ChatGPT活用事例その1:サイバーエージェントさんの広告運用改善(ChatGPT部, 大城)

こんばんは、ChatGPT部(チャットGPT部)、部長の大城です。そろそろChatGPTの技術的な部分はある程度使える目処が立ってきましたので、こちらでは企業での活用事例を取り上げていきます。

今日はサイバーエージェントさんのこちらの記事、に対してミスリードでは?という指摘をJavaのきしださんから頂きましたので、ちょっと調べてみました。


件の記事:日経Xteckさん

さて、こちらの記事ですね。ぱっと見、ディレクターゼロ・・!?というインパクトはありますが、ちゃんと読むとその代わりクリエイターは増えてる、という記事でした。(一応、ディレクターゼロ、も嘘ではないです。ただ、別の側面もある)

ChatGPT部は毎日国内、国外のchatgpt関係のNEWSをgoogle alertで収集->Lang Chainでエンべディングしてベンチャー企業に関連のある記事をスコアリング -> CahtGPTで要約をしているのですが、今回は内容は有料コンテンツなのでひとまずこのタイトル通りの感じでサマリしていました。

で、きしださんからもご指摘があったのですが、「そもそも人手が足りなかった部分をAIで需要拡大してて実はいい事例なんやで(意訳)」ということを教えていただいたので、ちょっとちゃんと記事を読もうと思いこちらをまとめております。


本編の有料部分を読んでの感想

うーん、有料部分読んでみましたが、一応タイトルの通り、ディレクターの首が飛んでデザイナーが増えた感じもしなくもない・・

・優れたコピーの作成率 10%->24%
・ディレクター職 30-40人 -> ゼロ
・顧客からの報酬体系は前払い式 -> 成功報酬式

という内容でした。

また、ここは有料記事御免なのですが

サイバーエージェントで制作に携わる職種のうち、広告クリエーティブの出来栄えを判断するディレクター職はかつて30~40人いたが、現在はゼロになっている。極予測AIの予測機能が同職の役割を代替したからだ。ディレクター職だった人材は営業職など他の職種に転向したり、同社を退社したりしたという。キャッチコピーをつくるコピーライター職も、いずれは不要になる可能性がある。

 一方、画像の作成やクリエーティブの最終決定を担うデザイナー職は3年で4倍近くに増え、現在は300人だ。制作する広告クリエーティブの増加もあって、全体の人件費はむしろ少し増えているという。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02466/052600002/?P=2

クリエイターは3年で4倍に増え、一方で同社を退社したり、というのもなかなか。確かに全体としては増えてますが、そもそもこれChatGPT登場前からの話なので、「ChatGPTで広告会社の組織激変、サイバーでは30人以上いたディレクターがゼロに」というタイトルはクロステックさんだいぶ分かっててミスリード誘ってませんかね・・??
(いやまぁCTR上がるのと突っ込まれても玉虫色に解釈できるのは分かりますけど、誠実さに欠けるのではという個人的感想)

ただ、この記事で思ったのは成果物のレビューは人間に残された最後の仕事の一つだと思っていたのですが、意外とそうでもないのかも・・??とも思いました。
( まぁでも広告クリエイティブに関してはCTRベースの評価基準、とか導入すればChatGPT以前でも同じことはできちゃうので、これはこれで近い別の問題な気もしますね)

サイバーさんの他の記事も見てみる


せっかくなのでサイバーエージェントさんのChatGPT関係の記事をいくつかみてみましょう。

サイバーエージェントさん自体のプレスリリースはこちら(2023/4/4)

全体の30%、月次で7万時間の工数を削減する、というやつですね。仮に時給2000円としたら1.4億円の月次効率化。これだけで分析チーム1つ作れますね。

日経クロステックさんが記事中で関連リンクで貼られていたのがこちら(2023/5/29)

続いてこちらの記事。

私は古巣がヤフー(株)なのですが、のアドテク界隈にいた私としては、次の一枚はChatGPT抜きにしても衝撃的だなと思いました。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02466/052500001/?P=3

え、デジタルとテレビって逆転するだけでなく、まだ差がつくんですか?電博さんを始めとするテレビ業界、大丈夫なんですかね・・。
(最近健康食品とか雛壇芸人とか歩いて田舎をディスるバス番組ばかりなのもこの辺の影響か・・??)

