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27歳から絵を描き始めて、月例賞で奨励賞をもらうまでの話。

『アタリの世界とハズレの世界』という作品でモーニング月例賞奨励賞を頂きました。やったー!!
コミックDAYSに掲載されて、つまり一応は商業媒体の読み切りデビュー。

とりあえずまだ読んでいない人は読んでみてね↓


画力もまだまだ、プロになる以前の問題はまだまだ沢山あるけれど、漫画で賞に引っ掛かることを当面の目標にしていたので、めちゃくちゃ嬉しい。

というわけで、いつもは描いた漫画をnoteにまとめているのですが、今回はコミックDAYSに掲載されているのでこちらには載せません。その代わりと言っては何ですが20代後半から絵を描き始めた自分が月例賞で奨励賞をもらって読み切りデビューするまでを書いていこうと思います。

あまり気にしていないとはいえ、漫画を描き始めたのも絵を描き始めたのも遅い自分は賞の受賞者の年齢を見て(みんな若いし面白い。)何も思わないと言えば嘘になる(もっと早く描いとけばよかった!!とかもちろん考えてしまうよな。)ので、自分みたいなパターンのやつもいることがどっかの誰かの何かになればと思います。



nhkのネットニュースからの拾い写真

懐かしい。ありましたよね、コロナ禍に入って右往左往しながらも決まった10万円の一律給付。昔の通帳を見てみたら6月に振り込まれていました。

幸い、自分はコロナによって大きく生活の基盤が揺らぐということはありませんでした。なのでこの不意に入った銭(通称あぶく銭)を何に使おうかな〜と考えていました。

それで買ったものがこれです。

最近使ってないから埃が。。。

Wacom intuos Pro
いわゆる板タブというやつです。

なんでそれを買ったのかというと…

ちょっと長くなるので興味ある方だけ↓

本業とは別に家庭菜園よりは大きな畑を耕してそこで採れた野菜や蜂蜜を週末にマルシェで売ったりしていました。そのパッケージのデザインなんかも自分で考えるのが好きだったのでAdobeのIllustratorを使って作ってました。それと、以前から絵も上手くなりたいな〜と漫然と思っていたので板タブがあれば何かと便利かも!!と思い、買いました。

齢27にして始まった、デジタルお絵描き人生。
適当に好きな絵を描いてみたり、模写を始めたり、ちょっと漫画を描いてみたりし始めました。

もちろん、絵は下手なわけです。

女の子がキノコの街に迷い込み毒キノコを食わされそうになる話。なんだそれ。
かわいい!!
色付けは今もできません。助けてくれ。

プロとか目指すレベルでは全くないわけです。でも、

楽し〜。

超楽しい。


この時は、自分の世界を表現できるというのが純粋にめちゃくちゃ楽しくて、「一生楽しめる趣味を見つけちまったぜ!!」という気分でした。

新しいものを始めても長続きしないタイプなのですが、どういうわけか漫画はもうずーっとできるなと思いました。ずっとコツコツ描いていたらそのうち、読んでくれる人が少しはできるかもしれない。それをずーっと続けれたら最高だなと思っていました。(それに、ずっと続けていたら多少は上手くなるだろうとも思っていました。)

というわけで、バクマンのような燃えたぎる情熱で猛烈に描き始めたわけではなく、軽いジョギングを始めるみたいに漫画描きライフが始まりました。


と、ちょっとかっこいいことを書いてみても、漫画をアップしてもほぼ無風な状態はやっぱりしんどさもあるわけです。それまでも数ページのショート漫画を描いてみて、ツイッターにアップしてを繰り返していましたが、ほぼ無風。

そこで、中途半端に描くのは止めてどんなに長くなっても途中で辞めないで自分の中にある物語を漫画にして描き切ってみようと思いました。


それが自分にとってとても大事な作品の『水をやる。』です。
↓noteで読めるのでぜひ(いまだにこの漫画がnoteのいいねで一番多いのは、やっぱり初期衝動の熱のためだろうか??)

80ページ以上の作品を、トーンをどう貼ったらいいのか、髪をどう描けばいいのか(これは未だにわからん、誰か教えてくれ。)、パース定規ってなんなん??とかをウゴウゴしながらも、はじめて「漫画を描き切った〜。」と思えた作品でめちゃくちゃ思い入れがあります。

これをツイッターにアップすると沢山(と言っても世の中の漫画のバズと比べると全然ですが)のいいねをもらい、面白かったというコメントもいただいたりnoteの本日のおすすめ記事に選んでいただいたり、投げ銭をしてもらったり(つまり漫画ではじめてお金を稼いだ!)しました。

賞にも出していたのですが、そちらは橋にも棒にも引っ掛からず。でも、『水をやる。』を描き上げれたこと、そこからいただいたリアクションは自分にとって、その後の漫画活動を続けていくための大きなインパクトになったのは間違いありません。

