見出し画像

三浦春馬さんを語ろう。 愛と優しさに溢れた23歳

ドラマ『ラストシンデレラ』と『僕のいた時間』、映画『永遠の0』と23歳で公開されたこの3作品は、それぞれが話題になった代表作。

翌年公開の『真夜中の5分前』と、声優初挑戦の『キャプテンハーロック』では海外進出もあり、春馬くんのイメージも、役の振り幅も、活動の幅もとても広がった1年でした。

ドラマ 『ラスト♡シンデレラ』

4月、誕生日を迎えて早々に始まったのが神ドラマ『ラスト♡シンデレラ』(フジテレビ木曜22:00)連ドラは21歳夏の『陽はまた昇る』以来1年半ぶり。

ウェーブがかった茶髪で、ちょっとチャラそうで、何か企んでそうなイケメン。
ホストか、恋愛詐欺か?  影のある王子様?そして、いきなりベッドシーン。
「誰これ?」「えー、三浦春馬?」と、第一話が放送されるなり世の女性たちに激震が走ったのでした。

世の中のほとんどの方は舞台をチェックしていないので、三浦春馬といえば「”おーいお茶” の爽やかで真面目ないい子」のイメージのまま。

「いつの間にこんな大人になったの?」「あらー、いい男になったわね」「あの春馬くんがラブシーンだなんて」から始まり、回を追うごとに「やばいやばい」「三浦春馬すごいよ」「見た方がいいよ」と、どんどん噂が広がり、視聴率が回を追うごとに上がる記録も作り、いろんな番組にゲストで出て、最終回に向けて競馬場でイベントも。

本当に噂がすごくて、カフェや居酒屋で近くのテーブルのOLやサラリーマンの話題になっていたのに出会うこと数回。芸能人の方が番組で話題に出していることもありました。

話題の中心は、春馬くんの顔とハダカと、ラブシーンだったのですけどね。

「最初に話をもらったときに「この役は長髪だな」と思って髪を伸ばしはじめ、年上の女性が年下の男性を可愛いと思う仕草などを研究した」と。『君に届け』の時を思い出します。

「前貼りだけで裸でスタッフさんに囲まれても平気、恥ずかしくなかった」そうで、本当に職人役者というか、泣くシーンもベッドシーンも「演じる」という仕事の一環で、同じようにただひたすら役作りをして演じていたのでしょうか。

それとも・・・そういえば昔、露天風呂でモモンガ(ムササビ?)が飛んだのを見て、素っ裸で追いかけて行った、と言う話もあった。あまり人前で裸を気にしないのか???

このドラマ、39歳で彼氏いない歴十数年の桜(篠原涼子)さん、バツイチで恋愛感覚が拗れてる志麻(飯島直子)さん、姑と夫との関係に悩む主婦の美樹(大塚寧々)さんの仲良し3人組と、桜さんとは腐れ縁の凛太郎(藤木直人さん)、真面目でちょっとマザコンの美樹の夫(遠藤章造さん)のアラフォー5人のそれぞれが抱えている悩みがとてもリアルで、会話も面白く「あるある!」と共感できることが多かったのも人気の秘訣だと思います。

そんな中、一人非現実的存在のヒロト。
「そんな人いる?」「そんなことある?」という設定の上、「僕のシンデレラ♡」なんてあり得ないセリフ。それが寒くもあざとくもなく、白けることなく、「きゃー♡」と40代、50代までメロメロにさせてしまったのは、ひとえに春馬くんの役作りの緻密さと演技力と、春馬くん自身の全く邪気がないひたむきさがヒロトに反映されていたからではないかと思います。どんなに頑張って演じても、役者本人が無邪気じゃなかったら、あざとい、になっていたと思うのです。

桜さんの弟が転がり込んできたシーンで、最初は姉弟の直球やり取りに唖然とするも、次第に「いいなー、こういう家族」と思ったり、弟を見て自分の生き方を考えなおしたり、下心ありで近寄っている時から、だんだん本気になって行く過程の表情の移り変わりが絶品。

そして、桜さんを見る表情や仕草がとても優しく、愛に溢れていて、見ているこちらも幸せに包まれるシーン多々。さらに、拗ねたり甘えたり、表情豊か。

細かな役作りは当然ながら、春馬くん自身が持つ無邪気さと圧倒的な子犬感があったからこそ成り立った、神ドラマでした。

藤木直人さんも少し前に「王子」と呼ばれていたので「新旧王子対決」と言われ、桜さん世代の私の周りでは、「実際に結婚するなら凛太郎」という意見も多かったのですが、話題はヒロト(春馬くん)一色。