ちょっと雇用の面でも心配です。

サイバーさんといえばLLMでもチャレンジ中(2023/5/11)

続いてはこちらですね。LLMをサイバーさんがいち早く公開。

ただ個人的にはOpenAI社のChatGPT-3.5を超える性能が出た、という話は世界中でまだ聞いたことがないので、ひとまずPRも兼ねて今のうちに研究成果を出しておくか、くらいの感じのノリなのかなと思ってます。
(古巣のLINEさんの方とかはclovaの研究とかずっとやってましたし、国内勢としてはその辺にノウハウがあると思いますが、そこのリードをしている佐藤さんもまだまだOpenAI社には叶わない、というようなtweetをされていたので、結構ChatGPT-3.5とのは大きいのかな、と思っています)

これも有料で読めないのですが・・

でもチャレンジャーとしてのサイバーエージェントさんは流石だなと思います。データサイエンティストでもサイバーさんの皆さんは昔から優秀な人が多い印象がありますし、多分環境(や予算)さえあれば全然戦える人たちだろうなとも思ってます。
( まぁその予算が海外は桁違い、というのがそもそものハードルではあるのですが・・ 50倍〜100倍くらい違うのでは。)

サイバーエージェントの子会社のShiftさんの電話業務の効率化にChatGPTを活用(2023/5/29)


Shiftさんは今回記事作成にあたって初めて知ったのですが、電話業務xChatGPTも着手されてるんですね。というかサイバーエージェントグループ、めっちゃ動き早くないですか・・?(誰が仕掛け人なんだろう)


大企業が様子見をしている間のこの3ヶ月間で、なんかもうスタートダッシュされてる感じを受けました。いいぞもっとやれ、という感じですね。

所感:やはりサイバーさんは応用の先駆者

Abema TVなどはいつも楽しく拝聴させていただいているサイバーエージェントさんですが、藤田晋社長の創業期から今まで、みなさんベンチャーマインドがずっと維持されているなと外野からみているIT関係者としては思っている1社です。実際サイバーさんの現役・OBのデータサイエンティストの皆さんもだいぶ尖った人が多い印象です。

ChatGPTの活用に関しては正直業務効率を30%改善、7万時間/月の削減を目指す、というだけでも普通にDXのプロジェクトとしては大成功だと思いますが、それより前からAIを用いが広告作成・評価や、また子会社のShiftさんでの一早いChatGPTを使ったプロダクトの外販など、まさに「時代の変化にタイムリーに追従する企業」という感覚を得ています。

またLLMに関しては正直世界中のどの企業も後塵を拝している状況だとは思いますが、1年前からLLMの開発にもすでに着手されているなど、日本国内においてはヤフーさんやLINEさんなどを除けば数少ない研究開発を行なっているチームを持った企業だとも思います。

このあたりを我々ベンチャーや一般の事業会社が、「サイバーエージェントさんだからできたんだよ」で終わらすのではなく、逆に参考・口実・目標にしてChatGPT活用のプロジェクトを立ち上げる、というのは面白いのではないか、と個人的には感じています。

この辺りはもし必要でしたら私の本業(NOB DATA)の方でもご支援可能ですので、もし「ChatGPTを活用したい!」という企業様がいらっしゃいましたらぜひお気軽にお声がけください。

ということで最後はPRになってしまいましたが、このシリーズではChatGPT活用の事例を色々とピックアップしていきたいと思います。

それでは皆さん、どうぞ良いChatGPTライフを・・! (大城)


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