今、聞かなければならないと思うこと

私がデイサービスで働くようになって
3年半ほどが経ちました。

終戦から78年、
その時代を生きた方が
少なくなっていく現実。

でも、
祖母にも、デイサービスに来る
おじいちゃん、おばあちゃんに
聞くことはあまりありませんでした。
というか、聞けませんでした。

聞くことで悲しいことを
思い出させてしまうんじゃないか、と。

『戦争』に関するドキュメンタリーや
映像作品を目にしたことも
たくさんあったけど、
怖くて見られませんでした。

実際に働き始めた頃、
デイサービスに流れるBGMで軍歌が流れたとき、
あるおばあちゃんに言われました。

「この曲を消して!
戦争へ行ったお父さんが帰ってこなかったの。
戦争なんて大嫌い!」

昔は学校の先生をしていて、
選ぶことはも優しくて、丁寧で
怒ったことや感情をむき出すようなことは
1度もありませんでした。
だからびっくりしたことを覚えています。

あるおじいちゃんは帰り道の車の中で
ふと思い出したように話しました。

目の前で女の子が亡くなったところに
この場所で遭遇したと。
「なんとか助けたかったけど
なにもできなかった。」
いつもおちゃらけて
その場にいる人を笑顔にさせる
ちいちゃいおじいちゃん。
そんな真面目な顔を見たのは
その話をした時だけでした。

ますます、
聞けなくなりました。

でも先日、あるおばあちゃんと新聞を見ていたら
海外の戦争の新聞記事を見かけて
私に言ったんです。

「戦争なんて何一ついいことなんて無い。
(戦争を)知っている人も減ったね。
知らんやろ?
いいことも、嫌なこともみんな。
全部知るべきやと思うわ。」

聞くことが怖いし、
しんどいかもしれないし、
おじいちゃん、おばあちゃんによっては
話してくれない人もいるかと思うけど、
ちゃんと、聞きたかった今年。

終戦記念日。

台風直撃で、デイサービスの
ご利用者さんは4人だけ。

当日は、認知症で当時の話ができる方もいなくて
聞くことは出来ませんでした。
2日経ち、聞くタイミングを
完全に逃しきってしまったし、
『聞けてないんかい』って
自分自身でも思うけど
これから少しずつ聞いていって
私自身、もっと知りたいと思っています。

生きるということが大袈裟ではなく、
その時代は難しかったということを聞いて
今、私が自由に生きていられることを
噛み締めて日々過ごしていこうと思うし、
伝えていきたいと思います。

聞けてないという事実と
今、聞かなきゃと思った
小さな決意表明。

ちゃんとこれから、
聞いてきます。


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