なんか嫌な文。2

「猫の集会を眺めているが、狐の鳴き声しか聞こえてこない。」

「あの人と話しては駄目と、母親を指して知らない人間に言われた。」

「肝試しから帰ってきた友人の声が、違う。」

「蟻が群がっていたのは捨てられた人形だった。」

「フォルダに紛れていた見知らぬ動画の日付が、明日を示している。」

「朝起きれば宿泊していた民家の主人はおらず、メールには『ありがとうございます。』と一文のみが届いていた。」

「初めてのアルバイトは生贄役。」

「父に遊園地だと連れてこられた場所は森の中だった。」

「腹痛の原因を探したが、虫と歯のどちらかわからない。」

「体を悪くするのも人に伝染るのも同じだが、病気というわけではないらしい。」

「毎日夕方五時に自分の影が『ざまあみろ』と言ってくる。」

「河童は群れる生き物だったのかと、囲まれてから知った。」

「犯人がわからないまま宿泊客が殺されていき、今は彼と二人きりだ。」

「記憶喪失になったのに加え、自分と同じ顔の幽霊が『消さないで』と泣きついてくる。」

「私を海に引きずり込んだのは、小魚の群れだった。」

「一年近く性行為はおろか交際さえしていないが、妊娠したらしい。」

「私が毎晩耳栓をして眠るのは、深夜になると一帯の住人が一斉に泣き喚くからだ。」

「先に産んでやれなくてすまないと、弟が親に謝られている。」

「心霊スポットで友人が消え警察署に駆け込んだが、中の警察官は笑ったまま『無理です』と取り合ってくれなかった。」



吉田悠軌の一行階段に触発された友人に触発されたので、書きました。