水木なぎ

言葉にしないと消えてしまうものを。 心にすっと沁み込むものが書けたら。 音楽みたいに。

水木なぎ

言葉にしないと消えてしまうものを。 心にすっと沁み込むものが書けたら。 音楽みたいに。

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世界を

世界を 見失うくらいに 君が好き

    • 【朗読】 詩誌『凪』5号 「腕」

      詩誌『凪』 5号 「腕」を朗読しました。

      • 三月

        3月28日に地元を離れた 会えなくなる、なんて実感がないから 涙は出なかった さびしいも、さびしくないも 違った 一人になって 音のない部屋が 新しい生活の始まりだった イヤフォンで音楽を聴くと 小さな部屋が迫ってくる 卒業の曲を今聴いたら あの頃出なかった 涙がにじんだ

        • 光合成

          ベッドに貼りついた体をはがして 今日の自分を始める 天気予報はくもりなのに 雨が降っていて 世界はどんよりしてる 新緑はどんよりを食べて 酸素をたくさん吐き出す 春はだから いつもより 空気がきれい 今夜もまた 眠りにつく たくさん酸素を吐き出せるように

        • 固定された記事

          きみに聞こえる

          きみがいる うれしいことに きみがいる きみがいる しあわせなことに きみがいる きみがいる 口からこぼれた きみがいる 君がいる 初めて口にした きみがいる

          きみに聞こえる

          求めるもの

          たくさん実がなるマンゴーの木を探して どこにあるか聞いてみる あっちにあるよ 見つけたものは思ったより少なかった マンゴーの木を見たくて あてもなく歩く どこにあるか聞いてみる あっちにあるよ 思った以上にたくさんの実 マンゴーをあげる 教えてもらえて うれしくて

          求めるもの

          光射す

          暗がりにいるから 光が射すのがわかる それは 太陽の下よりもあたたかい

          心をなでる

          つま先がすり減ってるのを気にしてる 靴修理のムッシュが 「誰もそんなとこ見ないよ」 っておどけて言う 自分で自分の機嫌は取れるけど 自分では自分を癒せない 誰の心にも つま先で降り立って 頭をなでていく たんぽぽの綿毛の精が要る

          心をなでる

          夜の忘れもの

          忘れられた街灯のひかりは そこだけ暖炉の色で 夜から朝への置き手紙 帰りの電車の中の 何気ない会話 道路脇のポスター 見つけたいものは 目的地じゃなく 途中でよく見つかる 一晩中あたためていたメッセージを 置いておくね 後でゆっくり読んでね

          夜の忘れもの

          根もと

          心根は 目尻と口のはじにある やさしさは 強さと弱さの中にある さびしさは 夜と海の淵にある 清らかさは おはようとおやすみの前にある 精神は 言葉と声に宿ってる 人の根も 見えてるんだね ヒヤシンス

          惜しみない時間

          脳内で君に相談して 行先を決めて 君の好きな本を読んで 感想を心で言って いくつもの一瞬を惜しんで 守った時間で 豊かな土地を手に入れた 今までに 自分のセリフ以外に 場面が一変したことはあったかな 惜しんじゃいけないことを 惜しんで にんじんは細く 長くなった

          惜しみない時間

          流れ

          背もたれのないイスには 長くすわっていられない 毎日 同じ壁を見てると 毎日 同じことを考える 歩道橋の下では 毎日 同じ方向に 同じスピードで車が流れてる 背中の血が 背もたれに邪魔されず 不規則に流れたがってる

          確かなこと

          旅人から駅までの道のりを聞かれて答える それは確かか と問うので 地図を開いて見せた あなかから元気かと聞かれて答える それは確かか と問うので 心を開いて見せた

          確かなこと

          In My Garden

          ドアを開けた瞬間 ほどけた表情 ルームウェアがなじんでる ホームにいる時は別人のよう 自分の庭に招き入れ 得意になってりんごの木を説明する アウェイばかりにいるとおぼつかない この場所なら うまく廻れる 自分の庭を手入れする 土からていねいに

          待ち受ける火

          詩誌『凪』の詩を朗読しました。

          待ち受ける火

          待ち受ける火

          ふたり乗り

          想いよりも ふたりになることへの 憧れが強かったころ ふたりで 商店街を駆け抜けた 人ごみをよけながら 後ろから呼ぶ声に 口元だけで応えて 今は 商店街を 風が吹き抜ける 自転車に乗って 初めて肩にふれた時の 視界の広さ 鼻の先の頭越しに アーケードがどこまでも続いてた

          ふたり乗り