実際にはありえないだろうけど、ヒロトを観てるとある気がしてくる。
こんな王子様いたらいいよね、のディズニーの王子様をリアル実写版で夢見させてくれたヒロト。

女性からは「きゃー」「かっこいいー」「可愛いー」「セクシー」の嵐。
男性からは「あのルックスであの役やられちゃうとねー」という声も。

いずれにしても、とんでもない破壊力を持ったヒロトな春馬くんでした。

脚本は最初から全部が書かれていた訳ではなく、視聴者の反応や出演者の演技を見て書き進められていたそうで、最終回はギリギリまでどちらを選ぶか決まっていなかったそう。結果的に「ヒロトといる桜さんが幸せそうだったから」ヒロトになったそうです。

篠原涼子さんとは以前「アンフェア」で共演。藤木直人さんは「おしゃれイズム」で何度かお世話になっていて、一緒にロケに行くなど可愛がってもらっていた印象があります。さらに、主な出演者が菜々緒さんが2歳上くらいで、あとは15-20歳くらい年上の方々ばかり。

番宣に出るときはヒロトの雰囲気も残していましたが、撮影合間の様子などは無邪気な春馬くん全開。クランクアップもとても楽しそうでした。
打ち上げは最終回の放送日。撮影の合間に若いスタッフさんとAKBを練習して、ノリノリ完璧に歌って踊ったそうです。最終回の最後、最高瞬間視聴率は20%超え、さぞ盛り上がったことでしょうね。

SMAP X SMAPにゲストで出た際の王子様ぶりが半端なく、「まともにかっこいい役をやらせたら、誰も叶わないだろうなー」と唸ったものです。

映画 『キャプテン・ハーロック』

小栗旬さんと一緒に声優にチャレンジした作品。なんと、制作費に約30億かけたというCG超大作アニメ。9月7日の公開舞台挨拶の前に、夏休み中お台場一帯でハーロックのキャンペーンをしていて、8月のプレミアイベントではハーロック号(水上バスの特別バージョン)に乗って登場!

9月には監督と原作者の松本零士さんと3人で、イタリアのヴェネチア国際映画祭に出席し、レッドカーペッドを歩いたことが話題に。その他、海外何ヵ国かで上映されたそう。日本のアニメは海外で人気がありますね。

国内のインタビューでは小栗さんに話題が集中し、ちょっと拗ねる様子も。
なぜイタリア行きが春馬くんだけだったのか疑問ですが、「事務所の春馬くん推し、すごいな」と思って見ていました。

外国人にも負けない

この頃の春馬くんはラストシンデレラからの長髪をリーゼント風にあげたり、はらっとなびかせたり、日本人離れした大人な雰囲気。スーツを着ると外国人俳優とにも負けない存在感。
同じ時期に2014年のポスターやバーニーズニューヨークの撮影も行われたと思いますが、かっこいいを通り越してキレイ!!

春馬くんのあまりの素敵な成長ぶりに、リバー・フェニックスを思い出し、まじまじと見比べました。
スタンド・バイ・ミー15歳、インディ・ジョーンズ19歳。
身長:178cm!一緒(本当は179cmだから春馬くんの方がちょっと高い)
顔:負けてない。むしろ勝ってる。
欧米ではクイっと顎が出ている方が人気らしいし、春馬くん海外通用するなー。
亡くなったの23歳?今の春馬くんの歳かー。。なんて思っていたのでした。

映画『永遠のゼロ』 アカデミー賞

公開は12月21日ですが、撮影は2012年の夏なので、スクリーン上は22歳の春馬くん。

原作の小説が2013年時点で300万部、書籍歴代2位の売り上げ。主演はジャニーズの岡田准一さん。配給は東宝。ゼロ戦の原寸大の模型が使われたことや、実物のエンジン音を使っていることなどから戦闘機マニアの注目も高く、ヒットは約束されていた作品。
公開前から話題が大きく、興行収入87億、2015年2月に開催されたアカデミー賞では8冠という大ヒットになりました。春馬くんも優秀助演男優賞を受賞。

春馬くんは、終戦間際に特攻で戦死した海軍航空兵の孫の佐伯健太郎役。祖父の宮部久蔵(岡田准一さん)の生涯を調べるために、特攻隊仲間で今も存命の方々に聞きに行く役。

健太郎がインタビューに行くのは、田中泯さん、 橋爪功さん、夏八木勲さんなど、超大御所のみなさま。すごい方々との共演でした。

何気なく見ていましたが、インタビューという役柄は難しいそうです。(井上真央さんインタビューより)

