとシーズンレンタル、細々としたゴーグルやパスケースなどのアイテム追加購入と、
けっこうぶっ飛んだお金の使い方をしている。
そのうえ山スキー道具まで買い揃えるとなるとこの冬の出費は…想像しただけで恐ろしい。そこそこの中古車が買えそうだ。

だがしかし。

インフレの大高波。
物価高騰の折、ここでお金のことで購入を見送ったところで来シーズン以降にはさらにしゃれにならない値段になるかもしれない。
今後山スキー道具が安く手に入ると思うか?

否。



はい、ということでお買い上げ。
ブーツにビンディングに板にシール。
夫婦で1セットずつ購入し総額は約50万円なり。

購入したのは実店舗で、御茶ノ水のカンダハーK-Village。

https://www.k-village.jp


親切な店員さんにあれこれご指導賜りながら
あれやこれやとギアを選び、
板とビンディングのセット、ブーツの熱成型などの調整をやってもらった。
今まで登山靴もクライミングシューズも足に合うものがなくて困ってたのが嘘のように、
足に合うブーツになっていて感動した。
最近は登山関連のギアなどは買うだけなら海外通販で買うのが一番安いのだが、
これほどちゃんとやってくれるなら多少高くてもその価値はある。
よいお店で買えてよかった。

熱成型中
この調整が大事


さあ、買ってしまった。
スキー偏差値低めの人間が
バックカントリーの重い扉を札束で叩いてこじ開けてしまった。
開いたのはかすかな隙間だが、その先にあるのは闇か光か、少なくとも沼はある。
今はまだ、
足先を突っ込んで扉が閉じないようなんとか踏ん張っているにすぎない。

自分のギアで新しいフィールドへ
緊張と高揚

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