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『GOTH 夜の章/乙一』-感想

僕と森野の話
暗黒系、犬、記憶の短編三編

第一部 暗黒系 Goth
連続バラバラ殺人事件
偶然森野が拾った手帳から始まる、狂気的な事件に近づいていく話。
未発見の犠牲者を探す僕、被害者の格好を真似る森野。
最後まで森野は犯人に気づかず、僕だけが憧れの人間と会うことができた。
感情の起伏がない二人の話を見ていると、読んでいる側が少し恥ずかしくなってしまった。

第二部 犬 dog
僕と森野の話と、私とユカの話が交互になっている。
近所で起こる連続ペット誘拐事件の犯人、その目的、全てが最後に判明する。
結末というかトリックが衝撃的すぎて、もう一度読み返した。

第三部 記憶 twins
刺々しい雰囲気で教室に入ってきた森野は睡眠不足で、時折不眠に悩まされるという。
不眠の解消に付き合わされる僕は、その帰りに森野の妹の話を聞く。
なんとなく展開を予想することはできたけれど、僕の推理力、疑問のアンテナに舌を巻く。
森野は僕に出会うまで、家族にすら言えず孤独に過ごしてきたということを思うと少し胸が痛む。

僕が話していることもわかる。理解できる。共感できる部分がある。
けれど僕と森野は高校2年生、少し痛い。
そう思うのは社会に合わせろと言っているようで嫌なのだけれど、やっぱり自分とは違う変な、世間に馴染んでいない人間たちの話なのだと思ってしまった。

1/28-1/29


/大学生なっつ

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