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アマガエルセラピー 03

水は生命線

 アマガエルは繁殖期以外、田んぼから離れて生活します。樹上性なので乾燥には強いようですが、水分補給は必要不可欠です。うちにいる子たちはちょくちょく肥料差しに乗っかり、溜めた水に下腹部を浸けています。いろいろ試した結果、上部が平らで丸い穴の開いたプラスチック製の肥料差しがベスト水場に落ち着きました。

 腰湯状態で気持ちよくお風呂に入っているように見えても、リラックスが目的ではありません。カエルは口からではなく、お腹の皮膚から水分を吸収するのです。それも大量に。しばらく経つと全身が一回り大きくふくらみ、そのぶん水かさが減っています。

 楽園を名乗る以上、安直にカルキを抜いた水道水というわけにはいきません。隔週で汲みに行ってメインの飲料水にしている久留里の湧水か、秩父の実家に帰るついでに蔵元の井戸から汲んでくる仕込み水に使う武甲山の伏流水をあげています。どちらも平成の名水百選ですが、カエルがその価値をわかっているかどうか。たまにエアコンの排水が作る水たまりに浸かっていたりもしますから。

 それはそうと、カエルは驚くほど決まった行動をとります。夕方、目覚めるとまずは排便です。ほやほやのウンチを寝床に残して活動を始めます。肉食なので一丁前に臭く、本人も気になるのか、その場をすぐに離れます。みんな同じ真似をするので、天敵がニオイを察知するとか、生き延びるための本能なのかも。それから水場に移動します。一緒に浸かることもありますが、基本、誰かが入っていると出るまで行儀よく待っています。

 12月、最高気温が10℃を切るようになったら、肥料差しの横のカポックの鉢に厚さ3センチほど敷いた水苔に潜って冬眠します。冬眠中もたまに出てきて水分補給するため、常に満タンにしておきます。カエルにとって水は生命線です。いついてもらうには餌付けと同様、水場の管理が欠かせません。

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