戦争のドキュメンタリーを見て、「聞き手さんが『ああ、そうなんですかー』といった感じの返答をしていたんです。相手の気持ちや、当時のことに思いをはせながら出てくる言葉って、少し伸びているんですね。」と気づき、台本のセリフの語尾を崩したことが、監督に褒められた唯一のことで、あとは修行のようだったと。

撮影初日の田中さんを訪れるシーンでは15回NGが続き、橋爪さんとの撮影もNGが多かったと。橋爪さんは色々教えてくださったそう。

「目線の位置であるとか、カメラが狙っている位置関係を丁寧に教えてくれたり、助言をいただきました。いま思うのは、こうして名だたる俳優さんたちとお芝居をしながら、皆さんが今まで積み上げてきた芝居の型だったり、キャリアからにじみ出る生きざまみたいな“背景”を目の当たりにすることができました。本当に、皆さんの“背景”が見えた気がしたんです。僕にはそういう演技、まだまだ出来ません。すごく近い距離で接していただいて、本当にいい時間でした」

去年の冬から春に、一気に大人っぽくなった感じがしたのは、この大先輩の方々との経験があったからなんだ、と納得。


全身全霊をかけた 『僕のいた時間』

ラストシンデレラ撮影中に、プロデューサーさんが「次はどんな役をやりたい?」と聞いてくれた時に「命と向き合う作品。病人の役をやりたい」と伝えたことから企画が始まった作品。どんな経緯でスタッフさんが集まったかは分かりませんが、まるで「チーム三浦春馬」。

ラストシンデレラのプロデューサーさんが編成企画、お相手役は「君に届け」の多部未華子さん、挿入歌は春馬くんが大好きなゆずさんの他、主なスタッフさんは過去にご縁あった方ばかり。

プロデューサー:キャッチアウェーブ
演出:大切なことは全て君が教えてくれた
脚本:ファイト
主題歌:ラストシンデレラ

キャスト、スタッフの全信頼が感じられるのが、「無言、無音」のシーンの多さと長さ。春馬くん演じる拓人と、多部さん演じるメグの心が動くシーン、絶望感で呆然となるシーン、など、度々出てくる無音の時間。
おそらく長回しで撮られたと思われるシーンもとても多く、引き込まれます。

そして、9話の家族スライド。お母さん役の原田美枝子さんの若い時のお写真を始め、拓人の子供の頃の写真は春馬くん自身のもの。

母の味、からあげ、も春馬くん自身のこと。

今まで、ドラマの番宣の時には何となく役のイメージを崩さないようにしているのかな、と思って見ていたけれど、この時は拓人そのもので、どんどん痩せて行く姿に春馬くん自身がそうなっちゃうのでは、、と見てて心配になった日々。

「本当に本気を出したら、ここまでやるんだ」と、思い知らされた拓人=春馬くんでした。

hoofさんが素敵な作品レビューを書いて下さっていますので、ぜひ。

「三浦春馬の企画」と最初から報道されていたので、相当な責任感を感じながら臨んだのだろうと思います。番宣の際には「涙目?どうしたの?」というくらい必死に語る姿が印象的でした。

「今の時代を生きる青年がある日突然、筋肉が徐々に衰えて行ってしまう難病ALSに犯されてしまうんですけど、そこから生まれてくる苦悩、絶対に奪えないものを視聴者の皆様に全身全霊で伝えていきたいと思います。色々感じていただけたら嬉しく思います」(初回放送当日、フジテレビ「ノンストップ」コメント)

春馬くんがどう思っていたかは分かりませんが、ラストシンデレラがあまりにも話題になりすぎて、セクシー俳優のように言われてしまうことが多く、そのイメージを払拭したかったようにも思えました。
忠実に役を演じているだけなのに、こうも本人のイメージが左右されてしまうとは。演技が上手い証拠ではあるけれど、難儀な人だな、と思って見ていました。

病人の役ということで、みるみる痩せた春馬くん。
この作品から「作品に込める思い」をよく語るようになり、「憑依型俳優」と言われるようになった気がします。

 『僕のいた時間』 の意義

このドラマ、日本ALS協会も協力し、医療監修はALS研究でもっとも進んでいる東京都立神経病院の院長さんで、ALSなどの神経難病治療研究の最前線に立つ第一人者の医師。春馬くんは実際にALSの方にお会いしALSについても学び、字を書く動きや倒れ方など、とてもリアルだそう。

私はALSという病名は知っていましたが、この作品で初めて症状についてや、事前に自分の声を録音したり、目の動きでキーボード操作をする練習をしておくことで、人工呼吸になっても意思表示が出来ることなどを知りました。

