STEAM教育のなかのArt


最近、 STEAM教育という言葉をよく聞くようになった。

知っている人にはタコ耳だと思うけど、雑におさらいすると教育すべき下記の項目の頭文字だ。

S : Sience / 科学
T
: Technology / 科学技術
E : Engineering / 工学
A : Art / 芸術
M : Mathematics / 数学

元々はSTEM教育といって、Artを抜いた項目の教育を指していた。
しかし、みてわかる通りArt以外はいわゆる理系項目である。それで偏りがあるのがイカンということなのか、最近になってArtが追加された5項目を重要視するようになった。

念のためだけど、他の教育は重要視すべきでない、というわけでは全くない。そもそも国語ができなければ、これらの項目を学びようがない。

ただ、義務教育のなかで教わるなかで、特に理系科目がどのように使われるのかというのは、非常に分かりづらい。もちろん、実際に使わなくても論理的に考える思考習慣をつけるためだよー、みたいなことを言われたりもするけど、実際に使ってみることのほうが理解が早いのは疑う余地はないのだ。

なので、この理系4項目を横断した実践的教育を行うことで、子供達の理解力を高めようというのが目的の教育手段がSTEMだ。

では、なぜArtが足されたのだろうか?

自分の考えでは、それはArtの持つ本質のためだと思っている。
Artの本質とは「分解(破壊)」と「構築(再構築)」だ。
だからこそ、NHKの「デザイン あ」はそれがテーマの一つになっているのだ。

まずは「分解」ということから考えてみたいと思う。一言で分解って言っても、なにかを実際に壊すことではない。いや、何かを実際に分解してみるのは、理解にとても役に立つので大いに推奨すべきだが、分解自体が目的ではない。

分解とは「観察力」でもある。この言葉は、自分のnoteを読まれている方には頻出単語で申し訳ないが、すべてのクリエーションは、まず観察から入る必要があるのだ。

STEMの項目は、目的達成のための必要な要素を調理し、目的に仕立て上げるための技術だ。

観察によってすべての情報を細かい要素へ分解し、その細かい要素を目的にあわせて取捨選択することで、最適な要素を残していく作業が先に必要になる。

そして「構築」または「再構築」。これはアウトプットとしての「表現力」だ。クリエーションのもう一つの側面として、コミュニケーションがある。雑に言ってしまえば、人はなぜクリエイティブなことをするのかというと、コミュニケーションのためだ。

自分にはわかるけど他人にはわからないのでは、コミュニケーションは成り立たない。そこで、他人とのコミュニケーションのためにArtの表現力が必要になってくるのだ。

それぞれの関係性を図にするとこんな感じ。

こうして考えると、STEMにAが追加されて、STEAMになったのは納得なのである。

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