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アマガエルセラピー 01

カエルの楽園

 うちのベランダがカエルの楽園になっていることは、私と妻以外知りません。毎年、梅雨どきから年末ごろまで7、8匹のアマガエルが天敵の存在をすっかり忘れ、自由気ままに暮らしています。

 毎朝、日の出とともに起床し、まずはベランダに出ます。カメラを片手に、みんないるかなあとドキドキしながら。ベランダは羽虫を集めるライトを設置したり、カエルフレンドリーに環境を整えてありますが、ネットで囲ってあるわけではなく、出入りは自由です。ずっといてくれる子もいれば、すぐにいなくなる子もいます。

 カエルたちはそれぞれお気に入りの場所で休んでいます。ちょこんと手をたたみ、ネコの香箱座りにそっくりです。カポックにイチジク、背丈ほどある柚子の木の葉っぱや枝、欄干や物干し台などに愛らしい姿を見つけ、おはようと声をかけます。

 夜行性なのでそろそろ寝る時間でしょうが、しばしモデルになってもらいます。カエルには目蓋がなく、光量による瞳の開き具合で表情が全然違います。基本、目が大きければ大きいほどかわいい。手持ちでは少々厳しいシャッタースピードでも、早朝の明るさが撮影には最適なのです。

 インスタにカエルのスナップを投稿し始めてから、「よくそこまで寄れますね。同じように正面から接写しようと近寄ると逃げられてしまいます」という主旨のコメントをいただくことがあります。「仲よしになれば逃げませんよ。カエルはお利口さんなので」といつも答えます。

 実際、レンズを向けるとポーズでもとるように居住まいを正したり、モニターから突然消えたと思ったらカメラに飛び乗っていたり、なんてこともあります。体長3センチほどのちっちゃなアマガエルがこんなに人懐こい生き物だったとは、半世紀以上生きてきた私にとって、心ときめく新発見でした。


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