高度35,000フィート

海の底に沈む
クジラの全身骨格
のような
山脈が
眼下の
そこかしこに
横たわる

あと2時間もすれば
あかるい夕方の国に
着いてしまうことが
にわかには
信じられない

どこまで
泳いでも
どこまで
進んでも
夜明け前の海
なのではないか
という恐れを
かすかな望みに
変えるとき
高度35,000フィートの深海を
永遠の風景として
再び眠りに落ちゆく
まぶたの
うらに
たたみこむ

(2017年2月)

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