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【藤井風】満ちてゆくMV考察〜母は偉大〜

カラカラな心が愛で満たされました。

藤井 風 - 満ちてゆく Official Video

もう大号泣です!!!!😭😭😭

見ている途中から涙が止まらなかった。

人生最後のエンドロールに流したい。

◆MV考察〜母と息子の愛の物語〜


冒頭の英語のセリフ

things change, and we can do nothing about it
(物事は変わりゆくけど、それに対してどうすることもできない)
just letting go, feeling lighter, and becoming filled
(ただ手放して、軽くなって、満たされる)
Overflowing
(満ちてゆく)

「満ちてゆく」の内容とリンクしてるんだね。

老人姿の藤井風!これやっぱり特殊メイクだったんだ👏

老人が紙に書いていて、そこにはこう書かれている。

This is the story of my beloved mother.
(これは最愛の母の物語である)

このMVは母の愛によって心が救われた、満たされた、ある男の生涯を描いた作品なんだね。

それを裏付けるように、亡くなった母が優しいまなざしで老人を見守っているシーンが随所に出てくる。

そして、こんなことも書いてある。

This is the final chapter of my life
これは私の人生の最終章である。

おそらく老人は、これまで色んな思い出をこのノートに書き綴っていたんだろう。そして、次第に衰えゆく体から自分の死を悟り「final chapter (最終章)」として、これまでの人生を振り返りながら思いを書き綴っているのだ。

やがて、老人は記憶の海に潜っていく。
ただフラッシュバックするような回想シーンじゃなくて、海の演出にするところが最高にセンスがいいよね。

そして、若い頃の藤井風が登場。
スーツ姿がまぶしい爆イケ。こんな同僚がいたら一瞬で好きになるレベル。
ノリノリでニューヨークの街を歩く姿は「何なんw」のMVを思い出しちゃうよね。

あと、こういう場合の設定って日本になることがほとんどだと思うけど、ごく自然にアメリカにしちゃうところが固定概念を華麗にぶっ壊してて好き。

サラリーマン風は、上司とは折り合いがつかず衝突し、営業も上手くいかない。

鬱憤を晴らすように店で酒を飲み、他の客と揉める。
普段お酒もタバコもやらない温厚な藤井風がお酒を飲んで暴れる貴重なシーン。俳優・藤井風の堂々たる演技力よ。

疲れ果てた様子で電車に揺られながら俯いていると、亡くなった母の幻影を見かける。慌てて追いかけるものの、母の姿はどこにもない。

母を追いかけて辿り着いたのは、かつて母に連れられてきたPIANO HOUSEだった。ピアノを弾きながら、穏やかな表情で母との思い出を懐かしむ。

ここから一気に曲が盛り上がって、主人公が自分の心を取り戻していくシーンは涙が止まらなかった。

シーンが戻り、再び老人へ。
冒頭で、雪の中でも車椅子を必死に漕いでアートギャラリーに向かうシーン。自分はもう長くないと悟って、最後に母の姿を見たかったんだね。

ここで涙するシーン、つられて号泣。
まじで何回泣かせるの😭

MVのラストは、力尽きて机の上に突っ伏す老人に、母が毛布をかけるシーンで終わる。
これってお母さんがあの世から迎えに来たってことだよね。
直接的な死の表現じゃなくて、「今までの人生、おつかれさまでした」って言ってくれてるみたいな温かくて優しい演出。

「満ちてゆく」の楽曲コメントで藤井風は「始まりがあるものには終わりがあるということ。愛は求めるものではなく、すでにたくさん持っているもの。与えれば与えるほど、「満ちてゆく」もの」って言ってて、歌詞の中でも「愛される為に愛すのは悲劇」って言葉が出てくる。

今回のMVだと、それは母の無償の愛だ。
母はもうこの世にはいないけど、母とのたくさんの思い出が、母から受け取ったたくさんの愛が、もう一度立ち上がって生きる力をくれたんだね。
母の愛は偉大だ。

そして、このMVの主人公にとって自分を取り戻すきっかけをくれたのは「母」だったけど、ある人にとってそれは「恋人」かもしれないし、「友人」かもしれない。「満ちてゆく」を聞いた人それぞれが当てはめて、愛を見つめ直すことができる。
これは、私たち一人ひとりの物語だ。


これまで受け取ってきた愛と向き合って、大好きな人に会いに行きたくなるような作品。

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「満ちてゆく」はラブストーリーの主題歌だけど、藤井風が伝えるコアメッセージは相変わらず清々しいほどに一貫している。

足るを知る。
変わりゆくことや思い通りにならないことに執着するのではなく、手放す。
そうやって手放すことによって、本当に大切なものが見えてくる。

人生うまくいく時もいかない時もある。
そんな惨めで弱くて情けない自分もすべて受け入れてあげること。

何も嘆く必要はない。何も欲しがる必要はない。
僕らはもうすべて持っている。
愛はもう、そこにあるのだから。

愛に慣れてしまったら、もう一度思い出そう。
心が枯れたら、この曲に会いにいこう。