あわい

長く拗らせた古い病は 乾いた寒さに呆気なく癒えた
干からびた眼を窓に向ければ 天蓋に名残る星の影ひとつ

冬は淡々と逝く 瘴気(しょうき)の息を引き取って
つたない文(ふみ)で喉の支えが降りたなら
仕草を飾ることはなくなるのか

切れた雲の間(あわい)より しらしらと明けぬる空 淡い日に染むる
瞑っていては知れなかったこともある
いずれ暮れるとも いまはただ美しくて

通い路に落ちる憂いの息も 荒んだ疾風が味気なく攫う
乱れる髪を静かにけずれば 足下にゆれる朱の花ひとつ

春は緩慢に往く 陽気の裾を引き摺って
温んだ雨に胸の疼きが溶けたなら
素顔を晒すことを憶えるのか

解いた指の間より はらはらと散りぬる色 淡い緋に匂う
握り締めては見えなかったものもある
いずれ褪せるとも いまはただ美しくて

伏せた瞼(まかは)の間より はらはらと落つる涙 明き火に燃ゆる
臆していては踏み出せぬ道がある
この想い いずれ消えるとも

解いた指の間より はらはらと散りぬる色 淡い緋に匂う
握り締めては見えなかったものもある
いずれ褪せるとも いまはまだ愛おしくて

執筆活動で生計を立てるという目標を持っております!!