見出し画像

ムカつく後輩を脳内論破したら過去の自分が息絶えた

「簿記3級取れたら奢ってあげるよ」
上司の軽い言葉に誘われて、簿記の勉強を始めた。
できるだけお金使いたくないし、参考書は先輩が使い古したのを譲ってもらった。
電卓は漫画のついでに買った。
ノートも、薬局の隅にあった安いのを一冊用意した。
試験に向けて勉強する自分は、学生のころを思い出してちょっと懐かしくて、ちょっと誇らしかった。

「簿記なんて意味ないから、私は取らなかったよ」

「そんなんならプログラミング学んだほうがいいと思って」

隣のデスクから聞こえた。
後輩が、使わない参考書あれば譲ってほしいとお願いして、別の後輩から手渡されたときに漏れ出た言葉だった。
自分に対して言われた言葉ではなかったけど、すごくいやな気持になった。

「私は不要だと思うけど、あなたは取るんだ」
「もっとできることあるのに」
「ま、私はやめたけどね」

それをわざわざ言う意図って、何?

自分はやりもしないで今からやろうとしてる人に文句垂れるなんて「終わってる」…あれ?

簿記3級が実生活で別段役に立たないのはその通り。
今のご時世、自分で計算、仕分けする必要なんてそうそうない。
上司が勧めたのも、仕事の一端で使うからっていう、それだけ。
だからって、今まさに始めようとしてる人に向かって

「無駄だ」
「私は無駄だって知ってるからやらなかった」
「だから、やめた私のほうが賢い」

…なんて、失礼にも程がある。
じゃあやってから言いなよ。取ってみてよ

ここまで考えて思い出した。
あれ、自分、誰かに同じこと言った覚えある。

「TOEICは海外で通じないから、私は取らなかったよ」

大学卒業間際のころ。
「英語勉強しなおしたい。TOEIC600点目標にしようかな」
そう言った友達に、良かれと思ってこう言った。

「TOEICは海外で通じないよ」
「スピーキングがないから」
「読み書きだけできてもスキルにならないじゃん」

あの時、
ほんとに「良かれと思って」言ったっけ?
「もっといい方法あるし、教えてあげたい」そんなこと思ってたっけ?

「TOEICは世界で通じない、そんなことも知らないの?」
「だから英語に疎いんだね」
「ま、私は英語できるし、やらないって選択肢を取れたけどね」
「私はあなたより優秀ですけどね」

終わってたのは過去の自分だった

そうだった。あの時自分は相手のためなんて考えちゃいなかった。
自分が得意なフィールドに立った相手を、自分の快楽のためだけにこき下ろそうとしてたんだ。

すごいね、よく知ってるね、

そんな薄い返事を称賛だと思って、誇らしげにして生きてたんだった。
よく考えてみろ。
相手が戦いだと思ってない、むしろ弱みをさらけ出してる時に必殺技出してた自分、ただのマウント取りたいガールじゃん。

旧マウントガール、現マウントガールを許す

以前「(過去の)自分を許す」ていう記事を書いた通り、まず起こったことはしょうがないので許すことにした。

当時は幼かった。あの時の友達本当にごめん。
(後日当人に聞いた所やはり傷ついていたとのこと。改めて謝罪した。)
過去の自分を許した以上、同じ過ちをした後輩も許すしかない。
別に後輩は私の許しを求めちゃいないが、私が落ち着くという理由でそうすることにした。

なぜか自分で自分を殴るような事案になったけど、おかげで友達との間にあったいやな過去がひとつ洗浄された。
一周回って、マウントガールが「構ってよ!あむあむ」と甘噛みするにゃんに思えてきた。
後輩の言動がなかったら気づけなかった。ありがとう後輩にゃん。
また一緒にお弁当食べようね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?