知人に過去同じような病気になりかけた方がいたのですが、その当時、毎日橋から線路に飛び降りようと葛藤していたそう。
障害や病気とどう向き合い、どう生きるか、介護する人はどう受けとめるか。多くの人が突然我が身になった時にどうしたら良いのか途方に暮れる問題ですし、これらのことを知ることで、元気でいることのありがたみがわかるように思います。

このドラマは視聴率が10%あたりを推移と、『ラストシンデレラ』と比べ伸び悩んでいると言われましたが、それは恐らく病気のことばかり取り沙汰されたので、「暗い、重い」と言うイメージが植え付けられてしまい敬遠した人が多かったから。視聴率の数字だけで測れるものではないと思います。

オープニングがいきなり衝撃的な映像であることを乗り越えれば、結構笑える部分もあり、あったかい気持ちになることが多いヒューマンドラマ。

子供を思うあまりに親の理想を子どもに押し付けてしまう母親や、人とのコミュニケーションに悩む弟、障害者を受け入れる会社、友情、恋愛、など様々なテーマがとても深く丁寧に描かれ、愛と優しさに溢れていると思うのです。
教養ドラマとして2、3年に一度くらい地上波で再放送しても良いのではないかと思います。

初の病欠

3月30日の『五右衛門ロックⅢ  ゲキシネ』の舞台挨拶を高熱の為欠席。おそらく、人前に出る仕事を体調不良で欠席したのはこの1回のみだったと思います。

「運動をすると筋肉がついてしまうので、食べることを減らして痩せたのだけど、そうすると、思考や気力も弱ってセリフが覚えれらない」と言っていた春馬くん。

体にも負担がかかっていたと思います。

これ以降、健康管理も完璧になって行くのですが、その前に周囲の方が止めてあげて欲しかったな、と。
そんなに身を削らなくてもいいから、春馬くん自身の身体を大事にして、と願った春でした。

転機の23歳

多くの評価ももらった作品続きでしたが、今まで「若手」という括りの中だったのが『ラストシンデレラ』で一気に大人の仲間入りした感がありました。

一般の視聴者が思う以上に、関係者の方の中には「このルックスで、この役を、この演技でされてしまっては」と思った方も多いと思います。

そして、超大作の『永遠の0』。
『僕のいた時間』では自ら企画の上、徹底的な役作り。

そこまでやられちゃうと、、、

注目されるとその分敵も増えるのが世の常なのでしょうか。
最強の23歳は転機の23歳でもあったように思います。

個人的には、この年に公開になった『永遠の0』より、この年に撮影した『真夜中の五分前』と3作品で「三浦春馬最強の23歳」なのですが、それは次(24歳)でご紹介します。

共演者の楽しみ

余談ですが、春馬くんドラマから若手が育つシリーズその2

『ラストシンデレラ』の美樹さんの娘、さきちゃん役は芳根京子さん。
『僕のいた時間』のお隣に住むすみれちゃん役は浜辺美波さん。

当時は「かわいい子だなー」と思って見ていたくらいですが、改めて見返すと楽しい発見が多々。


愛と思いやり

春馬くんの発言に時々出てきたお母様から言われてきた言葉。ハーロックのインタビュー時に少し詳しく答えていることがありました。

―この映画の中では、兄と同じ女性を愛しますし、一方で人類愛についての映画でもあります。さまざまな愛がありますが、あなたにとって愛とは?
という質問に対し、春馬くんの回答がこちら。 (ELLE.comより)

「難しい質問ですね。“愛とは許すこと”とは、言いたくないんですよ。そういう精神には共感はしますけれど。むしろ、人を思いやる心を持てば、人を許さなければならないような状況にはならないんじゃないか、と。母親に昔からずっと言われ続けています。人に思いやりをもって接し、ずっと素直な子でいてほしいって。愛の根本にあるのは、そういう思いやりの心じゃないでしょうか」

春馬くんの天使か、王子か、という優しさと清らかさは、お母様の愛情と信頼が根底にあるのでしょう。

「人を思いやる心を持てば、人を許さなければならない状況にはならない」

心に留めておきたい言葉です。





====================================

この内容は以前「三浦春馬さんを語ろう。13年間の思い出とこれから」を書いた際、大幅に削った私の記憶と思い出です。個人的な見解になりますこと、ご了承ください。

17歳から年齢別に綴っています。
22歳 ← 前後はこちら → 24歳

一部分の抜粋は誤解を招く表現もございます。
引用、転載の際は事前にご連絡いただけましたら幸いです。

====================================







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?