見出し画像

かさねる

 実家を出て、ずいぶんと経った。一人暮らしの歴もそれなりに長い。自分の力で生きていくというのは、毎日が模索の連続だと思う。どんな生活が自分にマッチしているのか、いまだによく分からない。

 例えば朝。寝起きがあまり良くないから、目が覚めて布団から出るまでにまず時間がかかる。だからこそ、朝やることをルーティン化出来たらどれだけ良いことか、何も自分で考えず、決められた通りに動ければどれだけ楽か、そんなことを思って、モーニングルーティンなんかを定めてみたりする。定めた瞬間は良い。明日はきっと良い日になるぞ、と意気込んで寝てみる。するとどうだろう。朝起きて、昨日決めた全てのルーティンが、頭から消え去ってしまう。まずやることは白湯?それとも洗顔?それとも体重計?分からなくなっているうちに、起きるのが億劫になり、ギリギリまで惰眠を貪り、ショート動画を見続け、慌てて準備をして出かける。
 結局のところ、モーニングルーティンを決める生活が自分に向いていないのか、ただ単に自分が怠惰なのか、世の中に溢れた素敵なモーニングルーティンの動画は切り取られた一部分なのか、よく分からない。でも、決めたところで守れないことが分かっているし、守れないということが自分にとってそれなりにダメージになることも分かっている。だから、いつの間にかルーティンを作るということは諦めた。

 元気度と部屋の荒れ具合は相関関係にあると思う。仕事が立て込んだり、土日に音楽のイベントが入りまくったり、ダラっとした時間が削られたとき、どこに皺寄せがくるかというと、家を整える時間だ。脱いだ服をそのままに寝てしまう。下着在庫の底が見えて初めて、洗濯をしなければと思い腰を上げるほど。ミニマリストの人が、よく少ないお洋服で頻繁に洗濯をしながら毎日を暮らしている様子を見かけるけれど、私には出来ないと心から思ってしまう。すごい。本当に尊敬している。私もいつかそうなりたい。いや、本当になりたいのか分からない。そうでありたいとは思っている。出したものを、使った直後にしまえば良いにもかかわらず、そこに普段の5倍くらいのエネルギーがかかるように感じてしまう。この現象に名前をつけたい。

 料理の手際は、ずいぶんと良くなったと思う。一人暮らしを始めた頃、一つのおかずを作ることが精一杯だった。必死だったね。でも、ここ最近は、お弁当と朝ごはんを同時進行で作業をしながら、30分程度で洗い物まで完了させてしまえるようになった。これは自分の成長を感じるし、実家でだらだら過ごしてた頃の自分にも、喜ばしい変化として教えてあげたい。もうちょっとビギナーのとき、何にどのくらい調理器具を使うのか全く分からず買い足しまくったせいで、ガラスの耐熱ボールが4つもあるのは笑っちゃう。料理上手かどうかは分からないけれど、でも自分で食べていて、あまり不味いと思うものに出会わないので、まあ普通くらいではあるんだろう。次は、季節の野菜をちゃんと季節に食べたり、節句などの行事にちなんだ料理を食べたり、郷土料理なんかをパッパと作れるようになりたい。これはなんか出来そう。

 最近はお掃除にハマってる。そもそも掃除って、そんなに得意じゃなかったし、週末まで溜め込んで、げんなりしながら掃除機をかけて、年末もヒーヒー言いながら大掃除をしていた。でも、自分のどこの回路がどうなったのか全く分からないんだけど、キッチンと洗面台とトイレとリビングが綺麗に整った状態になってから寝る、を、割と毎日頑張れている。というか、頑張らなくてもやれるようになったと思う。いつまで続くかは分からないけれども。

 一人暮らし、長くなってきたけれど、毎日毎日が模索の連続。結局どの汚れにクエン酸を使って、どの汚れに重曹を使えば良いか分からないし、食中毒にビビって鶏肉がパサパサになるまで焼いちゃったりもする。でも、自分自身で自分自身を生かしているのだなあ、と思うと、結構やれてんじゃん、私。って、褒めてあげても良いかも。そんな気持ちになった。

 というわけで、これからもゆるっと生きていこうね。っていう、誕生日を迎えたよエントリでした。