音楽家の肖像

わたしが初めて椎名林檎さんを見たのは彼女の2枚目のマキシシングル『歌舞伎町の女王』の発売インストアライブ@新星堂柏店でのことである。
デビューシングル『幸福論』はラジオで耳にしていい曲だなぁと感じ購入していたのであるが、その当時わたしは椎名さんの容姿を全然知らなかった。
なのでどんな人なのかなと暢気にかまえ、いそいそと観に行ったのだ。
早めに柏につき、CD屋の前を通ったらキーボードを一生懸命弾いている女性がいた。
今まで何回かインストアライブを観に行ったことはあったが事前にお稽古をしてるアーティストを見たことがなかった
当時のわたしは馬鹿だったので、その人が椎名林檎とは気づかず、サポートメンバーかな?と思っていたのだが。
だってギターをひくイメージが強かったもんだから。
ライブが始まって、あの人が椎名林檎じゃんよとびっくりした。
お店の人が椎名さんに色々な質問するがうわっすべりでみてらんなかった。
『歌舞伎町の女王』という歌を作って唄うちょっと変わった女の人に接しているという感じで色物扱いをちょっと感じた。
でも目の前であんなに練習している姿をみたら、この人は音楽に対して真剣に向き合っているんだということは判る。
インストアライブは何曲か披露してくれて、もちろん『歌舞伎町の女王』はよかったが、わたしは『シドと白昼夢』にやられてしまった。
「真っ白なほっぺたに透き通る小さな雨垂れを落としてしまう」
という歌詞があるのだが、その時丁度わたしの瞳から一粒の涙がぽろりと零れたのだ。シンクロニシティ。
最後、CDを購入し特典でもらった初期の頃のサインは今も大切にしている。
柏での椎名さんの姿を見てからわたしは本格的なファンになったけど、彼女がどんなにマスコミに叩かれようとも誰が何を言おうとも、わたしはファンを辞めないと思う。
真摯にキーボードに向き合っていた椎名さん。彼女は音楽家だ。
それでいい。

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