この時に知ってくれて、声をかけてくれた方々には本当感謝しかありません。いつもありがとうございます。
今後も楽しんでもらえるような漫画を描けたらと思っています。


そこから、一旦の目標を商業誌の月例賞にひっかることにしました。
この時点ではまだプロを目指そう!!とかは深く考えてはいませんでしたが(もちろん売れっ子漫画家になる妄想は沢山してたけど)、月例賞で賞をもらえたら自分にとってすごく大きな自信になるんじゃないだろうかと思ったからです。

色々描きました。

例えば『郊外戦争』という話や、『ウロコ』という話。

郊外戦争。文字通り戦争もの。銃とか描くの上手い人すごいよな。


後ろの車とか頑張ってんな〜!!


アクション漫画に挑戦してみたり、少年誌っぽいバトル漫画に挑戦して失敗したりしました。苦戦して出した作品なので今は非公開にしてしまっています。

描いたはいいけど、まぁあまりよくないよな。と思いながら賞に出して当たり前のように落選する繰り返します。

その他では
『ようこそシティファームへ』という漫画↓


浅野いにお氏の配信を見ていて、昔ギャグ漫画家志望だったという話やギャグ漫画はすごいという話をしていて、ギャグ漫画にめちゃくちゃ興味が湧きました。

描いてみるか!と思いたち16ページと短いけれどギャグに挑戦してみた漫画です。個人的にはとても良くできたし、漫画の理解がグッと進みました。またスランプになったりしたら一回ギャグ漫画を挟んだりしようと思っています。

ちなみに余談ですが、『ようこそシティファームへ』はコミティアの出張編集部にも持っていきました。概ね好評で、沢山リアクションをもらって勉強になりました。イベント内ではありますが初持ち込みだったので、めちゃくちゃ緊張して前の日は本当に一睡もできなかった。

その後、賞に出す漫画を描くには時間がかかりすぎる(最初の頃は筆も遅く、1日で1コマとか全然普通だった。)ため、もう少し短い作品をたくさん作るかと思って描いたりもしました↓

でも、特に何かを掴めるわけでもなく。1つの短編だけ描いて終わり。
やっぱり、しっかり向き合って描きたいものを妥協なく描こうと思いました。


というわけで次にしっかりと描いたのが、『水をやる。』の次に長い漫画になった『アップルパイの日』という話です。今のところ一番好きなタイトル。

これは割と自分の話でもあります。色々となりたいなぁと思うものはありつつもそれに向けて特に努力するわけでもなく、いい歳になっても何にもなれない自分。でも、やりたいことがあってその為にコツコツと生きていくことは、誰かに認められなくても幸せなのではないか?と思って描きはじめた話です。

大きな不幸の中にある小さな幸せを描きていくのが自分の中の芯になるのかもなぁと思っています。

そしてこの作品で、、、

モーニング月例賞、、、

努力賞受賞!!

努力賞というのは、賞の中では一番下の賞。ギリギリ引っかかるところで読切として掲載されることはありません。でも、担当さんがついてくれます!!ひゃー!!!

努力賞、めちゃくちゃ嬉しかったです。この漫画も『水をやる。』と同様自分にとってとても大事な作品です。

とりあえずこれで一歩目という感じでしょうか。


それとアップルパイの日を描き終わってから、実際に賞をもらうまでの間で、文芸誌欅という同人文芸誌を主催している方から声をかけていただき、漫画を寄稿していました。欅さんには実はもっと前、確か『水をやる。』を描き終えた後とかに連絡をもらっていましたが、まだ自信も余裕もないのでその時は見送り2号に寄稿させてもらうことになりました。

それで描いたのが『さいごの』という話です。

同人文芸誌といいつつ、内容は商業で売られている文芸誌に全く引けを取らない内容で、素敵な書店でも取り扱いがあります。
ぜひチェックしてみてね。

今まではほとんど自分の中で完結していた漫画が編集さんがついたり、文芸誌に寄稿させてもらったりすることで外の世界と繋がり始めまた期間になりました。


次に描いたのが奨励賞をもらうことになる『アタリの世界とハズレの世界』です。

あぁ、やっとこさ辿り着いた。

2020年の夏に板タブを買ってから3年半。たぶん才能がある人ならもっと早いと思うけど、ゆっくりとだけど確実にここまで来れたことがとても嬉しい。

奨励賞をもらいコミックDAYSに掲載!!!
漫画家人生2歩目って感じだろうか。

とはいえ、これに満足して油断することなく、これからもモリモリ描いていきます。

久しぶりに文字のブログを描いたら疲れたからこれくらいで。

ではでは。

いつか僕の漫画があなたの最高の暇つぶしになるといいなぁ。





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